岡山市の空き家、持ち続けるコストは年間いくら?内訳を公開
「実家が空き家になったけれど、まだ売る決心がつかない」——岡山市でも本当によくうかがうお話です。思い出のある家ですから、すぐに答えを出せないのは当たり前のことだと思います。
ただ、ひとつだけ知っておいていただきたいことがあります。それは、空き家は「置いておくだけ」でもお金が出ていくということです。しかもその費用は、納税通知書のように1枚にまとまって届くわけではありません。税金、保険、水道、草刈り、修繕——バラバラに、少しずつ出ていくので、合計額を把握している方はほとんどいらっしゃいません。
この記事では、岡山市で空き家を1年間持ち続けたときにかかる費用を、項目ごとに分解して公開します。数字が見えると、「売る・貸す・管理を続ける」のどれを選ぶにしても、判断がぐっと楽になります。まずは現実を知るところからで大丈夫です。
この記事のポイント
- 岡山市内在住・自主管理のモデルで年間およそ16万円
- 県外在住・管理委託のモデルで年間およそ28万円
- 10年放置すれば160万〜280万円規模。解体費や修繕費は別途
- 見落とされがちなのが「浄化槽」「町内会費」「火災保険の割高化」
- お金以上に大きいのが、建物価値の下落という“見えないコスト”
まず全体像|年間コストの2パターン
岡山市でよくある戸建て空き家を想定して、2つのパターンで試算しました。金額はいずれも目安で、物件の場所・広さ・状態によって変わります。
パターンA:岡山市内在住・自分で管理する場合
| 費目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 約43,700円 |
| 火災保険(空き家扱い) | 約30,000円 |
| 水道・電気の基本料金 | 約20,000円 |
| 草刈り・庭木の手入れ(年2回外注) | 約30,000円 |
| 小修繕・突発対応の積立 | 約30,000円 |
| 町内会費 | 約6,000円 |
| 合計 | 約159,700円 |
パターンB:県外在住・管理を委託する場合
| 費目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 約43,700円 |
| 火災保険(空き家扱い) | 約30,000円 |
| 水道・電気の基本料金 | 約20,000円 |
| 空き家管理の委託(月7,000円想定) | 約84,000円 |
| 草刈り・庭木の手入れ | 約30,000円 |
| 小修繕・突発対応の積立 | 約30,000円 |
| 町内会費 | 約6,000円 |
| 現地確認のための交通費(年2回) | 約40,000円 |
| 合計 | 約283,700円 |
10年持ち続ければ、160万円から280万円。ここに解体費用や大きな修繕費は含まれていません。「使っていないのに」という前提で見ると、なかなか重い数字ではないでしょうか。
あくまでモデル試算です。評価額、保険の契約内容、建物の状態、エリアによって金額は大きく変わります。ご自身の物件の実額を出すには、納税通知書と保険証券を手元に置いて計算するのが確実です。
内訳①|固定資産税・都市計画税
いちばん確実に毎年出ていくのがこれです。岡山市の場合、固定資産税は1.4%、都市計画税は0.3%(市街化区域内の土地・家屋が対象)です。
住宅が建っている土地には「住宅用地に対する課税標準の特例」があり、岡山市の公表内容では次のように軽減されています。
| 区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(1戸あたり200㎡以下の部分) | 評価額の6分の1 | 評価額の3分の1 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額の3分の1 | 評価額の3分の2 |
土地評価額800万円・家屋評価額100万円・160㎡というモデルで計算すると、土地が約26,700円、家屋が17,000円で、合計およそ43,700円になります。
この金額が“跳ね上がる”条件があります。
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、市から「特定空家等」として勧告を受けると、その敷地は住宅用地の特例から除外されます。2023年の法改正で加わった「管理不全空家等」も同様です。
つまり、管理が行き届かない状態が続くと、建物が建っていても土地の税金が更地並みに上がるということ。年間コストの前提そのものが変わってしまいます。
※岡山市には空家等総合相談窓口(建築指導課 空家対策推進室/電話 086-803-1410)があります。現在の状態が心配な方は、行政に直接確認することもできます。
内訳②|火災保険は「空き家だと割高になる」
ここは見落としがちで、しかも金額のインパクトが大きい項目です。
火災保険は通常、人が住んでいる建物を「住宅物件」として扱います。ところが誰も住んでいない空き家は、保険会社によっては「一般物件」として扱われることがあります。一般物件になると、住宅物件向けの割安な料率が使えず、保険料が上がる傾向にあります。
さらに現場で起きがちなのが、次のようなケースです。
- 親が住んでいた頃の契約のまま、空き家になったことを保険会社に伝えていない
- 更新のタイミングで「空き家なら継続できません」と言われた
- いざ火災が起きたとき、告知していなかったことで支払いをめぐって揉めた
放火や漏電のリスクは、むしろ空き家のほうが高いと言われます。保険料を惜しんで無保険にするのは、いちばん危ない選択です。空き家になった時点で保険会社に状況を伝え、条件を確認する——これは必ずやっておいてください。
内訳③|水道・電気を止めるべきか、残すべきか
「使っていないなら全部止めればいい」と思われがちですが、実務ではそう単純ではありません。
| 止める | 残す | |
|---|---|---|
| 費用 | 基本料金ゼロ | 年間およそ2万円前後(契約口径・契約種別による) |
| デメリット | 排水トラップの水が蒸発し、下水の臭気や虫が上がってくる。掃除もできない | 基本料金が毎月かかる |
| 向いているケース | すぐ解体・売却する予定がある | 定期的に通水・清掃する、内覧の可能性がある |
売却や賃貸の可能性が少しでもあるなら、水道は残しておくことをおすすめしています。内覧のときに水が出ない家は、それだけで印象が下がりますし、通水できないと配管の状態も確認できません。年2万円を惜しんだ結果、売却価格が数十万円下がることは十分にあり得ます。
内訳④|管理コスト(委託する場合/自分でやる場合)
委託する場合
岡山県内・全国系のサービスで公開されている料金を見ると、おおよそ次のような幅になります。
| プランの型 | 内容の目安 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| ライト型(屋外中心) | 外観確認、写真付き報告、ポスト確認、簡易清掃、雑草・植木の状況確認 | 4,000〜5,500円 |
| スタンダード型(室内込み) | 上記+通風・換気、通水、室内確認、水回り確認 | 7,000〜11,000円 |
年間にすると、およそ48,000円〜132,000円。決して安くはありませんが、遠方にお住まいなら交通費と時間を考えると割高とは言い切れません。
自分で管理する場合
「自分でやればタダ」ではありません。実際にかかるのは次のようなものです。
- ガソリン代・高速代・電車代(県外からなら1往復で1〜2万円)
- 丸1日つぶれる時間
- 草刈り機の購入・燃料・刃の交換
- 持ち帰るゴミの処分費
岡山市内にお住まいで、月1回1時間ほど見に行ける方なら自主管理で十分回ります。県外の方が年2回だけ帰省して対応する形は、正直なところ建物が持ちません。
内訳⑤|見落とされがちな3つの費用
浄化槽の維持費(郊外エリアは要注意)
岡山市でも下水道が入っていないエリアでは、浄化槽を使っている物件があります。浄化槽は使っていなくても法定検査・保守点検・清掃の対象で、年間3万円前後かかることがあります。「誰も住んでいないのに毎年請求が来る」と驚かれる方が多い費目です。
町内会費・自治会費
空き家でも、ゴミステーションの維持や街灯の電気代の負担分として請求が続くことがあります。年間数千円〜1万円程度。金額は小さいですが、払っていないと近隣との関係がこじれやすいのが厄介なところです。管理や売却のときに、ご近所の協力を得られるかどうかは意外と効いてきます。
相続登記をしていない場合の費用とリスク
2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象となり得ます。
費用としては登録免許税と司法書士報酬で数万円〜十数万円。初年度だけの支出ですが、これを放置していると売ることも貸すこともできません。コストというより、動くための前提条件だとお考えください。
いちばん大きいのは「見えないコスト」
ここまで挙げた費用は、通帳から出ていくお金です。ただ、現場で見ていていちばん大きいと感じるのは、実は数字に出てこない部分です。
建物価値の下落
人が住まなくなった家は、換気が止まり湿気がこもります。木造なら数年で床下や柱に影響が出始め、雨漏りを放置すれば構造材まで傷みます。「まだ貸せた家」が「解体しないと売れない家」に変わる——この差は、年間の維持費とは桁が違います。
売却タイミングの機会損失
建物が使える状態なら「古家付き土地」としても「中古戸建て」としても売れます。傷みが進むと選択肢は「更地にして土地として売る」だけになり、そこに解体費用が乗ってきます。判断を先送りにするほど、選べる道が減っていくのが空き家の怖いところです。
心理的な負担
これは費用ではありませんが、無視できません。「そろそろ草刈りに行かないと」「近所から連絡が来ないだろうか」——この重さを何年も抱え続けることの負担は、実際にご相談に来られる方の表情を見ていると、金額以上に大きいと感じます。
コストを減らす4つの方向性
| 方向性 | 向いているケース | コストの変化 |
|---|---|---|
| 管理を続ける | まだ方針が決まらない/将来使う可能性がある | 年16万〜28万円が続く |
| 貸す | 雨漏りがなく、最低限の手直しで住める | 収入でコストを相殺できる可能性 |
| 売る | 使う予定がなく、相続人の合意ができている | コストがゼロになる |
| 解体して土地活用・売却 | 建物の傷みが深刻、更地のほうが売れる立地 | 解体費が必要/土地の税金は上がる |
意外に思われるかもしれませんが、「大がかりなリフォームをせずに貸す」という道は、岡山市周辺でも現実的な選択肢です。築古の戸建てを安く借りたいという需要は確実にありますし、家賃が年20万円入るだけで、維持コストの大半は相殺できます。
また解体については、岡山市に除却費用の補助制度(一定要件のもと、工事費の3分の1・上限60万円など)があります。ただし工事契約の前に事前相談が必要なので、動く前に必ず確認してください。
よくある質問
Q. 空き家を持っているだけで、最低いくらかかりますか? A. 岡山市内で自主管理できる方なら、税金・保険・水道電気で年間10万円前後が下限のイメージです。ここに草刈りや修繕が乗ると15万円前後になります。ただし物件によって幅があるので、納税通知書と保険証券を見ながら実額を出すのが確実です。 Q. 誰も住んでいないのに固定資産税がかかるのは納得できません。 A. 固定資産税は「1月1日時点で所有していること」に対して課税される仕組みで、使っているかどうかは関係がありません。むしろ管理不全と判断されると軽減特例が外れ、税額が上がる可能性があります。 Q. 水道は止めたほうがいいですか? A. すぐ解体・売却する予定があるなら止めても構いません。そうでなければ残しておくことをおすすめします。排水トラップの水が切れると臭気や虫の侵入につながり、内覧時の印象にも影響します。 Q. 火災保険は空き家でも入れますか? A. 保険会社や状態によります。住宅物件ではなく一般物件として扱われ、保険料が上がるケースが一般的です。無保険は避けたいので、空き家になった時点で保険会社に相談してください。 Q. 岡山市外(玉野市・瀬戸内市・倉敷市など)でも相談できますか? A. はい。ミニクルホームでは岡山市周辺エリアの空き家についてもご相談を承っています。補助制度は市町村ごとに内容が異なるため、所在地に合わせてご案内します。
「うちの空き家、実際いくらかかってる?」を一緒に洗い出しませんか
ご相談で最初にやるのは、たいていこの作業です。納税通知書と保険証券を見ながら、年間いくら出ていっているかを一緒に並べてみる。数字が見えると、「じゃあ貸したほうがいいのか」「売るならいくらで動くのか」という次の話が、自然とできるようになります。
ミニクルホームは、JR岡山駅西口から徒歩7分の奉還町にある不動産会社です。賃貸・売買仲介から空き家の管理・活用まで対応しており、「まだ何も決めていない」段階からのご相談を数多くお受けしています。無理に売却をおすすめすることはありませんので、どうぞ気軽にお声がけください。
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※本記事は岡山市および関係機関の公表情報と、当社の実務経験にもとづき一般的な考え方を整理したものです(2026年8月時点)。掲載している金額はすべてモデル試算・目安であり、実際の費用は物件の状況により異なります。税額は土地・家屋が所在する区の市税事務所、補助制度は岡山市建築指導課 空家対策推進室、保険内容は保険会社、登記や税務の取扱いは司法書士・税理士等の専門家へご確認ください。
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