西大寺の実家を売りたいが、県外に住んでいてなかなか見に行けない」
藤田の実家は周りが田んぼばかり。査定では何を見られるのだろう」
敷地の前に用水路があって、橋を渡って出入りしている。これは問題になるのか」
岡山市の東区(西大寺・上道・瀬戸など)や南区(藤田・興除・妹尾・福田・灘崎など)には、田畑と用水路に囲まれた市街化調整区域の集落が多くあります。こうした地域の実家を売るときは、家そのものだけでなく、道路、水路、下水、境界、浸水のリスクなど、確かめることがいくつもあります。
この記事では、東区・南区の調整区域で実家を売るときの流れと、査定で見られる点、現地で確認することを整理しました。
東区・南区の調整区域の実家を売る流れは、相談 → 書類集め → 現地確認 → 岡山市の窓口で確認 → 査定 → 媒介契約 → 販売 → 売買契約 → 引き渡しの9段階です。査定では、区域と建てた経緯、道路、上下水道、境界、建物、浸水などの災害リスク、周辺環境、農地や納屋が見られます。この地域でとくに多いのが、用水路をまたぐ橋での出入り、浄化槽、未登記の納屋、境界の杭がない、浸水想定区域といった確認事項です。売り出す前に確認を済ませておくと、買主が見つかってから話が止まりにくくなります。
売るまでの流れ|9段階
| 段階 | すること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 相談 | 不動産会社に、売りたい理由・時期・家族の状況を伝える | — |
| 2. 書類集め | 登記事項証明書、公図、固定資産税の課税明細書、建てたときの書類(あれば) | おおむね1〜2週間 |
| 3. 現地確認 | 敷地・建物・道路・水路・境界・周辺を見る(下の「現地で確認すること」) | 半日〜1日 |
| 4. 岡山市の窓口で確認 | 開発指導課(買った人が使えるか)、道路・下水道の窓口 | おおむね2〜4週間 |
| 5. 査定 | 取引事例や確認結果をもとに価格の目安を出す | おおむね1〜2週間 |
| 6. 売り方を決めて媒介契約 | 仲介か買取か、価格、販売の期間を決める | — |
| 7. 販売 | 広告、問い合わせ対応、内見 | 調整区域では半年〜1年以上かかることも |
| 8. 売買契約 | 重要事項説明、契約、手付金 | — |
| 9. 決済・引き渡し | 残代金の受け取り、登記、鍵の引き渡し | 契約からおおむね1〜2か月 |
2〜4段階の「売り出す前の確認」に時間をかけるのが、調整区域の実家を売るときのコツです。ここを飛ばすと、買主が見つかってから「この家は買った人が住めるのか」「道路は大丈夫か」で話が止まることがあります。
査定で見られる8つの点
| 見られる点 | 具体的に見ること | 価格や売りやすさへの影響 |
|---|---|---|
| ① 区域と建てた経緯 | 調整区域か、線引き前からの家か、50戸連たん・分家住宅・農家住宅など、どんな許可で建てた家か | 買った人が住めるかに直結。いちばん大きな分かれ目 |
| ② 道路 | 建築基準法上の道路に接しているか、幅、市道か農道か私道か | 建て替えられるか、車が入れるか |
| ③ 上下水道 | 公共下水道・農業集落排水・浄化槽のどれか、上水道か井戸か | 浄化槽の状態、下水につなぐ費用 |
| ④ 土地 | 面積、形、境界の杭、隣地との高低差、地盤 | 境界がはっきりしないと売りにくい |
| ⑤ 建物 | 築年数、雨漏り、シロアリ、増築部分の登記 | 住めるか、直す費用 |
| ⑥ 災害リスク | 浸水想定区域、過去の浸水、高潮・土砂災害の区域 | 重要事項説明で買主に説明する |
| ⑦ 周辺環境 | 最寄りのスーパー・学校・バス停、幹線道路までの距離 | 住みやすさ、買主の層 |
| ⑧ 農地・付属建物 | 田畑が付いているか、納屋・倉庫・離れの登記 | 手続きが増える、分けて売る必要 |
査定の価格は「この値段なら売れそう」という目安で、売れる価格を約束するものではありません。 調整区域では、とくに①の確認の結果で、価格の目安が大きく変わることがあります。
取引価格は自分でも調べられる
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、地域ごとの過去の取引価格を調べられます。東区・南区の近くの集落で、土地や中古住宅がいくらくらいで取引されているかを見ておくと、査定の価格が分かりやすくなります。ただし、調整区域の取引は件数が少なく、条件もばらばらなので、あくまで参考です。
現地で確認すること|東区・南区で多い6つ
① 敷地の出入りが用水路をまたぐ橋になっている
東区・南区の平野部では、敷地と道路の間に用水路があり、橋(またはふた)を渡って出入りする家がよくあります。
- 橋が誰のものか、水路を使う許可(占用の許可など)を受けているか
- 橋の幅(車が入れるか、建て替えのときに工事車両が入れるか)
- 建築基準法上の道路に接しているとみなされるか
水路や農道の管理は、区役所などが担当しています。許可の書類が家に残っていないか探しておくと、確認が早くなります。
② 下水は浄化槽か、農業集落排水か、公共下水道か
調整区域の家は、浄化槽を使っていることが多く、地域によっては農業集落排水につながっていることもあります。
- 浄化槽なら、種類(単独処理か合併処理か)、点検・清掃の記録
- 近くに公共下水道がある場合、個人の費用負担で接続できる制度(公共下水道特別使用許可制度)もある
- 井戸を使っているか、上水道か
浄化槽の点検・清掃の記録があると、買主の安心につながります。
③ 未登記の納屋・倉庫・離れ
田畑のある家には、納屋や倉庫、離れがあることがよくあります。これらが登記されていないことも少なくありません。
- 残して売るなら、表題登記(土地家屋調査士)が必要になることがある
- 古くて使わないなら、解体してから売るか、買主と話し合って現状のまま売るか
- 固定資産税の課税明細書に載っているかどうかも手がかりになる
④ 境界の杭がない
古い集落では、境界の杭が見当たらない、隣地が親戚の土地で境界をはっきりさせてこなかった、ということがあります。
- 境界の杭があるか、ブロック塀や生垣が境界の上にあるか
- 境界がはっきりしない場合は、土地家屋調査士に測量を依頼し、隣地の方に立ち会ってもらう
- 立会いの調整に時間がかかるため、早めに始めるのが大切
⑤ 浸水想定区域・過去の浸水
東区・南区には、旭川・吉井川・百間川・砂川などの川や、児島湾に近い低い土地が多くあります。2018年の豪雨では、東区で浸水の被害が出た地域もありました。
- 岡山市のWEB版ハザードマップで、洪水・高潮などの浸水想定を確認
- 過去に浸水したことがあるか(売主が知っていることは買主に伝える)
- 不動産会社は、重要事項説明で水害のハザードマップ上の位置を説明します
浸水のリスクがあるから売れない、というわけではありません。 事実を正確に伝え、買主に判断してもらうことが大切です。
⑥ 田畑が付いている
家の敷地のほかに田や畑が付いている場合は、農業委員会の手続きが必要になります。家と農地を分けて売るのか、まとめて売るのかも決める必要があります。
窓口の一覧(東区・南区)
| 確かめること | 窓口 | 連絡先・方法 |
|---|---|---|
| 調整区域か、用途地域など | 岡山市 都市計画情報システム | インターネットで確認できる |
| 買った人が住めるか、建て替えられるか | 開発指導課 | 086-803-1451(窓口でのみ受付) |
| 建築基準法上の道路か | 建築指導課 | 086-803-1446(電話では対応していない。専用ページや窓口で確認) |
| 市道かどうか(東区) | 東区役所 地域整備課 施設管理係 | 086-944-5048 |
| 市道かどうか(南区) | 南区役所 地域整備課 施設管理係 | 086-902-3527 |
| 市道かどうか(瀬戸・灘崎の地域) | 瀬戸支所 産業建設課/灘崎支所 産業建設課 | 086-952-1114/086-363-5203 |
| 下水道への接続 | 下水道河川局 下水道管路保全課 | 086-803-1490 |
| 浸水想定など | 岡山市WEB版ハザードマップ | インターネットで確認できる |
| 農地の手続き | 農業委員会事務局 | 086-803-1562 |
窓口がいくつもあるので、県外にお住まいの方は、不動産会社に確認の段取りを任せるのも一つの方法です。
人口減少地域の緩和がある校区
岡山市は、人口減少が著しい6つの小学校区で、2024年6月1日から、20戸連たん制度と空き家の用途変更の緩和を始めています。このうち東区・南区にあるのは、次の3つです。
| 区 | 校区 | 主な町名(学区表より) |
|---|---|---|
| 東区 | 角山小学校区 | 竹原、才崎、内ケ原、百枝月 |
| 東区 | 山南学園区 | 宝伝、正儀、東片岡、西片岡、久々井、犬島など |
| 南区 | 小串小学校区 | 小串、阿津 |
これらの校区では、適法に建てて10年以上たった空き家を、賃貸住宅や小さな店舗などに用途変更しやすくなっています。売るだけでなく、貸す・活かすという選択肢も考えられます。
例で考える|南区の調整区域の実家
南区の調整区域、敷地400㎡、築45年の木造2階建て、未登記の納屋あり、浄化槽、敷地の前に用水路の橋、という実家を、県外に住む子が相続して売るケースで考えてみます。
| 確認すること | 確認の結果(仮) | 対応の例 |
|---|---|---|
| 建てた経緯 | 線引き前(1971年より前)に建った家 | 買った人も住める可能性が高い。開発指導課で確認 |
| 道路 | 用水路の橋を渡って市道に出る | 橋の許可の書類を探す。区役所で確認 |
| 下水 | 単独処理の浄化槽 | 点検記録をそろえる。買主に合併処理浄化槽への交換の可能性を説明 |
| 納屋 | 未登記、傷みが大きい | 解体してから売るか、現状のまま売るかを比べる |
| 境界 | 杭が2か所見つからない | 土地家屋調査士に測量を依頼、隣地の方に立会いをお願いする |
| 浸水 | 洪水の浸水想定区域 | 重要事項説明で説明。過去の浸水の有無を家族に確認 |
このように、確認の結果ごとに「何をするか」を決めておくと、売り出してからの説明がスムーズになります。県外にお住まいでも、現地確認と窓口の確認は、不動産会社や専門家に依頼して進められます。
当社にできること・できないこと
当社は、岡山市北区奉還町で売買仲介を行っている不動産会社です。
当社がお手伝いできるのは、書類集めのお手伝い、現地確認(敷地・建物・道路・水路・境界・周辺)、岡山市の窓口での確認の段取り、取引事例の根拠つきの査定、売り方の比較(仲介・買取・隣地への売却など)、販売と契約、そして県外にお住まいの方との写真や動画での報告です。
一方で、開発許可・用途変更の許可、建築基準法上の道路の判断は岡山市が行います。 測量や登記は土地家屋調査士・司法書士、許可の申請書類は行政書士の業務のため、当社では行えません。法的な判断、税金の判断も、それぞれの専門家にご相談ください。
よくあるご質問
東区・南区の調整区域の実家を売るとき、まず何をすればよいですか。
登記事項証明書、公図、固定資産税の課税明細書をそろえ、不動産会社に相談するところから始めます。そのうえで、現地確認と、岡山市の開発指導課などでの確認を、売り出す前に済ませておくのがおすすめです。
査定では何を見られますか。
区域と建てた経緯、道路、上下水道、土地(面積・境界・高低差)、建物、浸水などの災害リスク、周辺環境、農地や納屋などの付属建物の8つが主に見られます。調整区域では、とくに買った人が住めるかどうかで、価格の目安が大きく変わることがあります。
敷地の前に用水路があり、橋を渡って出入りしています。売れますか。
売れないわけではありません。ただし、橋が誰のものか、水路を使う許可を受けているか、建築基準法上の道路に接しているとみなされるかを確かめる必要があります。許可の書類が家に残っていないか探しておくと、確認が早くなります。
浄化槽の家でも売れますか。
売れます。調整区域の家は浄化槽を使っていることが多いです。浄化槽の種類と点検・清掃の記録をそろえておくと、買主の安心につながります。近くに公共下水道がある場合は、個人の費用負担で接続できる制度もあります。
市道かどうかは、どこで確認できますか。
岡山市の地図情報システムで確認できるほか、東区役所 地域整備課 施設管理係(086-944-5048)、南区役所 地域整備課 施設管理係(086-902-3527)、瀬戸支所・灘崎支所の産業建設課で確認できます。建築基準法上の道路かどうかは建築指導課の担当で、電話での対応はしていません。
浸水想定区域にある家は売れますか。
浸水想定区域にあるから売れない、というわけではありません。不動産会社は重要事項説明で水害のハザードマップ上の位置を説明します。過去に浸水したことがあれば、その事実も買主に伝えることが大切です。
県外に住んでいても売れますか。
売れます。現地確認や窓口での確認は、不動産会社や専門家に依頼して進められます。契約や決済の進め方も、司法書士などと相談して決められます。
東区・南区の実家、売り出す前の確認からお手伝いします
書類集め、現地確認(敷地・建物・道路・水路・境界)、岡山市の窓口での確認の段取り、取引事例の根拠つきの査定まで。県外にお住まいの方には、写真や動画でご報告します。
- 電話で相談する:086-239-3296(10:00〜18:00/水曜定休)
- LINEで相談する(登記事項証明書、公図、家の写真をそのまま送れます)
- メールで相談する:minikuru@bc.wakwak.com
※開発許可・建築基準法上の道路の判断は岡山市(開発指導課 086-803-1451 ほか)が行います。測量・登記、許可申請の代行、法的な判断は当社では行えません。
遠くにいても、一つずつ確かめれば進められます。 東区・南区の調整区域の実家は、確かめることが多い分、売り出す前の準備で結果が変わります。親御さんが暮らした家と、その周りの田畑や水路のことを、分かる範囲で一緒に整理していきましょう。急がなくても大丈夫です。
最終更新日:2026年9月26日
確認先:岡山市(確認申請・不動産調査に関するよくある質問、道路が市道かどうかの調べ方、市街化調整区域では使えない?〈公共下水道特別使用許可制度〉、市長定例記者会見資料〈令和6年5月24日 20戸連たん制度・空き家用途変更緩和制度〉、学区表、開発指導課業務内容)、国土交通省(不動産情報ライブラリ)。窓口や制度は変わることがあります。最新は岡山市の各担当でご確認ください。
(この記事は一般的な情報の整理です。開発許可・用途変更の許可、建築基準法上の道路の判断は岡山市が行います。当社は測量・登記、許可申請の代行、法的な判断、税金の判断は行えません。)
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