「家は自分の持ち物だけど、土地は借地。毎月の地代を払い続けられるか不安だ」
「分譲マンションに住んでいる。生活保護を受けたら、管理費や修繕積立金はどうなるのだろう」
「固定資産税の通知が届いたけれど、払える余裕がない」
持ち家といっても、借地の上に建つ家や分譲マンションには、毎月・毎年かかる費用があります。住宅ローンを払い終えていても、地代や管理費の支払いは続きます。収入が減ったとき、こうした費用がいちばん重くのしかかってくるものです。
先に結論をお伝えします。生活保護を受ける場合、これらの費用は費目によって扱いがはっきり分かれます。
- 地代:住宅扶助の対象になる(基準額の範囲内)
- 管理費・修繕積立金:住宅扶助の対象にならないのが一般的。生活扶助の中から払うことになる
- 固定資産税:多くの自治体で、申請によって減免を受けられる制度がある
- 家の補修費:一定の範囲で、住宅維持費として相談できる場合がある
この記事では、それぞれの費目がどう扱われるのか、そして住み続けるか住み替えるかを考えるときの目安を、数字を交えて整理します。
前提|持ち家に住みながら保護を受けられるのはどんな場合か
費用の話の前に、ひとつ確認しておきます。持ち家があっても、生活保護の相談・申請はできます。そして、今住んでいる家とその敷地は、処分価値が利用価値に比べて著しく大きくない限り、保有が認められるという考え方があります。
借地の上に建つ古い家や、築年数の経った分譲マンションで、売却してもそれほど大きな金額にならない場合は、住み続けながら保護を受けられる可能性があります。ここから先は、住み続けることが認められた場合に、毎月の費用がどうなるかというお話です。
判断するのは福祉事務所です
住み続けることが認められるか、各費用をどう扱うかは、家の評価や世帯の状況を見て、お住まいの区の福祉事務所が判断します。この記事は考え方の整理としてお読みいただき、実際の扱いは必ず担当のケースワーカーへご確認ください。
費目ごとの扱い|早見表
まず全体像です。借地の戸建てと分譲マンションでは、かかる費用の種類が違います。
| 費目 | 借地の戸建て | 分譲マンション | 生活保護での扱い |
|---|---|---|---|
| 地代 | かかる | 通常かからない | 住宅扶助の対象(基準額の範囲内) |
| 管理費 | — | かかる | 住宅扶助の対象外とされるのが一般的。生活扶助から払う |
| 修繕積立金 | — | かかる | 住宅扶助の対象外とされるのが一般的。生活扶助から払う |
| 家の補修費 | 建物全体 | 専有部分 | 住宅維持費として、年額の範囲内で相談できる場合がある |
| 固定資産税 | 建物分 | 土地(敷地権)+建物 | 扶助ではなく、税の減免制度で対応(申請が必要) |
| 家賃 | かからない | かからない | 持ち家なので、家賃分の住宅扶助はない |
※ 一般的な扱いを整理したものです。個別の判断は福祉事務所によります。
借地の地代|住宅扶助の対象になります
「家賃、間代、地代等」として整理されている
生活保護の住宅扶助では、基準額として「家賃、間代、地代等の額(月額)」が定められています。つまり、借地の上に自分の家を建てて住んでいる場合、地主さんに払う地代は、賃貸の家賃と同じように住宅扶助の対象になります。
持ち家だから住宅扶助は関係ない、と思われがちですが、借地の場合は事情が違います。申請のときに、借地であることと地代の額を必ず伝えてください。土地の賃貸借契約書や、地代の領収書・振込記録があると確認がスムーズです。
基準額を超える部分は自己負担になりえます
住宅扶助には上限があります。地代がその範囲内であれば住宅扶助として支給されますが、上限を超える部分は、生活扶助の中から払うことになる可能性があります。岡山市の住宅扶助の上限は世帯人数や年度によって変わるため、福祉事務所でご確認ください。
地代の滞納は、早めに手当てを
地代の滞納が続くと、地主さんから借地契約を解除されるおそれがあります。そうなると、家そのものを失いかねません。保護が決まったら、住宅扶助として支給される地代は、まず地代の支払いに充ててください。住宅扶助を役所から直接支払う「代理納付」の仕組みを使える場合もあるので、支払いに不安があればケースワーカーに相談してください。
分譲マンションの管理費・修繕積立金|生活扶助から払うことになります
住宅扶助の対象外とされるのが一般的
賃貸の共益費や管理費は、住宅扶助ではなく生活扶助の対象とされています。分譲マンションの管理費・修繕積立金も、同じように住宅扶助の対象にならないのが一般的です。そのため、毎月の生活費として支給される生活扶助の中から払うことになります。
さらに、持ち家には家賃がないため、家賃分の住宅扶助も支給されません。賃貸に住んでいる受給者なら家賃として受け取れる分が、分譲マンションに住んでいる方にはない、ということです。
負担の重さを、相場で見てみる
国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、管理費の平均はおおむね戸当たり月額1万1千円台、修繕積立金の平均はおおむね月額1万3千円台とされています。合わせると、毎月2万円台半ばが全国平均の目安になります。
これを生活扶助の中から払うのは、決して小さな負担ではありません。築年数が経ったマンションでは、修繕積立金が段階的に値上がりしていることも多く、生活費を圧迫する一番の要因になりやすいのが、この管理費・修繕積立金です。
滞納すると、管理組合から手続きを取られることも
管理費や修繕積立金を滞納すると、管理組合から督促を受け、長引けば法的な手続きを取られることがあります。払えない状態が続きそうなら、滞納が積み上がる前に、ケースワーカーと住まいのあり方を相談することをおすすめします。
大規模修繕の一時金にも注意
修繕積立金が不足しているマンションでは、大規模修繕のときに一時金の負担を求められることがあります。共用部分の修繕にかかる費用は、扶助の対象として説明しにくい費用です。管理組合の総会資料などで、近く大規模修繕の予定がないかを確認し、発生しそうな場合は早めにケースワーカーへ相談してください。
住み続けるか、住み替えるか。比べる材料をそろえませんか
マンションや借地の家の価値の目安と、
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家の補修費|住宅維持費として相談できる場合があります
住宅扶助には、地代などの月額のほかに、「補修費等住宅維持費の額(年額)」も定められています。今住んでいる家の畳、建具、水道設備、配電設備などの修理や、家屋の補修をする場合に、一定の範囲で支給されることがあります。
相談できる可能性がある修理の例
- 傷んだ畳の表替え
- 壊れた建具(戸、ふすま)の修理
- 水漏れなど、水道設備の修理
- 配電設備の修理
ポイントは2つです。ひとつは、最低限度の生活にふさわしい程度の補修であること。もうひとつは、年額の上限があることです。分譲マンションの場合は、自分の専有部分の補修が対象として考えられます。
大切なのは、修理を頼む前に、見積書を持ってケースワーカーへ相談することです。先に工事をして代金を払ってしまうと、あとから支給を受けるのは難しくなります。
固定資産税|申請による減免制度があります
扶助ではなく「税の減免」で対応する
固定資産税は、生活保護の扶助で支給されるものではありません。そのかわり、多くの市町村で、生活保護を受けている方が所有する固定資産について、申請によって固定資産税を減免する制度が設けられています。全額免除となる自治体も少なくありません。
減免を受けるときの注意点
各自治体の案内を見ると、おおむね次のような共通点があります。
- 申請しないと減免されない。保護が決まっても、自動では適用されない
- 納期限までの申請が必要。すでに過ぎた納期の分や、払ってしまった分は対象外になることが多い
- 毎年度の申請が必要な自治体もある
- 人に貸して賃料を得ている不動産は、対象外とされることが多い
- 申請には、生活保護を受けていることの証明書などが必要
保護が決まったら、次の納期限が来る前に、岡山市の各区の市税事務所(資産税の担当)に減免の申請方法を確認してください。岡山市での具体的な要件や必要書類は、市税事務所でご確認いただくのが確実です。
借地とマンションで、かかる税の範囲が違う
借地の上の家なら、土地は地主さんの持ち物なので、固定資産税がかかるのは建物の分だけです。分譲マンションでは、建物と、敷地の持分(敷地権)の両方に固定資産税がかかります。
数字で比べる|住み続ける場合と、住み替える場合
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。住宅扶助と生活扶助のどちらから払うかで、毎月手元に残る生活費が大きく変わります。考え方の例を挙げます。
例1|借地の戸建てに住み続ける場合
地代:月15,000円 → 住宅扶助の範囲内なら、住宅扶助として支給される可能性
建物の固定資産税:年2万円 → 減免申請で、負担がなくなる可能性
→ 生活扶助から払う住まいの費用は、ほとんど発生しない形になりえます。
→ 借地の家は、住み続ける場合の毎月の負担が比較的小さく済みやすいと言えます。
例2|分譲マンションに住み続ける場合と、賃貸へ住み替える場合
マンションに住み続ける
管理費:月12,000円+修繕積立金:月13,000円 = 月25,000円
→ 住宅扶助の対象外とされるのが一般的なため、生活扶助から月25,000円を払うことになる
→ 年間で30万円
賃貸に住み替える
家賃:月35,000円 → 住宅扶助として支給(範囲内の場合)
共益費:月3,000円 → 生活扶助から払う
→ 生活扶助からの持ち出しは月3,000円
→ マンションに住み続ける場合と比べて、毎月22,000円ほど手元に残る計算です
数字はあくまで考え方の例です
実際の地代・管理費・修繕積立金・家賃は物件によって異なり、住宅扶助の上限は世帯人数や年度で変わります。どの費用がどの扶助から支給されるかの最終的な判断は、福祉事務所が行います。上の数字は仕組みをイメージしていただくための目安としてお読みください。
それでも、住み続けたい理由があるなら
数字の上では住み替えたほうが楽になる場合でも、エレベーターがあって階段の上り下りがない、通院先が近い、長年の近所付き合いがあるなど、住み続けたい理由がある方もいらっしゃると思います。体の状態や暮らしの安心は、数字だけでは測れません。
大切なのは、負担の大きさを知ったうえで、自分で選ぶことです。住み続けるか、住み替えるか。どちらを選ぶにしても、ケースワーカーと相談しながら決めてください。住み替える場合は、売却と賃貸探しの時期を合わせる段取りが必要になります。
なお、65歳以上で一定の価値があるマンションにお住まいの場合は、家を担保に生活資金を借りる要保護世帯向け不動産担保型生活資金という制度を、生活保護より先に案内されることもあります。
気をつけたいこと
借地であることを伝え忘れる
地代は住宅扶助の対象になりうる費用です。伝えないと、本来受けられたはずの支給を受けられないことがあります。
固定資産税の減免を申請し忘れる
保護が決まっても、減免は自動では適用されません。納期限を過ぎると対象外になることが多いので、早めに。
相談せずに修理を頼む
住宅維持費は、事前の相談と見積書が前提です。先に払ってしまうと支給を受けにくくなります。
管理費の滞納を放置する
滞納が積み上がると、管理組合からの手続きに発展することがあります。払えない状態が続きそうなら、早めに住まいの見直しを相談してください。
岡山市で相談できる先
お住まいの区の福祉事務所
生活保護の相談・申請。地代の住宅扶助、管理費の扱い、住宅維持費の相談。ケースワーカーは、制度の中で使える道を一緒に探してくれる相手です。
岡山市の各区の市税事務所(資産税担当)
固定資産税の減免の申請方法、必要書類、期限の確認。
マンションの管理組合・管理会社
管理費・修繕積立金の額、滞納がある場合の相談、大規模修繕の予定の確認。
不動産会社
マンションや借地の家の価値の目安、売却の進め方、住宅扶助の範囲で借りられる賃貸の紹介。
当社にできること・できないこと
当社は不動産業者として、家の査定、売却のお手伝い、住み替え先の賃貸探しを行います。扶助の支給の可否や税の減免の判断は、福祉事務所・市税事務所が行うものであり、当社が判断することはできません。また、地主さんや管理組合との法的な交渉の代理も行えません。必要に応じて、法テラス等の公的窓口をご案内します。
よくあるご質問
Q1. 借地の地代は生活保護から出ますか?
住宅扶助では「家賃、間代、地代等」が基準額の対象とされており、借地の上に建つ持ち家に住んでいる場合の地代は、住宅扶助の対象になります。ただし上限があり、超える部分は自己負担になる可能性があります。申請の際は、借地であることと地代の額を必ず伝えてください。
Q2. 分譲マンションの管理費や修繕積立金は生活保護から出ますか?
住宅扶助の対象にならないのが一般的で、毎月の生活扶助の中から払うことになります。また持ち家には家賃がないため、家賃分の住宅扶助も支給されません。管理費・修繕積立金の負担が重い場合は、住まいのあり方をケースワーカーと相談してください。
Q3. 生活保護を受けると固定資産税は免除されますか?
多くの市町村で、生活保護を受けている方が所有する固定資産について、申請により固定資産税を減免する制度があります。ただし申請しないと適用されず、納期限を過ぎた分や納付済みの分は対象外になることが多いです。岡山市での要件や手続きは、各区の市税事務所でご確認ください。
Q4. 持ち家の修理費は生活保護で出ますか?
住宅扶助には補修費等の住宅維持費が年額で定められており、今住んでいる家の畳、建具、水道設備、配電設備などの修理や家屋の補修について、一定の範囲で支給される場合があります。修理を頼む前に、見積書を持ってケースワーカーへ相談してください。
Q5. 分譲マンションに住んだまま生活保護を受けられますか?
今住んでいる家は、処分価値が利用価値に比べて著しく大きくない限り、保有が認められる考え方があります。築年数が経ったマンションなどで売却額がそれほど大きくない場合は、住み続けながら保護を受けられる可能性があります。ただし管理費・修繕積立金は生活扶助から払うことになるため、負担の大きさも含めて検討してください。
Q6. マンションの大規模修繕の一時金は生活保護で出ますか?
共用部分の修繕にかかる一時金は、扶助の対象として説明しにくい費用です。管理組合の資料で大規模修繕の予定を確認し、一時金の負担が発生しそうな場合は、早めにケースワーカーへ相談してください。
まとめ
- 借地の地代は、住宅扶助の対象(基準額の範囲内)。申請時に必ず伝える
- 分譲マンションの管理費・修繕積立金は、生活扶助から払うのが一般的
- 持ち家には家賃がないため、家賃分の住宅扶助はない
- 家の補修は、住宅維持費として年額の範囲で相談できる場合がある。事前に見積もりを
- 固定資産税は、申請による減免制度がある。納期限前に市税事務所へ
- 借地の家は住み続けても負担が小さく済みやすい
- マンションは管理費の負担が重く、住み替えたほうが手元に残ることがある
- 住み続けたい理由も大切に。負担を知ったうえで、ケースワーカーと決める
同じ「持ち家」でも、借地の家と分譲マンションでは、生活保護を受けたあとの暮らしの負担がまったく違ってきます。どの費用が、どこから払われるのかを知っておくだけで、住み続けるか住み替えるかの判断は、ずっとしやすくなります。
長く住んできた家で、管理費や地代を払い続けるのが難しくなる。それは、暮らしを守ろうとしてきた方ほどつらいことだと思います。毎月の支払いのことで頭がいっぱいになって、眠れなかったり、食事を削ったりしていないでしょうか。家の費用のために、ご自身の健康を後回しにしないでください。福祉事務所は、そうした状況を相談するための窓口です。住まいを守る方法も、住まいを変える方法も、一緒に考えてもらえます。
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