岡山で相続した空き家、売るといくら税金がかかるのか目安
岡山の実家を相続し、売却を考えたときに気になるのが、
「1,000万円で売れたら税金はいくら?」
「1,500万円で売ったら200万円くらい税金を取られる?」
という問題です。
しかし、相続した空き家の税金は、売却価格だけでは計算できません。
税額を大きく左右するのが、
- 親がいくらで購入したか
- 購入時の資料が残っているか
- 親がいつ取得したか
- 売却にいくら費用が掛かったか
- 3,000万円特別控除を使えるか
- 相続税を支払っているか
です。
例えば同じ1,500万円で売却しても、親の購入資料が残っている場合と、何も見つからない場合では、税額が100万円以上違うことも考えられます。
今回は、岡山で相続した空き家を売却する場合の税金について、具体的な金額を使って目安を解説します。
まず結論|相続した家の税金はこの式で計算する
売却価格
- 取得費
- 譲渡費用
- 利用できる特別控除
=
課税譲渡所得
この課税譲渡所得に、長期譲渡・短期譲渡などに応じた税率を掛けます。
つまり、
1,500万円で売ったから1,500万円に税率を掛ける
わけではありません。
相続税と「売ったときの税金」は別
まず混同しやすいところです。
| 税金 | 発生する場面 |
|---|---|
| 相続税 | 相続した財産について一定の要件で課税 |
| 譲渡所得に対する所得税・住民税 | 相続した不動産を売って課税対象となる利益が出た場合 |
相続時に相続税を支払っていても、後日その不動産を売却して利益が出れば、別に譲渡所得について税金が発生する可能性があります。
逆に、家を相続しただけで売却時の譲渡所得税が発生するわけでもありません。
相続した家は「親の取得費」を引き継ぐ
例えば、2025年に父親から岡山市の実家を相続したとします。
この場合、
「2025年の相続時の不動産評価額」
を、そのまま譲渡所得計算の取得費にするわけではありません。
原則として、亡くなった方がその土地・建物を取得したときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。
父が1985年に購入:1,000万円
↓
2025年に子が相続
↓
2026年に売却
なら、基本的には父の取得費を引き継ぎます。
ただし、建物部分は購入・建築価格をそのまま使うのではなく、所有期間に応じた減価償却費相当額を差し引いて計算します。
相続した家は「親の取得時期」も引き継ぐ
税率を決める所有期間についても同じです。
2025年に相続して2026年に売ったから、
「所有1年なので短期譲渡」
とは限りません。
相続の場合は、原則として被相続人の取得時期を引き継ぎます。
父が1985年に取得
↓
子が2025年に相続
↓
2026年に売却
なら、父が取得した1985年からの期間を基に判定します。
そのため、親が何十年も前から所有していた実家は、長期譲渡所得になるケースが多くあります。
2026年に売る場合の一般的な税率
| 区分 | 判定 | 概算税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 売却年1月1日時点で所有5年超 | 約20.315% |
| 短期譲渡所得 | 売却年1月1日時点で所有5年以下 | 約39.63% |
2026年中に一般的な土地・建物を売却する場合、長期譲渡では所得税15%・住民税5%に加え、復興特別所得税を考慮すると概算で約20.315%になります。
以下では、親が長期間所有しており、長期譲渡所得に該当するという前提でモデル計算します。
モデル1|1,000万円で売却、親の取得費が分からない
まず、購入時の契約書等がまったく見つからないケースです。
売却価格:1,000万円
取得費:不明
譲渡費用:50万円と仮定
3,000万円控除:使えないと仮定
長期譲渡所得:約20.315%
取得費が不明なら5%を使える場合がある
1,000万円 × 5%
=
50万円
課税譲渡所得は、
1,000万円
-50万円
-50万円
=
900万円
概算税額は、
900万円 × 約20.315%
=
約183万円
となります。
※説明用モデルです。実際の取得費・譲渡費用・特例・端数処理等によって税額は変わります。
モデル2|1,500万円で売却、取得費が分からない
売却価格:1,500万円
概算取得費:75万円
譲渡費用:70万円と仮定
特別控除:なし
長期譲渡:約20.315%
課税譲渡所得は、
1,500万円-75万円-70万円
=
1,355万円
税額の概算は、
1,355万円 × 約20.315%
=
約275万円
です。
1,500万円で売っただけで275万円の税金になるという意味ではありません。
これは「取得費資料がなく5%を使用」「特別控除なし」「譲渡費用70万円」という仮定による計算です。
モデル3|2,000万円で売却、取得費が分からない
売却価格:2,000万円
概算取得費:100万円
譲渡費用:90万円と仮定
特別控除:なし
長期譲渡:約20.315%
2,000万円-100万円-90万円
=
1,810万円
税額の概算は、
1,810万円 × 約20.315%
=
約368万円
取得費不明モデルを一覧で比較
| 売却価格 | 概算取得費5% | 仮の譲渡費用 | 課税譲渡所得 | 長期の概算税額 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 50万円 | 50万円 | 900万円 | 約183万円 |
| 1,500万円 | 75万円 | 70万円 | 1,355万円 | 約275万円 |
| 2,000万円 | 100万円 | 90万円 | 1,810万円 | 約368万円 |
※3,000万円特別控除等を使わない、長期譲渡所得という仮定のモデルです。譲渡費用も説明用の仮定額です。
ここが重要|親の購入資料が見つかると税額が大きく変わる
同じ1,500万円で売ったケースを比較します。
ケースA|取得費不明
売却価格:1,500万円
概算取得費:75万円
譲渡費用:70万円
課税譲渡所得:1,355万円
概算税額:約275万円
ケースB|実際の取得費800万円を確認できた
売却価格:1,500万円
取得費:800万円と仮定
譲渡費用:70万円
課税譲渡所得:630万円
630万円 × 約20.315%
=
約128万円
差額は約147万円
もちろん、実際には建物の減価償却等を正しく計算する必要があります。
しかし、親の購入時資料を探す意味が非常に大きいことが分かります。
実家の片付けで絶対に確認したい書類
- 土地・建物の売買契約書
- 建築請負契約書
- 購入代金の領収書
- 購入時の仲介手数料領収書
- 増改築工事の契約書・領収書
- 取得当時の資料・通帳記録等
「30年前の書類だから不要」と家財と一緒に捨てないでください。
税額が100万円単位で変わる判断材料になる可能性があります。
3,000万円特別控除が使えると税額はどうなる?
相続した空き家について一定の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
例えば先ほどの、
売却価格:1,500万円
取得費:75万円
譲渡費用:70万円
控除前譲渡所得:1,355万円
というケースで、最高3,000万円の控除を利用できる要件を満たすと仮定すれば、
1,355万円-3,000万円
↓
課税譲渡所得 0円
となる可能性があります。
ただし相続した空き家なら全員3,000万円控除ではない
この特例には細かな要件があります。
代表的には、
- 被相続人の居住用財産を相続したこと
- 家屋の建築時期に関する要件
- 相続開始直前の居住状況
- 相続後の利用状況
- 売却期限
- 売却価額等の要件
などがあります。
制度の適用期限自体は、現在2027年12月31日までの譲渡が対象となっています。
また、2024年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合には、控除額が1人あたり最高2,000万円となる場合があります。
「相続した実家だから3,000万円控除が使えるだろう」と仮定して売却を進めないでください。
契約前に税理士・税務署等へ確認することをおすすめします。
相続税を払った人は「取得費加算」の可能性も確認
相続によって取得した不動産について相続税を支払っており、一定期間内に売却する場合には、支払った相続税の一定額を取得費へ加算できる特例があります。
例えば、
取得費500万円
+
取得費へ加算できる相続税額
=
税務上の取得費が増える可能性
取得費が増えれば、課税対象となる譲渡所得が小さくなり、税額を減らせる場合があります。
ただし、適用には相続税を支払っていることや売却期限などの要件があります。
3,000万円特別控除との関係もあるため、個別に確認してください。
相続した空き家の税額が高くなりやすい3つのケース
1|購入時資料がない
取得費が分からず、売却価格の5%を概算取得費にすると、利益が大きく計算されやすくなります。
2|3,000万円控除が使えない
建築時期・居住状況・売却期限等の条件を満たさなければ利用できません。
3|短期譲渡になる
親自身の取得時期も含め、売却年1月1日時点で所有5年以下なら、一般の短期譲渡税率は長期より高くなります。
逆に税額が小さくなる可能性があるケース
- 親の実際の取得費を確認できる
- 売却時の譲渡費用を正しく計上できる
- 相続空き家の3,000万円特別控除を使える
- 相続税の取得費加算を利用できる
- そもそも譲渡所得がほとんど出ていない
固定資産税評価額を取得費にしていい?
よくある質問です。
「親がいくらで買ったか分からないので、固定資産税評価額を取得費にできますか?」
と考える方がいます。
しかし、固定資産税評価額は固定資産税等の課税に利用される評価額であり、譲渡所得計算上の実際の購入代金と同じものではありません。
取得費は、原則として被相続人が取得した際の購入代金・購入手数料等を基に確認します。
資料がない場合の扱いについては、税理士・税務署へ確認してください。
相続時の評価額が1,000万円なら取得費も1,000万円?
これも違います。
例えば相続税評価上、土地・建物が1,000万円と評価されたとしても、通常それをそのまま売却時の取得費に置き換えるわけではありません。
相続時評価額
と
譲渡所得税を計算する取得費
は分けて考える。
税金を簡単に試算する5ステップ
- 売却査定額を確認
- 親の購入時資料を探す
- 売却時に必要となる譲渡費用を概算
- 3,000万円控除・取得費加算等の可能性を確認
- 税理士・税務署へ正式な税額を確認
税額を確認するなら査定価格も必要
親の取得費が分かっても、今いくらで売れるか分からなければ税額を試算できません。
例えば、
親の取得費:800万円
現在査定:1,000万円
なのか、
親の取得費:800万円
現在査定:2,000万円
なのかで、想定される譲渡所得は大きく違います。
相続空き家の税金を知る第一歩は、
「親の取得費」
+
「現在の査定額」
を並べることです。
売却前に税金を調べる理由
税額は売却後に計算すればよいと思うかもしれません。
しかし相続空き家では、売却前の確認が重要です。
理由は、
- 3,000万円特別控除に期限がある
- 売却方法によって必要書類が変わる
- 取得費資料を片付けで捨てる可能性がある
- 最終的な手取り判断に税金が影響する
からです。
例えば、
売却価格:1,500万円
売却諸費用:70万円
税額:約275万円
なら、税金まで考えずに1,430万円程度残ると思っていた人と、実際の最終手取りには大きな差が生まれます。
「査定価格=最終的に使えるお金」ではありません。
相続人が複数いる場合は「1人あたり税額」にも注意
兄弟など複数人で相続した空き家を売却する場合は、持分や取得方法、売却代金の分配などによって各相続人の譲渡所得を整理する必要があります。
単純に、
「税金300万円だから兄弟3人で100万円ずつ」
と自己判断できるとは限りません。
また、相続空き家の特別控除についても、相続人が3人以上の場合には控除上限が変わるケースがあります。
共有名義・複数相続人の売却は、売却前に税理士へ確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.相続した空き家を1,000万円で売ると税金はいくらですか?
売却価格だけでは決まりません。取得費不明・譲渡費用50万円・長期譲渡・特別控除なしという本記事の仮定なら約183万円ですが、実際の取得費や3,000万円控除の有無で0円から大きな税額まで変わる可能性があります。
Q.1,500万円で売ると税金はどのくらい?
本記事の「取得費不明で5%、譲渡費用70万円、長期譲渡、特別控除なし」という仮定なら約275万円です。一方、実際の取得費800万円を確認できる仮定なら約128万円となり、3,000万円特別控除を適用できれば課税所得が0円になる可能性もあります。
Q.相続したばかりなので短期譲渡になりますか?
原則として被相続人の取得時期を引き継ぎます。親が何十年も前に取得した実家なら、相続後すぐに売っても長期譲渡所得になることがあります。
Q.親の購入価格が分かりません。
まず売買契約書、建築請負契約書、領収書等を探してください。取得費が分からない場合などには、売却金額の5%を概算取得費とできる制度があります。
Q.相続税評価額を取得費にできますか?
通常、相続税評価額をそのまま譲渡所得計算上の取得費にするわけではありません。原則として被相続人の購入代金等を基に確認します。
Q.相続税を払ったのに、売却時にも税金がかかるのですか?
相続税と、売却による譲渡所得への税金は別です。ただし、一定の要件で相続税の一部を取得費へ加算できる特例が利用できる場合があります。
Q.3,000万円控除を使えれば必ず税金0円ですか?
課税対象となる譲渡所得が控除額以内で、かつ特例の要件を満たす場合には0円になる可能性があります。ただし特例の適用には条件・期限があるため、個別確認が必要です。
Q.税金0円でも確定申告は必要ですか?
3,000万円特別控除などの特例を利用するために確定申告が必要となる場合があります。「税額0円だから申告不要」と判断しないようにしてください。
Q.税額を不動産会社に確定してもらえますか?
不動産会社では査定価格や売却費用の整理はできますが、個別の税額計算・税務判断は税理士の業務領域です。正式な税額や特例の適用可否は税理士または税務署へ確認してください。
まとめ|相続空き家の税金は「取得費・特例」で大きく変わる
岡山で相続した空き家を売却するとき、
「1,500万円で売るなら税金は○○万円」
と売却価格だけで答えることはできません。
確認すべきなのは、
- 親がいつ取得したか
- 親がいくらで取得したか
- 取得費の資料があるか
- 売却時の譲渡費用はいくらか
- 3,000万円特別控除を使えるか
- 相続税の取得費加算が使えるか
です。
特に取得費の違いは大きく、今回の1,500万円売却モデルでは、
取得費不明:概算税額 約275万円
取得費800万円を確認:概算税額 約128万円
3,000万円控除の要件を満たす:0円となる可能性
という大きな差が出ました。
まず現在の査定価格を確認し、親の取得資料・相続状況・売却費用を整理してから、税理士または税務署へ税額を確認しましょう。
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