隣地から木の枝が越境してきたら?民法改正と岡山市での対応
隣の空き家から、木の枝がどんどん伸びてくる。落ち葉で樋が詰まる、洗濯物が干せない、電線に触れそうで怖い。何度か声をかけたいけれど、所有者が誰だか分からない——。
岡山市の住宅地、とくに古い住宅地や郊外では、こうしたご相談が実際にあります。
結論からお伝えすると、越境した枝は、原則として勝手に切ることはできません。ただし民法の改正により、一定の場合には自分で切れるようになりました。この記事では、そのルールと手順、そして岡山市ではどう扱われるのかを整理します。
原則は、樹木の所有者に切ってもらうことです。越境を解消する責任は所有者にあります。
ただし改正民法233条3項により、①所有者に催告しても相当の期間内に切除しないとき ②所有者が不明なとき ③急迫の事情があるときは、越境された側が自ら切除できます。
岡山市は、この「相当期間」を2週間程度と案内しています。
根については、従来から自分で切り取ることができます。枝と根で扱いが違う点に注意してください。
そして重要な点として、岡山市は民地どうしの越境樹木について指導できないとしています。困った場合は市の無料法律相談(弁護士)を利用するよう案内されています。
まず原則|勝手に切ると問題になり得ます
隣から伸びてきた枝であっても、その枝は隣地の所有者のものです。自分の敷地にはみ出しているからといって無断で切ると、器物損壊等を問われる可能性があります。
「こちらの敷地に入ってきているのだから」という感覚は自然ですが、法律上はそうなっていません。まずは所有者に切ってもらうよう求めるのが出発点です。
土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
自分で切れる3つの場合
2023年4月1日に施行された改正民法により、一定の場合には越境された側が自ら枝を切除できるようになりました。
次の場合には、土地の所有者はその枝を自ら切り取ることができる。
一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、相当の期間内に切除しないとき
二 竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき
三 急迫の事情があるとき
| 場合 | 内容 | 岡山市の案内 |
|---|---|---|
| ①催告しても対応がない | 所有者に伐採を求めたが、相当の期間が過ぎても切除しない | 相当期間は2週間程度と案内されています |
| ②所有者が不明 | 所有者が誰か分からない、または所在が分からない | 空き家では実際にあり得ます |
| ③急迫の事情 | 倒木や落枝のおそれがあるなど、急を要するとき | 台風前後などが想定されます |
この点について岡山市は「相当期間(2週間程度)」という目安を示しています。自治体が具体的な日数を案内しているのは、判断に迷う方にとって助けになります。
ただしこれは目安です。事案によって適切な期間は変わり得るため、実際に切除する前には専門家への確認をおすすめします。
切れるのは「越境している部分」だけです
「どうせなら根元から」「この際だから全部」はできません。必要な範囲を超えて切ると、それ自体が問題になり得ます。
枝と根で、扱いが違います
| 枝 | 根 | |
|---|---|---|
| 原則 | 所有者に切ってもらう | 自分で切り取れる |
| 根拠 | 民法233条1項・3項 | 民法233条4項 |
| 催告 | 原則として必要(例外あり) | 不要 |
根については、改正前から越境された側が自ら切り取ることができるとされています。枝よりも扱いが緩やかです。
ただし、根を大量に切ることで樹木が枯れたり倒れたりすれば、別の問題が生じ得ます。切る範囲は慎重に判断してください。
岡山市は、越境樹木について指導できません
岡山市は、民地どうしの越境樹木については指導できないとしています。空き家の相談窓口があるからといって、越境した枝を市が切ってくれたり、所有者に命じてくれたりするわけではありません。
市は、困った場合には市の無料法律相談(弁護士)を利用するよう案内しています。
また岡山市は、切除の手順についてトラブルを防ぐため事前に弁護士など法律の専門家に相談するよう案内しています。
一方で、その空き家全体が危険な状態であるなら話は別です。倒壊のおそれ、衛生上の問題、著しく景観を損なっているといった事情があれば、空家法にもとづく市の対応の対象になり得ます。その場合は空家対策推進室(電話 086-803-1410)へご相談ください。
| 状況 | 相談先 |
|---|---|
| 枝が越境している(それ以外は問題なし) | 当事者間の話し合い/市の無料法律相談 |
| 空き家全体が危険な状態(倒壊のおそれなど) | 空家対策推進室 086-803-1410 |
| 枝が道路にはみ出して通行に支障 | 道路管理者 |
| 枝が電線に接触しそう | 電力会社 |
進め方|4つのステップ
所有者を確認する
登記事項証明書を取得すれば、登記上の所有者が分かります。全国どこの法務局でも取得でき、誰でも請求できます。
ただし登記が古いままで、すでに亡くなっている方の名義ということもあります。その場合は「所有者を知ることができない」場合に当たり得るため、専門家にご相談ください。
所有者に切除を求める(催告)
まずは丁寧に伝えてみてください。遠方にお住まいで、木が伸びていることを知らないだけというケースは少なくありません。
- 写真を添える——状態が伝わらないと動いてもらえません
- 書面で残す——後に「自分で切る」判断をする場合、催告した記録が重要になります
- 配達記録の残る方法も検討——事案によっては、内容証明郵便などが使われることもあります
- いつまでに対応してほしいかを伝える——岡山市の案内では相当期間は2週間程度とされています
最初から強い書き方をすると、相手も身構えます。「お知らせしておこうと思って」くらいの温度から始めるほうが、結果的に早く解決します。
対応がなければ、切除を検討する
相当の期間が過ぎても対応がない場合、自ら切除することが可能になり得ます。
ただし岡山市は、トラブル防止のため事前に弁護士など法律の専門家に相談するよう案内しています。自己判断で進める前に、一度確認しておくのが安全です。
作業の際は、切る前と切った後の写真を撮っておいてください。どこまで切ったかの記録になります。
費用の扱いを確認する
自ら切除した場合の費用を所有者に請求できるかについては、請求できる余地があると考えられていますが、争いになることもあります。
金額が大きくなる場合(高木の伐採、高所作業車が必要な場合など)は、作業前に弁護士へ相談しておくことをおすすめします。見積書と領収書は必ず保管してください。
こんなときは、どうなる?
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 竹木が共有の場合 | 各共有者が、その枝を切り取ることができるとされています |
| 落ち葉が大量に落ちてくる | 落ち葉そのものを理由に切除を求められるかは、状況により判断が分かれます。樋の詰まりなど実害があれば、その事実を伝えてください |
| 果実が落ちてくる | 枝の越境として扱うか、別の問題として扱うかは事案によります |
| 切った枝の処分 | 誰が負担するかは争いになり得ます。事前に話し合えるのが理想です |
| 日照を遮っている | 越境しているかどうかとは別の問題として扱われます |
※いずれも個別の事情により結論が異なります。判断に迷う場合は弁護士にご相談ください。
逆の立場なら|自分の空き家の木が越境している場合
この記事を読まれている方の中には、ご自身が所有者側という方もいらっしゃるかもしれません。
岡山市は、樹木の所有者に対して次のように呼びかけています。
- 越境しないよう、定期的に剪定・管理する
- 越境の申し出があれば、速やかに対応する
- 放置して生活環境や安全に支障を生じさせない
草木が伸び放題の状態が続くと、空家法にもとづく「管理不全空家等」や「特定空家等」と判断される要素になり得ます。勧告を受けると住宅用地の特例から除外され、土地の固定資産税が上がります。さらに岡山市の除却補助は、勧告を受けた特定空家等を対象から除いています。
枝が落ちて人や物に損害を与えた場合、所有者として責任を問われる可能性もあります。
年に2回程度の剪定で防げることが、放置すると取り返しのつかない負担になります。
やってはいけないこと
- 無断で切る——条件を満たさないまま切ると、器物損壊等を問われる可能性があります
- 無断で敷地に入る——枝を切るために隣地へ立ち入ることも、原則として承諾が必要です
- 必要な範囲を超えて切る——越境部分を超えて切ると問題になり得ます
- 記録を残さない——催告した事実や作業の前後が分からないと、後で説明できません
- 感情的に押しかける——関係が悪化すると、解決は遠のきます
よくある質問
- Q. 隣から越境してきた枝は、勝手に切ってもいいですか?
- A. 原則として切れません。まず樹木の所有者に切除を求めるのが基本です。ただし改正民法233条3項により、催告しても相当の期間内に切除しないとき、所有者が不明なとき、急迫の事情があるときは、自ら切り取ることができます。
- Q. 「相当の期間」とはどのくらいですか?
- A. 条文には明記されていませんが、岡山市は相当期間について2週間程度と案内しています。ただし目安であり、事案によって適切な期間は変わり得ます。
- Q. 根も同じルールですか?
- A. 違います。根については、改正前から越境された側が自ら切り取ることができるとされています。催告も不要です。ただし樹木が枯れたり倒れたりするほど切ると別の問題が生じ得るため、範囲は慎重に判断してください。
- Q. 岡山市に言えば、越境した枝を切ってもらえますか?
- A. もらえません。岡山市は民地どうしの越境樹木については指導できないとしており、困った場合は市の無料法律相談の利用を案内しています。ただし空き家全体が危険な状態であれば、空家法にもとづく市の対応の対象になり得ます。
- Q. 切除した費用は所有者に請求できますか?
- A. 請求できる余地があると考えられていますが、争いになることもあります。金額が大きくなる場合は作業前に弁護士へ相談し、見積書と領収書を保管しておいてください。
- Q. 所有者が誰か分かりません。
- A. 登記事項証明書を取得すれば登記上の所有者が分かります。全国どこの法務局でも取得でき、誰でも請求できます。それでも所在が分からない場合は「所有者を知ることができない」場合に当たり得るため、弁護士にご相談ください。
- Q. 岡山市外(倉敷市・玉野市・瀬戸内市など)でも同じですか?
- A. 民法のルールは全国共通です。ただし自治体の案内や無料法律相談の有無は異なるため、所在地の自治体にご確認ください。
その木がある空き家、持ち主が困っているかもしれません
越境した枝のご相談をお受けしていて感じるのは、所有者の方も困っていることが多い、ということです。県外にお住まいで通えない、高齢で木に登れない、どこに頼めばいいか分からない。悪意で放置しているケースは、実はそれほど多くありません。
ミニクルホームは、JR岡山駅西口から徒歩7分の奉還町にある不動産会社です。空き家の管理・活用から売買仲介まで対応しており、草木の管理を含む定期巡回もお受けしています。
もしご自身が空き家をお持ちで、「木が伸びているかもしれない」と気になっているなら、現況を確認してご報告できます。県外にお住まいでも、写真つきでお伝えしますので現地に行く必要はありません。
無理に売却をおすすめすることはありません。「どうなっているか見てきてほしい」というご依頼からで構いません。
LINEで相談する(無料) 電話で相談する 086-239-3296
株式会社ミニクルホーム
岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号(JR岡山駅西口 徒歩7分)
TEL:086-239-3296
※本記事は民法、法務省および岡山市の公表情報、当社の実務経験にもとづき、一般的な考え方を整理したものです(2026年10月時点)。当社は法律事務所ではなく、個別の法律判断を行う立場にはありません。越境樹木の扱いは個別の事情により結論が異なります。実際に切除を行う前には、岡山市も案内しているとおり弁護士など法律の専門家にご相談ください。岡山市の無料法律相談や空き家に関する相談は、建築指導課 空家対策推進室(電話 086-803-1410)または市の相談窓口へお問い合わせください。
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Googleマップへ寄せられたミニクルホームのお客様の声を、 プライバシーに配慮して一部抜粋・匿名化してご紹介します。
※Googleマップに投稿された口コミの一部を、 意味を変えない範囲で抜粋・匿名化して掲載しています。 口コミは個人の感想です。
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