「住んでいるアパートが競売にかけられると、通知が届いた」 「家賃はきちんと払っているのに、出ていかないといけないの?」 「敷金は返ってくるのか、次の部屋はどうすればいいのか分からない」
大家さんの借入の返済が止まり、住んでいる建物が競売にかかる。入居者にとっては、自分に落ち度がないのに住まいが揺らぐ、とても不安な出来事です。
まずお伝えしたいのは、住んでいる賃貸が競売にかかっても、すぐに出ていく必要はないということです。入居した時期によってはそのまま住み続けられることもありますし、そうでない場合でも、条件を満たせば新しい所有者が代金を納付してから6か月間は、明け渡さなくてよい制度(建物明渡猶予制度)があります。
この記事では、岡山市北区・奉還町の不動産会社ミニクルホームが、住んでいる賃貸が競売になったときの考え方と、6か月の猶予の使い方、次の住まいの準備をまとめました。
この記事でわかること
- 住み続けられる場合と、明け渡しが必要になる場合の違い
- 明渡猶予(6か月)の条件と、その間の支払い
- 敷金はどうなるのか
- 競売の通知が届いてから、やっておきたいこと
- 6か月の間に次の住まいを探す段取り
※この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。個別の契約や登記の状況によって扱いが変わります。住み続けられるかどうかや敷金の返還などの法律上の判断は、弁護士・司法書士、法テラスにご確認ください。
結論|「いつから借りているか」で、扱いが大きく変わります
先に、結論を3つにまとめます。
- 抵当権が設定される前から借りて住んでいる場合は、そのまま住み続けられることがあります。
この場合、賃貸借は新しい所有者に引き継がれ、新しい所有者が大家さんになります。敷金も引き継がれるのが原則とされています。 - 抵当権が設定されたあとに借りた場合でも、競売の手続きが始まる前から住んでいれば、代金納付から6か月間は明け渡さなくてよいとされています(民法395条)。
その間は、家賃に相当する額を新しい所有者に支払う必要があります。 - 6か月の猶予がある場合は、その間に次の住まいを準備しましょう。
猶予の場合、敷金は新しい所有者に引き継がれないため、返還は別に考える必要があります。
競売の通知が届いたら、まず確認すること
- 賃貸借契約書で「入居した日(契約の開始日)」を確かめる
- 契約書・敷金の預り証・家賃の振込記録を1か所にまとめる
- 家賃は、これまでどおり払い続ける(支払い先が変わる通知が届いたときは、その内容を確認する)
住み続けられる?明け渡しが必要?|2つのケース
| ケース1:抵当権より前から借りている | ケース2:抵当権のあとに借りた(競売開始前から住んでいる) | |
|---|---|---|
| 新しい所有者との関係 | 賃貸借が引き継がれ、新しい所有者が大家さんになる | 賃貸借は引き継がれない |
| 住み続けられるか | 契約にもとづいて、住み続けられることがある | 代金納付から6か月は明け渡さなくてよい(その後は明け渡しが必要) |
| 家賃の支払い先 | 新しい所有者(大家さん) | 猶予期間中は、家賃に相当する額を新しい所有者へ |
| 敷金 | 新しい所有者に引き継がれるのが原則 | 新しい所有者には引き継がれない |
※「抵当権より前か後か」は、建物の登記(抵当権の設定の日付)と、部屋の引き渡しを受けた日(入居日)を比べて判断するのが一般的です。賃貸住宅の多くは、建物を建てるときなどに抵当権が設定されているため、ケース2に当てはまることが多いとされています。
ご自身がどちらに当たるかは、賃貸借契約書(入居日)と、法務局で取れる建物の登記事項証明書(抵当権の設定日)を見比べると、目安が分かります。最終的な判断は、弁護士や法テラスに確認してください。
明渡猶予(6か月)のしくみ
民法395条の「建物明渡猶予制度」は、抵当権に対抗できない賃貸借で建物に住んでいる人のうち、競売の手続きが始まる前から住んでいる人などについて、買受人(新しい所有者)が代金を納付した時から6か月を経過するまで、建物を引き渡さなくてよいとするものです。
猶予の間に気をつけたいこと
- 新しい所有者との賃貸借契約はありません:住み続けられるのは、法律で明け渡しが猶予されているからです。
- 家賃に相当する額を支払う必要があります:新しい所有者から、使った期間の対価として家賃に相当する額を求められます。
- 支払わないと、猶予がなくなることがあります:新しい所有者が相当の期間を定めて1か月分以上の支払いを求めたのに、その期間内に支払わなかった場合は、猶予が適用されなくなります(民法395条2項)。
- 6か月がたっても退去しない場合:新しい所有者は、裁判所に引渡命令を申し立てることができ、強制執行に進むことがあります。
時期の目安
| 段階 | 入居者にとって起きること |
|---|---|
| 競売開始決定 | 建物が差し押さえられる。通知や掲示で知ることが多い |
| 現況調査 | 執行官が訪れ、賃貸借の内容(入居日・家賃・敷金など)を確認する |
| 開札・売却許可決定 | 落札者が決まる |
| 代金納付 | 新しい所有者に所有権が移る。ここから6か月の猶予が始まる |
| 代金納付から6か月 | 猶予の終わり。この日までに退去する |
※競売の手続きの全体の流れは、競売になった家にいつまで住める?落札から退去までの流れ【岡山】でも解説しています(所有者向けの記事ですが、手続きの段階は同じです)。
競売の通知が届いたら、やっておきたいこと
- 賃貸借契約書・敷金の預り証・家賃の振込記録をまとめておく:入居日や敷金の額を示す大切な資料です。
- 執行官の現況調査に協力する:賃貸借の内容を聞かれます。契約書を見せられるようにしておきましょう。
- 家賃の支払い先を確認する:代金納付の前は、これまでどおり大家さん(管理会社)に払うのが基本です。ただし、債権者などから家賃の差押えの通知が届いた場合は、通知に従って支払い先が変わることがあります。分からないときは、通知の差出人や専門家に確認してください。
- 家賃を払わずに様子を見る、はおすすめできません:滞納があると、競売とは別に契約の解除などの問題になるおそれがあります。
- 次の住まいの準備を始める:ケース2に当たりそうなら、代金納付の時期を見ながら、6か月以内に引っ越せるよう準備します。
- 生活保護を受けている方は、ケースワーカーに知らせる:転居が必要になる場合は、物件を決める前にケースワーカーに相談し、了承を得てから契約してください。進め方は生活保護で住んでいる部屋が競売に|ケースワーカーへの相談と転居の流れ【岡山市】で解説しています。
敷金はどうなる?
| ケース | 敷金の扱いの考え方 |
|---|---|
| ケース1(抵当権より前から借りている) | 新しい所有者に引き継がれるのが原則。退去のときに新しい所有者との間で精算する |
| ケース2(猶予の対象) | 新しい所有者には引き継がれない。返還については、もとの大家さんとの関係で考えることになる |
ケース2の場合、もとの大家さんは借入の返済ができなくなっていることが多く、敷金の返還がすぐには難しいこともあります。返還を求める方法や見通しは、契約書や預り証を持って、弁護士や法テラスに相談してください。返還を求めるときに確認したいことは、賃貸が競売で落札されたら敷金はどうなる?確認したいこと【岡山】にまとめています。
※当社は、大家さん側のお手伝いをすることもある不動産会社のため、どちらか一方の立場で判断や交渉をすることはできません。
6か月の間に、次の住まいを探す段取り
6か月は長く感じるかもしれませんが、家族の状況によっては、条件に合う物件探しに時間がかかります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 代金納付の前 | 家賃の上限、エリア、間取り、駐車場の台数などの条件を決める/荷物を減らし始める |
| 猶予1〜2か月目 | 物件の候補を探し、内見する |
| 猶予3〜4か月目 | 申込み・審査・契約。退去日と入居日を合わせる |
| 猶予5〜6か月目 | 引っ越し。猶予の終わりの前に退去を終える |
- 家賃が二重にかからないように:新居の家賃の発生日と、退去日を合わせましょう(参考:旧居と新居の二重家賃を防ぐ賃貸契約スケジュール)。
- 初期費用の準備:敷金がすぐに戻らない可能性も考えて、初期費用の見通しを立てておきます(参考:岡山市の賃貸初期費用はいくら?相場と安く抑える7つの交渉術)。費用が足りないときの相談先は退去日までに引っ越し費用がない|使える支援と相談の順番【岡山市】、敷金が戻るのが退去のあとになる場合の段取りは立ち退き・競売で急いで引っ越すときの初期費用の抑え方【岡山】で解説しています。
- 子どもの学校を変えたくない場合:学区内の物件は限られるため、早めに動きましょう(参考:子どもの転校は避けたいが家賃は下げたい|岡山市で探す範囲の決め方)。
- 高齢のご家族がいる場合:1階やエレベーターのある物件、通院に便利な立地を優先しましょう(参考:【岡山市】高齢者の住み替え相談|今の家が広すぎる・階段がつらい方へ)。
- ペットがいる、家族の人数が多い場合:条件に合う物件が少ないため、猶予の1か月目から相談を始めましょう。条件の絞り方はペットや家族が多い|立ち退き後の部屋探しで条件を絞るコツ【岡山】で解説しています。
期限から逆算して、週ごとに動く段取りは、立ち退きの期限まであと3か月|条件に合う部屋を探す段取り【岡山】も参考にしてください(猶予の残りが3か月になった時点から使えます)。
新しい所有者から退去の連絡が届いたときの確認点や、合意書にサインする前に見ておきたい項目は、新しい所有者から退去を求められた|競売物件の入居者の引っ越し準備【岡山】で解説しています。
競売は、大家さん側の事情で起きることです。申込みのときは、引っ越しの理由として「住んでいる建物が競売になったため」と、そのまま伝えてください。審査で見られるのは、主に「これから家賃を払い続けられるか」です。
よくあるご相談の例
※個人が特定されないよう、複数のご相談を組み合わせたイメージです。
30代・ご夫婦と子ども1人(岡山市北区)
住んでいるアパートに競売開始決定の掲示が出て、ご相談に来られたケースです。契約書と登記の日付を見比べるとケース2に当たりそうだったため、弁護士さんに確認していただきながら、代金納付の時期を見て、子どもの学区内で2LDKを探します。敷金の返還については、預り証を持って法テラスに相談していただきました。
70代・単身(岡山市中区)
新しい所有者から、6か月後までに退去してほしいという連絡が届いたケースです。猶予期間中の支払いを続けながら、通院先に近い1階の物件を探し、猶予の終わりの1か月前に引っ越しを終えられるよう日程を組みます。
よくある質問
Q. 住んでいる賃貸が競売になりました。すぐに出ていかないといけませんか?
A. すぐに出ていく必要はありません。抵当権より前から借りている場合は、新しい所有者に賃貸借が引き継がれ、住み続けられることがあります。抵当権のあとに借りた場合でも、競売の手続きが始まる前から住んでいれば、新しい所有者が代金を納付してから6か月間は明け渡さなくてよいとされています(民法395条)。
Q. 自分がどちらのケースに当たるか、どうやって確かめますか?
A. 賃貸借契約書の入居日(部屋の引き渡しを受けた日)と、法務局で取れる建物の登記事項証明書の抵当権の設定日を見比べると、目安が分かります。最終的な判断は、弁護士や法テラスに確認してください。
Q. 6か月の猶予の間、家賃は払わなくていいのですか?
A. 払う必要があります。猶予の間は新しい所有者との賃貸借契約はありませんが、使った期間の対価として、家賃に相当する額を新しい所有者に支払います。1か月分以上の支払いを求められたのに相当の期間内に払わないと、猶予が適用されなくなります。
Q. 6か月はいつから数えますか?
A. 新しい所有者(買受人)が裁判所に代金を納付した時から数えます。競売開始決定や開札の時からではありません。代金納付の時期は、新しい所有者や管理会社からの連絡で確認しましょう。
Q. 6か月を過ぎても退去しなかったら、どうなりますか?
A. 新しい所有者は、裁判所に引渡命令を申し立てることができ、強制執行に進むことがあります。猶予の終わりより前に退去できるよう、早めに次の住まいを準備しましょう。
Q. 敷金は返ってきますか?
A. 抵当権より前から借りている場合は、新しい所有者に敷金が引き継がれるのが原則とされています。猶予の対象になる場合は、新しい所有者には引き継がれないため、もとの大家さんとの関係で考えることになり、すぐには返還が難しいこともあります。契約書と預り証を持って、弁護士や法テラスに相談してください。
Q. 競売が決まったので、家賃の支払いを止めてもいいですか?
A. おすすめできません。代金納付の前は、これまでどおり大家さん(管理会社)に払うのが基本です。ただし、家賃の差押えの通知が届いた場合は、通知に従って支払い先が変わることがあります。分からないときは、通知の差出人や専門家に確認してください。
Q. 執行官が来ると聞きました。何を聞かれますか?
A. 現況調査として、入居日、家賃、敷金などの賃貸借の内容を聞かれることがあります。賃貸借契約書や敷金の預り証を見せられるよう、準備しておきましょう。
Q. 引っ越しの費用は、新しい所有者が出してくれますか?
A. 新しい所有者が引っ越しの費用を負担する決まりはありません。話し合いで一部を負担してもらえることもあるとされますが、義務ではありません。費用が足りない場合は、公的な支援の相談先も確認しておきましょう。
Q. 生活保護を受けています。住んでいる部屋が競売になったら、どうすればいいですか?
A. まず担当のケースワーカーに、競売の通知が届いたことを知らせてください。転居が必要になる場合は、転居の費用の扱いを含めてケースワーカーに相談し、物件を決める前に了承を得てから契約しましょう。家賃の支払い先が変わる場合も、早めに伝えておくと安心です。
Q. ペットがいて、家族の人数も多いです。6か月で見つかるか不安です。
A. ペット可や広い間取りの物件は数が限られるため、猶予の1か月目から不動産会社に相談しておくと、募集が出たときに案内を受けやすくなります。条件は「ゆずれないもの」を2〜3個にしぼり、築年数や駅からの距離などから広げていきましょう。
Q. ミニクルホームには、何を相談できますか?
A. 猶予の期間に合わせた次の住まい探し、退去日と入居日の調整、学区や通院先などの条件に合う物件探しをご相談いただけます。住み続けられるかどうかや敷金の返還についての法律上の判断はできないため、弁護士や法テラスと役割を分けて進めます。
まとめ|まず「いつから借りているか」を確かめ、6か月を準備にあてる
- 住んでいる賃貸が競売になっても、すぐに出ていく必要はありません。
- 抵当権より前から借りている場合は、新しい所有者に賃貸借が引き継がれ、住み続けられることがあります。
- 抵当権のあとに借りた場合でも、競売開始前から住んでいれば、代金納付から6か月は明け渡さなくてよいとされています。その間は家賃に相当する額の支払いが必要です。
- 猶予の場合、敷金は新しい所有者に引き継がれません。返還については弁護士や法テラスに相談してください。
家賃をきちんと払ってきたのに住まいを移らなければならないのは、とても理不尽に感じることだと思います。ミニクルホームでは、猶予の期間と、ご家族の条件に合わせて、次の住まいを一緒に探します。
気持ちがしんどいときの相談先
自分に落ち度がないのに住まいが揺らぐのは、大きなストレスです。つらいときは、ひとりで抱え込まずに相談してください。
- 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時。祝日・年末年始を除く)
住み続けられるかどうかや、敷金の返還について、相談できる窓口や制度を案内してくれます。 - 消費者ホットライン:188
契約のトラブルなどは、お近くの消費生活センターへ。 - こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
岡山県内からは、平日9時30分〜12時・13時〜16時、平日夜18時30分〜22時30分(22時まで受付)に相談できます。
※受付時間は変更されることがあります。最新の情報は、各窓口の公式サイトでご確認ください。
参考にした公的な情報
- 民法(e-Gov法令検索) ※第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
- 借地借家法(e-Gov法令検索) ※第31条(建物賃貸借の対抗力)
- 東京地方裁判所 民事第21部「買受け後の手続(不動産)」 ※明渡猶予がある賃借人への引渡命令の申立て期間
- 法テラス(日本司法支援センター)
※当社は不動産会社です。住み続けられるかどうか、敷金の返還、新しい所有者との話し合いに関する法律上の判断や、交渉の代理はお受けできません。手続きについては、弁護士・司法書士、または法テラスにご相談ください。
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- 株式会社ミニクルホーム
- 代表者
- 城井 仁
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