岡山の空き家で売却益が出たら税金はいくら?計算の順番を解説
岡山の空き家を査定してもらい、購入時より高く売れそうだと分かったとき、次に気になるのが、
「利益が出たら、税金はいくら払うの?」
という問題です。
例えば、親が昔購入した岡山市の実家が1,500万円で売れたとします。
そこで、
「1,500万円に20%くらい税金がかかるの?」
と思う方がいます。
しかし、土地・建物の売却に関係する税金は、基本的に売却代金全額に税率を掛けるものではありません。
この利益を税務上、一般に譲渡所得といいます。
そして実際の税金は、
- いくらで売ったか
- いくらで取得したか
- 売却にいくら掛かったか
- 利用できる特別控除があるか
- 何年所有していたか
によって大きく変わります。
今回は、岡山の空き家を売って利益が出たときの税金を、計算する順番に沿って整理します。
結論|税金はこの順番で計算する
- 売却価格を確認する
- 取得費を確認する
- 譲渡費用を確認する
- 利用できる特別控除を確認する
- 課税譲渡所得を計算する
- 長期・短期を判定する
- 税率を掛ける
- 翌年に確定申告する
基本式は次のとおりです。
売却価格
- 取得費
- 譲渡費用
- 利用できる特別控除
=
課税譲渡所得
この課税譲渡所得に、所有期間等に応じた税率を掛けて税額を計算します。
STEP1|まず「売却価格」と「利益」を分ける
1,500万円で売った=1,500万円の利益ではありません。
例えば、
売却価格:1,500万円
取得費:700万円
売却に直接掛かった費用:100万円
なら、特別控除を考える前の譲渡所得は、
1,500万円
-700万円
-100万円
=
700万円
です。
税金計算の出発点は1,500万円ではなく、この700万円です。
「いくらで売れた?」だけでは税額は分かりません。
「取得費はいくら?」「売却費用はいくら?」まで確認する必要があります。
STEP2|取得費を確認する
税額を大きく左右する項目です。
取得費とは、簡単にいうと、その不動産を取得するために掛かった金額です。
例えば、
- 土地・建物の購入代金
- 建築代金
- 購入時の仲介手数料
- 取得時の一定の税金・費用
- 一定の設備費・改良費
などが取得費に含まれる場合があります。
建物は購入価格をそのまま使うわけではない
土地と違い、建物は時間の経過によって価値が減少する資産です。
そのため、建物については購入代金・建築代金等から、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて取得費を計算します。
「30年前に建物1,500万円で建てたから、取得費は今も1,500万円」ではありません。
建物取得費の計算は税額へ影響するため、具体的な申告時は税理士・税務署へ確認してください。
相続した空き家は、親の取得費を引き継ぐ
相続した実家の場合、
「相続したときの評価額が取得費になる」
と思われることがあります。
しかし原則として、相続によって取得した土地・建物は、亡くなった方の取得費を引き継いで譲渡所得を計算します。
例えば、
父が1985年に土地・建物を購入
↓
2025年に子が相続
↓
2026年に売却
なら、基本的には父が取得したときの資料を探すことが重要です。
STEP3|購入時の資料がない場合はどうする?
相続した実家で非常に多いのが、
「親がいくらで買ったのか分からない」
というケースです。
国税庁では、実際の取得費が分からない場合などには、売却代金の5%相当額を概算取得費として計算できるとしています。
1,500万円で売れた場合
1,500万円 × 5%
=
75万円
です。
つまり実際には親が1,000万円以上で購入していても、その資料が確認できず概算取得費を使用すると、取得費75万円として計算することがあります。
取得費が小さくなると、計算上の譲渡所得が大きくなり、税負担が増える可能性があります。
家財整理で古い契約書を捨てない
相続した実家を片付けるときは、次の資料を探してください。
- 昔の土地・建物売買契約書
- 建築請負契約書
- 購入時の領収書
- 購入時の仲介手数料資料
- 増改築関係の契約書・領収書
30年・40年前の書類でも、税金計算の重要資料になる可能性があります。
STEP4|譲渡費用を差し引く
売却のために直接必要となった費用を整理します。
国税庁が代表例として挙げている譲渡費用には、
- 売却時の仲介手数料
- 一定の測量費
- 売買契約書の印紙税で売主が負担したもの
- 土地を売るために建物を取り壊した場合の一定の取壊し費用
- 一定の立退料
などがあります。
支払った費用が全部引けるわけではない
空き家では、
- 固定資産税
- 火災保険
- 草刈り
- 日常的な修繕
- 空き家管理費
なども支払っています。
しかし、こうした維持・管理費用は、支払ったというだけで税務上の譲渡費用になるわけではありません。
「手元から出たお金」と「譲渡所得から差し引ける費用」は別。
ここを混同しないことが重要です。
STEP5|利用できる特別控除を確認する
相続空き家では、ここで税額が大きく変わることがあります。
一定の要件を満たす被相続人の居住用財産、いわゆる相続空き家を売った場合には、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
現在の制度では、一定の要件を満たし2027年12月31日までに譲渡するケースが対象となり得ます。
なお、2024年1月1日以後の譲渡で、その家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合は、控除額が1人あたり最高2,000万円となる場合があります。
利益1,500万円でも課税所得0円になる可能性
例えば、単純化して、
特別控除前の譲渡所得:1,500万円
利用できる空き家特別控除:3,000万円
なら、控除後の課税譲渡所得が0円となる可能性があります。
ただし「相続した空き家なら誰でも3,000万円控除」ではありません。
建築時期、被相続人の居住状況、相続後の利用状況、売却時期など細かな要件があります。
売却契約・解体・賃貸活用等を行う前に確認することが重要です。
STEP6|課税譲渡所得を計算する
ここまで整理したら、
売却価格
-(取得費+譲渡費用)
- 特別控除
=
課税譲渡所得
を計算します。
モデルA|特別控除なし
売却価格:1,500万円
取得費:700万円
譲渡費用:100万円
特別控除:なし
1,500万円-700万円-100万円
=
700万円
この700万円を基に税額を計算します。
モデルB|3,000万円特別控除が使える
売却価格:1,500万円
取得費:75万円
譲渡費用:100万円
控除前譲渡所得:1,325万円
特別控除:最高3,000万円の適用要件を満たすと仮定
この仮定なら、特別控除によって課税譲渡所得が0円となる可能性があります。
※実際の特例適用可否は物件・相続状況により異なります。
STEP7|長期譲渡か短期譲渡かを確認する
課税譲渡所得が出たら、次に所有期間を確認します。
土地・建物の場合、売却した年の1月1日時点で、
| 区分 | 所有期間 | 一般的な税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 所得税15%+住民税5%+復興特別所得税 |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 所得税30%+住民税9%+復興特別所得税 |
2026年中に一般的な土地・建物を売却する場合、復興特別所得税まで考慮した概算税率は、
長期:約20.315%
短期:約39.63%
となります。
短期は長期の約2倍に近い税率になるため、所有期間の確認は非常に重要です。
2026年に売るなら「2021年に買ったから5年」とは限らない
長期・短期の判定は、単純に売却日から5年間を数えるわけではありません。
売却した年の1月1日現在で判定します。
国税庁は、2026年中に売却する場合、原則として、
- 2020年12月31日以前に取得 → 長期
- 2021年1月1日以後に取得 → 短期
と案内しています。
「ちょうど購入から5年経ったから長期」と自己判断しないよう注意してください。
相続した空き家は、親の取得時期も引き継ぐ
相続の場合、さらに重要なルールがあります。
相続によって取得した土地・建物では、原則として亡くなった方の取得時期も引き継ぎます。
例えば、
父が取得:1980年
子が相続:2025年
子が売却:2026年
という場合、
「相続して1年だから短期」
とはなりません。
父の取得時期から引き継いで判定するため、一般的には長期譲渡所得に該当することになります。
相続日ではなく、被相続人の取得日を確認する。
税率の違いを500万円の利益で比較
特別控除適用後の課税譲渡所得が500万円だったと仮定します。
長期譲渡所得の場合
500万円 × 約20.315%
=
約101万6,000円
短期譲渡所得の場合
500万円 × 約39.63%
=
約198万2,000円
同じ500万円の課税譲渡所得でも、所有期間によって税額が約96万円違う計算です。
※2026年中の一般的な譲渡を想定した概算です。特例・端数処理・個別条件等を考慮した正式な税額ではありません。
「売却益500万円」なら必ず約100万円の税金ではない
ここで注意したいのは、インターネット上で、
「不動産の利益500万円×20%=税金100万円」
と単純計算しないことです。
その500万円が、
- 取得費を差し引く前なのか
- 譲渡費用を差し引いた後なのか
- 3,000万円控除前なのか
- 長期なのか短期なのか
によって税額はまったく違います。
税率を調べる前に「課税譲渡所得がいくらか」を確定する。
これが正しい順番です。
売却損が出た場合はどうなる?
例えば、
売却価格:800万円
取得費:900万円
譲渡費用:50万円
なら、計算上は利益が出ていません。
一般的には譲渡所得税の課税対象となる利益はありません。
ただし、土地・建物の売却損は原則として給与所得などと自由に損益通算できるわけではありません。
一定のマイホーム売却等では特例があるため、該当する可能性がある場合は税理士・税務署へ確認してください。
相続税を払った人は「取得費加算」も確認
相続した空き家について相続税を納めている場合、一定期間内にその不動産を売却すると、相続税の一部を取得費へ加算できる特例があります。
取得費が増えれば、
売却価格-取得費-譲渡費用
の利益部分が小さくなり、税負担を抑えられる可能性があります。
ただし、適用期限・対象者等の条件があります。
また、相続空き家の3,000万円特別控除など、他制度との関係もあるため、どの特例が有利かは個別に確認してください。
税金を計算するために売却前から残す書類
取得費関係
- 購入時の売買契約書
- 建築請負契約書
- 購入時の仲介手数料領収書
- 増改築資料
売却費用関係
- 売却時の仲介手数料領収書
- 測量費の領収書
- 売買契約書
- 印紙税関係資料
- 売却のために行った一定の解体費資料
相続・特例関係
- 相続関係資料
- 被相続人の取得資料
- 空き家特例に必要となる書類
特に実家を片付けるとき、古い売買契約書を捨てないでください。
取得費が実額で確認できるかどうかによって税額が大きく変わる可能性があります。
税金はいつ払う?
土地・建物を売って譲渡所得が発生した場合、原則として売却した年の翌年に確定申告を行います。
国税庁では、通常の譲渡所得の申告期限を、
売却した年の翌年2月16日~3月15日
としています。
例えば、2026年中に岡山の空き家を売却した場合は、原則として2027年に2026年分の確定申告を行います。
実際の年の曜日等によって期限の扱いが変わることがありますので、その年の国税庁案内をご確認ください。
3,000万円控除で税額0円でも確定申告が必要?
特例を利用して課税譲渡所得が0円になる場合でも、特例の適用を受けるために確定申告が必要となるケースがあります。
そのため、
「税金0円だから申告しなくていい」
と自己判断しないようにしてください。
特例は自動的に適用されるとは限りません。
売却前に税額の概算を出す5つの数字
税額を事前に考えるなら、まず次の5つを用意します。
- 想定売却価格
- 取得費
- 想定譲渡費用
- 所有期間・取得時期
- 利用できそうな特別控除
例えば、
想定売却:1,500万円
取得費:500万円
売却費用:100万円
取得時期:1990年
特別控除:要確認
まで分かれば、税理士・税務署へ相談するときにも話が早くなります。
モデルケース|岡山市の相続空き家を1,500万円で売る
税金の流れを整理するためのモデルです。
売却価格:1,500万円
取得費:500万円
譲渡費用:100万円
所有期間:親の取得時期を引き継ぎ長期と仮定
空き家3,000万円特別控除:使えないと仮定
① 譲渡所得
1,500万円-500万円-100万円
=
900万円
② 長期譲渡の概算税率
約20.315%
③ 概算税額
900万円 × 約20.315%
=
約182万8,000円
という計算になります。
※説明用モデルです。実際の税額は取得費の計算、特別控除、各種特例、端数処理等によって変わります。
同じ物件で3,000万円控除が使えたら?
先ほどの控除前譲渡所得は900万円でした。
一定の要件を満たし、最高3,000万円の特別控除を利用できる場合には、
900万円-特別控除
=
課税譲渡所得0円となる可能性
があります。
このように、特例が使えるかどうかで100万円単位の差が出るケースがあります。
税金のためだけに売却を遅らせる前に確認する
短期譲渡から長期譲渡へ変わるまで待てば税率が下がる場合があります。
しかし、空き家の場合は待つ間にも、
- 固定資産税等
- 管理費
- 保険
- 草刈り
- 建物劣化
- 修繕費
が発生します。
さらに相続空き家の特別控除には期限があります。
そのため、
「税率が下がるまで待つ方が得」と税率だけで判断しないことが重要です。
税額差と、待つ期間の維持費・価格変動・特例期限を合わせて比較してください。
よくある質問
Q.空き家が1,000万円で売れたら税金はいくらですか?
売却価格だけでは計算できません。取得費、譲渡費用、所有期間、利用できる特別控除を確認する必要があります。
Q.売却価格全額に約20%かかるのですか?
いいえ。一般的には売却価格から取得費・譲渡費用・利用できる特別控除を差し引いた課税譲渡所得に税率を掛けます。
Q.親から相続した家なので購入金額が分かりません。
まず古い売買契約書・建築請負契約書・領収書等を探してください。実際の取得費が分からない場合などは、売却代金の5%を概算取得費とできる制度があります。
Q.相続して1年で売ったら短期譲渡ですか?
原則としてそうとは限りません。相続した土地・建物は亡くなった方の取得時期を引き継いで長期・短期を判定します。
Q.売却益が500万円なら税金は100万円くらいですか?
長期譲渡で特例等がなければ概算で近い金額になる場合がありますが、その500万円が税務上の「課税譲渡所得」なのかを先に確認する必要があります。
Q.売却して赤字なら税金はかかりませんか?
課税対象となる譲渡所得がなければ、通常その利益に対する譲渡所得税は発生しません。ただし損失の取扱いや他の特例については個別確認が必要です。
Q.相続空き家の3,000万円控除は誰でも使えますか?
いいえ。対象家屋、被相続人の居住状況、相続後の利用、売却時期など細かな条件があります。相続したという理由だけでは適用されません。
Q.特例で税金が0円なら確定申告しなくていいですか?
特例適用のために確定申告が必要となる場合があります。「税額0円=申告不要」と自己判断しないでください。
Q.不動産会社に税額を計算してもらえますか?
不動産会社では売却価格・仲介手数料等を整理できますが、個別の税額計算や税制特例の最終判断は税理士の業務領域です。税務署・税理士へ確認してください。
まとめ|売却益が出たら「税率」より先に利益を正しく計算する
岡山の空き家を売って利益が出た場合、最初に、
「税率は何%?」
と考えがちです。
しかし正しい順番は違います。
① 売却価格
↓
② 取得費を確認
↓
③ 譲渡費用を確認
↓
④ 特別控除を確認
↓
⑤ 課税譲渡所得を計算
↓
⑥ 長期・短期を判定
↓
⑦ 税率を掛ける
です。
2026年中の一般的な土地・建物売却なら、税率の目安は、
- 長期譲渡:約20.315%
- 短期譲渡:約39.63%
ですが、この税率を掛けるのは売却価格そのものではありません。
また相続した空き家では、
- 親の取得費を引き継ぐ
- 親の取得時期も引き継ぐ
- 取得資料がないと概算取得費5%を使うケースがある
- 一定要件で3,000万円特別控除が使える可能性がある
点が重要です。
特に相続した実家では、昔の契約書を探すことと、特別控除が使えるかを確認することから始めましょう。
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