「生活保護を受けながら住んでいるアパートが、競売にかけられた」 「ケースワーカーさんに何をどう伝えればいいのか分からない」 「家賃は役所から払ってもらっているのに、このまま住めるのだろうか」
生活保護を受けながら暮らしている部屋が競売になると、「住まい」と「保護費」の両方が揺らぐような不安を感じる方が多いです。新しい所有者や役所、不動産会社と、誰に何を話せばいいのか分からなくなってしまうこともあります。
まずお伝えしたいのは、最初に相談する相手は、担当のケースワーカーだということです。ケースワーカーは、住まいの変化に合わせて、家賃の支払いや転居の手続きを一緒に考えてくれる存在です。そして、住んでいる部屋が競売になっても、すぐに出ていく必要はありません。明渡しの猶予(6か月)がある場合は、その間に、ケースワーカーと相談しながら転居を進めることができます。
この記事では、岡山市北区・奉還町の不動産会社ミニクルホームが、生活保護を受けている方の部屋が競売になったときの、ケースワーカーへの相談のしかたと転居の流れをまとめました。住み続けられるかどうかや明渡猶予の考え方は、住んでいる賃貸が競売に|すぐ出ないといけない?明渡猶予6か月の考え方【岡山】で解説しています。
この記事でわかること
- ケースワーカーに、最初に伝えたいこと
- 代理納付を利用している場合に、気をつけたいこと
- 立ち退きを理由とする転居で、転居費用の扱いはどうなるか
- 敷金はどうなるのか(保護費から出ている場合)
- 物件探しから契約・入居までの流れ
※この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。生活保護の転居の可否や費用の支給、敷金の扱いは、福祉事務所が判断します。必ず担当のケースワーカーにご確認ください。住み続けられるかどうかなどの法律上の判断は、弁護士・司法書士、法テラスにご確認ください。
結論|まずケースワーカーへ。転居は「了承を得てから契約」
先に、結論を3つにまとめます。
- 競売の通知や新しい所有者からの連絡が届いたら、すぐにケースワーカーに伝えましょう。
届いた書類はそのまま見せると話が早く進みます。代理納付を利用している場合は、家賃の支払い先が変わる可能性もあるため、早めの相談が大切です。 - 立ち退きを求められてやむを得ず転居する場合は、敷金などの転居費用の支給が認められることがあるとされています。
認められるかどうかと金額は、福祉事務所が判断します。 - 物件探しは、住宅扶助の範囲で。契約は、ケースワーカーの了承を得てから。
了承の前に契約すると、費用の支給が受けられない場合があります。
ケースワーカーに、最初に伝えたいこと
連絡するときは、次のことをまとめて伝えると、相談がスムーズです。
| 伝えること | ポイント |
|---|---|
| 競売になったこと | 届いた書類(競売開始決定の通知、新しい所有者からの手紙など)を見せる |
| 新しい所有者が決まったか、代金納付の日はいつか | 明渡猶予の6か月は、代金納付の時から数える |
| 退去を求められている期限 | 書面に書かれた日付 |
| いま住んでいる部屋の契約の内容 | 入居日、家賃、敷金の額(契約書と敷金の預り証) |
| 家賃の支払い方法 | 自分で払っているか、代理納付か |
| 転居先の希望 | 通院先、駅やバス停、家族の事情など |
ケースワーカーへの相談のしかたは、【岡山市】生活保護で引っ越したい時のケースワーカーへの相談方法|許可が出やすい伝え方と実例でも詳しく紹介しています。
代理納付を利用している場合に、気をつけたいこと
住宅扶助を福祉事務所から大家さんへ直接支払う「代理納付」を利用している場合、競売によって支払い先が変わることがあります。
- 代金納付のあとは、建物の所有者が変わります。明渡猶予の間は、家賃に相当する額を新しい所有者に支払うことになります。
- 支払い先が変わったまま放っておくと、前の大家さんに払い続けてしまうなど、行き違いが起きることがあります。明渡猶予の間に、1か月分以上の支払いを求められて相当の期間内に払わないと、猶予が適用されなくなることもあります(民法395条2項)。
- 新しい所有者から支払い先の連絡が届いたら、すぐにケースワーカーに見せて、代理納付の手続きをどうするか相談しましょう。猶予の間の支払いを住宅扶助でどう扱うかも、福祉事務所が判断します。
代理納付のしくみは、代理納付とは?岡山市で家賃が役所から直接払われる仕組みで解説しています。
立ち退きによる転居と、転居費用
生活保護を受けている方が転居するときは、敷金や引っ越しの費用(移送費)などの転居費用が支給されることがあります。国の基準では、支給が認められる場合のひとつとして、家主から相当の理由をもって立ち退きを求められ、やむを得ず転居する場合が示されています。
住んでいる部屋が競売になり、新しい所有者から明渡しを求められた場合も、事情によっては、この考え方にもとづいて転居費用が認められることがあります。ただし、認められるかどうかと金額は、福祉事務所が個別に判断します。
| 費用 | 扱いの目安 |
|---|---|
| 敷金・礼金・仲介手数料・保証料など | 転居が認められた場合に、住宅扶助の基準の範囲で支給されることがある |
| 引っ越し業者の費用(移送費) | 転居が認められた場合に認められやすい。一般に、複数の見積りの中から安い方を選ぶよう求められる |
| 不用品の処分費 | 原則として自己負担 |
| 家具・家電がない場合 | 事情によって、家具什器費を相談できることがある |
※実際の扱いは福祉事務所の判断によります。費用の範囲は生活保護で引っ越すときに出る費用・出ない費用の一覧|岡山市版チェックリスト、引っ越しが認められやすいケースは【岡山市】生活保護で引っ越し理由は認められる?許可が出やすいケース・出にくいケースを解説をご覧ください。
敷金はどうなる?
| ケース | 敷金の扱いの考え方 |
|---|---|
| 抵当権より前から借りている | 新しい所有者に引き継がれるのが原則。退去のときに新しい所有者との間で精算する |
| 抵当権のあとに借りた(明渡猶予の対象) | 新しい所有者には引き継がれない。前の大家さんとの関係で考えることになり、すぐには返還が難しいこともある |
保護費から出た敷金が戻ってきた場合は、福祉事務所に届け出て、収入として扱われるなどの手続きが必要になることがあります。戻ってきたとき、戻らなかったときのどちらも、ケースワーカーに伝えましょう。
敷金を返してもらう相手や、確認したいことは、賃貸が競売で落札されたら敷金はどうなる?確認したいこと【岡山】で詳しく解説しています。
物件探しから契約・入居までの流れ
| 段階 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① ケースワーカーに相談 | 競売の状況と退去の期限を伝え、転居が認められるかを確認する | 届いた書類を見せる |
| ② 住宅扶助の範囲を確認 | 家賃の上限、管理費の扱い、転居費用の扱いを確認する | 岡山市の上限の目安は、単身で月3万7千円程度 |
| ③ 物件探し・内見 | 住宅扶助の範囲で、通院先などに便利な物件を探す | 不動産会社に「生活保護を利用している」と最初に伝える |
| ④ 見積り・申込み | 初期費用の見積書をもらい、ケースワーカーに提出する。引っ越し業者の見積りも複数取る | 申込みはできても、契約はまだ |
| ⑤ ケースワーカーの了承 | 物件と費用について、了承を得る | 了承の前に契約しない |
| ⑥ 契約・入居 | 契約し、引っ越す。代理納付の手続きも確認する | 退去の期限より前に入居を終える |
| ⑦ 退去 | 部屋の写真を撮り、鍵を返す | 敷金の精算の状況をケースワーカーに伝える |
※岡山市の住宅扶助の上限の目安は、1人世帯で月3万7千円程度、2人世帯で月4万4千円程度、3〜5人世帯で月4万8千円程度です。必ず福祉事務所で確認してください(参考:生活保護の「級地」とは?岡山市は何級地で、家賃の上限とどう関係する?)。
岡山市は車社会ですが、生活保護を受けている間は、通勤や通院などの事情で認められる場合を除き、原則として自動車の保有は認められていません。そのため、バス停や駅、通院先、スーパーまでの距離を優先して探すと、転居後の暮らしが安定しやすくなります。大元・北長瀬・備前西市・東岡山など、駅に近いエリアも候補になります。いまの部屋と同じ地域で探したいときは、その希望もケースワーカーと不動産会社に伝えましょう。
転居の全体の流れは、【岡山市】生活保護の引っ越し完全ロードマップ|役所相談から物件探し・契約・入居後の手続きまででも解説しています。
明渡猶予の6か月を、どう使うか
明渡猶予の対象になる場合は、代金納付から6か月の間に転居を終える必要があります。生活保護の転居は、ケースワーカーの了承などの手順があるため、余裕を持って始めることが大切です。
- 代金納付のころ:ケースワーカーに相談し、転居が認められるかと、住宅扶助の範囲を確認する
- 猶予1〜3か月目:物件を探し、見積りをケースワーカーに出す
- 猶予3〜4か月目:了承を得て契約し、入居日を決める
- 猶予5か月目まで:引っ越しを終える(猶予の終わりの1か月前を目安に)
新しい所有者から早めの退去を求められた場合の考え方は、新しい所有者から退去を求められた|競売物件の入居者の引っ越し準備【岡山】で解説しています。
保証人や緊急連絡先がいない場合
- 保証会社の審査:生活保護を受けていることだけで審査に通らないわけではありません。代理納付を利用すると、貸主の安心につながることがあります。
- 緊急連絡先がいない場合:居住支援法人に相談できることもあります(参考:岡山市で居住支援を受けるには?居住支援法人と不動産会社の役割の違い)。
よくあるご相談の例
※個人が特定されないよう、複数のご相談を組み合わせたイメージです。
70代・単身(岡山市北区)
代理納付で家賃を払っていたアパートが競売になり、新しい所有者から支払い先の変更の通知が届いたケースです。通知をそのままケースワーカーに見せて、代理納付の手続きを相談していただきました。並行して、転居が認められたあと、住宅扶助の範囲で、通院先に近い1階の物件を探します。
50代・単身(岡山市南区)
新しい所有者から、猶予の終わりまでに退去してほしいという手紙が届いたケースです。ケースワーカーに相談して転居の了承の見込みを確認し、敷金・礼金なしの物件を中心に見積りを取りました。契約は、了承を得てから進めます。
よくある質問
Q. 生活保護を受けている部屋が競売になりました。最初に誰に相談すればいいですか?
A. まず、担当のケースワーカーに伝えましょう。競売開始決定の通知や新しい所有者からの手紙など、届いた書類をそのまま見せると話が早く進みます。住み続けられるかどうかなどの法律上の判断は、弁護士・司法書士や法テラスに確認してください。
Q. 競売になったら、すぐに出ていかないといけませんか?
A. 抵当権のあとに借りた場合でも、明渡猶予の対象になれば、代金納付から6か月は明け渡さなくてよいとされています(民法395条)。抵当権より前から借りている場合は、賃貸借が新しい所有者に引き継がれるのが原則です。どちらにあたるかは、契約書や登記で確認が必要です。
Q. 代理納付で家賃を払っています。何か手続きが必要ですか?
A. 代金納付のあとは、家賃に相当する額の支払い先が新しい所有者に変わることがあります。前の大家さんに払い続けるなどの行き違いを防ぐため、新しい所有者から支払い先の連絡が届いたら、すぐにケースワーカーに見せて、代理納付の手続きを相談しましょう。
Q. 競売による立ち退きで、転居費用(敷金や引っ越し代)は出ますか?
A. 国の基準では、家主から相当の理由をもって立ち退きを求められ、やむを得ず転居する場合に、転居費用の支給が認められることがあるとされています。競売で明渡しを求められた場合も、事情によって認められることがありますが、可否と金額は福祉事務所が個別に判断します。
Q. いまの部屋の敷金は返ってきますか?
A. 抵当権より前から借りている場合は、新しい所有者に敷金が引き継がれるのが原則です。明渡猶予の対象になる場合は引き継がれず、前の大家さんとの関係で考えることになります。保護費から出た敷金が戻ってきた場合は、収入として届け出るなどの手続きが必要になることがあるため、ケースワーカーに伝えましょう。
Q. 次の部屋の家賃は、いくらまでなら大丈夫ですか?
A. 岡山市の住宅扶助の上限の目安は、1人世帯で月3万7千円程度、2人世帯で月4万4千円程度、3〜5人世帯で月4万8千円程度です。管理費・共益費の扱いや、世帯の事情による違いもあるため、必ず福祉事務所で確認してください。
Q. 物件の申込みは、ケースワーカーの了承の前にしてもいいですか?
A. 物件を押さえるための申込みは、了承の前にできる場合があります。ただし、契約はケースワーカーの了承を得てからにしましょう。了承の前に契約すると、敷金などの費用の支給が受けられない場合があります。
Q. 引っ越し業者の見積りは、何社分必要ですか?
A. 一般に、複数の業者から見積りを取り、安い方を選ぶよう求められることが多いです。何社分が必要かは福祉事務所によって異なるため、ケースワーカーに確認してから見積りを依頼しましょう。
Q. 保証人も緊急連絡先もいません。部屋は借りられますか?
A. 生活保護を受けていることだけで、保証会社の審査に通らないわけではありません。審査は保証会社や物件によって異なります。緊急連絡先がいない場合は、居住支援法人に相談できることもあります。まずは事情をそのままお聞かせください。
Q. ミニクルホームには、何を相談できますか?
A. 住宅扶助の範囲での次の部屋探し、見積書の作成、退去の期限に合わせた入居日の調整などをご相談いただけます。ケースワーカーとも連携して進めます。生活保護の転居の可否や費用の支給の判断は福祉事務所が、法律上の判断は弁護士や法テラスが行うため、役割を分けて進めます。
まとめ|ケースワーカーと一緒に、順番どおりに
- 住んでいる部屋が競売になったら、まずケースワーカーに伝えましょう。届いた書類はそのまま見せると話が早く進みます。
- 代理納付を利用している場合は、支払い先が変わることがあります。新しい所有者からの連絡は、すぐにケースワーカーへ。
- 立ち退きを求められてやむを得ず転居する場合は、転居費用の支給が認められることがあるとされています。判断は福祉事務所が行います。
- 物件探しは住宅扶助の範囲で。契約は、必ずケースワーカーの了承を得てから。
住まいのことで不安なときは、ひとりで抱え込まずにご相談ください。ミニクルホームでは、ケースワーカーと連携しながら、住宅扶助の範囲で次の住まいを一緒に探します。
気持ちがしんどいときの相談先
住まいが揺らぐ不安は、心にも体にも大きな負担です。つらいときは、ひとりで抱え込まずに相談してください。
- 担当のケースワーカー:住まいや生活のことを、まず相談できる相手です。
- 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時。祝日・年末年始を除く)
住み続けられるかどうかや、敷金の返還などの法律の相談ができます。 - こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
岡山県内からは、平日9時30分〜12時・13時〜16時、平日夜18時30分〜22時30分(22時まで受付)に相談できます。
※受付時間は変更されることがあります。最新の情報は、各窓口の公式サイトでご確認ください。
参考にした公的な情報
- 民法(e-Gov法令検索) ※第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)、第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 岡山市「住居確保給付金(転居費用補助)」案内(2026年4月1日版・PDF) ※世帯人数ごとの家賃の上限額の記載
- 法テラス(日本司法支援センター)
※当社は不動産会社です。生活保護の転居の可否や費用の支給、住み続けられるかどうか、敷金の返還に関する判断や、交渉の代理はお受けできません。生活保護のことは福祉事務所(ケースワーカー)、法律のことは弁護士・司法書士、または法テラスにご相談ください。
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