「体調を崩して正社員を辞め、パートになった。手取りが半分になってしまった」
「家賃6万5千円の部屋に住んでいるけれど、このまま払い続けられるだろうか」
「引っ越したほうがいいのは分かっているけれど、引っ越しにもお金がかかる」
収入が大きく減ったとき、毎月の支出の中でいちばん重くのしかかるのが家賃です。とはいえ、すぐに引っ越すのが正解とも限りません。引っ越しには初期費用や引っ越し代がかかりますし、収入が近いうちに戻る見込みがあるなら、今の部屋に住み続けたほうがよいこともあります。
先にお伝えします。判断のポイントは、①収入減が一時的か続くか、②家賃が手取りのどのくらいを占めるか、③引っ越しにかかる費用を何か月で取り戻せるかの3つです。そして岡山市には、住み続けるための家賃補助と、家賃の安い部屋へ移るための転居費用補助という、どちらの選択にも使える制度があります。
この記事では、住み続けるか引っ越すかを決めるための5つの判断軸、引っ越し費用の回収期間の計算方法、今の契約で確認すべきこと、使える制度を、具体的な数字で整理します。
結論|「一時的か」「負担率」「回収期間」の3つで判断する
- 収入減が一時的なら:住み続ける方向で考え、住居確保給付金(家賃補助)などで当面をしのぐ
- 収入減が続くなら:家賃が手取りの3分の1を大きく超えるかどうかを確認し、超えるなら住み替えを検討する
- 引っ越すかどうかは:引っ越しの総費用を、毎月の家賃の差額で何か月で取り戻せるかで考える
- 引っ越すなら:岡山市の住居確保給付金の転居費用補助で、礼金・仲介手数料・保証料・保険料・運搬費などの支援を受けられる場合がある
- 収入が最低生活費を下回るなら:生活保護の相談も視野に。家賃が住宅扶助の上限を超えると、住み替えを相談されることがある
住み続けるか、引っ越すか|5つの判断軸
判断軸① 収入減は一時的か、続くのか
まず考えたいのは、収入がいつ戻りそうかです。病気で休職していて数か月後に復職できる見込みがある、失業給付を受けながら次の仕事が決まりそう、といった場合は、引っ越さずに今の部屋で乗り切るほうが、トータルの出費は少なくなりやすいです。
一方、正社員からパートに働き方が変わった、年金生活に入った、といった収入減が長く続く場合は、家賃の見直しを本格的に考える必要があります。
判断軸② 家賃が手取りのどのくらいを占めるか(家賃負担率)
一般に、家賃は毎月の手取り収入の3分の1以内がひとつの目安と言われます。収入が半分になると、家賃の負担率は一気に2倍になります。
家賃負担率の計算
家賃 ÷ 毎月の手取り収入 × 100 = 家賃負担率(%)
例:家賃65,000円、手取り24万円 → 約27%
収入が半分の12万円になると → 約54%
家賃が手取りの半分を超えると、食費や光熱費、通信費などを払うと手元にほとんど残りません。負担率が3分の1を大きく超え、その状態が続く見込みなら、住み替えを検討する時期です。
判断軸③ 引っ越し費用を何か月で取り戻せるか(回収期間)
引っ越せば毎月の家賃は下がりますが、その前に初期費用や引っ越し代がかかります。そこで、引っ越しの総費用を、毎月の家賃の差額で割って、何か月で元が取れるかを計算してみましょう。
回収期間の計算
引っ越しの総費用 ÷(今の家賃 − 引っ越し先の家賃)= 回収期間(か月)
回収期間が短いほど、引っ越しの効果は大きくなります。たとえば回収期間が1年以内なら、2年、3年と住むうちに、引っ越したことによる節約額がどんどん積み上がっていきます。
判断軸④ 今の契約の状況
同じ引っ越しでも、タイミングによって費用が変わります。今の部屋の賃貸借契約書で、次の点を確認しておきましょう。
- 解約の予告期間:退去の何か月前までに連絡が必要か。1か月前とされていることが多く、その間は今の家賃と新しい家賃が重なることがある
- 更新の時期と更新料:更新料がかかる契約なら、更新の前に引っ越すと更新料を払わずに済むことがある
- 短期解約の違約金:入居から1年未満などで解約すると、違約金がかかる契約もある
- 退去時の費用:クリーニング代や原状回復の費用の目安
判断軸⑤ お金では測れない暮らしの事情
職場や学校への通いやすさ、子どもの学区、通院先、家族の介護、近所の人とのつながり。こうした事情は、家賃の差額だけでは測れません。動けない事情があるなら、同じ地域で家賃の安い部屋を探すなど、事情を守りながら負担を下げる方法を考えましょう。
引っ越し費用と家賃の差額、一緒に計算してみませんか
今の家賃と収入を教えていただければ、住み替え先の家賃の目安と、
引っ越し費用を何か月で取り戻せるかを一緒に考えます。
営業時間 10:00〜18:00/定休日 水曜日・不定休
判断の流れ|4つの質問で整理する
質問1|収入は、半年以内に戻る見込みがありますか?
→ はい:住み続ける方向で考える。家賃補助や支払いの相談で当面をしのぐ
→ いいえ:質問2へ
質問2|家賃は、今の手取りの3分の1以内ですか?
→ はい:住み続けて、家賃以外の支出の見直しから始める
→ いいえ:質問3へ
質問3|引っ越し費用を、おおむね1年以内に取り戻せますか?
→ はい:住み替えを具体的に検討する
→ いいえ:転居費用補助の活用や、更新時期に合わせるなど、費用を下げる方法を考える
質問4|通勤・学校・通院など、地域を変えられない事情はありますか?
→ はい:同じ地域で家賃の安い部屋を探す
→ いいえ:エリアを広げて探すと、選べる部屋が増える
この流れは、考えを整理するためのひとつの目安です。実際には、仕事の見通しや家族の事情などを合わせて判断することになります。
どちらを選んでも使える、岡山市の住居確保給付金
岡山市の住居確保給付金には、住み続けるための「家賃補助」と、家賃の安い部屋へ移るための「転居費用補助」があります。
| 項目 | 家賃補助(住み続ける) | 転居費用補助(引っ越す) |
|---|---|---|
| 対象 | 離職や収入の減少などで住まいを失うおそれがある方 | 収入が大きく減り、家賃の負担を軽くするために家賃の安い部屋へ移る方 |
| 支援の内容 | 家賃月額(単身は上限37,000円)。原則3か月、最大9か月 | 礼金、仲介手数料、保証料、保険料などの初期費用と、家財の運搬費用など |
| 上限の目安(単身) | 月37,000円 | 転居先の住宅扶助額の3倍。37,000円×3=おおむね11万1,000円 |
| 主な要件(単身) | 世帯の収入が92,000円+家賃月額(上限37,000円)以下、預貯金などの合計が55万2,000円以下 など | |
家賃補助は家賃を支える制度なので、引っ越しの初期費用は対象外です。一方の転居費用補助は、引っ越しの初期費用や運搬費を支える制度ですが、敷金は対象として挙げられていない点に注意が必要です。どちらも、利用できるかどうかは相談窓口で確認することになります。
要件と金額は最新の情報をご確認ください
表は岡山市が公表している情報をもとにした目安で、世帯の人数によって要件や上限は変わります。実際の要件や支給額は、岡山市の生活困窮者自立相談支援窓口(無料相談電話 0800-200-8730、平日8時30分〜17時)でご確認ください。
収入が最低生活費を下回るなら、生活保護も
収入が国の定める最低生活費を下回り、貯金も少なくなっている場合は、生活保護の相談も視野に入れましょう。岡山市の単身世帯では、家賃にあたる住宅扶助の上限は37,000円が目安です。今の家賃がこれを超えている場合は、住み替えを相談されることがあります。生活保護を受けながら転居する場合は、賃貸の契約はケースワーカーの確認を受けてから結ぶのが原則です。ケースワーカーは、制度の中で使える道を一緒に探してくれる相手です。
数字でイメージしてみます
例1|収入減が続く場合:家賃65,000円から37,000円の部屋へ
正社員からパートになり、手取りが24万円から12万円になった単身の方の例です。
家賃負担率
今の家賃65,000円 ÷ 手取り12万円 = 約54%
引っ越し先の家賃37,000円 ÷ 手取り12万円 = 約31%
毎月の家賃の差額 = 28,000円
引っ越しの総費用(例)
新しい部屋の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・保証料・火災保険・鍵交換など):約16万円
引っ越し代:約4万円
今の部屋の退去費用(クリーニングなど):約3万円
合計:約23万円
回収期間
23万円 ÷ 28,000円 = 約8か月
転居費用補助が使えた場合
礼金・仲介手数料・保証料・保険料・運搬費などに、上限のおおむね11万1,000円の支援を受けられたとすると
自己負担 = 23万円 − 11万1,000円 = 約11万9,000円
回収期間 = 11万9,000円 ÷ 28,000円 = 約4か月
→ 4か月目以降は、毎月28,000円ずつ暮らしに余裕が生まれる計算
例2|収入減が一時的な場合:住み続けて家賃補助を使う
病気で休職し、収入が大きく減ったものの、医師から3か月後には復職できる見込みと言われている単身の方の例です。今の家賃は50,000円です。
→ 引っ越すと、初期費用や引っ越し代で20万円以上かかることもある
→ 住居確保給付金(家賃補助)の要件を満たせば、上限37,000円の範囲で家賃の補助を受けられる可能性がある
→ 差額の13,000円は自分で払うことになるが、引っ越しにかかる費用と比べれば負担は小さい
→ 3か月で収入が戻る見込みなら、住み続けて乗り切るほうが合理的
数字はあくまで考え方の例です
初期費用や引っ越し代は、物件や時期、荷物の量によって大きく変わります。住居確保給付金の対象になるか、どのくらい支給されるかは、収入や世帯の状況によって異なります。上の例は判断の考え方をイメージしていただくための目安としてお読みください。
気をつけたいこと
貯金が尽きてから引っ越しを考える
初期費用が払えなくなると、選べる部屋が限られます。住み替えを考えるなら、貯金が残っているうちに動き出すほうが選択肢は広がります。
家賃だけで比べる
引っ越し先は、家賃のほかに共益費、駐車場代、光熱費(都市ガスかプロパンガスか)、通勤の交通費も含めた「毎月の総額」で比べましょう。
今の契約を確認せずに解約する
解約の予告期間や短期解約の違約金を見落とすと、思わぬ出費になります。
家賃を滞納してから相談する
滞納が始まると、新しい部屋の審査にも影響することがあります。支払いが難しくなりそうなら、滞納する前に管理会社や相談窓口に連絡しましょう。
よくあるご質問
Q1. 収入が半分になったら、すぐに引っ越したほうがいいですか?
すぐに引っ越すのが正解とは限りません。収入が半年以内に戻る見込みがあるなら、住み続けて家賃補助などでしのぐほうが、トータルの出費は少なくなりやすいです。収入減が続く見込みで、家賃が手取りの3分の1を大きく超えるなら、住み替えを検討する時期です。
Q2. 家賃は収入のどのくらいが目安ですか?
一般に、家賃は毎月の手取り収入の3分の1以内がひとつの目安と言われます。たとえば手取りが12万円なら、家賃はおおむね4万円以内が目安です。収入が半分になると家賃の負担率は2倍になるため、改めて計算してみましょう。
Q3. 引っ越したほうが得かどうかは、どう計算すればいいですか?
引っ越しの総費用(新しい部屋の初期費用、引っ越し代、今の部屋の退去費用)を、今の家賃と引っ越し先の家賃の差額で割ると、何か月で元が取れるか(回収期間)が分かります。回収期間が短いほど、引っ越しの効果は大きくなります。
Q4. 岡山市で、家賃の安い部屋に引っ越す費用の支援はありますか?
住居確保給付金の転居費用補助があります。収入が大きく減り、家賃の負担を軽くするために家賃の安い部屋へ転居する方が対象で、礼金、仲介手数料、保証料、保険料などの初期費用と家財の運搬費用などが支援されます。上限は転居先の住宅扶助額の3倍で、岡山市の単身世帯ならおおむね11万1,000円が目安です。敷金は対象として挙げられていません。
Q5. 今の部屋に住み続けながら使える支援はありますか?
住居確保給付金の家賃補助があります。岡山市の単身世帯の場合、世帯の収入が92,000円+家賃月額(上限37,000円)以下、預貯金などが55万2,000円以下などの要件を満たせば、家賃月額(上限37,000円)が原則3か月、最大9か月支給されます。初期費用は対象外です。
Q6. 引っ越しのタイミングで気をつけることはありますか?
今の契約の解約予告期間(1か月前とされていることが多い)、更新の時期と更新料、短期解約の違約金、退去時の費用を確認しましょう。更新料がかかる契約なら、更新の前に引っ越すと更新料を払わずに済むことがあります。
まとめ
- 収入減が一時的なら、住み続けて家賃補助などで乗り切る
- 収入減が続くなら、家賃負担率(手取りの3分の1が目安)を確認する
- 引っ越しの総費用 ÷ 家賃の差額 = 回収期間で、引っ越しの効果を測る
- 今の契約の解約予告期間、更新時期、違約金、退去費用を確認する
- 通勤・学校・通院など、お金では測れない事情も判断に入れる
- 岡山市の住居確保給付金には、家賃補助と転居費用補助の両方がある
- 転居費用補助は単身でおおむね11万1,000円が上限の目安。敷金は対象として挙げられていない
- 収入が最低生活費を下回るなら、生活保護の相談も視野に入れる
住み続けるか、引っ越すか。どちらが正解かは、人によって違います。大切なのは、なんとなく決めるのではなく、数字と見通しで判断することです。迷ったら、相談窓口や不動産会社に今の状況を伝えて、一緒に計算してみてください。
収入が大きく減ると、「今までの暮らしを続けられない」という現実に向き合うつらさがあります。住み慣れた部屋を離れることに、寂しさや悔しさを感じる方もいらっしゃるでしょう。でも、家賃を暮らしに合った額に整えることは、後ろ向きな選択ではありません。毎月の余裕が生まれれば、気持ちにも余白が戻ってきます。暮らしを立て直すための住み替えは、次の一歩への準備です。
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