空き家を売らずに放置した場合の10年後|岡山でシミュレーション
「今すぐ売る必要もないので、実家はしばらくそのままにしておこう」
岡山に空き家を所有していると、このような結論になることがあります。
1年間だけなら、それほど大きな問題は起こらないかもしれません。
しかし、その1年が2年、3年となり、気が付けば10年経っていたらどうでしょうか。
空き家で怖いのは、ある日突然すべてが悪くなることではありません。
税金、草木、湿気、小さな建物劣化、家族の高齢化などが少しずつ積み重なっていくことです。
今回は、岡山市周辺にある一般的な戸建て空き家をイメージし、
- 1年後
- 3年後
- 5年後
- 10年後
でどのような変化が考えられるのかをシミュレーションします。
※この記事の金額は仕組みを分かりやすくするためのモデルケースです。実際の固定資産税、保険、管理費、修繕費、売却価格等は物件によって大きく異なります。
今回シミュレーションする岡山の空き家
まず、次のような実家を想定します。
- 所在地:岡山市内
- 建物:木造戸建て
- 築年数:約35年
- 誰も居住していない
- 家財が室内に残っている
- 庭・駐車場あり
- 将来利用する人は決まっていない
- 売却査定は受けていない
そして、年間の基本的な保有・管理負担を説明用として約20万円と仮定します。
年間20万円なら、単純計算では、
20万円 × 10年間 = 200万円
です。
ただし、実際の10年間は毎年同じ金額だけが出ていくわけではありません。
途中で建物や庭に問題が起きれば、追加費用が必要になる可能性があります。
1年後|まだ「特に問題ない」と感じやすい時期
累計基本負担:約20万円
空き家になって1年程度では、外から見る限り大きな変化がないこともあります。
そのため所有者も、
「まだきれいだから大丈夫」
「来年考えればいい」
と思いやすい時期です。
しかし、人が住まなくなることで、少しずつ状況は変わります。
- 室内を換気する回数が減る
- 水を使わなくなる
- 庭の雑草が伸び始める
- 郵便物がたまる
- 小さな雨漏りや設備異常に気づきにくくなる
1年目で重要なのは「問題が起きたか」ではない
この段階で重要なのは、
誰が管理するのか。
何年残すのか。
次にいつ方向を決めるのか。
を決めることです。
まだ状態が良い時期だからこそ、売却・賃貸・管理継続の選択肢を比較しやすい時期でもあります。
3年後|「管理している家」と「放置した家」の差が出始める
累計基本負担:約60万円
年間20万円 × 3年 = 約60万円
3年間、人が住んでいない状態が続くと、定期的に管理している家と、ほとんど確認していない家との差が出やすくなります。
例えば、
- 庭木が大きくなる
- 雑草が敷地全体へ広がる
- 雨どいが詰まる
- 湿気やカビが目立つ
- 害虫が入り込む
- 家財の劣化が進む
といった変化が考えられます。
仮に庭木・小修繕で20万円掛かったら?
説明用として3年間の途中で、
- 庭木剪定
- 草刈り
- 雨どい補修
などに合計20万円掛かったとします。
基本負担:60万円
追加対応:20万円
3年間累計:約80万円
1回の出費は小さく見えても、累積するとまとまった金額になります。
5年後|「使える空き家」から「直さないと使えない空き家」へ変わることも
基本負担だけで約100万円
20万円 × 5年 = 約100万円
空き家になって5年。
ここまで一度も本格的に利用せず、最低限の管理しかしていない場合は、建物設備の状態を改めて確認したい時期です。
例えば、
- 給湯器が古くなっている
- エアコン等が使用できなくなっている
- 水回りから臭いがする
- クロスにカビや変色がある
- 外壁や屋根に傷みが出ている
- 庭木の伐採が必要になっている
といったことがあります。
ここで重要なのは「今後の選択肢」
空き家になった直後なら、比較的小さな修繕で賃貸や中古住宅として利用できた建物でも、劣化が進めば、
「使う前にまとまった修繕が必要」
という状態になる可能性があります。
つまり時間の経過によって、単に維持費が増えるだけでなく、
- そのまま貸す
- 少し直して売る
- 自分で住む
といった選択肢のハードルが高くなる可能性があります。
5年経過時点のモデル計算
ここまでを一度数字にします。
| 項目 | モデル金額 |
|---|---|
| 5年間の基本維持・管理 | 約100万円 |
| 庭木・小修繕 | 約20万円 |
| 設備・建物修繕 | 約40万円 |
| 累計 | 約160万円 |
これはあくまでモデルですが、
「年間20万円しか掛かっていない」
という見方と、
「5年間で160万円使った」
という見方では印象が大きく変わります。
7~8年後|所有者側の事情も変わってくる
空き家の問題は、建物だけではありません。
10年という時間の中では、所有者や家族の状況も変わります。
例えば、
- 管理していた兄弟が高齢になる
- 岡山まで車で行くことが難しくなる
- 仕事や介護で現地確認できなくなる
- 家族の誰も実家を使わないことが明確になる
- 次の相続が発生する
可能性があります。
相続関係によっては、時間の経過とともに権利関係者が増え、売却や活用について話し合う相手が増える場合もあります。
10年後に問題になるのは、「築年数が10年増えたこと」だけではありません。
管理する人も10年年齢を重ねています。
10年後|「なぜもっと早く考えなかったのか」となりやすい
基本負担だけで約200万円
20万円 × 10年 = 約200万円
10年間空き家として使わず、十分な管理や活用をしない状態が続いたとします。
建物は当初築35年だったため、10年後には築45年程度になります。
もちろん、築45年だから売れないという意味ではありません。
しかし、10年間十分な管理をしていなければ、購入希望者から見た印象や、売却前に必要になる対応が変わる可能性があります。
例えば、
- 大量の家財処分
- 庭木の大規模な剪定・伐採
- 雨漏りの補修
- 外壁・屋根の傷み
- 設備の全面的な交換
- シロアリ等の確認
- 建物を残すか解体するかの検討
などです。
10年間のモデルケース|最終的にいくら掛かった?
説明用として次のように仮定します。
| 10年間に発生したもの | モデル金額 |
|---|---|
| 税金・保険・基本的管理等 | 約200万円 |
| 草刈り・庭木・小修繕 | 約30万円 |
| 途中の建物修繕 | 約50万円 |
| 10年後の片付け・補修等 | 約70万円 |
| モデル累計負担 | 約350万円 |
※350万円は岡山の空き家が必ず10年間で掛かる金額ではありません。説明用モデルです。建物状態や税額、庭の有無、管理方法等により大きく増減します。
ポイントは金額そのものではありません。
年間では小さく見える費用が、10年間積み重なることで大きくなるということです。
10年間の変化を一覧にすると
| 経過年数 | 起こりやすい変化 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| 1年 | 目立った変化が少なく、先送りしやすい | 管理担当・再検討日を決める |
| 3年 | 庭・湿気・小修繕など管理差が出る | 建物状態を再点検する |
| 5年 | 設備・外装など修繕候補が増える | 売却・賃貸・利用を再比較 |
| 7~8年 | 所有者側の年齢・家族事情も変わる | 管理を誰が続けるか確認 |
| 10年 | 累積費用・劣化・家財・権利関係が重なりやすい | 「なぜ残すか」を改めて確認 |
10年間で一番大きいのは「200万円」ではなく時間かもしれない
年間20万円なら10年間で200万円。
この数字は分かりやすいものです。
しかし、空き家を10年間そのままにすることで失われる可能性があるのは、お金だけではありません。
- 建物が比較的きれいだった時間
- 少ない修繕で貸せた可能性
- 家族全員が元気で話し合えた時間
- 自分で管理できた時間
- 売却条件を選びやすかった時間
があります。
10年後に売却価格が必ず下がるわけではない
ここは誤解しないよう注意してください。
空き家を10年間所有すれば、必ず土地価格や売却価格が下落するという意味ではありません。
不動産価格は、
- 地域の需要
- 道路条件
- 土地の形状
- 周辺開発
- 市場環境
などにも左右されます。
土地価格が上昇するケースも考えられます。
ただし、売却価格が上がったとしても、
その間に支払った維持費・修繕費を含めて判断する必要があります。
「10年前より100万円高く売れた」場合でも、10年間で250万円支払っていれば、値上がりだけを見て「待って得だった」とは判断できません。
管理不全の状態を長く続けるリスクにも注意
空き家を所有しているだけで、直ちに行政上の問題になるわけではありません。
しかし、適切な管理が行われず、そのまま放置すれば周囲へ悪影響を与えるおそれがある状態になると、「管理不全空家等」や「特定空家等」として自治体による指導等の対象になる場合があります。
さらに、必要な指導を受けても改善されず、法律に基づく勧告を受けた場合には、対象となる敷地が固定資産税等の住宅用地特例から外れる場合があります。
つまり、
「誰も住んでいないけれど所有している」
ことと、
「適切な管理をせず問題がある状態で放置している」
ことは分けて考える必要があります。
「10年間残す」のと「10年間放置する」のはまったく違う
| 計画的に10年保有 | 10年間放置 |
|---|---|
| 定期的に建物確認 | 数年間室内を見ない |
| 必要な修繕を実施 | 雨漏り等を先送り |
| 庭木・雑草を管理 | 伸びてから対応 |
| 年間費用を把握 | 総額を計算していない |
| 家族で方針共有 | 誰も話し合わない |
| 定期的に査定・活用を再検討 | 「そのうち考える」を繰り返す |
空き家を10年間所有すること自体が悪いわけではありません。
将来利用する予定などがあり、適切に管理するのであれば、それは計画的な保有です。
問題なのは、
理由も期限も決めないまま10年間経過することです。
今すぐ売らなくても「10年後シミュレーション」はしておく
売却する決心がついていなくても、次の数字は出しておくことをおすすめします。
① 現在の査定価格
________万円
② 年間維持費
________万円
③ 10年間の基本維持費
② × 10年 = ________万円
④ 今後予想される修繕
________万円
⑤ 10年間本当に利用予定があるか
YES / NO
例えば、年間20万円なら基本負担だけで200万円です。
そこへ100万円程度の修繕を想定すれば、
10年間:約300万円
という一つの目安ができます。
その数字を見て、
「300万円掛かっても実家を残したい」
と思うのであれば、保有するという判断もできます。
反対に、
「誰も使わない家に300万円掛ける理由がない」
と感じるのであれば、売却や活用を具体的に調べるきっかけになります。
こんな空き家は10年待たず一度確認を
- □ すでに3年以上空き家
- □ 誰も将来住む予定がない
- □ 現在の査定価格を知らない
- □ 年間維持費を計算していない
- □ 雨漏りや外壁の傷みがある
- □ 庭木が隣地へ伸びている
- □ 数年間家財を整理していない
- □ 遠方から管理に通っている
- □ 管理している家族が高齢になっている
- □ 「来年考える」を何年も繰り返している
複数該当するからといって、今すぐ売る必要があるという意味ではありません。
まずは、
- 現在の建物状態
- 年間負担
- 現在の査定価格
を確認するところから始めれば十分です。
よくある質問
Q.空き家を10年残すと必ず数百万円掛かりますか?
いいえ。固定資産税等、建物、庭の広さ、管理方法、修繕の有無などで大きく異なります。この記事の金額はあくまで計算例です。まず実際の年間支出を確認してください。
Q.誰も住んでいなくても建物はそんなに傷みますか?
建物ごとに異なります。ただし、居住中より異常に気づきにくくなる点には注意が必要です。雨漏りや漏水などを早期発見できるよう、定期的に室内まで確認することが重要です。
Q.10年後に土地価格が上がるなら残したほうが得ですか?
土地価格だけでは判断できません。10年間の維持費、修繕費、建物状態、管理に掛かった時間なども含めて比較する必要があります。
Q.今は売りたくありません。
今すぐ売る必要はありません。ただし、「何年残すか」「誰が管理するか」「いつもう一度考えるか」を決めておくと、無期限の放置を防ぎやすくなります。
Q.家財が全部残っています。査定できますか?
家財が残った状態でも査定相談できる場合があります。先にすべて処分するのではなく、現状のまま相談し、どこまで整理する必要があるのか確認してから進める方法があります。
Q.管理不全空家になるとすぐ固定資産税が高くなるのでしょうか?
単に空き家であることや、管理不全空家等と判断されたことだけで直ちに住宅用地特例がなくなるという意味ではありません。自治体による指導後も改善されず、法律に基づく勧告を受けた場合などに、対象敷地が住宅用地特例から除外される仕組みがあります。個別の扱いは岡山市等へ確認してください。
まとめ|10年後ではなく「今の状態」を一度数字にする
空き家を売らずに10年間所有すると、必ず問題が起きるというわけではありません。
しかし、何も決めずに時間が経過すれば、
- 維持費が積み上がる
- 修繕箇所が増える可能性がある
- 家財の整理がさらに先送りになる
- 管理する家族も年齢を重ねる
- 将来の活用方法が変わる可能性がある
という変化が考えられます。
特に注意したいのは、
「今年は特に困っていない」ことと、「10年間このままで大丈夫」なことは同じではない
という点です。
今すぐ売却を決める必要はありません。
まず、
- 現在の建物状態を確認する
- 年間維持費を計算する
- 現在の査定価格を知る
- 10年間残した場合を計算する
- 家族で再検討する時期を決める
ところから始めてみてください。
10年後になってから「あのとき確認しておけばよかった」とならないために、今の状態を一度数字にすることが空き家対策の第一歩です。
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