岡山の空き家、売却と維持のどちらが得か数字で比べる
「岡山の実家が空き家になったけれど、今売るのはもったいない気がする」
「固定資産税くらいなら払えるので、あと5年持っておいたほうが得では?」
「今売るのと、そのまま残してから売るのでは結局どちらがお金が残る?」
空き家について、このような疑問を持つ方は少なくありません。
売却価格だけを見ると、
「将来もっと高くなるかもしれないから、とりあえず持っておこう」
と考えたくなります。
しかし空き家は、持っている期間にもお金が掛かります。
そのため比較するときは、
- 現在売った場合の手取り
- 保有期間中の維持費
- 今後発生する修繕費
- 数年後に売った場合の手取り
を同じ計算式へ入れる必要があります。
今回は岡山の空き家について、「今売る」と「3年・5年維持してから売る」のどちらがお金が残るのかを、モデルケースを使って比較します。
※以下の金額は計算方法を説明するための仮定です。実際の査定価格、維持費、修繕費、売却諸費用、税金等は物件・所有者ごとに異なります。
結論|比べるのは「売却価格」ではなく最終的に残る金額
空き家の売却と維持を比較するとき、よくあるのが、
現在の査定額:1,000万円
5年後の予想価格:1,100万円
だから、
「5年待てば100万円得」
という考え方です。
しかし、この計算では保有期間中の費用が抜けています。
5年間で、
- 維持費100万円
- 修繕費80万円
が掛かるのであれば、将来100万円値上がりしても、単純計算ではそれだけで得になるとは言えません。
まず4つの数字を出す
売却と維持を比較するために、最低限確認したいのは次の4つです。
| 項目 | 確認する数字 |
|---|---|
| ① 今売った場合 | 売却後に残る想定手取り額 |
| ② 年間維持費 | 税金・保険・管理・草刈りなど |
| ③ 将来の修繕費 | 屋根・外壁・庭木・設備など |
| ④ 将来売った場合 | 数年後の想定手取り額 |
この4つが分かれば、かなり具体的な比較ができます。
重要|査定額ではなく「想定手取り」を使う
例えば、不動産会社の査定額が1,000万円だったとしても、1,000万円がそのまま手元に残るとは限りません。
売却時には状況に応じて、
- 仲介手数料
- 登記関係費用
- 測量等が必要な場合の費用
- 家財処分等が必要な場合の費用
- 税金
などを考える必要があります。
そのため比較するときは、
売却価格
- 売却に必要な費用
- 税金等の見込み
= 想定手取り額
として考えます。
税金については取得費や所有期間、利用できる特例などによって大きく異なるため、必要に応じて税務署や税理士等へ確認してください。
計算式|今売る場合
まず「今売る」を計算します。
説明用のモデルとして、
- 現在の売却価格:1,000万円
- 売却に伴う費用等:50万円
とします。
すると、
1,000万円 − 50万円 = 950万円
この950万円を基準にします。
※実際の売却費用・税金を50万円とする意味ではありません。計算方法を分かりやすくするための仮定です。
計算式|5年間維持してから売る場合
次に、同じ空き家を5年間そのまま維持してから売る場合です。
例えば、
- 5年後の想定売却手取り:900万円
- 年間維持費:20万円
- 5年間の修繕費:80万円
とします。
5年間の維持費
20万円 × 5年 = 100万円
5年間で掛かる総保有費
100万円 + 80万円 = 180万円
5年後に実質残る金額
900万円 − 180万円 = 720万円
比較すると「今売る」が230万円多く残る
| 選択 | 計算 | 最終的な金額 |
|---|---|---|
| 今売る | 現在の想定手取り | 950万円 |
| 5年維持して売る | 900万円-維持・修繕180万円 | 720万円 |
| 差額 | 230万円 | |
この条件であれば、金額だけを比較すると「今売る」ほうが230万円多く残る計算です。
ただし、これは5年後の売却手取りを900万円と仮定した場合です。
では、5年後にいくらで売れれば「維持したほうが得」になるのでしょうか。
ここが重要|5年後にいくらなら維持と売却が同額になる?
これを損益分岐点として計算します。
今回のモデルでは、現在売れば950万円が残ります。
一方、5年間維持するには180万円掛かります。
したがって、5年後の売却手取りが、
950万円 + 180万円 = 1,130万円
になれば、単純計算上は「今売る」とほぼ同じになります。
つまり、このモデルで5年間保有するのであれば、
が一つの目安になります。
現在950万円の手取りが見込める物件を、単に「値上がりしそう」という理由だけで5年間持つのではなく、
「維持費・修繕費まで回収するには、いくらまで上がる必要があるのか」
を逆算するわけです。
将来価格別|5年後の結果を並べてみる
同じモデルで、将来の売却手取りだけを変えてみます。
5年間の維持費+修繕費は180万円とします。
| 5年後の売却手取り | 維持費等を差し引いた残額 | 今売る950万円との差 |
|---|---|---|
| 800万円 | 620万円 | -330万円 |
| 900万円 | 720万円 | -230万円 |
| 1,000万円 | 820万円 | -130万円 |
| 1,100万円 | 920万円 | -30万円 |
| 1,130万円 | 950万円 | ±0万円 |
| 1,200万円 | 1,020万円 | +70万円 |
こうして並べると、単純に
「5年後に100万円上がれば得」
とは言えないことが分かります。
5年間保有するために180万円掛かるのであれば、その180万円まで含めて将来価格が上昇しなければ、金銭面では今売る場合を上回りません。
3年間だけ維持するケースも計算してみる
長期ではなく、
「あと3年だけ残したい」
というケースも考えてみます。
モデルB
- 現在売った場合の手取り:700万円
- 年間維持費:8万円
- 3年間の大きな修繕:なし
- 3年後の売却手取り:740万円
3年間の維持費
8万円 × 3年 = 24万円
3年後の実質残額
740万円 − 24万円 = 716万円
現在売ると700万円。
3年間維持すると716万円。
この条件では、
716万円 − 700万円 = +16万円
となり、維持したほうがわずかに多く残ります。
つまり、
空き家はすべて「早く売ったほうが得」というわけではありません。
維持費が低く、建物状態がよく、将来価格も維持・上昇するのであれば、残すほうが数字上有利になるケースもあります。
売却と維持、どちらが得かを左右する5つの数字
1.現在の売却手取り
比較のスタート地点です。
査定額だけではなく、「今売ったら実際いくら程度残りそうか」を把握します。
2.年間維持費
例えば、
- 固定資産税等
- 保険
- 水道・電気
- 草刈り
- 庭木管理
- 空き家管理
- 岡山まで確認に行く交通費
などです。
年間15万円でも5年なら75万円、10年なら150万円になります。
3.修繕費
ここは年間維持費とは分けて考えるのがおすすめです。
例えば、
- 屋根
- 雨漏り
- 外壁
- 雨どい
- 給排水
- 庭木
など、数年に一度まとまった費用が発生する可能性があります。
4.将来の売却価格
ここが最も予測しにくい数字です。
将来価格を一つに決めてしまうのではなく、
- 価格が下がった場合
- 現在とほぼ同じ場合
- 価格が上がった場合
の3パターン程度で計算してみると判断しやすくなります。
5.何年間保有するのか
「とりあえず残す」では計算できません。
3年、5年、10年など、まず比較する期間を決めます。
期間が長くなるほど維持費は累積します。
自分の空き家を計算するための簡易シート
紙やスマートフォンのメモに、次の数字を書いてみてください。
① 今売った場合の手取り
________万円
② 年間維持費
________万円
③ あと何年維持するか
________年
④ その期間に予想する修繕費
________万円
⑤ 将来の売却手取り予想
________万円
維持後に残る金額
⑤ 将来の売却手取り
-(②年間維持費 × ③年数)
- ④修繕費
そして①の「今売った場合」と比較します。
損益分岐点も簡単に計算できる
「数年後にいくらで売れれば、今売るより得になるのか」を計算する場合は、次の式です。
例えば、
- 現在手取り:800万円
- 年間維持費:15万円
- 5年間保有:75万円
- 修繕費:50万円
なら、
800万円+75万円+50万円=925万円
です。
つまり単純な金額比較では、5年後の売却手取りが925万円を超えて初めて、「今売るより維持」の数字が上回ります。
「将来価格が上がるか」だけで決めない
空き家を持ち続けるとき、
「岡山の土地価格が上がるか」
だけを考えてしまうことがあります。
しかし空き家は土地だけではありません。
土地価格が上がったとしても、建物について、
- 雨漏り
- 外壁劣化
- 床の傷み
- 設備の老朽化
- 庭木の成長
などが進めば、物件全体の売却条件が同じように改善するとは限りません。
だからこそ、将来価格を当てることより、
「いくらまで上がれば維持した意味が出るのか」
を先に計算しておく方法が現実的です。
維持のほうが有利になりやすいケース
例えば次のような空き家です。
- 年間維持費が比較的低い
- 大規模修繕の可能性が低い
- 建物状態が良好
- 定期的に管理できる
- 具体的な利用予定がある
- 土地として長期保有する理由がある
特に3年後など具体的に家族が利用する予定がある場合、単純な売却益だけでなく、将来自分たちが利用できる価値もあります。
そのため「売却手取りだけ」で決める必要はありません。
売却のほうが有利になりやすいケース
反対に、
- 誰も今後利用する予定がない
- 年間維持費が高い
- 県外から管理に通っている
- 修繕箇所が増えている
- 雨漏りなど建物劣化が進んでいる
- 庭木や草刈りの負担が大きい
- 5年以上「とりあえず残す」を続けている
場合は、一度数字を比較してみる価値があります。
特に、毎年20万円掛かっていて10年間保有すると、単純計算だけでも200万円です。
そこに修繕が加われば、将来価格が多少上昇しても、維持費によって相殺される可能性があります。
数字だけでは決められないケースもある
ここも重要です。
空き家は投資商品とは限りません。
特に実家であれば、
- 親との思い出
- 将来戻る可能性
- 親族が使用する可能性
- 先祖から引き継いだ土地
など、お金では表しにくい価値があります。
例えば、数字上は今売ったほうが200万円有利でも、
「3年後に自分が実家へ戻ることが決まっている」
のであれば、維持する理由があります。
今回の計算は、売却を勧めるためのものではありません。
「この家を残すために、今後いくら負担することになるのか」
を知ったうえで、それでも残す価値があるかを考えるための数字です。
比較するときに見落としやすい「時間」
金額以外にも、空き家管理には時間が掛かります。
例えば、県外在住で年4回岡山へ戻り、毎回半日使うなら、年間2日分程度の時間を空き家管理に使っています。
さらに、
- 業者への連絡
- 草刈りの手配
- 郵便物確認
- 近隣対応
- 修繕見積もり
などもあります。
時間を必ず金額換算する必要はありません。
ただし、
「維持費は年間10万円しか掛かっていない」
としても、管理に多くの時間を使っているのであれば、それも保有を続けるか判断する材料になります。
売却と維持を数字で比べる5ステップ
- 現在の査定価格を確認する
まず現在いくら程度で売却できそうなのかを把握します。 - 現在の想定手取りを計算する
売却に必要な費用や税金等を考慮します。 - 年間維持費を集計する
税金、保険、管理、草刈り、交通費などを確認します。 - 3年・5年程度の修繕費を想定する
現在傷んでいる部分や、今後修繕が必要になりそうな部分を確認します。 - 将来価格を3パターン程度で計算する
下落・横ばい・上昇のケースを作り、損益分岐点と比較します。
よくある質問
Q.現在1,000万円で売れるなら、5年後いくらになれば待ったほうが得ですか?
年間維持費や修繕費によって異なります。例えば今売った場合の手取りが950万円、5年間の維持費と修繕費が合計180万円なら、単純計算では5年後の売却手取りが約1,130万円を超えることが一つの損益分岐点になります。
Q.固定資産税だけ計算すればいいですか?
固定資産税等だけでは不十分です。保険、草刈り、庭木管理、空き家管理、交通費、修繕費なども確認します。年間維持費の詳しい内訳は関連記事で解説しています。
Q.将来の売却価格はどう予想すればいいですか?
一つの金額に決め打ちしない方法がおすすめです。例えば「現在より10%下落」「ほぼ横ばい」「10%上昇」など複数のケースを作り、どの水準なら維持したほうが有利になるのか比較します。
Q.売却価格が上がるなら持ったほうがいいですよね?
価格上昇額が維持費・修繕費より大きいか確認する必要があります。5年後に100万円高く売れても、5年間で150万円の維持費が発生すれば、単純計算ではその値上がりだけでは費用を回収できません。
Q.3年後に子どもが住む可能性があります。
具体的な利用予定がある場合は、金額だけで売却を決める必要はありません。「誰が・何年後に・本当に住む予定なのか」を確認し、その利用価値と3年間の維持費を比較しましょう。
Q.まだ売るか決めていなくても手取り計算できますか?
できます。まず現在の査定価格を確認し、想定する売却費用等と年間維持費を整理すれば、売るか残すかを検討するための比較資料を作れます。
まとめ|「いくらで売れるか」より「最後にいくら残るか」で比べる
岡山の空き家について、売却と維持のどちらが得か考える場合、単純な査定価格だけを比べないことが重要です。
今売る場合
現在の売却手取り
維持する場合
将来の売却手取り
- 累積維持費
- 修繕費
この2つを比べます。
さらに、
を計算すれば、
「何万円まで値上がりすれば、持ち続ける意味が出るのか」
も見えてきます。
もちろん、家族が将来使う予定や実家への思いなど、お金だけでは決められないケースもあります。
大切なのは、
「なんとなく今は売らない」
ではなく、
「5年間でこれだけ費用が掛かる。それでも残す価値があるので維持する」
という状態にすることです。
数字を出した結果、維持を選んでも構いません。
まず現在の売却手取りと、3年・5年後までに掛かる費用を一度並べてみてください。
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