「収入が減って生活が立ちゆかない。でも、住宅ローンが残っている家があると生活保護は受けられないと聞いた」
「家を売らないといけないのだろうか。売ったとしても、住むところはどうなるんだろう」
「どこから手をつければいいのか、見当もつかない」
持ち家を持ちながら生活が苦しくなったとき、この悩みは本当に行き場がなくなります。賃貸にお住まいの方と違って「家があるのだから困っていないはず」と見られてしまうのではないか、という不安もあるかもしれません。
先にお伝えします。「住宅ローンが残っているから、生活保護は一切受けられない」というわけではありません。ただし、ローンの返済が続いている住宅に住んだまま保護を受けることは、原則として難しいと考えておくほうが現実的です。
この記事では、なぜローンが問題になるのか、例外として認められる可能性があるのはどんな場合か、そして岡山市で売却や住み替えを考えるときにどういう順番で動けばいいのかを整理します。順番を間違えると、本来受けられたはずの支援が受けられなくなることがあります。そこを避けていただくための記事です。
結論|「持ち家だからダメ」ではなく「ローン返済中だから難しい」
まず、よくある誤解をほどいておきます。
誤解:持ち家があると生活保護は受けられない
→ これは正確ではありません。厚生労働省は、生活保護の申請についてよくある誤解として、持ち家がある方も申請できると案内しています。実際に、持ち家に住みながら保護を受けている世帯も一定数あります。
実際に壁になるのは:住宅ローンの返済が続いていること
→ 保護費からローンを返すことは、原則として認められていません。問題は「家を持っていること」ではなく「返済が続いていること」のほうにあります。
ここを切り分けて理解しておくと、この後の判断がぐっと進めやすくなります。
なぜ住宅ローンが問題になるのか
保護費でローンを返すと「資産形成」になってしまうため
生活保護費は、最低限度の生活を営むために支給されるお金です。そのお金で住宅ローンを返済すると、結果として公費で個人の資産を積み上げることになってしまいます。自分の収入から返済している方との間で、公平性の問題も生じます。
厚生労働省の実施要領の考え方でも、ローン返済中の住宅を保有したまま保護を適用すると、生活に充てるべき保護費から返済することになるため、原則として保護を適用すべきでないとされています。
一方で、家そのものは保有が認められる場合があります
厚生労働省の通知(昭和38年4月1日 社発第246号 社会局長通知)では、保護を受ける世帯が現に住んでいる家屋とその敷地については、その不動産の処分価値が利用価値に比べて著しく大きくない限り、保有が認められるという考え方が示されています。
噛み砕くと、「売ったらものすごく高く売れる家」でなければ、住み続けることが認められうる、ということです。ローンを完済している持ち家で、資産価値もそれほど高くないのであれば、住み続けながら保護を受けられる可能性があります。
判断するのは福祉事務所です
保有を認めるかどうか、保護を適用するかどうかを決めるのは、お住まいの区の福祉事務所です。世帯の状況、不動産の評価、ローンの残り方によって結論は変わります。この記事は考え方の整理としてお読みいただき、実際の可否は必ず福祉事務所へご相談ください。
例外として認められる可能性があるのはどんな場合か
「原則は難しい」とお伝えしましたが、例外が検討される場合もあります。考え方の軸は、残りの返済がどれくらい軽いかです。
見られやすい3つのポイント
- 残債がどれくらい少ないか(自治体の運用例では、おおむね300万円以下といった水準が目安として挙げられることがあります)
- 返済期間があとどれくらいか(おおむね5年以内といった水準が目安とされる例があります)
- 毎月の返済額が生活を圧迫していないか(生活扶助基準額に対して小さい割合に収まっているか)
考え方の背景には、「売却したほうがかえって損になる場合がある」という現実的な判断があります。あと数か月で完済できる家を、わざわざ売って引っ越し費用をかけるほうが経済的に不利になることは実際にあり得ます。
数字はあくまで目安です
上に挙げた金額や年数は、一部の自治体で運用の目安として示されている水準であり、全国一律の基準ではありません。岡山市での取扱いや、ご自身の世帯に当てはまるかどうかは、必ず担当のケースワーカー・お住まいの区の福祉事務所へご確認ください。
まず「残債と売却見込み」を整理しませんか
売るかどうかを決める前の段階で大丈夫です。
状況をお聞きして、順番を一緒に整理します。
営業時間 10:00〜18:00/定休日 水曜日・不定休
65歳以上の方は、先に別の制度を案内されることがあります
ここは、意外と知られていないけれど大切な部分です。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金という制度
これは、自宅に住み続けたまま、その不動産を担保にして生活資金の貸付けを受ける制度です。いわゆるリバースモーゲージの、生活保護に関連する仕組みだとお考えください。社会福祉協議会が実施しています。
対象になる要件として、一般に次のような点が案内されています。
- 借入申込者および同居の配偶者が、原則として65歳以上であること
- 居住用不動産の評価額が、おおむね500万円以上であること
- その不動産に賃借権・抵当権などが設定されていないこと
- この貸付けを利用しなければ生活保護が必要になる世帯だと、福祉事務所が認めた世帯であること
この要件に当てはまる場合、生活保護に優先して、まずこの貸付けを利用することになります。貸付限度額まで使い切ったあと、要件を満たせば生活保護へ移行する、という流れです。
ローンが残っている家は、この制度の対象になりにくい
実務上、ここが重要です。住宅ローンが残っている家には、金融機関の抵当権が設定されています。先ほどの要件に「抵当権などが設定されていないこと」とあるとおり、ローン返済中の家は、この制度の対象から外れやすいのです。
つまり、65歳以上でローンが残っている持ち家にお住まいの方は、「保護も難しい、貸付制度も使いにくい」という状態になりやすいということです。この場合は、売却と住み替えを含めて考える必要が出てきます。だからこそ、早めに動くことが大切になります。
岡山市で売却・住み替えを考える順番(5ステップ)
ここからが実務です。この順番で確認していくと、無駄な動きが減ります。
ステップ1|ローンの残債と返済予定を確認する
最初にやるのは、数字を見えるようにすることです。金融機関から届く返済予定表、または残高証明書を手元に出してください。確認するのは「残債がいくらか」「あと何年か」「毎月いくら払っているか」の3点です。手元になければ、借入先の金融機関に再発行を依頼できます。
ステップ2|家がいくらで売れそうか確認する
次に、おおよその売却見込み額を把握します。査定を受けること自体に費用はかかりませんし、査定を受けたからといって売らなければならないわけでもありません。まだ迷っている段階でも、数字が分かるだけで判断材料が増えます。
ステップ3|売却で残債が消えるかどうかを見る
ステップ1と2の数字を並べると、進む道がはっきりします。
例A|残債800万円・売却見込み1,200万円
売却代金で残債を返しても手元に残る状態です(アンダーローン)。諸費用を差し引いたうえで、住み替えの資金に充てられる可能性があります。
例B|残債1,500万円・売却見込み900万円
売っても600万円が残る状態です(オーバーローン)。通常の売却は難しく、後述する任意売却などの検討が必要になります。
ステップ4|住み替え先の家賃の目安を確認する
売却後に賃貸へ移る場合、保護を受けるなら住宅扶助の上限内で物件を探すことになります。岡山市の目安としては、単身世帯でおおむね37,000円程度の水準が参考になります。ただし金額は世帯人数や年度によって変わりますので、必ず福祉事務所でご確認ください。共益費や駐車場代が上限に含まれないことも多いため、家賃だけで判断しないようご注意ください。
ステップ5|福祉事務所に相談する
ここまでの数字を持って、お住まいの区の福祉事務所へ相談してください。残債、返済予定、査定の目安、住み替えの希望が整理されていると、話がスムーズに進みます。ケースワーカーは手続きを止める人ではなく、制度の中で使える道を一緒に探す相手です。遠慮せず、今の状況をそのままお話しください。
なお、相談のタイミングは「全部決まってから」ではなく「迷っている段階」で構いません。むしろ早いほうが選べる道が多く残ります。
売っても残債が残る場合(オーバーローン)はどうする
先ほどの例Bのように、売却額よりローン残債のほうが大きい場合、通常の売却では抵当権を外せないため話が進みません。この場合に検討されるのが任意売却です。
任意売却と競売の違い
任意売却
金融機関の同意を得たうえで、通常の売却に近い形で売る方法です。市場で売るため、競売より条件が整いやすい傾向があります。引渡し時期などを相談できる余地もあります。
競売
滞納が続いた結果、裁判所の手続きによって強制的に売却される流れです。時期や条件を自分で選ぶことは基本的にできません。
大切なのは、任意売却は時間がかかるため、滞納が進む前に動き始めるほうが選択肢が多いということです。「もう手遅れかもしれない」と感じていても、まずは現状を確認するところからで構いません。
専門家の領域についてのお断り
債務整理、自己破産、金融機関との返済条件の交渉といった法的な判断や代理交渉は、弁護士・司法書士など各分野の専門家の役割です。当社は法的な判断を行うことも、交渉の代理人となることもできません。不動産の現状整理、査定、売却、住み替え先のご案内といった不動産実務の範囲でお手伝いし、必要に応じて提携する専門家のご紹介や、法テラス等の公的な相談窓口のご案内をいたします。
住み替え先を探すときに知っておきたいこと
売却と入居のタイミングは必ず重なります
家を売る日と、新しい部屋に入る日。この2つがずれると、一時的に住む場所がなくなってしまいます。逆に重なりすぎると、二重の負担が発生します。売却と住み替えは、同じ窓口でまとめて相談したほうが段取りを合わせやすいのはこのためです。
契約はケースワーカーの確認を受けてから
保護を受けながら賃貸契約を進める場合、先に契約してしまうと初期費用の扶助が受けられないことがあります。気に入った部屋が見つかったら、費目ごとに分かれた見積書を作ってもらい、ケースワーカーへ提出して確認を受けてから契約に進んでください。この順番だけは必ず守っていただきたい部分です。
持ち家から賃貸への住み替えは、物件の見方が変わります
長く持ち家で暮らしてこられた方は、部屋の広さや収納で戸惑われることがあります。家財の量、駐車場の要否、通院のしやすさ、階段の有無。このあたりを先に整理しておくと、内見のときに判断しやすくなります。
気をつけたい「順番の間違い」
相談せずに家を売ってしまう
売却代金は収入として扱われ、保護の判断に影響します。売る前に福祉事務所へ相談しておくほうが安全です。
確認を受ける前に賃貸契約を結んでしまう
初期費用の扶助が受けられなくなることがあります。見積書の確認が先です。
滞納を放置する
滞納が続くと競売の手続きに進み、売り方も時期も選べなくなります。苦しくなった時点が、いちばん選択肢の多いタイミングです。
よくあるご質問
Q1. 住宅ローンが残っていると、生活保護は絶対に受けられませんか?
絶対に受けられないわけではありません。ただし、保護費からローンを返済することは原則として認められないため、返済中の住宅に住んだまま保護を受けることは難しいと考えておくほうが現実的です。残債や返済期間が少ない場合には例外が検討される可能性もあります。判断は福祉事務所によりますので、まずはご相談ください。
Q2. 住宅ローンを完済していれば、持ち家のまま生活保護を受けられますか?
可能性があります。厚生労働省の通知では、現に住んでいる家屋とその敷地は、処分価値が利用価値に比べて著しく大きくない限り保有が認められるという考え方が示されています。ただし資産価値が高い場合は売却を求められることがあります。
Q3. 残債がどのくらいなら例外として認められますか?
全国一律の基準はありません。自治体の運用例では、残債がおおむね300万円以下、返済期間がおおむね5年以内、毎月の返済額が生活扶助基準に対して小さい割合、といった水準が目安として挙げられることがあります。あくまで目安であり、岡山市での取扱いやご自身の世帯への当てはまりは福祉事務所へご確認ください。
Q4. 65歳以上ですが、家を担保にお金を借りる制度があると聞きました。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金という制度があります。原則65歳以上で、居住用不動産の評価額がおおむね500万円以上、かつその不動産に抵当権などが設定されていないことなどが要件とされています。要件に当てはまる場合は生活保護に優先して利用することになります。住宅ローンが残っている家は抵当権が設定されているため、対象になりにくい点にご注意ください。
Q5. 売ってもローンが残りそうです。どうすればいいですか?
売却額がローン残債を下回る状態(オーバーローン)では、任意売却が選択肢になります。金融機関の同意を得て市場で売る方法で、競売より条件を整えやすい傾向があります。ただし手続きに時間がかかるため、滞納が進む前にご相談ください。なお、債務整理や金融機関との交渉は弁護士等の専門家の領域となります。
Q6. 家を売る前と売った後、どちらで福祉事務所に相談すべきですか?
売る前にご相談ください。売却代金は収入として扱われ、保護の判断に影響します。また、売却と住み替えの時期を合わせる必要もあるため、方向性が決まる前の段階で相談しておくほうが進めやすくなります。
まとめ
- 「持ち家だから受けられない」のではなく「ローン返済中だから難しい」
- 完済済みで資産価値が高くない家なら、住み続けられる可能性がある
- 残債が少なく返済期間が短ければ、例外が検討される場合もある
- 65歳以上は不動産担保型の貸付制度が優先されるが、抵当権付きの家は対象外になりやすい
- 順番は、残債確認 → 査定 → 残債が消えるか判断 → 家賃上限確認 → 福祉事務所に相談
- 売っても残債が残るなら任意売却を検討。滞納前のほうが選択肢が多い
- 家を売る前、賃貸契約を結ぶ前に、必ず相談を
持ち家を手放すかどうかは、金額の話だけでは割り切れないものだと思います。長く暮らした家であればなおさらです。それでも、早めに数字を把握しておくことは、家を守る方向にも、次へ進む方向にも、どちらにも効いてきます。
お金と住まいの問題が重なると、気持ちの余裕まで削られてしまいます。眠れない日が続いていたり、誰にも言えずに抱えておられるようでしたら、住まいの話の前に、一度だけでも身近な方や公的な相談窓口に声をかけてみてください。岡山市の福祉事務所、岡山県消費生活センター、法テラスなど、無料で話を聞いてもらえる窓口があります。ひとりで決めなければいけない問題ではありません。
売却も住み替えも、まとめてご相談ください
ミニクルホームは、岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、不動産の売却と、生活保護を受けながらのお部屋探しの両方に対応している不動産会社です。売却の窓口と住まい探しの窓口が別々だと、時期の調整だけで消耗してしまいます。
「まだ売ると決めていない」「残債がいくらか分からない」「ケースワーカーにどう話せばいいか分からない」——どの段階でも大丈夫です。査定だけ、相談だけでも構いません。
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※ 記事内の制度の取扱いは一般的な考え方の整理であり、特定の結果を保証するものではありません。認定の可否や金額は世帯の状況・年度により異なりますので、担当のケースワーカー・お住まいの区の福祉事務所へご確認ください。
※ 当社は不動産業者であり、法的な判断や債務整理の代理交渉は行えません。該当する場合は弁護士・司法書士等の専門家、または法テラス等の公的窓口をご案内します。
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