「親から引き継いだアパートが築40年を超えた。このまま貸し続けていいのだろうか」
「空室が増えてきたし、修繕の見積もりも高い。いっそ建て替えたほうがいいのか」
「入居者さんがいるのに、建て替えなんてできるのだろうか」
築年数の古いアパートを持つオーナーの方にとって、「建て替えるか、貸し続けるか」は大きな決断です。金額が大きいうえに、入居者の方の暮らしにも関わるため、簡単には決められません。
この判断に、どの物件にも当てはまる正解はありません。けれど、判断に必要な材料をそろえ、順番に確かめていくことで、自分の物件にとって納得のいく答えに近づけます。
この記事では、岡山市で築古アパートを持つオーナーの方に向けて、建て替え・貸し続ける・売却の3つの選択肢と、判断のための7つの材料、収支の考え方、進め方をまとめました。
この記事でわかること
- 築古アパートの3つの選択肢の特徴
- 判断のための7つの材料
- 修繕と建て替えの収支の比べ方
- 入居者がいる場合の注意点
- 決めきれないときの段階的な進め方
築古アパートの3つの選択肢
| 項目 | 貸し続ける(修繕・リノベーション) | 建て替える | 売る |
|---|---|---|---|
| 費用 | 修繕の内容による(段階的に行える) | 解体費・建築費など大きな費用 | 仲介手数料など |
| 家賃収入 | 続く(家賃は築年数に応じた水準) | 工事中は途切れる。完成後は新築の家賃が見込める | なくなる(売却代金が入る) |
| 入居者への影響 | 少ない | 退去してもらう必要がある | 入居者がいるまま売ることもできる |
| 主なリスク | 修繕が続く、空室が増える、耐震性の問題 | 借入の返済、完成後の空室、立ち退きの交渉 | 希望の価格で売れない |
| 向いている状況 | 建物の骨組みがしっかりしている、需要がある | 立地の需要が高い、長く賃貸経営を続けたい | 賃貸経営を続ける予定がない、手間を減らしたい |
築古のアパートを再生する具体的な方法については築古物件の再生の記事で解説しています。この記事では、どの道を選ぶかの判断材料に絞ってお伝えします。
判断のための7つの材料
① 建物の状態(耐震性と劣化)
まず確認したいのは、建物がいつ建てられたかです。1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物は、現在より古い耐震基準で建てられています。耐震性に不安がある場合、貸し続けるには耐震補強の検討が必要になることがあります。
あわせて、屋根・外壁・給排水管・基礎などの劣化の状況を、専門家に診断してもらいましょう。「あと何年、どのくらいの修繕で使えるか」が、判断の大きな材料になります。
② 収支(入居率・家賃・修繕費)
ここ数年の入居率、家賃、修繕にかかった費用を並べてみます。空室が増えている、家賃を下げ続けている、修繕費が毎年増えている、といった傾向があれば、今後の見通しを考える材料になります。
③ 立地の需要
建て替えて新しくすれば、家賃を上げられる立地かどうかも大切です。新築の家賃を払ってでも住みたい人がいる場所か、周辺の新しい物件の家賃や入居状況を確認しましょう。
④ 入居者の状況
建て替える場合は、今の入居者の方に退去してもらう必要があります。入居者の数、入居期間、年齢などによって、退去の話し合いにかかる時間や費用は大きく変わります(詳しくは後の章で)。
⑤ 資金(自己資金と借入)
建て替えには大きな費用がかかります。自己資金と借入の見通し、既存のローンの残りなどを確認しましょう。借入をする場合は、返済期間中の空室や金利の変化にも備える必要があります。
⑥ 税金と相続
建て替えや売却は、所得税・固定資産税・相続税などに影響します。たとえば、建物を取り壊すと土地の固定資産税の扱いが変わる場合があり、相続対策として建て替えを考える場合もあります。税理士に相談して、それぞれの選択肢での税金の違いを確認しましょう。
⑦ オーナー自身の今後
オーナーの年齢や、これからどのくらい賃貸経営に関わりたいか、後を継ぐ家族がいるかどうかも、大切な判断材料です。建て替えは数十年先まで続く決断になるため、家族とも話し合っておきましょう。
収支の比べ方
修繕して貸し続ける場合と、建て替える場合を、かけた費用に対して、どれだけ家賃収入が増えるかという考え方で比べてみます。
例:6戸のアパート。今の家賃は1戸40,000円、入居は4戸(年間の家賃収入 192万円)
A:修繕して貸し続ける
- 修繕費:600万円(外壁・水まわりなど)
- 修繕後、6戸すべてが埋まった場合の年間家賃収入:40,000円×6戸×12か月=288万円
- 増える収入:年96万円 → 修繕費の回収まで約6年3か月
B:建て替える
- 総費用:解体費+建築費+立ち退きにかかる費用+工事中の家賃収入の減少(すべて見積もりが必要)
- 完成後の年間家賃収入:新築の家賃×戸数×12か月×見込みの入居率
- 比べる指標:完成後の年間家賃収入 ÷ 総費用(投資に対する利回りの目安)
※説明のための試算です。実際の修繕費・建築費・家賃は、建物の規模や構造、立地によって大きく異なります。税金・借入の返済・管理費などは含めていません。必ず見積もりと専門家の意見をもとに判断してください。
建て替えの場合は、建築費だけでなく、立ち退きにかかる費用や、工事中に家賃が入らない期間も総費用に含めて考えることが大切です。
入居者がいる場合の注意点
建て替えのために入居者に退去してもらう場合、大家さんから一方的に契約を終わらせることはできません。普通借家契約では、大家さんから契約の更新を拒んだり解約を申し入れたりするには、正当な事由が必要とされています。
実務では、入居者の方と話し合い、引っ越し先の紹介や、引っ越しにかかる費用の負担(立退料)などを含めて合意を目指すことが一般的です。高齢の方など、引っ越し先を見つけにくい入居者の方がいる場合は、とくに時間と配慮が必要です。
立ち退きは法律の判断が関わるため、早めに弁護士などの専門家に相談してください。
将来の建て替えに備える方法
数年後に建て替えを考えている場合は、空いた部屋から、期間を決めた「定期借家契約」で募集する方法もあります。定期借家契約は契約期間が決まっていて、原則として更新がないため、建て替えの時期に合わせやすくなります。ただし、契約の方法に決まりがあり、家賃が相場より低くなることもあるため、管理会社と相談して検討しましょう。
決めきれないときの段階的な進め方
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 現状を知る | 建物の診断、ここ数年の収支の整理、周辺の家賃相場の確認 |
| ② 選択肢ごとに試算 | 修繕の見積もり、建て替えの概算、売却価格の目安をそろえる |
| ③ 専門家に確認 | 税金は税理士、立ち退きは弁護士、借入は金融機関 |
| ④ 方針と時期を決める | 「〇年後に建て替え、それまでは最低限の修繕で貸し続ける」など、時期を含めた方針に |
築古でも需要がある入居者の層
築年数が古くても、家賃を抑えたい方や、住まい探しに困っている方(高齢の方、生活保護を受けている方など)にとっては、大切な住まいの選択肢になります。貸し続ける場合は、こうした方の受け入れも含めて、入居者の層を広げることを検討してみてください。詳しくは高齢者・生活保護受給者の受け入れの記事や空室が埋まらないときの記事をご覧ください。
よくある質問
Q. 築何年くらいで建て替えを考えるべきですか?
築年数だけで決まるものではありません。建物の状態、耐震性、修繕費の見通し、立地の需要、資金などを総合して判断します。とくに1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物は、耐震性の確認をおすすめします。
Q. 入居者がいても建て替えはできますか?
入居者の方に退去してもらう必要があり、大家さんから契約を終わらせるには正当な事由が必要とされています。話し合いや立退料などを含めて時間がかかることが多いため、早めに弁護士などの専門家に相談してください。
Q. 建て替えずに売ることもできますか?
入居者がいる状態で、賃貸物件として売ることもできます。建物を取り壊して土地として売る方法もあります。それぞれの売却価格の目安を比べて検討しましょう。
Q. 修繕とリノベーション、どちらがいいですか?
最低限の修繕で貸し続けるか、内装や設備を大きく変えて家賃を上げるかは、立地の需要と、かけた費用を何年で回収できるかで判断します。見積もりと家賃の見込みを並べて比べてみてください。
Q. 何から相談すればいいですか?
まずは、ここ数年の収支と建物の状態を整理するところから始めましょう。賃貸管理やリフォーム、売却を扱う不動産会社に相談すると、選択肢ごとの目安をまとめて確認できます。
まとめ|材料をそろえてから、時期を含めて決める
- 選択肢は貸し続ける(修繕・リノベーション)・建て替える・売るの3つ
- 判断材料は建物の状態・収支・立地の需要・入居者・資金・税金と相続・オーナー自身の今後の7つ
- 収支はかけた費用に対して、どれだけ家賃収入が増えるかで比べる。建て替えは立ち退き費用や工事中の減収も含める
- 建て替えで退去をお願いする場合は正当な事由が必要。早めに専門家へ
- 決めきれないときは、時期を含めた方針を立て、段階的に進める
最後に
長く大切にしてきたアパートだからこそ、決断には迷いがつきものです。建物と、そこに暮らす入居者の方、そしてオーナーご自身とご家族のこれからを考えながら、納得のいく道を一緒に探していきましょう。
築古アパートの今後、一緒に整理しませんか
ミニクルホームでは、岡山市とその周辺で、築古アパートの賃貸管理・空室対策・リフォーム・売却のご相談をお受けしています。現在の収支や建物の状態をお聞きしたうえで、修繕して貸し続ける場合、売却する場合などの目安を並べてお伝えし、判断の材料づくりをお手伝いします。
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※記事中の試算は説明のための例であり、実際の収支や売却価格を示すものではありません。立ち退きなど法的な判断は弁護士に、税金は税理士に、借入は金融機関にご相談ください。当社が特定の収益や売却価格をお約束することはできません。
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| 会社名 | 株式会社ミニクルホーム |
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