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「大家さんから、アパートを建て替えるので半年後に出てほしいと言われた。立ち退き料として30万円払うそうだ」
「生活保護を受けているけれど、このお金を受け取ったら保護費はどうなるのだろう」
「もらえるものはもらいたい。でも、あとで返せと言われたら困る」

長く住んだ部屋を出なければならないだけでも大きな出来事なのに、そこにお金の話が加わると、何をどう判断すればいいのか分からなくなってしまいますよね。

先に結論をお伝えします。生活保護を受けている方が立ち退き料を受け取った場合、そのお金は収入として申告する必要があります。そして、立ち退きによる引っ越しの費用は、住宅扶助の対象になりうるため、立ち退き料と扶助が二重にならないよう調整されるのが一般的です。

大切なのは、立ち退き料を受け取る前、合意書に署名する前に、担当のケースワーカーへ相談することです。この記事では、立ち退き料の扱われ方と、受け取る前に確認しておきたいことを整理します。

この記事の立場について
当社は不動産会社として、借主・貸主のどちらの立場でも賃貸に関わることがあります。そのため、この記事では立ち退き料を「いくら引き出すか」という交渉の方法ではなく、生活保護を受けている方が、制度との関係で何を確認し、どの順番で動けばよいかに絞ってお伝えします。

結論|受け取る前に、ケースワーカーへ相談する

  • 立ち退き料は収入として申告が必要(生活保護法第61条の届出義務)
  • 立ち退きによる転居の費用は、扶助の対象になりうる(敷金・引っ越し代など)
  • 二重にならないよう調整される。立ち退き料で転居費用を賄う形か、扶助を出したうえで立ち退き料を収入として扱う形が一般的
  • 手元に残せる部分がある可能性。暮らしを立て直すために必要な費用として認められれば、収入として扱われないことがある
  • 申告しないと不正受給として扱われるおそれがある

立ち退き料は、受け取ってから相談するより、受け取る前に相談したほうが、選べる道が多く残ります。合意の内容や受け取り方によって、その後の扱いが変わることがあるからです。

そもそも立ち退き料とは何か

法律で金額が決まっているお金ではない

賃貸住宅の大家さんが、借主に契約の更新を断ったり、解約を申し入れたりするには、借地借家法で「正当な事由」が必要とされています。建物の老朽化、建て替えの必要性、大家さん側の事情などがこれにあたります。

立ち退き料は、この正当な事由を補う要素として、大家さんから借主に支払われることがあるお金です。法律で支払いや金額が一律に決められているわけではなく、決まった相場もありません。建物の状態、借主の事情、話し合いの経過などによって、金額も内容も大きく変わります。

通知の時期にもルールがある

大家さんからの更新拒絶や解約の申し入れには、おおむね6か月以上前に通知することが法律で求められています。「来月出てほしい」と突然言われた場合でも、慌てて引っ越す必要があるとは限りません。まずは、理由と時期を書面で出してもらうことが出発点になります。

生活保護を受けている人が立ち退き料を受け取ると

収入として申告が必要

生活保護法第61条では、収入に変動があったときは、すみやかに届け出ることが定められています。立ち退き料は、大家さんから受け取るお金なので、収入として福祉事務所に申告する必要があります。

転居の費用は、扶助の対象になりうる

一方で、生活保護では、大家さんから相当の理由で立ち退きを求められ、やむを得ず転居する場合は、新しい部屋の敷金などの初期費用や、引っ越し代を扶助として認めてよい場合とされています。建物の老朽化や取り壊しによる立ち退きは、転居費用が認められる典型的なケースのひとつです。

二重にならないよう、2通りの方法で調整される

立ち退き料も受け取り、転居費用も扶助で出る。そのままだと、同じ目的のお金を二重に受け取ることになります。そのため、多くの場合、次のどちらかの形で調整されます。どちらになるかは、自治体や状況によって異なります。

形① 立ち退き料で転居費用を賄う
受け取った立ち退き料を、新しい部屋の初期費用や引っ越し代に充てるよう案内される形です。足りない分があれば扶助で出し、余った分は収入として扱われます。

形② 転居費用を扶助で出し、立ち退き料を収入として扱う
転居費用は扶助として支給し、受け取った立ち退き料は収入として認定する形です。その後の保護費が調整されます。

どちらの形でも、立ち退き料の分だけ「余分にお金が増える」わけではありません。この点は、受け取る前に知っておいていただきたいところです。

手元に残せる部分がある可能性

ただし、収入の中には、世帯が暮らしを立て直すために必要な費用(自立更生のための費用)に充てられるものについて、収入として扱わない考え方があります。立ち退きに伴って必要になる出費のうち、扶助では賄われないものが、この扱いの対象として検討されることがあります。

何が認められるかは、世帯の状況を見て福祉事務所が判断します。認められるとは限らないため、使う前に、見積書を持ってケースワーカーへ相談することが前提です。使ってしまってから説明しても、認められにくくなります。

金額が大きいと、保護が止まることもある

立ち退き料が大きく、転居費用などを差し引いてもまとまった額が残る場合は、そのお金が当面の生活費とみなされ、保護が一時的に停止したり、廃止になったりすることがあります。お金を使い切って生活が苦しくなれば、改めて保護を受けることを相談できます。

判断するのは福祉事務所です
立ち退き料をどう扱うか、どの費用を扶助として認めるか、手元に残せる部分があるかは、世帯の状況を見て、お住まいの区の福祉事務所が判断します。ここでの説明は一般的な考え方の整理としてお読みいただき、実際の扱いは必ず担当のケースワーカーへご確認ください。

立ち退きが決まったら、次の部屋探しを早めに

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受け取る前に確認したい7つのこと

ここがこの記事の中心です。合意書に署名したり、お金を受け取ったりする前に、次の点を確認しておきましょう。

① 立ち退きの理由・期限・金額を書面でもらう

口頭だけでは、何がどう決まったのか分からなくなります。立ち退きを求める理由、明け渡しの期限、立ち退き料の金額を、書面で出してもらってください。ケースワーカーに相談するときにも、この書面が必要になります。

② 合意する前に、ケースワーカーへ相談する

いちばん大切なステップです。立ち退きの書面と、合意書の案があればそれも持って、担当のケースワーカーに相談してください。転居が認められるか、転居費用の扶助はどうなるか、立ち退き料はどう扱われるかを、合意の前に確認しておきます。ケースワーカーは、制度の中で使える道を一緒に探してくれる相手です。

③ 立ち退き料の中身(何のためのお金か)を確認する

立ち退き料が、引っ越し代の分なのか、新しい部屋の初期費用の分なのか、それ以外の分なのか。何のためのお金かがはっきりしているほうが、扶助との調整を整理しやすくなります。合意書に書かれている内容を確認しておきましょう。

④ いつ、どうやって支払われるかを確認する

明け渡しのときに支払われるのか、先に一部が支払われるのか。新しい部屋の初期費用を払う時期と合っているかを確認します。受け取りは、振り込みなど記録が残る形にしておくと、申告のときに説明しやすくなります。

⑤ 敷金の返還と、原状回復費の扱いを確認する

退去のときに、預けている敷金がどうなるのか、原状回復費を請求されるのかどうかも確認しておきましょう。原状回復費は、原則として扶助の対象になりません。合意書にこれらの扱いが書かれているかを見ておくと、退去後に思わぬ請求が来る心配が減ります。返ってきた敷金も、立ち退き料と同じく申告が必要です。

⑥ 明け渡しの期限までに、部屋を探す時間があるか

生活保護を受けながらの部屋探しは、物件探し、見積書の提出、ケースワーカーの確認、契約と、段階を踏む必要があります。期限が短すぎないかを確認し、余裕がない場合は早めに不動産会社とケースワーカーの両方に相談してください。

⑦ 内容に納得できないときは、署名を急がない

「今日中にサインしてほしい」と求められても、内容が分からないまま署名する必要はありません。持ち帰って確認したい、と伝えて大丈夫です。法的な判断が必要な場合は、法テラスなどの公的な相談窓口を利用できます。

数字でイメージしてみます

立ち退き料30万円を受け取り、転居先の初期費用と引っ越し代が合わせて20万円かかる場合の、考え方の例です。

形①で調整される場合|立ち退き料で転居費用を賄う
立ち退き料30万円のうち、20万円を新しい部屋の初期費用と引っ越し代に充てる
→ 残る10万円は収入として扱われ、その後の保護費で調整される可能性があります

形②で調整される場合|扶助を出し、立ち退き料を収入として扱う
転居費用20万円は扶助として支給される
→ 立ち退き料30万円が収入として扱われ、その後の保護費で調整される可能性があります

どちらの形でも
最終的に手元に「立ち退き料の分だけ余分に」残るわけではありません。ただし、暮らしを立て直すために必要な費用(たとえば転居に伴って必要になった生活用品など)として認められた部分があれば、その分は収入として扱われず、手元に残せる可能性があります。

申告しなかった場合
後から分かると、不正受給として扱われ、受け取った額の徴収に加えて、最大でその40%を上乗せした額を求められることがあります。

数字はあくまで考え方の例です
実際にどちらの形で調整されるか、どの費用が扶助として認められるか、手元に残せる部分があるかは、世帯の状況によって福祉事務所が判断します。上の例は仕組みをイメージしていただくための目安としてお読みください。

申告の手順

立ち退きを求める書面を受け取る
↓
合意する前に、ケースワーカーへ相談する(書面・合意書の案を持参)
↓
転居の可否、扶助の範囲、立ち退き料の扱いを確認する
↓
立ち退きの合意・新しい部屋探し
↓
新しい部屋の見積書をケースワーカーへ提出し、確認を受けてから契約
↓
立ち退き料を受け取ったら、すぐに申告する(合意書・通帳の写しなど)
↓
退去・敷金精算の結果も報告する

ポイントは、「合意の前」と「受け取ったとき」の2回、ケースワーカーに伝えることです。新しい部屋の賃貸契約は、ケースワーカーの確認を受けてから結ぶのが原則です。

気をつけたいこと

ケースワーカーに相談せずに合意する
合意の内容によっては、扶助との調整が複雑になることがあります。合意の前に相談するのが安全です。

受け取ったお金を、申告する前に使う
使い道を決める前に申告するほうが、後の調整で暮らしが苦しくなりにくくなります。

現金で受け取って、記録を残さない
いくら受け取ったかを示す記録がないと、申告のときに説明しにくくなります。

期限ぎりぎりまで部屋探しを始めない
生活保護での部屋探しは段階が多いため、立ち退きが決まったら早めに動き出しましょう。

岡山市で相談できる先

お住まいの区の福祉事務所
立ち退き料の扱い、転居の可否、転居費用の扶助、申告の方法。

法テラス岡山(日本司法支援センター)・岡山弁護士会
立ち退きの理由や条件が妥当か、合意書の内容に問題がないかなど、法律の判断が必要な相談。法テラスは、条件を満たせば無料で相談できます。

岡山市消費生活センター(消費者ホットライン188)
退去時の原状回復費などをめぐるトラブルの相談。

不動産会社
住宅扶助の範囲で借りられる次の部屋探し、ケースワーカーに出す見積書の準備、退去と入居の日程調整。

当社にできること・できないこと
当社は、次の部屋探し、見積書の準備、退去と入居の日程調整をお手伝いします。一方、立ち退きの理由や条件が法的に妥当かどうかの判断、立ち退き料の金額をめぐる交渉、大家さんとの交渉の代理は行えません。これらは弁護士の領域であり、法テラス等の公的な相談窓口をご案内します。また、当社は借主・貸主どちらの立場でも賃貸に関わることがあるため、特定の立場に立った交渉の助言は控えています。

よくあるご質問

Q1. 生活保護を受けていて立ち退き料をもらったら、申告は必要ですか?

必要です。生活保護法第61条では、収入に変動があったときはすみやかに届け出ることが定められています。立ち退き料は収入として申告し、扱いについて担当のケースワーカーに確認してください。できれば受け取る前、合意する前に相談するのがおすすめです。

Q2. 立ち退き料を受け取ると、保護費は減りますか?

立ち退き料は収入として扱われるため、その後の保護費が調整されることがあります。ただし、立ち退きによる転居費用は扶助の対象になりうるため、立ち退き料で転居費用を賄う形、または扶助を出したうえで立ち退き料を収入として扱う形で、二重にならないよう調整されるのが一般的です。

Q3. 立ち退きによる引っ越しの費用は、生活保護から出ますか?

大家さんから相当の理由で立ち退きを求められ、やむを得ず転居する場合は、新しい部屋の敷金などの初期費用や引っ越し代が扶助として認められる場合があります。立ち退き料との調整も含めて、契約前に担当のケースワーカーへ確認してください。

Q4. 立ち退き料の一部を手元に残すことはできますか?

世帯が暮らしを立て直すために必要な費用に充てられるものについて、収入として扱わない考え方があり、立ち退きに伴う出費のうち扶助で賄われないものが対象として検討されることがあります。認められるとは限らないため、使う前に見積書を持ってケースワーカーへ相談してください。

Q5. 立ち退き料を申告しなかったらどうなりますか?

後から分かった場合、不正受給(生活保護法第78条)として扱われ、受け取った額の徴収に加えて、最大でその40%を上乗せした額を求められることがあります。金額を少なく申告した場合も同様です。

Q6. 立ち退き料の金額が妥当か分かりません。どこに相談すればいいですか?

立ち退き料は法律で金額が決まっているものではなく、事情によって大きく異なります。金額や条件が妥当かどうかの判断は法律の専門家の領域ですので、法テラスや岡山弁護士会の相談窓口をご利用ください。生活保護との関係については、あわせて福祉事務所に相談してください。

まとめ

  • 立ち退き料は、生活保護を受けている場合、収入として申告が必要
  • 立ち退きによる転居の費用は、扶助の対象になりうる
  • 立ち退き料と扶助は、二重にならないよう調整される
  • 暮らしを立て直すための費用として、手元に残せる部分がある可能性もある
  • 金額が大きいと、保護が一時的に止まることもある
  • 合意する前・受け取る前に、ケースワーカーへ相談する
  • 理由・期限・金額は書面で。受け取りは記録が残る形で
  • 敷金と原状回復費の扱いも、合意の前に確認する
  • 金額や条件の法的な妥当性は、法テラスなど専門の窓口へ

立ち退き料は、「もらえるかどうか」だけでなく、「もらったあとどう扱われるか」まで考えておくことが大切なお金です。受け取る前にひと言、ケースワーカーに相談する。それだけで、あとから慌てることはほとんどなくなります。

自分の意思ではなく住まいを出なければならないのは、とても心細いことです。長年慣れ親しんだ場所を離れる寂しさ、次の部屋が見つかるかという不安、手続きの多さ。気持ちが追いつかないのは、自然なことです。ひとりで抱え込まず、ケースワーカーや身近な人、地域の相談窓口に話してみてください。住まいが変わっても、暮らしは続けていけます。

立ち退き後の部屋探し、ご相談ください

ミニクルホームは、岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、生活保護を受給されている方のお部屋探しをお手伝いしている不動産会社です。

「立ち退きの期限までに次の部屋を見つけたい」「ケースワーカーに出す見積書を準備したい」「退去と入居の日程を合わせたい」——どの段階でも大丈夫です。立ち退きの書面の写真をLINEで送っていただければ、部屋探しのスケジュールを一緒に考えます。

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※ 記事内の制度の取扱いは一般的な考え方の整理であり、特定の結果を保証するものではありません。立ち退き料の扱いや転居費用の扶助は、世帯の状況により福祉事務所が判断しますので、担当のケースワーカー・お住まいの区の福祉事務所へご確認ください。
※ 当社は不動産業者であり、立ち退きの法的な妥当性の判断、立ち退き料をめぐる交渉、大家さんとの交渉の代理は行えません。これらは弁護士等の専門家、または法テラス等の公的窓口へご相談ください。

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