「管理手数料がもったいないから、自分で管理しよう」
そう考えて、アパートやマンションの自主管理を始めるオーナーさんは少なくありません。最初のうちは、それでうまく回ります。けれど、ある時から歯車が狂い始めます。
入居者からの「エアコンが効かない」「水が漏れている」「上の階がうるさい」という連絡に、本業や生活の合間ではすぐ動けない。対応が一日、二日と遅れているうちに、入居者の不満が静かに積み上がり、気づいたときには更新されずに退去が相次ぎ、空室だらけになっていた——。これは、決して珍しい失敗ではありません。
この記事は、人の人生がかかるテーマだからこそ、精神論ではなく、法律(民法の修繕義務・賃料減額・自力救済の禁止)と税金(修繕費と資本的支出・管理委託料の扱い)の根拠まで踏み込んで、できるだけ正確にお伝えします。岡山市・玉野市・瀬戸内市でアパートを経営している方、これから始める方に、必ず役立つ内容です。
本記事の位置づけ 法令・通達・判例・公的情報をもとに、2025〜2026年時点で確認できる範囲を整理したものです。個別の物件・契約・税務・トラブルの判断は、必ず税理士・弁護士・所轄税務署など専門の窓口にご確認ください。
自主管理はなぜ「対応の遅れ」を生むのか
自主管理の最大の魅力は、管理委託料(一般に家賃の5%前後)を節約できることです。けれど、その裏側で、オーナーは入居者対応のすべてを自分で背負うことになります。
- 設備の故障対応(エアコン・給湯器・水漏れ・鍵の不具合など)
- 入居者同士のトラブル(騒音・ゴミ・駐車)
- 家賃の入金確認と、滞納時の督促
- 契約更新、退去の立会い、原状回復の精算
- 夜間や休日の緊急連絡
ひとつ一つは小さく見えても、本業を持つオーナーが、これらすべてに「すぐ」対応し続けるのは現実的に難しいのです。そして、対応の遅れは、単なる「入居者の不満」では済みません。法律上も、税務上も、はっきりとした不利益につながります。
対応の遅れが招く「法律上の重い結果」
ここが、多くの自主管理オーナーが見落としているポイントです。
① 賃貸人には「修繕義務」がある(民法606条)
2020年4月施行の改正民法で、賃貸人(オーナー)は、賃貸物の使用・収益に必要な修繕をする義務を負うことが、あらためて明文化されました(民法606条1項)。入居者の故意・過失による故障を除き、設備の修繕はオーナーの責任です。「忙しいから後で」は、法律上は通用しません。
② 設備が使えない期間は、賃料が”当然に”減額される(民法611条)
これが特に重要です。2020年4月施行の改正民法611条1項により、賃借物の一部が、入居者のせいではない事由で使えなくなった場合、賃料は、使えなくなった部分の割合に応じて「当然に」減額されることになりました。
⚠️ 改正前と改正後で、ここが決定的に変わりました
- 改正前:入居者が「減額してください」と請求して、はじめて減額
- 改正後:入居者の請求がなくても、自動的に(当然に)減額される
たとえば、真夏にエアコンが壊れて使えない期間や、水回りの故障で生活に支障が出ている期間は、この規定により賃料が減額されると解釈されています。つまり、修繕を先延ばしにした分だけ、家賃収入が法律上、自動的に目減りするのです。
※減額の日数や割合の目安として、日本賃貸住宅管理協会の「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」が実務で参考にされています。具体的な金額は契約内容や状況により異なります。
③ 放置すると、入居者が自分で修理して費用を請求できる(民法607条の2)
さらに、入居者がオーナーに修繕の必要を通知したのに相当の期間内に修繕しない場合や、急迫の事情がある場合は、入居者が自分で修繕し、その費用をオーナーに請求できることも明文化されました(民法607条の2、費用は民法608条により賃貸人負担)。
対応の遅れは、「賃料の減額」と「想定外の出費」という、二重の損失に直結するのです。
退去の連鎖 — “対応の遅さ”が信頼を壊す
法律上の不利益だけではありません。もっと深刻なのは、入居者の信頼が静かに失われていくことです。
「連絡してもなかなか来ない」「直してもらえない」という経験は、入居者にとって強いストレスです。実際、管理対応の遅さへの不満(たとえば、水漏れの連絡をしたのに一ヶ月放置された、電話がつながらない、といった声)は、賃貸の口コミでも数多く見られます。
その結果が、契約更新のタイミングでの退去です。一人が退去すると、空室の募集費用・原状回復費用・広告費がかさみ、その間の家賃も入りません。これが続けば、収支は一気に悪化します。
💡 退去は「家賃が止まる」だけでは終わらない 1部屋の退去には、原状回復・クリーニング・募集広告・仲介手数料・空室期間の家賃ロスなど、見えにくいコストが重なります。「退去を出さない管理」が、実は最大の空室対策なのです。
“破産”はどこから来るのか — 正直にお伝えします
なお、「自主管理の対応が遅かったこと”だけ”が原因で破産した」と報道された有名な事例は、確認できる範囲では見当たりませんでした。誇張は避けたいので、この点は正直にお伝えします。
ただし、空室・賃料減額・想定外の修繕費・滞納が積み重なり、ローン返済が立ち行かなくなって資産を失う流れは、現実に数多く記録されています。 売ろうとしても価格が下がっていて、売却額がローン残債を下回る「オーバーローン」に陥れば、物件を手放しても借金が残り、最悪の場合は自己破産に至ります。実際に破産まで至るのはごく一部とされますが、ゼロではありません。そして、その引き金になる「退去・空室」の大きな原因の一つが、管理対応の遅れなのです。
滞納対応の落とし穴 — “自力救済”は違法です
自主管理オーナーが最も足を取られやすいのが、家賃滞納への対応です。ここには、知らないと刑事責任にまで発展しかねない、重大な落とし穴があります。
⚠️ 絶対にやってはいけないこと(自力救済の禁止)
家賃を滞納されているからといって、入居者に無断で鍵を交換する・室内に立ち入る・私物を運び出すといった行為は、たとえ相手に非があっても違法です。
「家賃を◯日滞納したら施錠できる」といった契約上の特約も、無効と判断されています(札幌地裁 平成11年12月24日判決)。違法な自力救済を行うと、判例では損害賠償(慰謝料や家財の弁償)を命じられた例があり、さらに器物損壊罪・住居侵入罪などの刑事責任を問われるおそれもあります。
では、どうすればよいのか。家賃滞納に適法に対応するには、法的な手続きを順番に踏む必要があります。
- 支払いの催告(電話・文書、内容証明郵便など)
- 契約の解除通知(信頼関係の破綻が前提)
- 建物明渡訴訟の提起
- 判決後の強制執行
ただし、明渡訴訟は準備から判決まで一般に約4〜5か月かかり、その間も滞納額は膨らんでいきます。だからこそ、滞納は初期の段階で、適法かつ迅速に動くことが重要です。自主管理では、この初動が遅れがちになります。早めに弁護士や専門家へ相談しましょう。
見落とされがちな「税金」の落とし穴
対応の遅れは、税金の面でも損につながります。
① 修繕費と資本的支出 — “先延ばし”が節税効果を奪う
不動産経営の修繕にかかった費用は、「修繕費」なら、その年の経費として一括で計上できます。国税庁の基準では、次のいずれかに当てはまれば修繕費として扱えます。
- 支出が20万円未満
- おおむね3年以内の周期で行われる修理
- 明らかに原状回復・現状維持のための支出
- (区分が不明な場合)60万円未満、または前期末取得価額のおおむね10%以下
一方、**使用可能期間を延ばしたり価値を高めたりする大規模な工事は「資本的支出」**となり、一括では経費にできず、減価償却で複数年に分けて費用化することになります。
⚠️ ここが落とし穴 小さな不具合を放置して悪化させ、結局**大規模な工事(資本的支出)**になってしまうと、その年に一括で経費にできず、節税効果が薄れます。しかも工事費そのものも高額になります。早めに直せば「修繕費」で一括経費にでき、出費も小さく済んだ——というケースは少なくありません。対応の早さは、税務上も有利に働くのです。
※修繕費か資本的支出かの判断は個別性が高いため、迷ったら必ず税理士にご確認ください。
② 管理委託料は「必要経費」になる
「管理手数料がもったいない」とよく言われますが、これは一面的な見方です。管理会社に支払う管理委託料は、不動産所得の必要経費として計上できます。 不動産所得の経費には、ほかにも修繕費・減価償却費・固定資産税・損害保険料・借入金の利子などが含まれます。
つまり、委託料は丸ごとコストではなく、税務上は経費として収入から差し引けます。「自分の時間と労力」「対応の遅れによる賃料減額や退去のリスク」と、「経費にもなる委託料」を、冷静に天秤にかけることが大切です。
自主管理か、委託か — 見極めのチェックリスト
✅ 失敗しないための確認項目
- 入居者からの連絡に、夜間・休日を含めて迅速に対応できる体制があるか
- 設備の予防保全(壊れる前の点検・交換)ができているか
- 滞納時の適法な手続き(自力救済は違法)を理解しているか
- 修繕費と資本的支出の区分、管理委託料が経費になることを踏まえて収支を考えているか
- 自分の生活・本業・物件数・距離に対して、自主管理が本当に現実的か
このうち一つでも不安があれば、管理会社への委託や、一部だけの委託(緊急対応だけ任せる等)も検討する価値があります。
岡山・玉野・瀬戸内でアパートを経営する方へ
ミニクルホームは、賃貸の管理・空室対策のコンサルティングを本業のひとつとする、地元の不動産会社です。岡山市・玉野市・瀬戸内市で、入居者対応・募集・原状回復・滞納対応まで、地域の実情に合わせてサポートしています。
「自主管理を続けてきたけれど、対応が追いつかなくなってきた」「退去が増えて空室が埋まらない」——そんな段階のご相談も歓迎です。管理を委託する場合、その委託料は経費にもなりますし、何より対応の遅れによる賃料減額や退去の連鎖を防ぐことが、長い目で見て収益を守ります。
物件を買う前から、「岡山で貸せるか」「無理なく管理できるか」まで含めて、率直にお話しします。一人で抱え込む前に、地元の事情を知る第三者に相談してみてください。
まとめ
- 自主管理は手数料を節約できる反面、対応の遅れが空室・退去の連鎖を招きやすい
- 民法611条(2020年改正)により、設備が使えない期間は請求がなくても賃料が当然減額される=収入が自動的に減る
- 放置すれば入居者が自分で修繕して費用請求できる(民法607条の2)
- 滞納者への自力救済(無断の鍵交換・荷物撤去)は違法。適法な明渡しは催告→解除→訴訟→強制執行
- 税金:早めの小修繕は修繕費で一括経費、先延ばしの大規模工事は資本的支出で減価償却。管理委託料は経費になる
- 破産は稀でも、空室・滞納・修繕費の積み重ねで資産を失う例は現実にある
不安なまま一人で判断せず、まずは「相談だけ」からで構いません。お気軽にお声がけください。
📞 お問い合わせ・ご相談はこちら
岡山市・玉野市・瀬戸内市での賃貸管理・空室対策・滞納対応・自主管理からの切り替えのご相談は、ミニクルホームへお気軽にどうぞ。
ミニクルホーム 売買仲介・賃貸仲介・管理・賃貸空室対策コンサルタント・内装リフォーム・保険代理店
- 住所:岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号(JR岡山駅西口より徒歩7分)
- 電話:086-239-3296
- FAX:086-239-3323
- メール:minikuru@bc.wakwak.com
- 営業時間:[営業時間をご記入ください]
- 担当:「しかける賃貸満室マン」城井 仁 (しろい ひとし)
ご相談は無料です。「こんなこと聞いてもいいのかな」という疑問こそ、大歓迎です。
🔗 関連記事
- 素直になれない大家さん 失敗する確率が上がる[岡山・岡山市]
- 空き家の管理を不動産会社に依頼するメリットとは?管理専門業者との違い【岡山市】
- 瀬戸内市で空き家リフォーム補助は使える?売却前に知るべきこと
- 岡山市で空き家を売却したい方へ|放置前に知っておきたい売却のポイント
- 相続した空き家 岡山市でどうする?放置リスクと管理の考え方を解説
岡山市の住まい相談窓口
株式会社ミニクルホームへお気軽にご相談ください
岡山市での賃貸・売買・生活保護の方の部屋探し・高齢者の住まい相談・空き家相談など、住まいに関するお悩みはお気軽にご相談ください。
「審査が不安」「保証人がいない」「初期費用が心配」「高齢でも借りられるか不安」「空き家をどうしたらいいかわからない」など、ひとりで悩まず、まずはご相談ください。 できるだけわかりやすく、無理のない進め方をご案内いたします。
対応相談:賃貸仲介・売買仲介・生活保護の部屋探し・高齢者の住まい相談・空き家相談・不動産管理・リフォーム相談
対応エリア:岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、玉野市・瀬戸内市・倉敷市・備前市・総社市など周辺エリアもご相談ください。
※ご相談内容を確認後、順番にご返信いたします。お急ぎの場合は、お電話でのお問い合わせがおすすめです。
“`


