なぜウチのアパートだけ決まらない?岡山市の賃貸市場から見る空室の原因
「隣のアパートには入居者が決まったのに、なぜ自分の物件だけ空室なのだろう」
「家賃は周辺相場に合わせているはずなのに、問い合わせが入らない」
「管理会社に任せているが、何を改善すればよいか分からない」
岡山市でアパートやマンションを経営している大家さんのなかには、このような疑問や焦りを感じている方も多いのではないでしょうか。
空室が続くと、「築年数が古いから仕方がない」「立地が悪いから決まらない」と考えてしまいがちです。
しかし、同じ地域、同じ築年数、似たような間取りでも、早く決まる物件と長期間空室になる物件があります。
その違いは、家賃だけではありません。
駐車場、初期費用、写真、設備、入居条件、管理状態など、現在の賃貸市場と募集内容の小さなズレが重なっていることがあります。
この記事では、岡山市の賃貸市場から見た空室の代表的な原因と、自分の物件がどこで選ばれなくなっているのかを判断する方法、具体的な改善策を解説します。
岡山市の賃貸市場は「市内全体」で考えない
岡山市の賃貸市場は、北区・中区・南区・東区ですべて同じではありません。
さらに、同じ区内でも大学、病院、工業団地、商業施設、主要道路、学校区などによって、部屋を探している入居者の属性が異なります。
岡山市は、区別だけでなく町丁別や小学校区別の人口・世帯数、年齢構成を公開しています。つまり、空室対策では市全体の人口だけでなく、物件周辺の小さな商圏を見ることが重要です。[注1]
例えば、地域によって次のような違いがあります。
- 岡山駅周辺や大学周辺では学生・単身者需要がある
- 病院周辺では医療関係者や通院しやすさを求める需要がある
- 郊外では車通勤をする単身者・ファミリー需要が中心になる
- 小学校区を重視して探す子育て世帯がいる
- 工業団地や事業所周辺では法人・転勤・社宅需要がある
- バス停や生活施設が近い地域では高齢者需要を見込める
そのため、「岡山市の家賃相場はこの金額だから大丈夫」と考えるだけでは不十分です。
物件周辺で実際に部屋を探している人と、自分の物件の間取り・家賃・設備が合っているかを確認する必要があります。
空室の原因は、物件そのものが悪いのではなく、「現在その地域で探している人」と募集内容が合っていないこともあります。
原因1.狙っている入居者と地域需要が合っていない
以前の入居者と同じ条件で募集していませんか
長く入居していた方が退去すると、大家さんは以前と同じ家賃、同じ条件で募集を始めることが多いでしょう。
しかし、入居者が住み始めた5年前、10年前と現在では、周辺の賃貸需要が変わっている可能性があります。
- 近くの大学や専門学校の学生数が変化した
- 事業所や工場が移転・縮小した
- 新築アパートが増えた
- ファミリー世帯より単身世帯が増えた
- 地域の高齢化が進んだ
- 周辺に学生寮や社員寮ができた
- 新しい道路や商業施設ができた
過去に学生が入居していたからといって、現在も学生向け募集が最適とは限りません。
反対に、会社員だけに限定しているため、高齢者、生活保護を受給している方、ひとり親世帯など、実際に住まいを探している人を対象から外している場合もあります。
解決策|物件から3キロ圏内の需要を調べる
地域需要を確認するときは、物件からおおむね徒歩・自転車・車で移動できる範囲を調べます。
- 大学・専門学校
- 病院・介護施設
- 工業団地・事業所
- スーパー・ドラッグストア
- 駅・バス停
- 小学校・保育施設
- 主要道路へのアクセス
そのうえで、どの入居者に向いている物件なのかを具体的に決めます。
| 物件の特徴 | 想定できる入居者 | 打ち出したい内容 |
|---|---|---|
| 大学・専門学校が近い1K | 学生・若い単身者 | ネット環境、初期費用、防犯設備 |
| 病院・バス停が近い1DK | 病院勤務者・高齢単身者 | 通勤・通院、1階、生活施設 |
| 郊外の2DK・2LDK | カップル・子育て世帯 | 駐車場2台、収納、買い物環境 |
| 家賃を抑えた築古物件 | 生活費を抑えたい単身者 | 初期費用、相談可能な入居条件 |
| 庭・駐車場付き戸建て | ファミリー・ペット世帯 | 駐車台数、庭、ペット相談 |
募集対象を広げるときは受け入れ体制も整える
高齢者、生活保護、外国籍、保証人を用意しにくい方などへ募集を広げる場合も、無条件で受け入れる必要はありません。
- 保証会社を利用する
- 緊急連絡先を確認する
- 見守りサービスを検討する
- 家賃の支払方法を確認する
- 代理納付制度の利用可否を確認する
- 入居前に生活状況を丁寧に聞き取る
大家さんが安心できる契約条件を整えたうえで、募集対象を広げることが大切です。
原因2.家賃は相場内でも「総支払額」が高い
入居希望者は家賃だけで比較していない
大家さんが周辺相場を調べるときは、家賃だけを比較しがちです。
しかし、入居希望者が確認しているのは、毎月支払う総額と、入居時に必要な初期費用です。
毎月の支払額には、次の費用が含まれます。
- 家賃
- 共益費・管理費
- 駐車場料金
- 定額水道料
- 町内会費
- 24時間サポート費用
- その他の月額費用
入居時には、さらに次の費用が必要です。
- 敷金・礼金
- 保証会社の初回保証料
- 火災保険料
- 鍵交換費用
- クリーニング費用
- 仲介手数料
- 前家賃
例えば、家賃が競合より2,000円安くても、共益費、駐車場、付帯費用を含めると、毎月の負担が高くなることがあります。
岡山市では駐車場込みの負担で比較されやすい
岡山市のように車で通勤・買い物をする世帯が多い地域では、駐車場は家賃と切り離して考えにくい条件です。
特に次の物件は、駐車場条件が成約率に影響します。
- 郊外の単身向け物件
- カップル向け1LDK
- ファミリー向け2DK・2LDK・3DK
- 公共交通機関から離れた物件
- スーパーや勤務先まで車移動が必要な物件
ファミリー物件なのに駐車場が1台分しかない、普通車を駐車できない、道路から入りにくいといった条件では、室内がきれいでも候補から外されることがあります。
解決策|家賃を下げる前に条件の組み替えを行う
空室が続いたからといって、すぐに家賃を恒久的に下げる必要はありません。
まずは、次の方法を比較しましょう。
- 礼金をゼロにする
- 一定期間のフリーレントを付ける
- 鍵交換費用の一部を大家さんが負担する
- 駐車場1台込みの金額で表示する
- 一定期間だけ駐車料金を無料にする
- 付帯サービスを整理する
- 家具・家電付きプランを用意する
家賃を月3,000円下げると、1年間で3万6,000円、3年間では10万8,000円の減収になります。
それに対して、礼金1か月分や短期間のフリーレントは、一時的な負担で済みます。
長期的な家賃減額と、一時的な募集費用のどちらが収益を守れるかを計算して判断しましょう。
原因3.物件の魅力がインターネット上で伝わっていない
部屋探しは内見前から始まっている
現在の部屋探しでは、入居希望者が不動産会社へ来店する前に、インターネットで複数の物件を比較します。
その段階で写真が暗い、枚数が少ない、周辺情報が分からない物件は、内見候補に入りにくくなります。
次のような掲載になっていないでしょうか。
- 写真が数年前のままになっている
- 室内写真が暗い
- 同じ方向の写真ばかり掲載されている
- 収納内部や水回りの写真がない
- 駐車場と前面道路が写っていない
- 「日当たり良好」「買い物便利」だけで説明が終わっている
- リフォームした部分が掲載されていない
解決策|内見前の不安を写真で解消する
最低限、次の写真を用意しましょう。
- 建物外観
- 玄関
- 各居室
- キッチン
- 浴室
- トイレ
- 洗面所
- 収納内部
- バルコニー
- エアコン・インターホンなどの設備
- 駐車場
- 前面道路
- ゴミ置場・駐輪場
撮影時は照明を点灯し、カーテンや扉を開け、室内を整理した状態で撮影します。
築年数が古くても、清潔感、収納、窓の多さ、駐車場など、写真で伝えられる強みはあります。
解決策|紹介文を入居者目線に変える
設備名を並べるだけでなく、その物件でどのような生活ができるかを伝えます。
改善前の紹介文
日当たり良好。買い物便利。エアコン付き。
改善後の紹介文
敷地内駐車場1台確保可能。主要道路へ出やすく、岡山市内へ車通勤する方にも便利です。徒歩圏内にスーパーとドラッグストアがあり、仕事帰りの買い物もしやすい2DKです。
「駅徒歩○分」だけでは魅力が伝わりにくい地方都市では、車での移動時間、主要道路、スーパー、病院、学校などの情報が重要です。
原因4.内見はあるのに現地で選ばれていない
内見があるなら家賃だけが原因とは限らない
問い合わせや内見はあるのに申込みが入らない場合、広告ではなく現地で感じる印象に問題がある可能性があります。
- 玄関を開けたときに臭いがする
- 室内が暗い
- 清掃が不十分
- 排水口や洗濯機置場が汚れている
- 共用廊下に私物がある
- ゴミ置場や駐輪場が荒れている
- 雑草が伸びている
- 郵便受けにチラシがたまっている
- 駐車場へ入りにくい
- 設備が故障したままになっている
大家さんや管理会社が見慣れている状態でも、初めて訪れた内見者には強いマイナス印象になることがあります。
解決策|内見者と同じ動線で確認する
道路から物件へ入り、駐車し、建物入口を通り、室内に入るまでを、内見者の目線で確認しましょう。
- 物件の場所が分かりやすいか
- 駐車場へ安全に入れるか
- 共用部が明るく清潔か
- 鍵が開けやすいか
- 玄関を開けたときの臭いはないか
- 室内照明が点灯するか
- 水道や排水に異常がないか
- エアコンや給湯設備を確認できるか
少額の改善を優先する
現地の印象を良くするために、最初から全面リフォームを行う必要はありません。
- 室内と共用部を清掃する
- 排水口へ水を流す
- 消臭・換気を行う
- 照明器具を設置する
- 切れた共用灯を交換する
- 水栓やスイッチプレートを交換する
- 雑草・放置自転車・チラシを撤去する
- 駐車区画番号を見やすくする
費用の少ない改善でも、物件全体の印象が大きく変わることがあります。
原因5.管理会社が市場の変化を募集へ反映していない
掲載しているだけでは募集活動とはいえない
管理会社から「現在募集中です」と報告されても、具体的な反響が分からなければ、何を改善すべきか判断できません。
大家さんは、少なくとも次の内容を確認しましょう。
- どの不動産サイトへ掲載されているか
- 掲載写真はいつ撮影されたものか
- 問い合わせは何件あったか
- 内見は何件あったか
- 内見後に断られた理由は何か
- 他の仲介会社へ情報が共有されているか
- 競合物件と比べた弱点は何か
- 次にどのような改善を行うか
解決策|反響段階から空室原因を診断する
| 募集状況 | 考えられる原因 | 優先する改善策 |
|---|---|---|
| 問い合わせがない | 家賃・初期費用・写真・掲載状況 | 募集条件と広告を改善する |
| 問い合わせはあるが内見がない | 詳しい条件・場所・駐車場で離脱 | 情報を明確にし条件を整理する |
| 内見はあるが申込みがない | 臭い・清掃・共用部・設備・騒音 | 現地での印象を改善する |
| 申込み後にキャンセルされる | 初期費用・契約条件・審査対応 | 説明方法と審査体制を見直す |
具体的な提案がなければ相談先を見直す
次の状態が続く場合は、募集体制や管理会社を見直す余地があります。
- 長期間空室でも反響報告がない
- 家賃値下げ以外の提案がない
- 掲載写真が古いままになっている
- 内見後の意見が共有されない
- 地域需要に合うターゲット提案がない
- 修繕や入居者対応が遅い
管理会社をすぐに変更する必要はありませんが、別の不動産会社へ募集方法だけ相談することも一つの選択肢です。
「ウチだけ決まらない」を解消する4つの改善手順
手順1.競合物件を5件以上比較する
同じ地域、間取り、築年数、家賃帯の物件を確認します。
- 家賃・共益費・駐車場の総額
- 初期費用
- 写真の枚数と質
- 設備
- 入居条件
- 駐車可能台数
- 募集期間
単に家賃の高低を見るのではなく、自分の物件が入居者からどう比較されるかを考えます。
手順2.問い合わせ・内見・申込みを数字で確認する
募集開始日から現在までの反響を一覧にします。
- 問い合わせ件数
- 内見件数
- 申込み件数
- キャンセル件数
- 質問された内容
- 断られた理由
数字が分かれば、どの段階で入居者が離れているかを判断できます。
手順3.費用の少ない対策から実施する
最初に見直したいのは、次の項目です。
- 募集写真
- 紹介文
- 初期費用
- 駐車場情報
- 室内と共用部の清掃
- 入居条件
- 仲介会社への情報共有
高額なリフォームは、内見者から具体的に設備不足を指摘されてからでも遅くありません。
手順4.30日単位で結果を検証する
改善策を実施したあとは、問い合わせや内見が増えたかを確認します。
反響が変わらない場合は、同じ募集を続けるのではなく、次の対策へ進みます。
- 家賃・初期費用の再調整
- 設備の部分改善
- 募集対象の変更
- 近隣駐車場の確保
- 募集会社・管理会社の見直し
高額リフォームをする前のチェックリスト
- 問い合わせは発生しているか
- 内見者から室内の古さを指摘されているか
- 競合物件に比べて不足している設備は何か
- 工事によって家賃をいくら上げられるか
- 空室期間をどの程度短縮できそうか
- 工事費を何年で回収できるか
- 既存入居者の退去防止にも効果があるか
- 一部屋で試してから他室へ広げられないか
リフォーム費用をかけたからといって、その金額をそのまま家賃へ上乗せできるわけではありません。
周辺相場と需要を確認し、入居決定につながる部分へ優先的に投資しましょう。
岡山市のアパート空室に関するよくある質問
Q.周辺物件は決まっているのに、自分の物件だけ決まらない理由は何ですか?
家賃だけでなく、共益費・駐車場を含めた総額、初期費用、写真、駐車場条件、入居対象、共用部の状態などに違いがある可能性があります。競合物件と同じ項目で比較することが大切です。
Q.空室が何か月続いたら募集条件を見直すべきですか?
期間だけでなく反響数で判断します。募集開始後に問い合わせがほとんどない場合は、数週間でも写真や条件を見直す価値があります。
Q.築古アパートは家賃を下げるしかありませんか?
家賃以外にも、初期費用、清潔感、駐車場、募集写真、ペット相談、入居対象の見直しなどで差別化できます。家賃は長期的な収入に影響するため、他の対策と比較して判断しましょう。
Q.高齢者や生活保護の方を受け入れても大丈夫ですか?
保証会社、緊急連絡先、見守り、代理納付などの条件を確認し、物件ごとに受け入れ基準を決めることが大切です。無条件に受け入れるのではなく、安心できる契約体制を整えます。
Q.管理会社を変更すれば空室は改善しますか?
変更だけで必ず改善するとは限りません。ただし、反響報告がない、写真が古い、家賃値下げ以外の提案がない場合は、募集会社や管理体制を見直す価値があります。
まとめ|決まらない原因は「市場とのズレ」にある
岡山市で周辺物件には入居者が決まっているのに、自分のアパートだけ空室が続く場合は、物件と現在の賃貸市場との間にズレが生じている可能性があります。
主な原因は次のとおりです。
- 地域需要と入居者ターゲットが合っていない
- 家賃は相場内でも総支払額が高い
- 駐車場条件が地域需要に合っていない
- 写真と紹介文で魅力が伝わっていない
- 内見時の清潔感や共用部に問題がある
- 管理会社が市場の変化を募集へ反映していない
空室対策では、最初から大幅な家賃値下げや全面リフォームを行う必要はありません。
問い合わせ、内見、申込みのどこで止まっているのかを確認し、競合物件との違いを整理しましょう。
写真、初期費用、駐車場、清掃、入居条件など、費用の少ない対策から取り組むことで、収益を守りながら空室を改善できる可能性があります。
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- 家賃・共益費・駐車場を含めた総支払額
- 敷金・礼金などの初期費用
- 問い合わせ・内見・申込みの状況
- 物件写真と募集コメント
- 周辺の競合物件と入居者需要
- 駐車場・共用部・室内設備の状態
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