「冬なのに、給湯器が壊れてお湯が出なくなった」
「エアコンが動かない。修理代を自分で払うお金はない」
「生活保護を受けているけれど、修理代は保護費から出るのだろうか」
住んでいる部屋の設備が急に壊れると、暮らしが一気に不便になります。そのうえ、「修理代を請求されたらどうしよう」と考えると、管理会社に連絡するのをためらってしまう方もいるかもしれません。
先にお伝えします。賃貸の部屋の設備がふつうに使っていて壊れた場合、修理するのは原則として大家さん(貸主)です。民法でも、貸主には部屋を使えるように修繕する義務があると定められています。一方、借主の不注意で壊した場合や、前の入居者が残していった物(残置物)、契約で借主負担と決めている小さな修理などは、借主の負担になることがあります。
この記事では、修理費を誰が払うかの考え方、壊れたときの対応の流れ、生活保護を受けている方が使える住宅維持費、設備ごとの考え方を整理します。
この記事の立場について
当社は不動産会社として、入居者・大家さんのどちらの立場でも賃貸に関わっています。修理費の負担は、故障の原因や契約の内容によって決まるため、この記事では一般的な考え方と、トラブルにならないための進め方をお伝えします。個別の負担の判断や、法的な判断を行うものではありません。
結論|まず管理会社へ。ふつうの故障は貸主が修理するのが原則
- ふつうに使っていて壊れた:原則として大家さん(貸主)が修理する
- 借主の不注意や故意で壊した:借主の負担になる。火災保険の補償が使える場合もある
- 前の入居者の残置物:大家さんに修理の義務がないことが多い
- 契約で借主負担とされた小さな修理:電球やパッキンの交換などは、借主負担と決められていることがある
- 最初にすること:自分で業者を呼ぶ前に、写真を撮って管理会社に連絡する
- 生活保護の方:借主の負担になりそうな修理は、支払う前にケースワーカーへ。住宅維持費の対象になる場合がある
修理費は誰が払う?4つのパターン
| 壊れた原因・状況 | 負担の目安 | 例 |
|---|---|---|
| ① ふつうに使っていて壊れた(経年劣化など) | 大家さん | 古くなった給湯器やエアコンの故障、配管の水漏れ |
| ② 借主の不注意・故意で壊した | 借主 | 物を落として洗面台を割った、異物を流してトイレが詰まった |
| ③ 前の入居者が残した物(残置物) | 借主になることが多い | 「残置物」とされているエアコンや照明 |
| ④ 契約で借主負担とされた小さな修理 | 借主 | 電球や蛍光灯、水道のパッキンの交換など |
民法では、貸主は部屋を使えるように修繕する義務を負い、借主の責任で修繕が必要になった場合はその限りではない、と定められています(民法第606条)。ただし、実際の負担は、故障の原因と契約書・重要事項説明書の内容によって決まります。自分で判断せず、まず管理会社に相談しましょう。
設備が壊れたときの対応の流れ
ステップ1|まず安全を確保する
水漏れなら止水栓を閉める、ガスのにおいがするならガス会社に連絡する、電気の異常なら使用をやめる。被害が広がらないようにすることが最優先です。
ステップ2|写真や動画で記録する
壊れた場所や状態を、写真や動画で残しておきます。いつから、どんな様子だったかもメモしておきましょう。退去のときのトラブル防止にも役立ちます。
ステップ3|管理会社・大家さんに連絡する
どの設備が、いつから、どんな状態か、原因の心当たりがあるかを伝えます。夜間や休日の連絡先が決まっている物件もあるため、契約書や入居時の案内を確認しましょう。
ステップ4|修理の手配は管理会社に任せる
自分で業者を呼んで修理すると、本来は大家さんが負担するはずの費用でも、払ってもらえなくなることがあります。修理の手配は、管理会社や大家さんに任せましょう。
ステップ5|費用の負担を確認する
借主の負担と言われた場合は、その理由(故障の原因、契約のどの条項によるか)を確認しましょう。見積書をもらっておくと安心です。
ステップ6|生活保護の方は、支払う前にケースワーカーへ
借主の負担になりそうな修理は、支払う前に見積書を持ってケースワーカーに相談してください。住宅維持費の対象になる場合があります。
設備の故障や修理費のこと、ご相談ください
当社が管理・仲介した物件にお住まいの方は、修理の手配もお任せください。
それ以外の方も、管理会社への伝え方などのご相談を承ります。
営業時間 10:00〜18:00/定休日 水曜日・不定休
なかなか修理してもらえないとき
連絡してもなかなか修理が進まないときは、もう一度、日付を入れたメールや書面で連絡し、やりとりの記録を残しましょう。
民法では、借主が修繕の必要を貸主に伝えたのに相当の期間内に修繕されない場合や、急を要する事情がある場合には、借主が自分で修繕できると定められています(民法第607条の2)。ただし、費用の負担をめぐってトラブルになることもあるため、自分で修繕する前に、管理会社と書面で確認しておくことが大切です。判断に迷う場合は、岡山市消費生活センター(消費者ホットライン188)などの公的な相談窓口を利用できます。
生活保護の方の「住宅維持費」
住まいの修理に使える住宅扶助
生活保護の住宅扶助には、毎月の家賃とは別に「住宅維持費」があります。国の通知では、現に住んでいる家屋の畳、建具、水道設備、配電設備などの修理や、家屋の補修その他の維持のために費用が必要な場合に認められるとされています。修理の規模は、最低限度の生活にふさわしい程度とされ、年額の上限があります。上限額は年度によって改定されるため、福祉事務所で確認してください。
賃貸では、まず大家さんの修理が基本
賃貸住宅では、ふつうに使っていて壊れた設備は大家さんが修理するのが基本です。そのため、住宅維持費が関わるのは、契約で借主負担とされた修理など、借主が負担することになる場合が中心になると考えられます。対象になるかどうかは、福祉事務所が判断します。
相談の仕方
- 支払う前に相談する:修理を済ませてからでは、認められにくくなることがある
- 見積書を持っていく:何の修理で、いくらかかるかが分かるもの
- 管理会社とのやりとりを伝える:なぜ借主の負担になるのか(故障の原因、契約の条項)
- 写真を見せる:壊れた状態が分かるもの
自分の不注意で壊してしまったとき
入居のときに加入した火災保険に、借家人賠償責任補償や個人賠償責任補償が付いていれば、修理費の一部または全部が補償される場合があります。保険証券を確認し、保険会社に問い合わせてみましょう。生活保護を受けている方は、あわせてケースワーカーにも相談してください。ケースワーカーは、制度の中で使える道を一緒に探してくれる相手です。
判断するのは福祉事務所です
住宅維持費の対象になるか、どこまで認められるかは、修理の内容や世帯の状況を見て福祉事務所が判断します。必ず事前に、担当のケースワーカーへご確認ください。
設備ごとの考え方の目安
| 設備 | 考え方の目安 |
|---|---|
| エアコン | 部屋の「設備」なら、ふつうの故障は大家さんの負担が原則。「残置物」とされている場合は借主負担になることが多い。重要事項説明書で確認 |
| 給湯器 | 古くなっての故障は、大家さんの負担が原則 |
| トイレの詰まり | 配管の老朽化なら大家さん、異物を流したなど使い方が原因なら借主の負担になることが多い |
| 電球・蛍光灯・パッキン | 契約で借主負担の小修繕とされていることが多い |
| 網戸・障子・ふすま | 古くなっての傷みか、破ってしまったかで変わる |
| 鍵 | 鍵の紛失による交換は、借主の負担になることが多い |
表はあくまで一般的な目安です。実際の負担は、故障の原因と契約の内容で決まるため、必ず管理会社に確認してください。
入居前・入居時にできる備え
- 設備か残置物かを確認する:重要事項説明書で、エアコンや照明などが「設備」か「残置物」かを確かめる
- 入居時に写真を撮る:もともとあった傷や不具合を記録し、管理会社にも伝えておく
- 小修繕の特約を確認する:契約書で、借主負担の修理が何かを確認しておく
- 火災保険の内容を確認する:借家人賠償責任補償や個人賠償責任補償が付いているか
- 緊急時の連絡先を控える:夜間・休日の連絡先を、すぐ見られる場所に貼っておく
具体例でイメージしてみます
例1|冬に給湯器が壊れた(生活保護を受けている単身の方)
→ 写真を撮り、すぐに管理会社に連絡
→ 設置から年数がたっていたことによる故障と分かり、大家さんの負担で交換されることに
→ 本人の支払いはなし。ケースワーカーには、念のため状況を報告
例2|うっかり物を落として洗面台を割ってしまった
→ 管理会社に連絡すると、借主の不注意によるものなので借主の負担になると説明を受け、見積書をもらう
→ 火災保険の証券を確認すると、借家人賠償責任補償が付いていたため、保険会社に問い合わせ
→ 生活保護を受けているため、保険で補償されない分の扱いを、支払う前に見積書を持ってケースワーカーに相談
これはあくまで一例です
修理費の負担は、故障の原因や契約の内容によって変わります。保険で補償されるかどうかは、保険の契約内容によります。住宅維持費の扱いは福祉事務所が判断します。
よくあるご質問
Q1. 賃貸の設備が壊れたら、修理費は誰が払いますか?
ふつうに使っていて壊れた場合(経年劣化など)は、原則として大家さん(貸主)が修理します。民法でも、貸主には部屋を使えるように修繕する義務があると定められています。一方、借主の不注意や故意で壊した場合、前の入居者の残置物、契約で借主負担とされた小さな修理は、借主の負担になることがあります。
Q2. 設備が壊れたら、自分で業者を呼んでもいいですか?
まずは管理会社や大家さんに連絡し、修理の手配を任せましょう。自分で業者を呼んで修理すると、本来は大家さんが負担するはずの費用でも、払ってもらえなくなることがあります。水漏れなどの緊急時は、止水栓を閉めるなど被害を広げない対応をしたうえで、すぐに連絡してください。
Q3. 生活保護を受けていると、修理費は保護費から出ますか?
住宅扶助には住宅維持費があり、現に住んでいる家屋の畳、建具、水道設備、配電設備などの修理や補修に費用が必要な場合に認められることがあります。賃貸ではふつうの故障は大家さんの修理が基本のため、主に借主の負担になる修理の場面で関わります。支払う前に、見積書を持ってケースワーカーに相談してください。
Q4. 自分の不注意で壊してしまいました。どうすればいいですか?
管理会社に正直に伝え、見積書をもらいましょう。入居時に加入した火災保険に借家人賠償責任補償や個人賠償責任補償が付いていれば、修理費が補償される場合があります。生活保護を受けている方は、支払う前にケースワーカーにも相談してください。
Q5. 管理会社に連絡しても、なかなか修理してくれません。
日付を入れたメールや書面でもう一度連絡し、記録を残しましょう。民法では、修繕の必要を伝えたのに相当の期間内に修繕されない場合などに、借主が自分で修繕できると定められていますが、費用をめぐるトラブルを避けるため、事前に管理会社と書面で確認することが大切です。判断に迷う場合は、岡山市消費生活センター(消費者ホットライン188)などに相談できます。
Q6. エアコンが壊れたら、大家さんが修理してくれますか?
エアコンが部屋の「設備」として貸し出されている場合、ふつうに使っていての故障は大家さんの負担で修理するのが原則です。前の入居者が残していった「残置物」とされている場合は、大家さんに修理の義務がないことが多いです。重要事項説明書で、設備か残置物かを確認しましょう。
まとめ
- ふつうに使っていて壊れた設備は、原則として大家さんが修理する
- 借主の不注意、残置物、契約で決めた小さな修理は、借主の負担になることがある
- 壊れたら、安全を確保し、写真を撮り、まず管理会社に連絡する
- 自分で業者を呼ばず、修理の手配は管理会社に任せる
- 生活保護の方は、借主負担になりそうな修理は支払う前にケースワーカーへ
- 住宅維持費は、畳・建具・水道設備・配電設備などの修理に使える場合がある
- 自分の不注意なら、火災保険の補償を確認する
- 入居時に、設備か残置物か、小修繕の特約、保険の内容を確認しておく
設備が壊れたときに大切なのは、修理代を心配して連絡をためらわないことです。ふつうの故障なら、多くの場合は大家さんの負担で直してもらえます。早く伝えるほど、被害も小さく、話も進みやすくなります。
「修理代を請求されたら払えない」という不安から、壊れたままの設備を我慢して使い続けている方もいらっしゃいます。でも、お湯が出ない、暖房が使えないといった状態は、体にも心にも負担になります。我慢する必要はありません。困ったときは、まず連絡すること。それが、安心して暮らし続けるためのいちばんの近道です。
設備の不具合、住まいの困りごとはご相談ください
ミニクルホームは、岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、賃貸物件の仲介・管理を行っている不動産会社です。生活保護を受給されている方のお部屋探しもお手伝いしています。
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そのほかの方:管理会社への伝え方や、設備の不具合が続いて住み替えを考えている方のご相談も承ります。
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※ 記事内の内容は一般的な考え方の整理であり、個別の修理費の負担を判断するものではありません。実際の負担は、故障の原因と契約の内容によって決まります。住宅維持費の扱いは担当のケースワーカー・お住まいの区の福祉事務所に、保険の補償は保険会社にご確認ください。
※ 当社は不動産業者であり、法的な判断や、当事者の一方に立った交渉の代理は行えません。法的な疑問は、消費生活センターや法テラスなどの公的な相談窓口へご相談ください。
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