「保証会社の審査で、前科まで調べられるのでは」
「確認の電話で、働いていなかった期間のことを聞かれたらどう答えればいい?」
「正直に言うべきか、言わないほうがいいのか、誰にも聞けない」
部屋を申し込むとき、「過去のことが分かってしまうのでは」と身構えてしまうのは、とても自然なことです。審査の仕組みが見えないと、不安は実際よりも大きくなります。
先にお伝えします。賃貸の保証会社が使う信用情報や家賃の支払い履歴に、前科の情報は含まれていません。一般の不動産会社や保証会社が、警察や検察の前科の記録を照会する仕組みもありません。一方で、実名報道のネット検索、申込書や確認電話での「空白期間」、住所や本人確認書類の状況などから、事情が伝わる場面はあります。そして実際の審査で問題になりやすいのは、前科そのものよりも、空白期間の説明、収入の見通し、前の住まいの家賃の未払いなどです。
この記事では、保証会社の審査の仕組みと、前科が「わかる・わからない」の境目、確認電話への答え方、過去のことを「伝える・伝えない」の判断のしかたを、岡山市の不動産会社の立場から具体的に整理します。
※前科のある方の部屋探し全体の流れや相談窓口は、岡山市で前科があっても部屋は借りられる?審査の実際と相談先・準備の流れでまとめています。
結論|審査と「伝える・伝えない」で押さえたい5つのこと
- 保証会社が見る信用情報や支払い履歴に、前科は載っていません:見られるのは、お金の支払いの記録と、本人確認・収入などです
- ただし「絶対に分からない」わけではありません:実名報道、反社会的勢力の確認、空白期間、住所の状況などから伝わることがあります
- 審査で問題になりやすいのは「前の住まいの未払い」と「空白期間の説明」:前科よりも、ここで止まるケースが多くあります
- 聞かれたことに、事実と違う答えはしない:架空の勤務先や名義貸しは、審査の否決や契約上の問題につながります
- 伝えるかどうかは「状況」と「支援者の有無」で決める:伝えるなら、罪名の詳細より「今の生活と支え」を中心に
伝えるかどうか迷っている段階のご相談も大丈夫です。
保証会社の審査の仕組み|タイプ別に見ている情報
岡山市の賃貸でも、今は多くの物件で家賃保証会社の利用が条件になっています。保証会社は、大きく次のようなタイプに分けて考えると分かりやすくなります。
| タイプ | 主に確認する情報 | 前科の情報 |
|---|---|---|
| 信販系 | クレジットカードやローンの支払い状況などの信用情報(信用情報機関に登録された記録) | 含まれない |
| 協会加盟系 | 加盟している保証会社どうしで共有される、家賃の滞納などの記録 | 含まれない |
| 独立系 | その保証会社自身が持つ、過去の利用・未払いの記録 | 含まれない |
| 共通して見ること | 本人確認、収入と家賃のバランス、勤務先、入居の理由、確認電話への対応、緊急連絡先、反社会的勢力に当たらないかの確認 | 反社会的勢力の確認で、報道情報などが参照される場合がある |
※保証会社ごとの審査の方法はすべてが公開されているわけではありません。ここでは一般的な整理をしています。
ポイントは、信用情報も家賃の支払い履歴も「お金の記録」だということです。前科があっても、クレジットや家賃の支払いに問題がなければ、この部分で不利になることはありません。逆に、前科がなくても、家賃を滞納した記録があれば審査に影響します。
前科が「わかる・わからない」の境目
一般に、審査で照会されないもの
- 警察や検察が持つ前科の記録:一般の事業者が照会する仕組みはありません
- 住民票・戸籍:前科は記載されません
- 信用情報・家賃保証の履歴:前科の情報は含まれません
また、「犯罪の経歴」は個人情報保護法の要配慮個人情報にあたり、事業者が取得するには原則として本人の同意が必要とされています。
事情が伝わる可能性がある場面
| 場面 | どういうことか | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 実名報道のネット検索 | 事件が実名で報道されている場合、名前で検索すると記事が出ることがある | 報道があった方は、支援者と相談して先に事情を伝えるほうが進みやすいことがある |
| 反社会的勢力の確認 | 保証会社や管理会社が、報道記事などを含むデータで確認している場合がある | 前科と反社会的勢力は別の問題(後で説明) |
| 申込書・確認電話の「空白期間」 | 職歴や前の住所に数年の空白があると、理由を聞かれることがある | 答え方を前もって支援者と決めておく |
| 住所・本人確認書類 | 前住所が施設になっている、住民票が職権で消除されていた、書類の住所が古いなど | 区役所で住民票を整え、書類の住所をそろえる |
| 支援機関経由の申込み | 保護観察所や更生保護施設などの支援者が関わっている | 事情を知ったうえで受け入れる大家さんを探せる利点がある |
つまり、「前科を調べられるか」よりも、空白期間や住所の状況をどう説明するかのほうが、実際の申込みでは大きな意味を持ちます。
審査で実際に止まりやすい5つのポイント
前科がある方の申込みで、実際に審査が止まりやすいのは次のような点です。
- 前の住まいの家賃の未払い:逮捕や受刑で家賃が払えなくなり、前の部屋の保証会社が立て替えたままになっていることがあります。その保証会社や、情報を共有する保証会社の審査は通りにくくなります
- 空白期間の説明:職歴や住所の空白について、確認電話でうまく答えられず、話が食い違ってしまう
- 収入の見通し:仕事が決まっていない、勤め始めたばかりで給与明細がない
- 本人確認書類と住所:住民票がない、身分証の住所が古い、本人名義の携帯電話がない
- 緊急連絡先:家族と連絡がとれず、緊急連絡先を頼める人がいない
「前の部屋の家賃がどうなったか分からない」という方は少なくありません。分かる範囲で、前の管理会社・保証会社の名前と、未払いが残っているかを確認しておきましょう。残っている場合は、その保証会社を使わない物件を選ぶ、分割での返済を相談して記録を残すといった対応が考えられます。借金の整理が必要な場合は、法テラスなどで相談できます。
確認電話でよく聞かれることと、答え方のポイント
保証会社は、申込みのあとに本人へ確認の電話をかけることが多くあります。聞かれる内容は、主に申込書の内容の確認です。
| よく聞かれること | 答え方のポイント |
|---|---|
| 申し込んだ物件名・家賃・入居予定日 | 申込書と同じ内容を答えられるよう、控えを手元に置いておく |
| 引っ越しの理由 | 「仕事が決まったので職場の近くに」「施設を出て一人暮らしを始めるため」など、事実の範囲で短く |
| 勤務先・勤続期間・収入 | 勤め始めたばかりなら、その通りに。採用通知や雇用条件の書類があれば用意しておく |
| 前の住所・前の仕事 | 空白がある場合、どう答えるかを事前に決めておく。事実と違う勤務先や住所は言わない |
| 緊急連絡先との関係 | 本人の了承を得た相手かどうか確認される。支援者の場合は、その旨を伝える |
- 「しばらく働いていない時期がありました。今は○○で働き始めて、生活を立て直しているところです」
- 「支援を受けながら生活していました。今は○○(施設・支援機関)の方にも相談しながら、一人暮らしの準備をしています」
※事実と違う内容を言わないことが前提です。どこまで話すかは、支援者と前もって相談しておくと落ち着いて答えられます。
「伝える・伝えない」の考え方
法律の面での基本
賃貸の契約で、借りる人が前科を自分から申告しなければならないと一般的に定めた法律はありません。一方で、聞かれたことに事実と違う答えをした場合や、契約書で約束した内容(反社会的勢力に当たらないことなど)が事実と違っていた場合は、内容によっては、後から契約の解除などを主張される可能性があります。
※個別のケースで、伝える義務があるか、どんな影響があるかの判断は、弁護士にご相談ください。当社は法律の判断はできません。
状況別の判断の目安
| 伝えておくほうが進みやすいことが多いケース | 一般の方と同じ流れで進むことが多いケース |
|---|---|
|
|
左のケースで先に伝えておく理由は、事情を知ったうえで受け入れてくれる大家さん・管理会社を最初から選べること、緊急連絡先や見守りの体制を一緒に整えられることにあります。後から分かって話がこじれるより、結果的に早く決まることが少なくありません。
伝える相手と範囲
- まずは不動産会社の担当者まで:担当者が事情を知っていれば、申し込む物件や保証会社を選びやすくなります
- 大家さん・管理会社にどこまで伝えるか:ご本人の同意のもとで、必要な範囲を相談して決めます
- 罪名や事件の詳細は話さなくて大丈夫:伝えるのは「過去に処分を受けたこと」「今の生活」「支えてくれる人や機関」が中心です
「過去に刑事事件で処分を受け、○年ほど前に生活を立て直し始めました。今は○○で働いていて、手取りは月○万円ほどです。保証会社の審査で心配があるので、申し込める物件を相談させてください」
「○○(施設・機関名)で支援している方の住まいを探しています。退所後も月に1回ほど面談を続ける予定で、緊急時は当機関が連絡を受けられます。事情をご理解いただける物件があればご紹介いただけますか」
参考|「刑の消滅」とは
刑法には、一定の期間、罰金以上の刑を受けずに過ごした場合に、刑の言い渡しが効力を失うという決まりがあります(刑法第34条の2など)。
| 刑の種類 | 効力を失うまでの期間 |
|---|---|
| 罰金以下の刑 | 刑の執行を終えてから、罰金以上の刑を受けずに5年 |
| 拘禁刑以上の刑(実刑) | 刑の執行を終えてから、罰金以上の刑を受けずに10年 |
| 執行猶予つきの判決 | 猶予が取り消されずに猶予期間を終えたとき |
ただし、刑が消滅しても、捜査機関の記録やインターネット上の報道記事が自動的に消えるわけではないとされています。賃貸の審査との関係では、「何年たったか」よりも「今の生活が安定しているか」のほうが大きな意味を持つと考えておくとよいでしょう。
※一般的な説明です。ご自身の場合にどうなるかは、弁護士などの専門家にご確認ください。
「前科」と「反社会的勢力」は別の問題
多くの賃貸借契約書や保証会社の契約には、暴力団などの反社会的勢力に当たらないことを約束する条項が入っています。これは前科の有無を聞くものではなく、今、反社会的勢力に当たるかどうかを確認するものです。
- 前科があっても、反社会的勢力に当たらなければ、この条項とは別の話です
- 暴力団をやめた方については、やめてから一定の期間(5年とする契約が多いとされます)を経過していないと、対象に含める契約があります
- 暴力団から離れて社会復帰を目指す方には、岡山県暴力追放運動推進センターなどの相談先があります
※条項の内容は契約書ごとに異なります。契約前に、重要事項の説明で確認してください。
例で見る|審査が止まりやすいケースと進め方
受刑中に前の部屋の家賃が払えず、保証会社が家賃6万円×3か月分=18万円を立て替えたままになっていた。今は手取り16万円で働いている。
- 家賃の目安:160,000円 ÷ 3 ≒ 53,000円が上限の目安。返済も考えて45,000円前後で探す
- 前の保証会社と、その情報を共有する保証会社を使わない物件を優先して探す
- 前の保証会社には分割での返済を相談し、返済している記録を残しておく
※説明のための例です。審査の結果を保証するものではありません。
職歴や住所に空白はなく、家賃の滞納もない。この場合、審査で見られるのは収入・勤務先・家賃とのバランスが中心で、一般の方と同じ流れで申し込むことがほとんどです。
審査に落ちたときの見直し方
- 理由は教えてもらえないことが多い:前科が原因と決めつけず、ほかの理由(未払い・空白期間・収入・書類)がないかを整理します
- 同じ内容で何件も同時に申し込まない:確認が重なり、状況が複雑になります
- 保証会社のタイプを変える:前の未払いがある会社と別の保証会社を使える物件を探します
- 家賃を下げる:収入とのバランスを見直します
- 支援と組み合わせる:居住支援法人の見守りや、緊急連絡先を家族などに限らない認定家賃債務保証業者の利用も検討します
やってはいけないこと
- 架空の勤務先・在籍確認の代行業者を使う:いわゆる「アリバイ会社」の利用は、審査の否決や契約の解除につながるおそれがあります
- 家族や知人の名義で借りて自分が住む:契約違反やトラブルの原因になります
- 了承を得ていない人を緊急連絡先に書く:確認の電話で分かり、審査が止まります
- 「審査なし・必ず通る」をうたう業者に急いで払う:費用の内訳と契約内容を必ず確認しましょう
審査で止まりやすい点を先に整理してから物件を選びます。
ミニクルホームができること
- 申し込む前に、審査で止まりやすい点(未払い・空白期間・書類・緊急連絡先)を一緒に整理
- 複数の保証会社のタイプから、状況に合う物件をご提案
- 事情をご理解いただける大家さん・管理会社への相談(ご本人の同意の範囲で)
- 保護観察所、更生保護施設、福祉事務所、居住支援法人などの支援者の方との連絡の調整
- 入居後の困りごとのLINE相談
すべての方の審査が通るとお約束はできません。それでも、止まりやすい点を先に整え、合う物件と保証会社を選ぶことで、進められる可能性は広がります。
よくあるご質問
Q1. 保証会社の審査で、前科は分かりますか?
保証会社が確認する信用情報や家賃の支払い履歴に、前科の情報は含まれていません。一般の事業者が警察や検察の前科の記録を照会する仕組みもありません。ただし、実名報道のネット検索や反社会的勢力の確認、空白期間の説明などから事情が伝わる場合はあるため、「絶対に分からない」とは言えません。
Q2. 前科は自分から伝えないといけませんか?
賃貸の契約で、借りる人が前科を自分から申告しなければならないと一般的に定めた法律はありません。ただし、聞かれたことに事実と違う答えをするのは避けてください。出所直後や支援者が関わっている場合は、先に伝えたほうが話が進みやすいことがあります。個別の判断は弁護士にご相談ください。
Q3. 確認の電話で、働いていなかった期間を聞かれたらどう答えればいいですか?
事実と違う勤務先や住所は言わず、「しばらく働いていない時期があり、今は○○で働いている」など、今の状況を中心に短く答えるのが基本です。どこまで話すかは、支援者と前もって決めておくと落ち着いて答えられます。
Q4. 前科より審査に影響しやすいことはありますか?
前の住まいの家賃の未払い(保証会社が立て替えたままになっているもの)、空白期間の説明、収入の見通し、本人確認書類と住所、緊急連絡先などが、実際には審査に影響しやすい点です。
Q5. 何年たてば前科は消えますか?
刑法では、罰金以下の刑は執行を終えてから5年、拘禁刑以上の刑は10年、罰金以上の刑を受けずに過ごすと、刑の言い渡しが効力を失うとされています。執行猶予は、猶予期間を無事に終えたときに効力を失います。ただし、捜査機関の記録やネット上の記事が自動的に消えるわけではないとされています。
Q6. 反社会的勢力の条項と前科は関係ありますか?
反社会的勢力の条項は、今、暴力団などに当たるかどうかを確認するもので、前科の有無を聞くものではありません。暴力団をやめた方については、やめてから一定期間を経過していないと対象に含める契約があります。内容は契約書ごとに確認してください。
Q7. 審査に落ちたら、もう借りられませんか?
保証会社や物件が変われば、審査の内容も変わります。理由を前科と決めつけず、未払い・空白期間・収入・書類などを整理し、保証会社のタイプや家賃を見直しましょう。居住支援法人や認定家賃債務保証業者の利用も選択肢です。
まとめ
- 保証会社が見る信用情報や家賃の支払い履歴に、前科は含まれない
- ただし、実名報道・反社会的勢力の確認・空白期間・住所の状況から伝わることはある
- 審査で止まりやすいのは、前の住まいの未払い、空白期間の説明、収入、書類、緊急連絡先
- 聞かれたことに事実と違う答えはしない。伝えるかどうかは状況と支援者の有無で決める
- 伝えるなら、罪名の詳細より「今の生活と支え」を中心に
審査の電話が鳴るたびに胸がざわつく、という方もいると思います。それだけ、今の生活を大切にしようとしている証拠です。不安なことは、申し込む前に誰かと一緒に整理しておけば、当日あわてずに済みます。一人で抱え込まず、支援者の方や私たちを頼ってください。
保証人のいない方、生活保護を受ける方、審査に不安がある方の部屋探しをお手伝いしている地域の不動産会社です。
ご本人からも、ご家族・支援者の方からもご相談をお受けしています。
対応エリア:岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、玉野市・瀬戸内市・備前市・総社市など周辺エリアもご相談ください。
※記事内の内容は公表資料と一般的な賃貸実務をもとにした整理であり、審査の結果を保証するものではありません。保証会社の審査方法は会社ごとに異なり、すべてが公開されているわけではありません。
※当社は不動産業者であり、法律についての判断や交渉の代理はできません。伝える義務の有無など法律に関わる判断は弁護士に、保護観察中の手続きは担当の保護観察官・保護司にご確認ください。
※生活保護を受けて部屋を借りる場合、賃貸の契約はケースワーカーの確認を受けてから結ぶようにしてください。
所在地:〒700-0026 岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号(JR岡山駅西口 徒歩7分)
電話:086-239-3296/FAX:086-239-3323
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参考にした情報
・e-Gov法令検索|刑法(第34条の2 刑の消滅)
・国土交通省|住宅セーフティネット法が改正されます
・岡山県|第2次岡山県再犯防止推進計画
・岡山県|住宅確保要配慮者居住支援法人一覧
※2026年10月時点で確認できた情報をもとにしています。
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