「裁判所から、競売開始決定という書類が届いた」 「家が競売にかけられたら、明日にも出ていかないといけないのだろうか」 「あとどのくらい、この家に住めるのか知りたい」
住宅ローンの返済が続かなくなり、家が競売にかかる。そう知ったときは、怖さと申し訳なさで、何も考えられなくなるのは自然なことです。誰にも言えないまま、届いた書類を引き出しにしまってしまう方もいます。
まずお伝えしたいのは、競売が始まっても、すぐに家を出なければならないわけではないということです。競売には決められた手続きの段階があり、家の所有者でいる間(落札者が代金を納付するまで)は、住み続けることができます。どの段階にいるかが分かれば、残りの時間と、いまできることが見えてきます。
この記事では、岡山市北区・奉還町の不動産会社ミニクルホームが、競売開始決定から退去までの流れと、それぞれの段階で「いつまで住めるのか」をまとめました。すでに落札されたあとの動き方と次の賃貸の探し方は、自宅が競売で落札された|退去までの目安と、次の賃貸の探し方【岡山】で詳しく解説しています。
この記事でわかること
- 競売開始決定から退去までの流れ(10の段階)
- 「いつまで住めるか」の3つの区切り
- 執行官の現況調査で起きること
- 段階ごとに、いまできること
- 賃貸で住んでいる入居者の場合との違い
※この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。手続きの期間は、裁判所や事案によって異なります。競売への対応、任意売却、残った借入についての法律上の判断は、弁護士・司法書士、法テラスにご確認ください。
結論|所有者でいる間は住めます。区切りは「代金納付」です
先に、結論を3つにまとめます。
- 競売開始決定が届いても、すぐに出ていく必要はありません。
競売開始決定から開札までには、現況調査、評価、入札の公告などの段階があり、一般に数か月かかります。その間は、所有者として住み続けられます。 - 落札者が代金を納付すると、所有権が移り、住み続ける権利はなくなります。
その後の退去の時期は、落札者との話し合いで決まることが多く、まとまらない場合は引渡命令、強制執行へと進むことがあります。 - 早い段階ほど、選べる道が多く残ります。
開札の前であれば任意売却が間に合う場合もあります。次の住まいの準備も、競売開始決定の段階から始めるのがおすすめです。
競売開始決定から退去までの流れ
| 段階 | 起きること | 時期の目安 | 住めるか |
|---|---|---|---|
| ① 競売開始決定・差押え | 裁判所から開始決定が届き、家が差し押さえられる | ― | 住める(所有者のまま) |
| ② 現況調査・評価 | 執行官と評価人が家を訪れ、調査・写真撮影をする | 開始決定のあと | 住める |
| ③ 期間入札の通知・公告 | 入札の期間と開札の日が通知され、物件の情報が公告される | 公告は入札開始の2週間前までに行われる | 住める |
| ④ 入札期間 | 購入を希望する人が入札する | 1週間以上1か月以内 | 住める |
| ⑤ 開札 | 最も高い価格で入札した人(落札者)が決まる | 通知書に書かれた日 | 住める |
| ⑥ 売却許可決定 | 裁判所が、落札者への売却を許可する | 原則として開札から1週間以内 | 住める |
| ⑦ 決定の確定 | 不服の申立てがなければ確定する | 決定から1週間ほど | 住める |
| ⑧ 代金納付 | 落札者が代金を納め、所有権が落札者に移る | 確定から約1か月以内の日が指定されるのが通常 | ここから住み続ける権利がなくなる |
| ⑨ 退去の話し合い・引渡命令 | 落札者と退去の時期を話し合う。まとまらない場合は引渡命令が申し立てられる | 引渡命令は代金納付から6か月以内に申し立てるのが通常 | 話し合いで決めた期限まで |
| ⑩ 強制執行 | 明渡しの催告のあと、断行が行われる | 催告から引渡し期限まで原則1か月 | 引渡し期限まで |
※時期は一般的な目安です。実際の流れは、裁判所や事案によって大きく異なります。届いた書類に書かれた日付を確認してください。
「いつまで住める?」の答え|3つの区切り
| 区切り | いつまで | ポイント |
|---|---|---|
| 1つ目 | 代金納付まで | 所有者として住み続けられる期間。次の住まいを準備するいちばんの期間です |
| 2つ目 | 落札者と話し合って決めた退去日まで | 住み続ける権利はないため、使用料を請求されることもあります |
| 3つ目 | 引渡命令・強制執行の引渡し期限まで | 話し合いがまとまらない場合。執行の費用を請求されることもあります |
いちばん大切なのは、「1つ目の区切り」までに次の住まいの見通しを立てておくことです。開札の日は、期間入札の通知書に書かれています。その日から逆算して準備を始めましょう。
現況調査で執行官が来たら
競売開始決定のあと、裁判所の執行官と評価人が、家の状態を調べるために訪れます。
- 家の中の調査や写真撮影が行われます:調査の結果は、入札を考える人が見る資料になります。
- 不在の場合でも、調査が行われることがあります:執行官には、必要な場合に鍵を開けて家の中に立ち入る権限が、法律で認められています(民事執行法57条)。
- 質問に答える:住んでいる人や、家の使い方について質問されることがあります。
調査に来たからといって、すぐに退去を求められるわけではありません。日程の連絡が届いたら、家族にも事情を共有しておくと、当日の負担が小さくなります。
段階ごとに、いまできること
| 段階 | いまできること |
|---|---|
| 競売開始決定〜入札の前 | 任意売却ができるか、債権者や専門家に相談する/次の住まいの家賃の上限を決める |
| 入札期間〜開札 | 任意売却が間に合うかを急いで確認する/賃貸の候補を探し始める |
| 開札〜代金納付 | 次の賃貸の申込み・契約を進める/荷物を減らし始める |
| 代金納付のあと | 落札者と退去の時期を書面で確認する/決まった日に合わせて引っ越す |
任意売却について:開札のあと(買受けの申出があったあと)に競売を取り下げるには、落札者などの同意が必要とされています(民事執行法76条)。そのため、任意売却を考える場合は、できるだけ早い段階で、債権者や弁護士・司法書士、不動産会社に相談してください。任意売却の流れと住み替えの考え方は、任意売却のあと賃貸は借りられる?岡山で住み替える流れで解説しています。
※任意売却は債権者の同意が必要で、必ず成立するとは限りません。
賃貸で住んでいる入居者の場合は違います
ここまでは、家の所有者(住宅ローンの債務者)の場合のお話です。競売にかかった建物を賃貸で借りて住んでいる入居者の場合は、扱いが違います。
- 競売の手続きが始まる前から住んでいる入居者は、条件を満たせば、代金納付から6か月間は明け渡さなくてよいとされています(民法395条)。
- この猶予は、所有者には適用されません。
賃貸で住んでいる方は、【岡山市】競売・立ち退き・強制執行で住まいを失いそうなとき|状況別にやることと相談先の「住んでいる賃貸が競売になった」の項もあわせてご覧ください。
次の住まいの準備は、いつから?
競売開始決定が届いた時点から始めるのがおすすめです。代金納付までの時間を、できるだけ準備にあてられるからです。
- 家賃の上限を決める:住宅ローンがなくなる一方で、残った借入の返済が続くことがあります。残債の返済額を差し引いた手取りから、無理のない金額を決めましょう。
- 保証会社のタイプを確認する:住宅ローンの滞納や代位弁済は、信用情報に登録されていることが多いです。信用情報を照会しないタイプの保証会社の物件を中心に探すと、可能性が広がります(参考:信販系と独立系保証会社の違い|岡山市で審査不安がある方)。
- 日程を合わせる:代金納付の時期や、落札者と決めた退去日に合わせて入居日を調整します(参考:旧居と新居の二重家賃を防ぐ賃貸契約スケジュール)。
- 高齢のご家族がいる場合:1階やエレベーターのある物件、通院に便利な立地を優先しましょう(参考:【岡山市】高齢者の住み替え相談|今の家が広すぎる・階段がつらい方へ)。
岡山市で探す場合は、子どもの学区や車の台数、通院先を先に決めておくと、候補を絞りやすくなります。北長瀬・備前西市・妹尾・東岡山などのJR沿線や、バス路線沿いまで広げると、同じ家賃でも選べる物件が増える傾向があります。
家族や近所に知られる?
競売の物件の情報は、裁判所の公告や、インターネットの競売物件情報サイトで公開されます。現況調査では執行官が訪れるため、近所の方に気づかれる可能性もあります。
ご家族には、引っ越しや契約の場面で協力が必要になることが多いため、早い段階で共有しておくことをおすすめします。話しにくい場合は、相談の場にご家族と一緒に来ていただくこともできます。
よくあるご相談の例
※個人が特定されないよう、複数のご相談を組み合わせたイメージです。
50代・ご夫婦(岡山市北区)
競売開始決定が届いた段階でのご相談です。弁護士さんに任意売却ができるかを相談していただきながら、並行して、残債の返済を見込んだ家賃の上限を決め、賃貸の候補を探し始めます。期間入札の通知が届いたら、開札日から逆算して申込みの時期を決める、という進め方をご提案することがあります。
70代・単身(岡山市中区)
現況調査の連絡が届き、「いつ出ていかなければならないのか」と不安になっていたケースです。流れの表で、代金納付までは所有者として住めることを確認し、通院先に近い1階の物件を、年金の額から無理のない家賃で探します。
よくある質問
Q. 競売開始決定が届きました。すぐに家を出ないといけませんか?
A. すぐに出ていく必要はありません。競売開始決定のあと、現況調査、入札の公告、入札、開札と段階があり、所有者でいる間(落札者が代金を納付するまで)は住み続けられます。ただし、早めに次の住まいの準備を始めることをおすすめします。
Q. 競売になった家には、結局いつまで住めますか?
A. 所有者として住めるのは、落札者が代金を納付するまでです。代金納付は、売却許可決定の確定から約1か月以内の日が指定されるのが通常です。そのあとは、落札者と話し合って決めた退去日まで、まとまらない場合は引渡命令・強制執行の引渡し期限までが目安になります。
Q. 競売開始決定から開札まで、どのくらいかかりますか?
A. 事案や裁判所によって異なりますが、現況調査や評価、公告などの段階があるため、一般に数か月かかります。期間入札の通知書に入札期間と開札の日が書かれていますので、届いたら日付を確認してください。
Q. 執行官が家に来ると聞きました。何をされるのですか?
A. 現況調査として、家の中の状態の確認や写真撮影、住んでいる人への質問などが行われます。不在の場合でも、必要があれば鍵を開けて立ち入ることが法律で認められています。調査があっても、その時点で退去を求められるわけではありません。
Q. 任意売却は、いつまでできますか?
A. 開札のあと(買受けの申出があったあと)に競売を取り下げるには、落札者などの同意が必要とされています。そのため、任意売却を考える場合は、できるだけ早い段階で債権者や専門家に相談してください。任意売却は債権者の同意が必要で、必ず成立するとは限りません。
Q. 代金納付のあとも住み続けたら、どうなりますか?
A. 住み続ける権利がない状態になるため、落札者から使用料を請求されることがあります。話し合いに応じないままにすると、引渡命令や強制執行に進み、その費用を請求されることもあります。
Q. 賃貸で住んでいる人も、同じ流れですか?
A. 違います。競売の手続きが始まる前から賃貸で住んでいる入居者は、条件を満たせば代金納付から6か月間は明け渡さなくてよいとされています(民法395条)。この猶予は、家の所有者には適用されません。
Q. 競売になることを、近所に知られますか?
A. 競売の物件の情報は、裁判所の公告やインターネットの競売物件情報サイトで公開されます。現況調査で執行官が訪れるため、近所の方に気づかれる可能性もあります。ご家族には、早い段階で共有しておくことをおすすめします。
Q. 次の賃貸は、いつから探せばいいですか?
A. 競売開始決定が届いた時点から始めるのがおすすめです。家賃の上限と保証会社のタイプを先に決めておき、期間入札の通知が届いたら、開札日から逆算して申込みの時期を決めましょう。
Q. ミニクルホームには、何を相談できますか?
A. 競売の段階と残りの時間に合わせた次の賃貸探し、信用情報に不安がある場合の保証会社の確認、入居日の調整などをご相談いただけます。任意売却のご相談も、不動産会社としてできる範囲で承ります。競売の手続きへの対応や残った借入についての法律上の判断は、弁護士や法テラスと役割を分けて進めます。
まとめ|段階を知れば、残りの時間が見えてきます
- 競売開始決定が届いても、すぐに出ていく必要はありません。所有者でいる間(代金納付まで)は住み続けられます。
- 代金納付のあとは、落札者との話し合い、引渡命令、強制執行と進むことがあります。元の所有者に6か月の猶予はありません。
- 開札のあとに競売を取り下げるには落札者などの同意が必要です。任意売却を考えるなら、早めに相談しましょう。
- 次の住まいの準備は、競売開始決定の段階から始めるのがおすすめです。
家が競売にかかったことを、責めるつもりはありません。審査に不安がある場合も、最初から事情を隠さずにご相談ください。住宅ローンの滞納や競売のことも含めて、いまの段階と残りの時間を整理しながら、次の住まいを一緒に考えます。
気持ちがしんどいときの相談先
住み慣れた家を失うかもしれないという不安は、心にとても大きな負担です。眠れない、気持ちが落ち込む日が続くときは、ひとりで抱え込まずに相談してください。
- 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時。祝日・年末年始を除く)
競売への対応や借入の悩みについて、相談できる窓口や制度を案内してくれます。 - 岡山市寄り添いサポートセンター:0800-200-8730(平日8時30分〜17時)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
岡山県内からは、平日9時30分〜12時・13時〜16時、平日夜18時30分〜22時30分(22時まで受付)に相談できます。
※受付時間は変更されることがあります。最新の情報は、各窓口の公式サイトでご確認ください。
参考にした公的な情報
- 東京地方裁判所 民事第21部「買受け後の手続(不動産)」 ※代金納付期限・引渡命令の申立て期間
- 民事執行法(e-Gov法令検索) ※第57条(現況調査)、第76条(買受けの申出後の競売の申立ての取下げ)、第83条(引渡命令)、第168条の2(明渡しの催告)
- 民法(e-Gov法令検索) ※第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
- 法テラス(日本司法支援センター)
※当社は不動産会社です。競売の手続きへの対応、任意売却の可否、落札者との話し合い、残った借入に関する法律上の判断や、交渉の代理はお受けできません。手続きについては、弁護士・司法書士、または法テラスにご相談ください。
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