2018年の豪雨で家が浸水した。直して住み続けてきたが、売るときにどう伝えればいいのか」
買おうとしている家の地域が、あの豪雨で浸水したと聞いた。今はどうなっているのだろう」
川の工事が進んだと聞くけれど、もう心配はいらないのだろうか」
2018年(平成30年)7月の豪雨では、岡山市でも多くの家が浸水し、今もそのときの記憶とともに暮らしている方がいらっしゃいます。
この記事では、岡山市・岡山県・国が公表している資料だけをもとに、当時の被害とその後の対策を整理し、家を売る・買う・借りるときに、何を伝え、何を確かめるかをまとめました。
被災された方やその地域のことを、あおったり、決めつけたりする意図はありません。 事実を正確に知り、落ち着いて判断するための材料としてお読みください。
2018年の豪雨では、岡山市で床上浸水3,285棟、床下浸水4,399棟の被害がありました(岡山市の資料)。その後、岡山県は砂川で築堤や河道掘削、堤防の強化などを2024年度の完成を目標に進め、岡山市は浸水対策行動計画2023で「流域治水」に取り組んでいます。ただし、対策が進んだことは、浸水しないことを意味するわけではありません。取引では、当時の事実、修繕、その後の対策の状況(公表資料の範囲で)、今のハザードマップを、正確に伝え、確かめることが大切です。
2018年7月、岡山市で何があったか
岡山市の資料では、次のように記録されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 雨の量 | 24時間雨量197mm(岡山地方気象台で観測史上2位)、48時間雨量306.5mm |
| 浸水の被害 | 床上浸水3,285棟、床下浸水4,399棟 |
| 主な浸水区域(資料に記載のもの) | 東区の東平島・南古都地区(砂川の破堤)、北区の玉柏・津高・久米・牧石学区・御津学区、中区の国富地区など |
また、岡山県の資料では、砂川の流域で浸水面積750ha以上、浸水家屋2,200戸以上の被害があったとされています。
その後の対策|公表資料で分かること
岡山県|砂川の改修
岡山県は、砂川で河川激甚災害対策特別緊急事業を実施しています。
| 項目 | 内容(岡山県の資料) |
|---|---|
| 主な内容 | 築堤や河道掘削などの対策、決壊箇所の上流約3.7kmの区間で堤防の強化(浸透対策など) |
| 事業延長 | 約7.2km(激特事業) |
| 事業費 | 約189億円(2018〜2024年度) |
| 目標 | 2024年度の完成を目標 |
岡山市|ポンプ場と浸水対策行動計画
岡山市は、2018年より前から雨水を排水するポンプ場の整備・増強を進めていました。
| ポンプ場 | 内容(岡山市の資料) |
|---|---|
| 北長瀬ポンプ場 | 平成24年7月に稼働開始 |
| 浦安ポンプ場 | 平成27年3月に増強 |
| 当新田ポンプ場 | 平成28年3月に増強 |
岡山市の資料では、2018年の豪雨で、これらの増設分だけで149万m³(東京ドーム1杯分程度)を排水したとされています。
また、岡山市は「岡山市浸水対策行動計画2023」(2024年10月公開)で、河川・下水道の整備、流域対策、減災対策、避難対策を組み合わせた「流域治水」を進めています。2018年の豪雨は、この計画を見直すきっかけの一つになりました。
国|旭川放水路(百間川)
国(中国地方整備局 岡山河川事務所)は、旭川放水路(百間川)の分流部の改築を進め、2019年6月に完成式が行われています。
対策が進んだ=浸水しない、ではない
川の改修やポンプ場の整備は、浸水の被害を減らすための取り組みです。ただし、
- 想定を超える雨が降ることがある
- 川からの浸水(外水)だけでなく、側溝や水路からあふれる浸水(内水)もある
- ハザードマップは見直されることがある(岡山市の洪水の最新版は令和9年3月完成予定)
といった理由から、「対策が進んだから、もう浸水しない」とは言えません。取引でも、「安全になった」「心配はいらない」と説明することはできません。
大切なのは、「どんな対策が、どこまで進んでいるか」を公表資料で確かめ、今のハザードマップと合わせて考えることです。
取引で伝えること・確かめること
| 立場 | 伝えること・確かめること |
|---|---|
| 売主・大家さん | 当時の浸水の事実(どこまで水が来たか)、修繕の内容と記録、保険金・り災証明、その後に自分でした対策(止水板、設備の位置の変更など) |
| 買主・借主 | 当時その家や周りが浸水したか(売主・管理会社に聞く、岡山県の浸水実績図で確かめる)、修繕の記録、今のハザードマップ、近くの対策の状況 |
| 不動産会社 | 水害ハザードマップ上の位置の説明(重要事項説明)、売主から聞いた浸水の事実の説明、対策の状況は公表資料の範囲で伝える |
伝え方の例(仮)
売主が告知書に書く例:
2018年7月の豪雨で、1階の床上約30cmまで浸水しました。同年9月に、1階の床・壁の張り替え、床下の消毒・乾燥を行いました(工事の請求書・写真あり)。その後、給湯器を架台の上に移設しています。2018年以降、浸水したことはありません。
不動産会社が説明するときの例:
この地域は2018年の豪雨で浸水の被害がありました。岡山県は、砂川で築堤や河道掘削、堤防の強化などに2024年度の完成を目標に取り組んでいます(岡山県の公表資料)。ただし、対策が進んでも浸水のおそれがなくなるわけではありません。ハザードマップ上の位置は、重要事項説明の資料のとおりです。
事実・時期・程度・その後の対応を、評価の言葉を使わずに伝えるのがポイントです。
その地域で暮らす人の備え
2018年の豪雨を経験した地域でも、そうでない地域でも、備えは同じです。
- ハザードマップ(洪水・内水)で、家の位置を確かめておく
- 避難場所(洪水のときに使える「避難可」の場所)と、そこまでの道を確かめておく
- 給湯器や分電盤など、設備の位置を見直す
- 火災保険の水災補償の内容を確かめておく
当社にできること・できないこと
当社は、岡山市北区奉還町で売買仲介・賃貸仲介を行い、保険代理店も営んでいる不動産会社です。
当社がお手伝いできるのは、浸水の記録や修繕の内容の整理、告知書の書き方のアドバイス、公表資料にもとづく対策の状況のご説明、ハザードマップ上の位置のご説明、そして水災補償を含む火災保険のご相談です。
一方で、その地域や家が災害に対して安全かどうかを判断したり、保証したりすることはできません。河川の工事の状況は岡山県(河川課)、浸水対策の計画は岡山市 下水道河川計画課(086-803-1499)にご確認ください。
よくあるご質問
2018年の豪雨で、岡山市ではどのくらいの被害がありましたか。
岡山市の資料では、床上浸水3,285棟、床下浸水4,399棟の被害があったとされています。24時間雨量は197mmで、岡山地方気象台の観測史上2位でした。
砂川の改修はどうなっていますか。
岡山県は、砂川で河川激甚災害対策特別緊急事業として、築堤や河道掘削、決壊箇所の上流約3.7kmの堤防の強化などに、2024年度の完成を目標に取り組んできました。最新の状況は岡山県の公表でご確認ください。
岡山市はどんな浸水対策をしていますか。
岡山市は、ポンプ場の整備・増強などに加え、「岡山市浸水対策行動計画2023」で、河川・下水道の整備、流域対策、減災対策、避難対策を組み合わせた流域治水を進めています。
対策が進んだので、もう浸水の心配はありませんか。
対策は被害を減らすための取り組みですが、想定を超える雨や内水による浸水もあるため、浸水しないとは言えません。今のハザードマップと合わせて考えることが大切です。
2018年に浸水した家を売るとき、何を伝えればよいですか。
当時どこまで浸水したか、修繕の内容と記録、保険金やり災証明、その後にした対策などを、告知書で伝えましょう。事実・時期・程度・その後の対応を、評価の言葉を使わずに書くのがポイントです。
2018年に浸水した地域の家を買うとき、何を確かめればよいですか。
当時その家や周りが浸水したか(売主への質問、岡山県の浸水実績図)、修繕の記録、今のハザードマップ、近くの対策の状況を確かめましょう。
2018年の浸水のこと、落ち着いて整理するところからお手伝いします
浸水の記録や修繕の内容の整理、告知書の書き方のアドバイス、公表資料にもとづく対策の状況のご説明、ハザードマップ上の位置のご説明、水災補償のご相談まで。
※当社は、その地域や家が災害に対して安全かどうかの判断や保証はできません。
あの日のことを、次の暮らしの備えにつなげていきましょう。 2018年の豪雨を経験された方にとって、浸水の話をするのはつらいことかもしれません。無理に急ぐ必要はありません。事実を一つずつ整理して、売る方も買う方も納得できる形を、一緒に考えていきましょう。
最終更新日:2026年9月26日
確認先:岡山市(平成30年7月豪雨における状況、岡山市浸水対策行動計画2023、下水道河川計画課)、岡山県(平成30年7月豪雨で被災した河川の復旧への取り組み、砂川の河川激甚災害対策特別緊急事業、岡山県における浸水実績)、国土交通省 中国地方整備局 岡山河川事務所(百間川分流部の改築)。対策の状況は変わります。最新は各機関の公表でご確認ください。
(この記事は一般的な情報の整理です。当社は、その地域や家が災害に対して安全かどうかの判断や保証はできません。)
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