「長く塀の中にいた。社会がすっかり変わっていて、部屋の探し方も分からない」
「年齢も60代、70代。家族とも連絡がとれない。こんな自分に貸してくれるところがあるのか」
「年金がいくらもらえるのか、介護が必要になったらどうするのか、何も分からない」
長い服役を終えて社会に戻ると、町並みも、お金の払い方も、部屋の探し方も、入る前とは大きく変わっています。そこに年齢による体の衰えや、頼れる家族がいないという事情が重なると、「この先どこで暮らせばいいのか」と途方に暮れてしまうのは無理もありません。
先にお伝えします。長期服役後で高齢の方でも、住まいを確保する道はあります。ただし、ご本人一人で一般の賃貸を探すのは難しいことが多く、地域生活定着支援センター・福祉事務所・地域包括支援センター・居住支援法人などの「福祉の支え」と組み合わせることが現実的な進め方です。体の状態や収入によっては、一般の賃貸ではなく、養護老人ホームなどの施設が合っている場合もあります。
岡山市には、刑期の長い方を受け入れる岡山刑務所や、長く服役した方の身元を引き受けてきた更生保護施設があり、長期服役後の再出発の地となってきた面があります。この記事では、長期服役後に高齢で住まいを探す方とご家族、支援者の方に向けて、使える支援、住まいの選択肢、賃貸を選ぶときのポイントを、岡山市の不動産会社の立場から整理します。
※前科のある方の部屋探し全体は岡山市で前科があっても部屋は借りられる?、住民票や身分証の手続きは住民票が消えている・身分証がない…出所後に賃貸を借りるための手続きをご覧ください。
結論|長期服役後・高齢の方の住まい探しで押さえたい5つのこと
- 受刑中から「福祉の支え」につなぐ:高齢で帰る先がない場合は、刑務所の福祉専門官を通じて地域生活定着支援センターにつながる仕組みがあります
- 収入を確認する:年金の見込み額を年金事務所で確認し、足りなければ生活保護を相談します
- 体の状態に合った住まいを選ぶ:一般の賃貸、見守りつきの住まい、養護老人ホームなどの施設から考えます
- 大家さんの心配に先に答える:見守り・緊急時の連絡先・残置物の扱いを整えると、受け入れてもらいやすくなります
- 「社会の変化」に慣れる時間も計画に入れる:携帯電話、キャッシュレス、家電など、暮らしの道具の変化に支援者と一緒に慣れていきます
ご本人・ご家族・支援者の方と一緒に考えます。
長期服役後・高齢の方がつまずきやすいこと
| つまずきやすいこと | どういうことか | 頼れる先 |
|---|---|---|
| 頼れる家族がいない | 長い年月で家族と連絡がとれなくなっている、家族も高齢になっている | 地域生活定着支援センター、居住支援法人 |
| 収入の見通しが立たない | 年金がいくらもらえるか分からない、働くのが難しい | 年金事務所、福祉事務所 |
| 体の衰え・病気・介護 | 階段がつらい、持病がある、介護が必要になりそう | 地域包括支援センター、医療機関 |
| 書類がそろっていない | 住民票が消除されている、身分証の期限が切れている | 区役所、支援者 |
| 社会の変化 | スマートフォン、キャッシュレス決済、インターネットでの物件探し、家電の使い方 | 更生保護施設の職員、支援者、不動産会社 |
| 大家さんの心配 | 高齢の一人暮らしでの急病や、亡くなったあとの部屋の片づけ | 居住支援法人の見守り、残置物の取り決め |
岡山県では、刑法犯で検挙された人のうち65歳以上の方が23.7%(2022年)を占め、県の計画でも高齢の方への福祉的な支援が重点課題とされています。また、高齢の方は、刑務所を出たあと2年以内に再び入所する割合が他の世代より高いとされ、住まいと福祉の支えを早く整えることが大切だと考えられています。
受刑中からつながる支援|特別調整と地域生活定着支援センター
高齢または障害があり、出所後に帰る適当な場所がない方については、「特別調整」という手続きがあります。釈放後すぐに福祉サービスなどを受けられるよう、受刑中から福祉関係の機関と調整を進めるものです。
岡山県では、岡山県地域生活定着支援センターが、保護観察所からの依頼を受けて、受け入れ先の施設のあっせんや、福祉サービスの申請の手伝いなどを行っています。県の計画では、特別調整の対象者数やセンターによる支援の件数は増えているとされています。
- 受刑中の方は、刑務所の福祉専門官などの職員に、出所後の生活と住まいの不安を伝えてください
- すでに出所している方や、保護観察中の方は、保護観察所や支援者を通じて相談できます
- 出所後の生活全般は、お住まいの地域の地域包括支援センター(高齢の方の総合相談窓口)でも相談できます
住まいの選択肢を比べる
| 住まい | 向いている方 | 特徴 | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 一般の賃貸(一人暮らし) | 身の回りのことが自分でできる方 | 自由度が高い。見守りや緊急時の体制を整えると借りやすくなる | 不動産会社、居住支援法人 |
| 見守りつきの賃貸(居住サポート住宅など) | 一人暮らしはできるが、急な体調の変化が心配な方 | 居住支援法人などが入居中の見守りを行う。2025年10月から制度が始まった | 不動産会社、居住支援法人 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 見守りや生活相談がほしい方 | 安否確認と生活相談がつく。費用は比較的高めになりやすい | 各住宅、地域包括支援センター |
| 養護老人ホーム | 65歳以上で、住まいや経済的な理由により自宅での生活が難しい方 | 市町村の判断(措置)で入所する。出所した高齢の方の受け入れ先になることもある | 福祉事務所、地域生活定着支援センター |
| 介護の施設(特別養護老人ホームなど) | 介護が必要な方 | 要介護認定が必要。入所の条件は施設の種類によって異なる | 地域包括支援センター、ケアマネジャー |
| 救護施設・無料低額宿泊所など | 生活保護を受けていて、すぐに一人暮らしが難しい方 | 一時的な住まいとして使われることもある | 福祉事務所 |
※一般的な整理です。入所・入居の条件や費用は施設ごとに異なり、必ず受け入れが決まるわけではありません。
どれを選ぶかは、体の状態・収入・ご本人の希望で決まります。「最初は施設で生活を整え、落ち着いたら見守りつきの賃貸へ」のように、段階を踏む方法もあります。
収入と家賃の目安を確認する
まずは年金の見込みを確認
長く服役していた方は、年金を受け取れるか、いくら受け取れるかが分からないことが多くあります。年金事務所で、これまでの加入記録と受け取れる見込み額を確認しましょう。本人確認の書類が必要になるため、住民票や身分証の手続きを先に進めておくとスムーズです。
年金で暮らす場合の家賃の目安
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 家賃(共益費込み) | 30,000円 |
| 食費 | 25,000円 |
| 電気・ガス・水道 | 12,000円 |
| 携帯電話 | 3,000円 |
| 医療・介護の自己負担 | 5,000円 |
| 日用品 | 5,000円 |
| その他(交通費・衣類・予備など) | 10,000円 |
| 合計 | 90,000円 |
家賃は、収入の3分の1(90,000円 ÷ 3 = 30,000円)までを目安にすると、生活に無理が出にくくなります。
※説明のための例です。実際の生活費は、健康状態や暮らし方によって異なります。
年金だけでは足りないとき
年金がない、または少ない場合は、福祉事務所で生活保護を相談できます。年金を受け取っていても、最低限の生活費に足りない分を生活保護で補える場合があります。生活保護を受けて部屋を借りる場合は、家賃は住宅扶助の範囲(岡山市の単身でおおむね37,000円が目安)で探し、ケースワーカーの確認を受けてから契約します。
※保護の扱いや金額は、福祉事務所の判断によります。必ず担当の福祉事務所でご確認ください。
大家さんの心配に先に答える|受け入れてもらいやすくする工夫
高齢の方の一人暮らしで、大家さんが心配するのは主に「急病やもしものときに誰が気づくか」「亡くなったあとの部屋の片づけを誰がするか」「家賃を払い続けられるか」です。過去のことよりも、この3つに答えられるかどうかで、受け入れてもらえるかが大きく変わります。
| 大家さんの心配 | 用意できる答え |
|---|---|
| 急病やもしものときに誰が気づくか | 居住支援法人の見守り、安否確認のサービス、ケースワーカー・ケアマネジャーの訪問、更生保護施設の訪問支援など |
| 亡くなったあとの部屋の片づけ | 居住支援法人などと結ぶ「残置物の処理」の取り決め(国のモデル契約条項がある) |
| 家賃を払い続けられるか | 年金の受け取り口座からの引き落とし、生活保護の代理納付、保証会社の利用 |
| 緊急時の連絡先 | 家族、支援機関、居住支援法人など、了承を得た連絡先 |
2025年10月に施行された改正住宅セーフティネット法では、居住サポート住宅の創設や、終身建物賃貸借(借りる人が亡くなったときに契約が終わる賃貸借)の手続きの簡素化など、高齢の方が借りやすくなる仕組みが整えられました。刑の執行のため刑事施設に収容されていた方も、住まいの確保に配慮が必要な方として明確に位置付けられています。
※制度があっても、すべての物件で利用できるわけではありません。
大家さんが安心できる形を一緒に整えます。
高齢の方が賃貸を選ぶときのチェックポイント
建物と部屋
- 1階、またはエレベーターがある:階段の上り下りは、年齢とともに負担が大きくなります
- 段差が少ない:玄関・浴室・トイレの段差、手すりを付けられるか
- 洋式トイレ:和式は足腰への負担が大きくなります
- 使いやすいコンロ:火の消し忘れが心配な場合は、安全装置つきのコンロやIHを検討
- 家具・家電つきの物件:初期費用を抑えられ、家電選びの負担も減ります
まわりの環境
- 病院・薬局が近い:持病がある方は、通院先からの距離を優先
- スーパーやコンビニが歩いて行ける
- バス停・路面電車の停留所が近い:車を持たない方は、移動手段の確保が大切
- 相談先に通いやすい:福祉事務所、地域包括支援センター、支援者の事務所など
「社会の変化」に慣れるために
長く服役していた方にとって、出所後の暮らしでは、小さな「分からない」が積み重なります。
- 携帯電話:通話と簡単なメッセージから。家族や支援者の連絡先を登録しておく
- お金の払い方:家賃や公共料金は口座からの引き落としにすると、払い忘れを防げます
- 家電の使い方:エアコン・給湯器・洗濯機などは、入居のときに使い方を確認する
- ごみの出し方:岡山市の分別のルールは、入居のときに区役所や管理会社の案内で確認
入居のときに、不動産会社や支援者と一緒に部屋の設備を一つずつ確認しておくと安心です。
ミニクルホームができること
- 地域生活定着支援センター・福祉事務所・地域包括支援センター・居住支援法人などの支援者と連携した部屋探し
- 1階・段差の少ない部屋・病院やスーパーに近い部屋など、高齢の方の暮らしやすさを重視したご提案
- 見守り・緊急連絡先・残置物の取り決めなど、大家さんの心配に答える形の整理
- 生活保護を利用する方の、家賃上限内の物件と見積書のご用意
- 入居のときの設備の使い方の確認、入居後の困りごとのLINE相談
施設の入所や福祉サービスの利用を当社が決めることはできませんが、一般の賃貸が合っているのか、施設なども含めて考えたほうがよいのかを、支援者の方と一緒に考えるお手伝いをします。
よくあるご質問
Q1. 長く服役していた高齢者でも、部屋を借りられますか?
借りられる可能性はあります。ただし、ご本人だけで一般の賃貸を探すのは難しいことが多いため、地域生活定着支援センター・福祉事務所・居住支援法人などの支援と組み合わせて進めるのが現実的です。見守りや緊急時の連絡先、残置物の取り決めを整えると、受け入れてもらいやすくなります。
Q2. 受刑中から、出所後の住まいの相談はできますか?
できます。高齢または障害があり、出所後に帰る適当な場所がない方には「特別調整」という手続きがあり、受刑中から福祉の機関と調整を進めます。刑務所の福祉専門官などの職員に相談してください。
Q3. 年金がいくらもらえるか分かりません。どこで確認できますか?
年金事務所で、これまでの加入記録と受け取れる見込み額を確認できます。本人確認の書類が必要になるため、住民票や身分証の手続きを先に進めておくとスムーズです。
Q4. 年金だけでは家賃が払えません。どうすればいいですか?
福祉事務所で生活保護を相談できます。年金を受け取っていても、最低限の生活費に足りない分を生活保護で補える場合があります。部屋を借りるときは、住宅扶助の範囲で探し、ケースワーカーの確認を受けてから契約します。
Q5. 一人暮らしが不安です。施設に入ることもできますか?
体の状態や収入によって、養護老人ホーム、介護の施設、サービス付き高齢者向け住宅などが選択肢になります。養護老人ホームは、65歳以上で住まいや経済的な理由により自宅での生活が難しい方が、市町村の判断で入所する施設です。福祉事務所や地域包括支援センターに相談してください。
Q6. 亡くなったあとのことを大家さんに心配されます。どうすればいいですか?
居住支援法人などと、亡くなったあとの部屋の荷物の扱い(残置物の処理)について取り決めをしておく方法があります。国がモデル契約条項を示しています。見守りのサービスとあわせて整えると、大家さんの安心につながります。
Q7. 家族と何十年も連絡をとっていません。緊急連絡先がいなくても借りられますか?
緊急連絡先を家族に限らない保証会社や、居住支援法人などが連絡先や見守りを引き受けられる場合があります。支援者と一緒に、引き受けてもらえる先を探しましょう。
まとめ
- 長期服役後で高齢の方でも、福祉の支えと組み合わせれば住まいを確保する道はある
- 受刑中から、特別調整や地域生活定着支援センターにつながることができる
- 年金の見込みを年金事務所で確認し、足りなければ生活保護を相談する
- 一般の賃貸・見守りつきの住まい・養護老人ホームなどから、体と収入に合った住まいを選ぶ
- 見守り・残置物・家賃の払い方を整えると、大家さんに受け入れてもらいやすくなる
長い時間を経て社会に戻り、年齢を重ねた体で新しい暮らしを始めるのは、決して簡単なことではありません。分からないことがあって当たり前です。恥ずかしがらずに、支援者の方や窓口の職員に「分からない」と伝えてください。穏やかに暮らせる部屋を見つけるまで、私たちもできる限りお手伝いします。
高齢の方、保証人のいない方、生活保護を受ける方の部屋探しをお手伝いしている地域の不動産会社です。
ご本人からも、ご家族・支援者の方からもご相談をお受けしています。
対応エリア:岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、玉野市・瀬戸内市・備前市・総社市など周辺エリアもご相談ください。
※記事内の内容は公表資料をもとにした一般的な整理であり、物件の確保・施設への入所・審査の結果を保証するものではありません。
※当社は不動産業者であり、福祉サービス・生活保護・年金・法律についての判断や、交渉の代理はできません。各制度は担当の窓口にご確認ください。
※生活保護を受けて部屋を借りる場合、賃貸の契約はケースワーカーの確認を受けてから結ぶようにしてください。
所在地:〒700-0026 岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号(JR岡山駅西口 徒歩7分)
電話:086-239-3296/FAX:086-239-3323
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LINE:友だち追加して相談する
営業時間:10:00〜18:00/定休日:水曜日・不定休
宅地建物取引業免許:岡山県知事(3)第5473号
業務内容:売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理・空室対策コンサル・不動産投資コンサル・内外装リフォーム・古民家再生・空き家管理及び対策相談・保険代理店
参考にした公的情報
・岡山県|第2次岡山県再犯防止推進計画(高齢者の支援・特別調整・地域生活定着支援センター)
・法務省|岡山刑務所 概要
・国土交通省|住宅セーフティネット法が改正されます(居住サポート住宅・終身建物賃貸借・残置物)
・法務省 中部矯正管区|改正住宅セーフティネット法と刑事施設退所者
※2026年10月時点で確認できた情報をもとにしています。
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※Googleマップに投稿された口コミの一部を、 意味を変えない範囲で抜粋・匿名化して掲載しています。 口コミは個人の感想です。
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