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「家が売れたら、これまで受けた保護費を全部返さないといけないの?」
「返したら、手元にほとんど残らない。そのあとどうやって暮らせばいいのか」
「福祉事務所から返還の通知が来たけれど、この金額は本当に正しいのだろうか」

家を売るかどうかを考えている方にとって、「返還」という言葉は、それだけで気持ちが重くなるものだと思います。長く住んだ家を手放すうえに、受け取ったお金まで返すとなれば、なおさらです。

先にお伝えします。生活保護を受けながら家を売った場合、受けた保護費の返還を求められることはあります。これは生活保護法第63条に基づく仕組みです。

ただし、「売ったら全額を一括で返す」と決まっているわけではありません。返還の対象になる期間には区切りがあり、差し引かれる可能性がある費用があり、返し方にも選択肢があります。そして、金額に納得できなければ、不服を申し立てる道もあります。この記事では、その考え方と、岡山市で相談できる先を整理します。

結論|返還はありうる。でも「全額・一括・言われたまま」とは限らない

① 返還の対象になる期間には「始まり」がある
保護を受けていた期間すべてが対象になるわけではありません。家の扱いによって、いつからの保護費が対象になるかが変わります。

② 返還額には上限がある
返還を求められるのは、受けた保護費の範囲内、かつ売却で実際に手に入ったお金の範囲内が基本です。

③ 差し引かれる可能性がある費用がある
暮らしを立て直すために必要だった費用などは、返還額から控除される場合があります。

④ 返し方も、納得できないときの道もある
分割での返還を相談できることがあり、決定に不服があれば審査請求という手続きもあります。

生活保護法第63条とは何か

まず、条文そのものを見ておきます。

被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。

(生活保護法第63条)

難しく見えますが、ポイントは3つの言葉です。

「資力があるにもかかわらず」
売ればお金になる家を持っていた、つまり本当は使える財産があった期間の保護費が対象、という意味です。

「受けた保護金品に相当する金額の範囲内」
返還額は、実際に受け取った保護費の額を超えることはない、という意味です。

「保護の実施機関の定める額」
具体的な金額は、福祉事務所が状況を見て決める、という意味です。ここに判断の幅があります。

つまり63条は、罰則ではなく、「結果として多く受け取っていた分を精算する」ための規定です。家を売るまでの間、生活が成り立つように保護を受けていた。売れてお金が入ったので、その分を整理する。そういう仕組みだと考えてください。

63条と78条は、まったく別のものです

返還の話になると、「不正受給と同じ扱いをされるのでは」と心配される方がいます。ですが、正直に届け出ている限り、扱いはまったく違います。

項目 63条(費用返還) 78条(費用徴収)
どんなとき 資力があったのに保護を受けていた(届け出はしていた) 収入や資産を隠すなど、不正な手段で保護を受けていた
性質 精算 不正受給への対応
上乗せ なし 徴収額の最大40%を上乗せされることがある
控除 自立更生のための費用などを差し引ける場合がある 原則として差し引きなし

大切なのは、家を売ること、売れたことを、その都度きちんと福祉事務所に伝えておくことです。それだけで、あなたのケースは63条の側にとどまります。

返還の対象になる期間|「いつから」は家の扱いで変わる

ここが、家を売る方にとって最も大事な部分です。返還の対象になるのは「資力があった」とされる日以降に受けた保護費です。そして、その起点となる日は、家がどう扱われていたかによって異なります。

自治体の判断例などでは、おおむね次のような考え方が示されています。

パターン1|保護を受け始めたときから、家の保有が認められていなかった
売却することを前提に保護が始まったケースです。この場合、保護を受け始めた日が起点になりやすく、保護開始から売却までの保護費が対象になりえます。

パターン2|受給中に、家の保有が認められなくなった
最初は住み続けることが認められていたけれど、途中で状況が変わったケースです。この場合、保有を認めないとされた日が起点になりやすくなります。

パターン3|保有が認められていた家を、自分の判断で売った
住み続けることが認められていた家を、住み替えなどの理由で売るケースです。この場合、売買契約が成立した日が起点になりやすいとされます。売る前に受けていた保護費は、対象になりにくいということです。

なお、相続で家を取得した場合は、亡くなった方の死亡日が起点とされるのが一般的です。

ご自身がどのパターンかを確認してください
同じ「家を売った」でも、パターンによって返還の対象期間が大きく変わります。保護を受け始めたときや、家の扱いについて説明を受けたときの書面が残っていれば、それが手がかりになります。分からなければ、「私の家は、どの日から資力ありとされていますか」と担当のケースワーカーに直接聞いて大丈夫です。最終的な判断は福祉事務所が行います。

売る前に「手取りがいくら残るか」を見ておきませんか

売却額から諸費用を引いた見込みが分かると、
福祉事務所との相談も具体的になります。

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返還額はどう決まるのか

原則は「対象期間の保護費の全額」

厚生労働省の通知(平成24年7月23日 社援保発0723第1号)では、63条に基づく返還は、原則として全額を返還の対象とするとされています。ここでいう「全額」とは、先ほどの対象期間に受けた保護費の全額のことです。

医療扶助も対象になることに注意

見落とされやすいのがここです。返還の対象になる「保護に要する費用」には、生活扶助や住宅扶助のように現金で受け取った分だけでなく、医療扶助として医療機関に支払われた分も含まれるとされています。通院や入院が多かった方は、想像より返還額が大きくなることがあります。

ただし、手に入ったお金の範囲が上限

返還を求められる額は、売却によって実際に手元に入ったお金(資力)の範囲内と考えられています。受けた保護費が多くても、売却で残ったお金がそれより少なければ、残ったお金の額が上限になります。

数字でイメージしてみます

例1|売却の手取りが、受けた保護費より多い場合
対象期間:10か月
受けた保護費:生活扶助・住宅扶助がおおむね月11万円、医療扶助がおおむね月2万円
→ 13万円 × 10か月 = 130万円
売却の手取り:250万円
→ 返還の対象は、受けた保護費の130万円の範囲になります。
→ 返還後に残る120万円は当面の生活費となるため、保護が停止・廃止になる可能性があります。

例2|売却の手取りが、受けた保護費より少ない場合
受けた保護費:同じく130万円
売却の手取り:80万円(古い家で、解体費用などがかかった)
→ 返還の上限は、手元に入った80万円の範囲になります。
→ その後に収入や資産がなければ、引き続き保護を受けられる可能性があります。

数字はあくまで考え方の例です
実際の返還額は、売却にかかった費用の扱い、控除の有無、世帯の状況によって変わり、最終的には福祉事務所が定めます。上の数字は仕組みをイメージしていただくための目安です。実際の金額は、必ず福祉事務所でご確認ください。

返還額から差し引かれる可能性があるもの

「原則全額」とお伝えしましたが、例外があります。先ほどの厚生労働省の通知では、全額を返還させることで、その世帯の自立が著しく妨げられると認められる場合には、一定の範囲の額を返還額から控除してよいとされています。

控除の対象として示されている主な考え方

自立更生のために、やむを得ず使われた費用
世帯が暮らしを立て直すために必要で、地域の一般的な暮らしと比べても社会通念上認められる程度の費用です。

本来なら保護として支給されていたはずの費用
家屋の補修など、申請していれば支給が認められていたと考えられる一時的な経費です。

盗難など、不可抗力で失ったお金
本人の責任によらずになくなった額です。

家を売るケースで考えられるもの

住み替えに伴う費用や、新しい生活を始めるために必要な家具・家電などが、自立更生のための費用として検討されることがあります。ただし、何が控除の対象になるかは、世帯の状況を見て福祉事務所が判断します。認められるとは限りません。

控除を希望するなら「使う前に相談」が鉄則です
売却代金を使ってしまってから「あれは必要な出費だった」と説明しても、認められにくくなります。必要な出費がある場合は、使う前にケースワーカーへ相談し、領収書をすべて保管してください。

なお、自立更生のための控除について検討や説明がないまま出された返還決定が、審査請求や裁判で取り消された例もあると報告されています。「控除の検討はしていただけましたか」と尋ねることは、正当な確認です。

返し方|一括だけではありません

返還額が決まったあと、どう返すかについても選択肢があります。

一括で返す
売却代金がまとまって手元にある場合の、もっとも一般的な方法です。

分割で返す
一括での返還が生活を圧迫する場合などは、分割での返還を相談できることがあります。

保護費から少しずつ差し引く
平成30年10月1日に施行された生活保護法第77条の2により、本人から申し出があり、かつ生活の維持に支障がないと認められる場合には、支給される保護費の一部を返還に充てることができるようになりました。強制ではなく、本人の申し出が前提です。

放置すると、強制的な徴収の対象になりえます

返還の決定が出たまま何もせずにいると、税金と同じような方法で徴収される可能性があります。また、平成30年10月以降に支給された保護費にかかる返還金は、自己破産をしても原則として免除されない扱いになっています。

払えないと感じたら、黙っているのではなく、まず分割などの相談をすること。それがいちばん負担を軽くする道です。

金額に納得できないとき|審査請求という手続き

返還の決定は、行政の処分です。内容に納得できない場合は、審査請求という手続きで不服を申し立てることができます。

まず、決定通知書の中身を確認する

  • 返還額はいくらで、その計算の根拠は何か
  • どの日から資力ありとされているか
  • 控除は検討されたか、されていないならなぜか
  • 医療扶助の分が含まれているか
  • 審査請求の方法と提出先、期限が書かれているか

期限は「決定を知った日の翌日から3か月以内」

審査請求には期限があり、原則として決定があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。提出先は、決定通知書に記載されています。期限を過ぎると申し立てが難しくなるため、疑問があれば早めに動いてください。

審査請求をするかどうか迷う段階で、まずケースワーカーに「この金額の内訳を説明してください」と聞くことも大切です。説明を受けて納得できることもありますし、計算の誤りが見つかることもあります。

岡山市で相談できる先

内容によって、相談先が変わります。公的な窓口から順にご紹介します。

① 担当のケースワーカー・お住まいの区の福祉事務所
返還の対象期間、金額の内訳、控除、分割の相談など、まず最初に相談する先です。家を売る前の相談も、ここが起点になります。ケースワーカーは、制度の中で使える道を一緒に探してくれる相手です。

② 法テラス岡山(日本司法支援センター)
返還決定の妥当性や審査請求について、法律の専門家に相談したいときの窓口です。収入や資産が一定の基準以下であれば、無料で法律相談を受けられる制度があります。

③ 岡山弁護士会の法律相談
審査請求を本格的に検討する場合や、借金など他の問題も抱えている場合の相談先です。

④ 不動産会社
家がいくらで売れそうか、諸費用を引いた手取りがいくら残りそうか、売却後の住み替え先をどうするか。こうした数字と段取りは、不動産会社の領域です。福祉事務所に相談する前に、手取りの見込みを把握しておくと、話が具体的になります。

当社にできること・できないこと
当社は不動産業者として、査定、売却、手取りの見込みの算出、住み替え先のご案内をお手伝いします。一方、返還額が正しいかどうかの法的な判断、審査請求の代理、福祉事務所との交渉の代理は行えません。これらは弁護士など専門家の領域であり、必要に応じて法テラス等の公的窓口をご案内します。

家を売る前に、やっておきたいこと

  • 売ると決める前に、福祉事務所へ相談する(自分の家がどのパターンか確認する)
  • 手取りの見込みを把握する(売却額から仲介手数料・登記・解体などの費用を引いた額)
  • 売れたら、すぐに報告する(売買契約が成立した時点で連絡を)
  • 売却代金を、相談せずに使わない(控除を希望する支出は、使う前に相談)
  • 領収書や契約書をすべて保管する(売却にかかった費用の証明に必要)
  • 住み替え先の段取りを同時に進める(家を出る日と新居に入る日を合わせる)

住み替え先を賃貸で探す場合、保護が続くなら住宅扶助の範囲内で探すことになります。賃貸契約は、ケースワーカーの確認を受けてから結ぶようにしてください。先に契約すると、初期費用の扶助が受けられないことがあります。

よくあるご質問

Q1. 家を売ったら、これまで受けた生活保護費は全額返すことになりますか?

返還を求められることはありますが、保護を受けていた期間すべてが対象になるとは限りません。対象になるのは「資力があった」とされる日以降の保護費で、その日は家の扱いによって変わります。また、返還額は売却で手元に入ったお金の範囲内が上限とされ、自立更生のための費用などが控除される場合もあります。

Q2. 63条の返還と、不正受給の返還は何が違いますか?

63条は、資力があったのに保護を受けていた分を精算するための規定で、上乗せはなく、控除が認められる場合があります。一方78条は、収入や資産を隠すなど不正な手段で受けた場合の規定で、最大40%の上乗せを求められることがあります。家を売ることや売れたことを正直に届け出ていれば、63条の扱いになります。

Q3. 医療費も返還の対象になりますか?

返還の対象となる「保護に要する費用」には、医療扶助として医療機関に支払われた分も含まれるとされています。通院や入院が多かった場合は、返還額が大きくなることがあります。内訳は福祉事務所で確認してください。

Q4. 一括で返せない場合はどうすればいいですか?

分割での返還を相談できることがあります。また、平成30年10月1日以降は、本人の申し出があり生活の維持に支障がないと認められる場合に、支給される保護費の一部を返還に充てる方法もあります。放置すると強制的な徴収の対象になりうるため、払えないと感じたら早めに福祉事務所へ相談してください。

Q5. 返還額に納得できない場合はどうすればいいですか?

まずケースワーカーに計算の内訳と根拠の説明を求めてください。それでも納得できない場合は、審査請求という手続きで不服を申し立てることができます。期限は原則として決定を知った日の翌日から3か月以内で、提出先は決定通知書に記載されています。法テラスなどで専門家に相談することもできます。

Q6. 自己破産すれば返還しなくてよくなりますか?

平成30年10月以降に支給された保護費にかかる63条の返還金は、自己破産をしても原則として免除されない扱いになっています。それ以前に支給された保護費の分については扱いが異なる場合があるため、債務整理を検討している場合は弁護士などの専門家にご相談ください。

まとめ

  • 家を売ると、63条に基づき保護費の返還を求められることがある
  • 63条は精算の規定。正直に届け出ていれば不正受給(78条)とは別扱い
  • 対象期間の起点は、家の扱いによって変わる(保護開始日/保有を認めないとした日/売買契約成立日)
  • 原則は対象期間の全額。医療扶助も含まれる
  • ただし上限は、売却で手元に入ったお金の範囲
  • 自立更生のための費用などは控除される場合がある。使う前に相談を
  • 分割や保護費からの差し引きを相談できることがある
  • 納得できなければ、3か月以内に審査請求ができる
  • 相談先は、福祉事務所 → 法テラス・弁護士会 → 不動産会社(手取りと住み替え)

返還の話は、どうしても「取られる」という感覚になりがちです。でも、仕組みを知っていれば、確認すべきこと、聞いていいこと、選べることが見えてきます。言われた金額をそのまま受け入れる前に、ひとつずつ確かめてみてください。

家を手放すことと、お金の精算が同時に重なるのは、気持ちの上でもとても大きな負担です。不安で眠れなかったり、通知を開くのが怖かったりするのは、当然のことです。ひとりで抱え込まず、ケースワーカーや法テラスなど、話を聞いてくれる窓口を頼ってください。返還は、暮らしを壊すための仕組みではありません。暮らしを続けられる形を、一緒に探していける問題です。

売却の手取りと、住み替えの段取りをご相談ください

ミニクルホームは、岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、不動産の売却と、生活保護を受けながらのお部屋探しの両方に対応している不動産会社です。

「家がいくらで売れて、手取りがいくら残りそうか知りたい」「売却と住み替えの時期を合わせたい」「福祉事務所に相談する前に数字をそろえたい」——どの段階でも大丈夫です。査定だけ、話を聞くだけでも構いません。

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※ 記事内の制度の取扱いは一般的な考え方の整理であり、特定の結果を保証するものではありません。返還の対象期間・金額・控除の可否は、世帯の状況により福祉事務所が判断しますので、担当のケースワーカー・お住まいの区の福祉事務所へご確認ください。
※ 当社は不動産業者であり、返還決定の妥当性に関する法的判断、審査請求の代理、福祉事務所との交渉の代理は行えません。該当する場合は弁護士等の専門家、または法テラス等の公的窓口をご案内します。

株式会社ミニクルホーム

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Googleマップへ寄せられたミニクルホームのお客様の声を、 プライバシーに配慮して一部抜粋・匿名化してご紹介します。

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借りる側の目線で考えてくださるので有り難かったです。 気さくな不動産屋さんで、 希望もお願いしやすく助かりました。

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※Googleマップに投稿された口コミの一部を、 意味を変えない範囲で抜粋・匿名化して掲載しています。 口コミは個人の感想です。

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