法律が変わったと聞いたけれど、自分のアパートに何か関係があるのか」
高齢の方からの問い合わせが増えているが、貸して大丈夫なのか」
居住サポート住宅という言葉を聞くが、登録しないといけないのか」
2025年10月に改正住宅セーフティネット法が施行されてから、岡山の大家さんからこうしたご質問をいただくことが増えました。
先にお伝えしておくと、この改正は、大家さんが貸しやすくなるための仕組みづくりが中心です。そして、制度を使うかどうかは大家さんが選べます。 使わない大家さんに、新しい義務が課されたわけではありません。
改正住宅セーフティネット法は2025年10月1日に施行されました。大家さんに関わる変更は、①居住サポート住宅の認定制度(居住支援法人などが見守りを行う住宅)、②認定家賃債務保証業者(要配慮者の保証を正当な理由なく断らない保証会社)、③終身建物賃貸借の手続きの簡素化、④残置物の処理(居住支援法人の業務に追加)、⑤居住支援協議会(地域の相談の場)の5つに整理できます。いずれも、孤独死・残置物・家賃滞納といった大家さんの不安を減らすための仕組みです。認定や登録は義務ではなく、使うかどうかは大家さんが選べます。岡山市の窓口は住宅課 計画係(086-803-1466)です。
まず、全体像
改正住宅セーフティネット法は、2024年6月5日に公布され、2025年10月1日に施行されました。国土交通省は、改正の柱を3つ示しています。
- 大家が賃貸住宅を提供しやすく、住宅確保要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備
- 居住支援法人等が入居中のサポートを行う賃貸住宅の供給促進
- 住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化
「住宅確保要配慮者」とは、高齢の方、障害のある方、ひとり親の世帯、生活に困っている方など、住まいを探すときに断られやすい方のことです。
注目していただきたいのは、柱の1つめが「大家が賃貸住宅を提供しやすく」となっている点です。高齢の方などに貸すことをためらう理由として、大家さんの側には孤独死、残置物、家賃滞納への不安があります。改正は、その不安を制度で減らそうとするものです。
5つのポイント|早見表
| ポイント | 何が変わったか | 大家さんにとって | 詳しくは |
|---|---|---|---|
| ① 居住サポート住宅 | 居住支援法人などが安否確認・見守り・福祉へのつなぎを行う住宅を、市区町村長などが認定する制度ができた | 見守りを外部と分担できる。生活保護の方の家賃は原則として代理納付に | 既公開記事 |
| ② 認定家賃債務保証業者 | 要配慮者の保証を正当な理由なく断らないなどの基準を満たす保証会社を、国が認定する制度ができた | 保証会社を選ぶときの目安になる | 制作予定 |
| ③ 終身建物賃貸借 | 認可が「住宅ごと」から「事業者として1回」に簡素化された | 入居者が亡くなったときに契約が終わる契約を使いやすくなった | 制作予定 |
| ④ 残置物の処理 | 居住支援法人の業務に、入居者からの委託による残置物の処理が加わった | 亡くなった後の家財の片付けを任せられる先が増えた | 既公開記事 |
| ⑤ 居住支援協議会 | 市区町村に設置の努力義務が課された | 地域で相談できる場が広がる | 既公開記事 |
ここから、それぞれを順に説明します。
ポイント1|居住サポート住宅の認定制度ができた
居住サポート住宅(法律上の名称は「居住安定援助賃貸住宅」)は、居住支援法人などが大家さんと連携して、入居中の次のようなサポートを行う賃貸住宅です。
- ICTなどによる安否確認、訪問などによる見守り
- 生活や心身の状況が不安定になったときの福祉サービスへのつなぎ
こうした計画を、市区町村長(福祉事務所を設置している市区町村の長)などが認定します。岡山市の窓口は住宅課です。
大家さんにとっての意味は、入居中の見守りを外部の専門の団体と分担できることです。「異変に気づけるか心配」という不安に、仕組みで応えるものです。
あわせて、入居者が生活保護を受けている場合、住宅扶助費(家賃)と共益費は、原則として代理納付(福祉事務所から大家さんに直接支払われる形)になります。
認定までの流れや、空室対策としての考え方は、既公開の記事「居住サポート住宅とは?岡山市の大家さんが知っておきたい認定制度としくみ」で詳しく書いています。
ポイント2|認定家賃債務保証業者の制度ができた
家賃債務保証業者(いわゆる保証会社)には、2017年から国の登録制度がありました。今回の改正で、それに加えて国土交通大臣による認定制度ができました。
認定を受けた保証会社は、次のような基準を満たす必要があります。
- 居住サポート住宅に入居する要配慮者の保証を、正当な理由なく断らない
- 緊急連絡先を親族などの個人に限定しない(法人も可)
- 保証人の設定を条件としない
- 要配慮者との契約にかかる保証料が不当に高くない
さらに、認定を受けた保証会社は、住宅金融支援機構の家賃債務保証保険(保険割合は最大9割)を利用でき、要配慮者を保証するリスクが軽減されます。
大家さんにとっての意味は、身寄りのない方や緊急連絡先を用意しにくい方の申し込みがあったときに、「保証会社が見つからないから断る」という場面が減ることです。保証会社を選ぶときに「認定を受けているかどうか」がひとつの目安になります。
保証会社の選び方は、別の記事で詳しく書く予定です。
ポイント3|終身建物賃貸借の手続きが簡素化された
終身建物賃貸借は、入居者が亡くなるまで続き、亡くなったときに終了する賃貸借契約です。通常の賃貸借と違い、契約が相続されません。
通常の賃貸借では、入居者が亡くなると、賃借人の地位は相続人に引き継がれます。契約を終わらせるには相続人を探して解約の手続きをする必要があり、身寄りのない方の場合、ここで大家さんが困ることになります。終身建物賃貸借なら、相続人を探して契約を解除する必要がありません。
対象になるのは、60歳以上で、単身、または配偶者や60歳以上の親族と同居する方です。
この契約を使うには認可が必要ですが、これまでは住宅ごとに認可を申請する必要があり、手間が大きいことが普及の妨げになっていました。改正で、事業者として1回認可を受け、対象の住宅は届け出る形に簡素化されました。
岡山市内の物件の認可は岡山市が行います(窓口は岡山市住宅課 計画係)。岡山県が認可するのは、岡山市と倉敷市以外の市町村の物件です。
終身建物賃貸借の仕組みと手続きは、別の記事で詳しく書く予定です。
ポイント4|残置物の処理を任せられる先が増えた
入居者が亡くなったあとの家財(残置物)は、法律上は相続人のものです。大家さんが勝手に処分することはできず、相続人が見つからないと部屋を次の方に貸せない。これが、高齢の方に貸すことをためらう大きな理由でした。
これについては、2021年6月に国土交通省と法務省が「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しています。入居者が生前に受任者を決めておき、亡くなったあとに受任者が契約の解除と残置物の処理を行う、というひな形です。
今回の改正では、居住支援法人の業務に、入居者からの委託にもとづく残置物の処理が加わりました。 受任者を引き受ける先として、居住支援法人を位置づけたということです。
モデル契約条項の仕組みと、大家さんが導入するときの実務は、既公開の記事「孤独死・残置物が怖くて高齢者に貸せない大家さんへ」で詳しく書いています。
ポイント5|居住支援協議会が身近になる
居住支援協議会は、自治体、不動産関係団体、居住支援法人などが集まり、要配慮者の入居を支えるための「つながりの場」です。改正で、市区町村に設置の努力義務が課されました。
岡山県には、平成24年度に設立された岡山県居住支援協議会があり、相談支援や研修会などを行っています。事務局は岡山県宅地建物取引業協会です。また、岡山県が指定する居住支援法人は21法人(2026年7月時点)あります。
居住支援法人とどう組むか、最初にどこへ問い合わせるかは、既公開の記事「岡山県で居住支援法人と組むには」で詳しく書いています。
変わらないこと|誤解しやすい3つの点
改正の話をすると、次のような誤解をいただくことがあります。
誤解1「登録や認定をしないといけなくなった」
いいえ。居住サポート住宅の認定も、セーフティネット住宅の登録も、大家さんが選んで申請するものです。義務ではありません。制度を使わない大家さんに、新しい義務が課されたわけではありません。
誤解2「高齢の方や生活保護の方の入居を断れなくなった」
一般の賃貸住宅について、そうした義務が生じたわけではありません。セーフティネット住宅として登録した住宅は、登録した範囲の要配慮者の入居を拒まないことが前提になりますが、それは大家さんが登録を選んだ場合の話です。
誤解3「これで孤独死や滞納のリスクがなくなる」
リスクがゼロになるわけではありません。見守り、保証、契約、残置物の処理について、大家さんひとりで抱えずに済む仕組みができた、というのが正確なところです。
大家さんの状況別|どこから考えるか
| こんな状況なら | まず見るポイント |
|---|---|
| 空室が長く続いていて、入居者の幅を広げたい | ポイント1(居住サポート住宅)、ポイント2(保証会社) |
| 高齢の方から問い合わせがあり、迷っている | ポイント2(保証会社)、ポイント4(残置物) |
| すでに高齢の入居者がいて、将来が心配 | ポイント4(残置物)、ポイント5(居住支援法人) |
| 生活保護の方の入居の相談が来ている | ポイント1(代理納付の原則化) |
| 60歳以上の方に長く住んでもらいたい | ポイント3(終身建物賃貸借) |
岡山の窓口
| 窓口 | 相談できること | 連絡先 |
|---|---|---|
| 岡山市 都市整備局 住宅・建築部 住宅課 計画係 | 岡山市の住宅セーフティネット制度、居住サポート住宅 | 086-803-1466 |
| 岡山県 住宅課 | 岡山県の住宅セーフティネット制度、居住支援法人の指定 | 086-226-7527 |
| 岡山県居住支援協議会(事務局:岡山県宅地建物取引業協会) | 相談支援、居住支援法人の一覧 | 086-222-2131 |
| 国の情報提供システム | 居住サポート住宅、セーフティネット登録住宅の検索・登録 | 各システムのウェブサイト |
当社にできること・できないこと
当社は、岡山市北区奉還町で賃貸管理・仲介を行っている不動産会社です。この制度に関して、次のことをお手伝いできます。
- 空室の状況と物件の条件から、制度を使うかどうかの整理
- 居住支援法人との橋渡し
- 要配慮者の方に対応できる保証会社の選定
- 入居者の募集と、入居後の管理
- 残置物のモデル契約条項を使う場合の、契約書類の準備
一方、居住サポート住宅の認定の可否の判断、見守りや福祉サービスの提供、法的な判断は当社では行えません。 認定は市区町村などが、見守りは居住支援法人などが、法的な判断は弁護士などが行います。当社は、大家さんとそれぞれの窓口をつなぐ役割です。
この分野の記事
公開済み(大家さん向け)
- 居住サポート住宅とは?岡山市の大家さんが知っておきたい認定制度としくみ
- 孤独死・残置物が怖くて高齢者に貸せない大家さんへ|法改正で何が変わったか
- 岡山県で居住支援法人と組むには|大家が最初に問い合わせる先
制作予定
- 終身建物賃貸借とは?|高齢の入居者に貸す大家さんの契約の選択肢と改正後の手続き
- 認定家賃債務保証業者とは?|岡山の大家さんが保証会社を選ぶときに変わったこと
- セーフティネット登録住宅と居住サポート住宅の違い|岡山の大家さんはどちらを選ぶ?
- 居住サポート住宅に認定された後の大家の役割|安否確認・支援法人との分担・費用
入居者の方・ご家族向け
よくあるご質問
改正住宅セーフティネット法はいつから施行されていますか。
2025年10月1日に施行されました。公布は2024年6月5日です。大家さんが賃貸住宅を提供しやすい環境の整備、居住支援法人などが入居中のサポートを行う住宅の供給促進、住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化の3つが柱です。
大家として、何か新しくしなければならないことはありますか。
義務として新しく課されたことはありません。居住サポート住宅の認定も、セーフティネット住宅の登録も、大家さんが選んで申請するものです。制度を使うかどうかは大家さんが決められます。
居住サポート住宅とは何ですか。
居住支援法人などが大家さんと連携して、ICTなどによる安否確認、訪問などによる見守り、福祉サービスへのつなぎを行う賃貸住宅です。市区町村長などがその計画を認定します。入居者が生活保護を受けている場合は、家賃と共益費が原則として代理納付になります。岡山市の窓口は住宅課 計画係(086-803-1466)です。
認定家賃債務保証業者とは何ですか。
国土交通大臣の認定を受けた保証会社です。居住サポート住宅に入居する要配慮者の保証を正当な理由なく断らない、緊急連絡先を親族などの個人に限定しない、保証人の設定を条件としない、保証料が不当に高くない、といった基準を満たしています。保証会社を選ぶときの目安になります。
終身建物賃貸借とは何ですか。何が変わりましたか。
入居者が亡くなるまで続き、亡くなったときに終了する賃貸借で、契約が相続されません。対象は60歳以上で、単身または配偶者や60歳以上の親族と同居する方です。これまでは住宅ごとに認可が必要でしたが、改正で事業者として1回認可を受け、住宅は届け出る形に簡素化されました。
入居者が亡くなったあとの残置物は、どうなりますか。
残置物は法律上は相続人のものですが、2021年に国土交通省と法務省が策定した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を使えば、入居者が生前に決めた受任者が、亡くなったあとに契約の解除と残置物の処理を行えます。改正で、居住支援法人の業務に入居者からの委託による残置物の処理が加わり、受任者を引き受ける先が広がりました。
高齢の方や生活保護の方の入居を断れなくなったのですか。
一般の賃貸住宅について、そうした義務が生じたわけではありません。セーフティネット住宅として登録した住宅は、登録した範囲の要配慮者の入居を拒まないことが前提になりますが、それは大家さんが登録を選んだ場合の話です。
岡山ではどこに相談すればよいですか。
岡山市の制度については岡山市住宅課 計画係(086-803-1466)、岡山県の制度や居住支援法人については岡山県住宅課(086-226-7527)、相談支援は岡山県居住支援協議会(事務局:岡山県宅地建物取引業協会、086-222-2131)が窓口です。物件の条件に合わせた進め方は、当社でもご相談いただけます。
制度を使うかどうかの整理から、お手伝いします
空室の状況と物件の条件をうかがい、居住サポート住宅・保証会社・終身建物賃貸借・残置物の備えのうち、どれが合うかを一緒に整理します。居住支援法人との橋渡しや、入居後の管理もご相談いただけます。
※居住サポート住宅の認定の可否、見守りや福祉サービスの提供、法的な判断は当社では行えません。岡山市住宅課 計画係(086-803-1466)などの窓口もご案内します。
制度を使うかどうかは、大家さんが決めることです。 今回の改正は、高齢の方や身寄りのない方に貸すことをためらってきた大家さんの不安に、ひとつずつ仕組みで応えようとするものです。すべてを使う必要はありません。ご自身の物件と入居者の状況に合うものがあれば、ひとつから試してみる。その整理を、当社がお手伝いします。
最終更新日:2026年9月24日
確認先:国土交通省(改正住宅セーフティネット法、概要リーフレット)、岡山市 住宅課(新たな住宅セーフティネット制度)、岡山県 住宅課(住宅セーフティネット制度、居住支援法人一覧)、岡山県居住支援協議会、法務省(残置物の処理等に関するモデル契約条項)。制度は変わることがあります。最新はそれぞれの公式ページでご確認ください。
(この記事は一般的な情報の整理です。認定の可否、個別の契約についての法的な判断は当社では行えません。岡山市・岡山県の窓口、弁護士などにご確認ください。)
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