「久しぶりに実家を見に行ったら、道路側のブロック塀が少し傾いているように見えた」
「売るつもりだけれど、先に直したほうがいいのか、壊したほうがいいのか分からない」
空き家になった家では、ブロック塀の傾きやひび割れに気づくのが遅れがちです。地震や大雨のあとに状態が変わっていることもあり、遠方に住んでいると「どのくらい危ないのか」を判断するのは難しいものです。
ブロック塀の状態は、売却の進め方にも関わります。この記事では、空き家のブロック塀が傾いている場合に、岡山市で売却前に調べておきたいことを、点検の方法、塀の持ち主の確認、市の撤去補助、売り方の比べ方の順にまとめました。
- まず国土交通省のチェックポイントで、高さ・厚さ・控え壁・基礎・傾き・ひび割れを確認しましょう。傾きやぐらつきがある場合は、早めに専門業者に見てもらうと安心です。
- 境界線の上にある塀は、隣地との共有と推定されることがあります(民法第229条)。撤去や修理の前に、誰の塀かを確認します。
- 岡山市にはブロック塀等の撤去補助があります。令和8年度の受付は11月30日まで・先着順で、交付決定の後に工事の契約をする必要があります。
- 売り方は、撤去してから売る、現状のまま告知して売るなどを、費用と買主の安心感で比べて決めます。
傾いたブロック塀が売却で問題になる理由
- 安全面:地震や強風で倒れると、通行人や隣家に被害が出るおそれがあります。
- 所有者の責任:塀の設置や管理に問題があって他人に損害が出た場合、所有者が責任を問われることがあります(下で説明します)。空き家で誰も住んでいなくても、所有者であることに変わりはありません。
- 買主の判断:買主は、購入後に撤去や作り直しにどのくらい費用がかかるかを気にします。
- 隣地との関係:境界線の上にある塀は、隣地の方と一緒に考える必要があることがあります。
ステップ1:国土交通省のチェックポイントで確認する
国土交通省は、既にあるブロック塀の安全点検のためのチェックポイントを示しています。鉄筋で補強されたコンクリートブロック塀の主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 高さ | 地面から2.2m以下か |
| 厚さ | 10cm以上か(高さが2m超2.2m以下なら15cm以上) |
| 控え壁 | 高さ1.2m超の場合、長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突き出た控え壁があるか |
| 基礎 | コンクリートの基礎があるか(高さ1.2m超の場合は根入れ深さ30cm以上か) |
| 傾き・ ひび割れ |
塀に傾きやひび割れがないか |
| 鉄筋 | 直径9mm以上の鉄筋が縦横80cm以下の間隔で入っているか |
高さ・厚さ・控え壁・傾きは目で見て確認しやすい項目です。一方で、基礎や鉄筋は外から分かりにくいため、専門業者に調べてもらう必要があります。古いブロック塀の中には、建てた当時の施工の状況によって鉄筋が少なかったり、基礎が浅かったりするものもあるため、外から見て問題がなさそうでも油断はできません。
こんな状態なら早めに対応を
手で押すとぐらつく、目で見て分かるほど傾いている、ひび割れが広がっている、ブロックがずれている——このような場合は、売却を待たずに専門業者へ相談しましょう。道路に面した塀なら、業者に見てもらうまでの間、近づかないよう注意を促す表示をするなどの応急的な対応も考えられます。
ステップ2:誰の塀かを確認する
撤去や修理の前に確認したいのが、その塀が誰のものかです。
- 塀が自分の敷地の内側にあるか、境界線の上にあるか
- 過去の測量図・境界確認書に塀の位置が書かれていないか
- 塀を作ったときの工事の契約書や領収書が残っていないか
- 隣の方が「うちの塀」と考えていないか
民法第229条では、境界線上に設けた塀などは、隣り合う土地の所有者の共有に属するものと推定するとされています。「推定」なので、どちらかが費用を全額負担して作ったことが分かれば、単独の所有になることもあります。
境界線上の塀を撤去・作り直す場合は、隣地所有者との話し合いが必要になることがあります。境界がはっきりしない場合は、土地家屋調査士に境界の確認や測量を依頼する方法があります。
倒れたときは誰の責任?民法のルール
民法第717条では、土地の工作物(ブロック塀もこれにあたります)の設置や保存に問題があって他人に損害が出たときは、まず占有者が責任を負い、占有者が損害を防ぐために必要な注意をしていたときは、所有者が賠償しなければならないとされています。
空き家で誰も住んでいない場合は、所有者が責任を問われる可能性があります。「売るまでの間だけ」と思っていても、その間に地震や台風が来ることもあります。売却の準備と並行して、塀の安全確認は先に進めておくと安心です。具体的な責任の範囲は状況によって異なるため、心配な場合は弁護士など専門家に相談しましょう。
岡山市のブロック塀等撤去補助を確認する
岡山市には、危険なブロック塀等の撤去費用の一部を補助する制度があります(令和8年度の内容、2026年10月2日確認)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の塀 | 市が指定する避難道路(避難所へ至る経路、通学路、緊急輸送道路など)に面し、道路面からの高さが1m以上で、チェック項目に1つでも不適合がある塀など |
| 位置の条件 | 道路境界線からの距離が塀の高さ以下 |
| 対象の工事 | 危険なブロック塀等を原則全部撤去する工事(新しい塀の設置は対象外) |
| 補助額 | 工事見積額と「塀の長さ×9,000円」のいずれか少ない額の2/3(上限15万円) |
| 対象者 | 塀の所有者(市税の完納などの条件あり) |
| 受付期間 | 令和8年4月13日〜11月30日 (先着順) |
| 注意点 | 令和8年度内に工事が完了するものに限る。交付決定通知を受け取った後に業者と契約する |
| 相談窓口 | 岡山市 建築指導課 建築安全推進係(086-803-1445)。現状の写真を持参すると、対象になるか確認してもらえる |
補助額の目安(計算例)
| 例 | 計算 | 補助額の目安 |
|---|---|---|
| 長さ10m 見積30万円 |
10m×9,000円=9万円(見積より少ない)→9万円×2/3 | 約6万円 |
| 長さ20m 見積35万円 |
20m×9,000円=18万円→18万円×2/3 | 約12万円 |
| 長さ30m 見積50万円 |
30m×9,000円=27万円→27万円×2/3=18万円 | 上限の15万円 |
※実際に対象になるか、補助額がいくらになるかは、市の審査によります。交付決定の前に業者と契約したり、工事を始めたりすると対象外になるおそれがあるため、順番に注意しましょう。
売却を予定している場合は、補助の対象者は塀の所有者である点にも気をつけます。引き渡しの前に撤去を終えるのか、買主に任せるのか、売却のスケジュールとあわせて考えると進めやすくなります。受付は先着順のため、使いたい場合は早めに窓口に相談しましょう。
売り方の選択肢を比べる
| 方法 | よい点 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 撤去してから売る | 安全面の不安がなくなり、買主が判断しやすい | 撤去費がかかる。境界線上の塀は隣地との話し合いが必要なことも |
| 撤去して軽いフェンスに替える | 敷地の区切りを残しつつ、安全性を高められる | 撤去費に加えて設置費がかかる(市の補助は撤去のみ) |
| 現状のまま告知して売る | 売主の手間や費用が少ない | 買主が限られたり、撤去費を見込んだ価格の調整が必要になったりすることがある |
| 建物とあわせて解体し更地で売る | まとめて工事でき、買主が使い方を考えやすい | 解体費がかかる。住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がる場合がある |
どの方法がよいかは、塀の危険度、撤去費、隣地との関係、買主として想定される人によって変わります。撤去費の見積もりをとっておくと、現状で売る場合も価格の話し合いがしやすくなります。
擁壁の上にブロック塀がある場合
土を支える擁壁(ようへき)の上にブロック塀が積まれていることもあります。この場合は、塀だけでなく擁壁の状態もあわせて確認しましょう。擁壁について詳しくは「実家の擁壁が古い|岡山市で売る前に状態と費用をどう調べる?」の記事で解説しています。
買主に伝えたいこと
知っている不具合を伝えずに売却すると、後から契約不適合責任を問われるおそれがあります。告知書(物件状況等報告書)に記載し、次の内容を整理して伝えましょう。
- 塀の傾き・ひび割れの状態(写真)
- 塀の位置と所有者(自分の敷地内か、境界線上か)
- 専門業者の点検結果や撤去費の見積もり
- 撤去した場合は、工事の内容と時期
- 過去に隣地や通行人とのトラブルがなかったか
売却前に調べる流れ
- 写真を撮り、チェックポイントで確認する
高さ・厚さ・控え壁・傾き・ひび割れを確認し、全体と傷んだ部分の写真を残します。 - 専門業者に点検・見積もりを依頼する
基礎や鉄筋の状態、撤去や作り直しの費用を確認します。 - 塀の位置と所有者を確認する
測量図や書類を探し、必要に応じて土地家屋調査士や隣地の方に確認します。 - 岡山市の撤去補助の対象か相談する
写真を持って建築指導課に相談します。交付決定の前に契約しないよう注意します。 - 売り方を決め、買主に伝える
撤去してから売るか、現状で売るかを決め、告知書に記載します。
ミニクルホームにご相談ください
ミニクルホームでは、相続した家や空き家の売却・管理のご相談をお受けしています。塀の状態や隣地との関係をうかがったうえで、売却前に確認しておきたいことの整理や、撤去してから売るか現状で売るかの判断をお手伝いします。内外装リフォームのご相談も受けているため、撤去やフェンスへの付け替えについてもあわせてご相談いただけます。
まずはLINEで「空き家のブロック塀が傾いている」と一言送っていただくだけでも大丈夫です。
※当社は不動産会社のため、塀の構造の安全性の判定や、境界・責任についての法的な判断、隣地所有者との交渉の代理はできません。専門業者・土地家屋調査士・弁護士など専門家にご相談ください。
※補助制度の内容や受付状況は変わることがあります。最新の内容は岡山市の窓口でご確認ください。
※売却価格や売却期間は、物件の状況や市場の動向によって異なります。
よくある質問
- ブロック塀が傾いている空き家は売れますか?
- 売ることはできます。塀の状態や所有者を確認し、買主に伝えたうえで売却します。撤去してから売る方法と、撤去費を見込んで現状のまま売る方法があります。
- ブロック塀が危ないかどうか、自分で確認できますか?
- 国土交通省のチェックポイントで、高さ・厚さ・控え壁・傾き・ひび割れなどは目で見て確認できます。基礎や鉄筋は外から分かりにくいため、専門業者に調べてもらいましょう。
- 境界線上にある塀は誰のものですか?
- 民法第229条では、境界線上に設けた塀などは、隣り合う土地の所有者の共有に属するものと推定するとされています。どちらかが全額負担して作ったことが分かれば単独の所有になることもあるため、書類や測量で確認しましょう。
- 岡山市の撤去補助はいくら出ますか?
- 工事見積額と「塀の長さ×9,000円」のいずれか少ない額の2/3で、上限は15万円です(令和8年度)。避難道路に面していることなどの条件があり、受付は令和8年11月30日まで・先着順です。交付決定の後に業者と契約する必要があります。
- 空き家の塀が倒れて人にけがをさせたら、誰の責任になりますか?
- 民法第717条では、まず占有者が責任を負い、占有者が必要な注意をしていたときは所有者が賠償しなければならないとされています。空き家では所有者が責任を問われる可能性があるため、売却前でも安全確認を進めておくと安心です。
まとめ
- まず国土交通省のチェックポイントで塀の状態を確認し、傾きやぐらつきがあれば専門業者に相談しましょう。
- 境界線上の塀は共有と推定されることがあるため、誰の塀かを確認します。
- 空き家でも、塀が倒れたときに所有者が責任を問われる可能性があります。
- 岡山市の撤去補助は、令和8年度は11月30日まで・先着順です。交付決定の前に契約しないよう注意します。
- 撤去してから売るか、現状で売るかは、見積もりをもとに比べて決めましょう。
売り方まで一緒に考えましょう
電話:086-239-3296/FAX:086-239-3323
メール:minikuru@bc.wakwak.com
営業時間:10:00〜18:00/定休日:水曜日・不定休・GW・年末年始
宅地建物取引業免許:岡山県知事(3)第5473号
業務内容:賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理・空室対策コンサル・内外装リフォーム/リノベーション・空き家管理及び対策相談・保険代理店
対応エリア:岡山市(北区・中区・南区・東区)、倉敷市、玉野市、瀬戸内市、備前市、総社市
参考:岡山市「ブロック塀等の撤去補助制度について」/国土交通省「建築物の既設の塀の安全点検について」/三井住友トラスト不動産「ブロック塀は誰のもの?」(民法229条)/民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
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