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実家を相続したら、裏の畑と少し離れた田んぼも付いてきた」

農地は勝手に売れないと聞いた。何から始めればいいのか分からない」

農業委員会、行政書士、測量……誰に何を頼めばいいのだろう」

岡山市の郊外、とくに市街化調整区域の実家には、家と一緒に田や畑が付いていることがよくあります。農地は、家や宅地とちがって、売るにも使い道を変えるにも、原則として許可が必要です。そのため、家だけを売るときより、手続きと関わる人が増えます。

この記事では、農地付きの実家を売る順番と、それぞれの手続きを誰が担うのかを、岡山市の締切日などの数字を入れて整理しました。

先に結論

農地は、売るにも宅地などに変えるにも、原則として農業委員会の許可が必要です(市街化区域で転用するときは届出)。売り方は、A 農地のまま農業をする人に売る、B 農地を宅地などに変えて売る、C 家の敷地と農地を分けて別々に売る・貸すの3つです。岡山市の申請締切は通常毎月25日で、許可予定日は原則として翌月の農業委員会総会の日です。農振農用地の農地は、先に農振除外(年2回受付)が必要になります。まずは登記の地目、市街化区域か調整区域か、農振農用地かの3つを確かめることから始めましょう。

まず確かめる3つのこと

農地付きの実家を売るとき、最初に次の3つを確かめると、どの手続きが必要かの見通しが立ちます。

確かめること どこで分かるか なぜ大切か
① 登記の地目(田・畑・宅地など) 登記事項証明書(法務局) 地目が田・畑なら、農地として扱われるのが基本
② 市街化区域か、市街化調整区域か 岡山市の都市計画情報、固定資産税の課税明細書 市街化区域なら転用は届出、調整区域なら許可。調整区域では家を建てる許可も別に必要
③ 農振農用地(農業振興地域の農用地区域)か 岡山市 農林水産課 農振農用地なら、転用の前に農振除外が必要

登記の地目が「畑」でも、実際には長年庭や駐車場として使っていた、ということもあります。その場合も、自己判断はせず、農業委員会に相談してください。

売り方は3つ

売り方 手続き 買主 向いている場合
A 農地のまま売る 農地法第3条の許可(農業委員会) 農業をする人・農業法人(隣の農家など) 近くに耕作を続けたい人がいる。まとまった田畑
B 宅地などに変えて売る 農地法第5条の許可(調整区域)/届出(市街化区域) 家を建てる人、駐車場や資材置き場にする人など 市街化区域の畑、家の敷地に続く小さな畑など
C 分けて売る・貸す 分筆(土地家屋調査士)+ 農地部分はAかB、または貸す 家の敷地と農地で、別々の相手 家と田畑で、買い手になりそうな人がちがう

Aの補足|農地のまま売るとき

以前は、農地を買う人に「一定以上の面積を耕作していること」という下限面積の要件がありましたが、2023年4月から廃止されました。そのため、小さな畑でも、農業をする人であれば買い手になれる可能性が広がっています。ただし、買った農地をすべて効率的に耕作することなどの要件は残っています。

なお、岡山市では、耕作目的で取得した農地は、許可日から3年間は転用の許可を受けられない取扱いになっています。「農地として安く買って、すぐに宅地にする」ことはできません。

Bの補足|調整区域で宅地に変えるとき

市街化調整区域で、農地に家を建てる目的で転用する場合は、農地転用の許可(農業委員会)に加えて、家を建てる許可(開発指導課)も必要になります。二つの許可の見通しが立たないと、買主は安心して買えません。

また、農地には区分があり、農用地区域内の農地や、まとまった優良な農地は、原則として転用が認められません。住宅地に近い農地などは、比較的認められやすいとされています。どの区分かは、農業委員会で確認します。

進める順番|6つのステップ

  1. 地目・区域・農振農用地かを確かめる(上の3つ。登記事項証明書、公図、固定資産税の課税明細書をそろえる)
  2. 相続した農地なら、農業委員会に届出をする(農地法第3条の3。相続を知ってから、おおむね10か月以内。あわせて相続登記も)
  3. 不動産会社に相談し、売り方(A・B・C)と価格の目安を決める
  4. 分ける必要があれば、土地家屋調査士に測量と分筆を依頼する(境界の立会いなどで、数か月かかることもある)
  5. 買主が決まったら、許可を条件にした売買契約を結び、許可を申請する(申請書類は行政書士に依頼することが多い。農振除外が必要なら、その前に申出)
  6. 許可が出たら、所有権移転の登記(司法書士)と代金の受け渡し・引き渡し

農地の売買は、「許可が出なければ契約はなかったことにする」という条件を付けて契約するのが一般的です。 許可が出る前に代金を全額受け取ったり、登記を移したりすることはできません。

岡山市の締切日と、許可までの目安

岡山市農業委員会の農地法第3条・第4条・第5条などの申請締切は、通常毎月25日です(11月・12月・3月などは早まります)。許可予定日は、原則として翌月の農業委員会総会の日です(転用面積が30アールを超える案件などは別の日程)。

例(2026年度の日程表より) 申請締切 総会(許可予定日)
9月に申請する 9月25日(金) 10月19日(月)
10月に申請する 10月26日(月) 11月18日(水)
11月に申請する 11月19日(木)※早い 12月14日(月)

締切に間に合えば、許可まではおおむね1か月弱が目安です。ただし、書類の不備や、開発許可・農振除外が必要な場合は、もっと長くかかります。

農振除外が必要なとき

農振農用地の農地を宅地などに変えるには、先に農用地区域からの除外(農振除外)を申し出ます。岡山市の受付は年2回(2月末・8月末締切)で、公告・縦覧や県との協議などを経るため、数か月以上かかることがあります。しかも、代わりの土地がないことなどの要件をすべて満たす必要があり、必ず除外されるものではありません。

例:8月末の締切を逃すと、次の申出は翌年2月末の締切です。農振農用地かどうかは、売り出す前に確かめておくのが大切です。

誰に何を頼むか|役割分担

相談先 主にしてくれること 連絡先など
岡山市 農業委員会事務局 農地法第3条・第4条・第5条の許可・届出、相続の届出(第3条の3)、農地区分の確認 086-803-1562
岡山市 農林水産課 農政係 農振農用地かどうかの確認、農振除外の申出 086-803-1343
岡山市 開発指導課 調整区域で家を建てる・使う許可 086-803-1451(窓口でのみ受付)
行政書士 農地転用・農地法の許可の申請書類の作成と提出の代行 —
土地家屋調査士 境界の確認、測量、分筆の登記、地目変更の登記 —
司法書士 相続登記、売買による所有権移転の登記 —
税理士・税務署 売ったときの税金、相続税の納税猶予を受けている農地の扱い —
不動産会社 価格の目安、売り方の比較、買主探し、契約、全体の段取り 当社など

手続きの窓口がいくつもあるので、「全体の段取り」を誰が見るかを最初に決めておくと、途中で止まりにくくなります。

相続税の納税猶予を受けている農地は要注意

親が農業を続けていて、相続税の納税猶予を受けて農地を相続している場合、農地を売ったり転用したりすると、猶予が打ち切られて相続税と利子税を納めることになる場合があります。売る前に、必ず税理士または税務署に確認してください。

例で考える|岡山市東区の調整区域の実家

家の敷地300㎡(地目:宅地)+ 裏の畑800㎡(地目:畑)+ 少し離れた田1,000㎡(地目:田) を相続したケースで考えてみます。

土地 考えられる売り方の例
家の敷地300㎡ 家を誰が使えるかを開発指導課で確認して売る(分家住宅・農家住宅なら属人性の基準も確認)
裏の畑800㎡ ①隣の農家に農地のまま売る(第3条)、②一部を家の敷地に含めて売る(第5条の許可と開発許可の見通しが必要)、③当面は貸す
離れた田1,000㎡ 農振農用地であれば、農地のまま近くの農家に売る・貸すのが現実的なことが多い

このように、土地ごとに売り先と手続きが変わるのが、農地付きの実家の特徴です。全部を一度に売ろうとせず、売りやすいところから順番に進める方法もあります。

当社にできること・できないこと

当社は、岡山市北区奉還町で売買仲介を行っている不動産会社です。

当社がお手伝いできるのは、登記事項証明書・公図などの書類集めのお手伝い、地目・区域・農振農用地かの確認の段取り、売り方(A・B・C)の比較と価格の目安、買主探し(農地の買い手・家の買い手)、許可を条件にした売買契約の段取り、そして行政書士・土地家屋調査士・司法書士への橋渡しです。

一方で、農地法の許可・農振除外・開発許可の判断は岡山市が行います。 許可申請の書類作成と代行は行政書士、測量と分筆の登記は土地家屋調査士、所有権移転の登記は司法書士の業務のため、当社では行えません。税金の判断は税理士にご相談ください。

よくあるご質問

農地付きの実家は売れますか。

売れる可能性はあります。ただし、農地は原則として農業委員会の許可(市街化区域で転用するときは届出)がないと売れません。農地のまま農業をする人に売る、宅地などに変えて売る、家の敷地と農地を分けて別々に売る・貸す、の3つから、土地に合う方法を選びます。

農地を売るには、どこに相談すればよいですか。

許可の手続きは、岡山市の農業委員会事務局(086-803-1562)です。農振農用地かどうかは農林水産課 農政係(086-803-1343)、調整区域で家を建てる・使う許可は開発指導課(086-803-1451)です。買主探しや全体の段取りは不動産会社にご相談ください。

岡山市で農地の許可が出るまで、どのくらいかかりますか。

岡山市農業委員会の申請締切は通常毎月25日で、許可予定日は原則として翌月の総会の日です。締切に間に合えば、おおむね1か月弱が目安です。月によって締切が早まることや、農振除外・開発許可が必要な場合はもっと長くかかることがあります。

相続した農地は、何か届出が必要ですか。

相続などで農地を取得した場合は、農地法第3条の3にもとづき、取得を知ってからおおむね10か月以内に農業委員会へ届出が必要です。あわせて、相続登記も済ませておきましょう。

小さな畑でも、農家以外の人に売れますか。

農地のまま売る場合、買主は農業をする人であることが求められます。2023年4月に下限面積の要件は廃止されましたが、買った農地をすべて効率的に耕作することなどの要件は残っています。宅地などに変えて売る場合は、転用の許可(市街化区域では届出)が必要です。

分筆は必要ですか。

家の敷地と農地を別々の相手に売る場合や、農地の一部だけを宅地にする場合などに必要になります。分筆は土地家屋調査士に依頼し、境界の確認や測量をしてから登記します。隣の方との立会いなどで、数か月かかることもあります。

行政書士には何を頼めばよいですか。

農地法の許可申請や農地転用の申請書類の作成と提出の代行です。調整区域で開発許可も必要な場合は、あわせて相談できる行政書士もいます。不動産会社は申請の代行はできませんが、売買の段取りと合わせて進められるよう橋渡しをします。

農地付きの実家、どこから進めるか一緒に整理します

書類集め、地目・区域・農振農用地かの確認の段取り、売り方の比較と価格の目安、買主探し、許可を条件にした契約まで。行政書士・土地家屋調査士・司法書士への橋渡しもお手伝いします。

※農地法の許可の判断は岡山市(農業委員会事務局 086-803-1562)が行います。許可申請の代行、測量・登記、税金の判断は当社では行えません。

農地があっても、順番が分かれば進められます。 農地付きの実家は、手続きも相談先も多く、どこから手を付ければよいか迷うのは自然なことです。まずは、地目・区域・農振農用地かの3つを確かめるところから始めてみてください。親御さんが大切にしてきた田畑を、次に使ってくれる人につなぐために、一つずつ進めていきましょう。急がなくても大丈夫です。

最終更新日:2026年9月26日
確認先:岡山市(農業委員会事務局「農地の転用関係」「農地の所有権移転、権利設定、相続等の届出関係」「申請・届出に係る締切について〈令和8年度日程表〉」「耕作目的で取得した農地に係る転用の取扱いについて」、農林水産課「農業振興地域について」)、岡山県(農地転用)。制度や日程は変わることがあります。最新は岡山市農業委員会事務局でご確認ください。

(この記事は一般的な情報の整理です。農地法の許可・農振除外・開発許可の判断は岡山市が行います。当社は許可申請の代行、測量・登記、法的な判断、税金の判断は行えません。)

株式会社ミニクルホーム
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