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引っ越しの環境変化が怖いASDの方へ。岡山市でパニックを防ぐ安心の引っ越し準備ガイド

「新しい部屋に住むことを考えるだけで不安になる」

「家具の位置や通院経路が変わると、生活できるか心配」

「引っ越し当日に予定が変わったら、混乱してしまいそう」

ASD(自閉スペクトラム症)のある方の中には、予定や環境が急に変わることに強い不安を感じる方がいます。

引っ越しでは、住む場所だけでなく、部屋の間取り、音、におい、照明、家具の位置、ゴミ出し、買い物、通院経路など、日常生活の多くが一度に変わります。

そのため、周囲からは「新しい部屋で楽しみだね」と言われても、本人にとっては楽しみより不安の方が大きい場合があります。

大切なのは、無理に不安をなくそうとすることではありません。

分からないことを一つずつ減らし、引っ越し後の生活を事前に見える形にすることです。

この記事では、岡山市で賃貸物件を探しているASDの方に向けて、引っ越し前、当日、入居後にできる準備を具体的に解説します。

この記事のポイント

  • 引っ越しの予定を細かく分け、見通しを作る
  • 新居の音、光、におい、生活動線を事前に確認する
  • 家具配置を引っ越し前に決めておく
  • 当日の予定変更に備えた予備案を作る
  • 入居後すぐに普段の生活を再現できるよう準備する

ASDの方が引っ越しで強い不安を感じやすい理由

ASDの特性や困りごとは、一人ひとり異なります。

そのうえで、引っ越しでは次のような変化が重なるため、負担が大きくなる場合があります。

  • 慣れた部屋や生活環境から離れる
  • 家具や生活用品の位置が変わる
  • いつもの音やにおいがなくなる
  • 知らない生活音や設備音が増える
  • ゴミ出しや買い物の方法が変わる
  • 通院や通勤の経路が変わる
  • 引っ越し業者など知らない人が家に入る
  • 荷物が一時的に見つけにくくなる
  • 予定どおりに作業が進まない可能性がある
  • 電気、ガス、水道などの手続きが必要になる

複数の変化が同時に起こると、何から対応すればよいか分からなくなることがあります。

そのため、「引っ越しを頑張る」と大きく考えるのではなく、作業を小さく分けることが大切です。

まずは引っ越し全体を4つに分ける

引っ越し準備を一つの大きな作業として考えると、負担が増えやすくなります。

次の4段階に分けて考えましょう。

  1. 物件探しと新居の確認
  2. 契約後の手続きと荷造り
  3. 引っ越し当日
  4. 入居後の生活づくり

さらに、それぞれを細かい作業に分けます。

作業を小さく分ける例

  • 段ボールを用意する
  • 引っ越し日をカレンダーに書く
  • 衣類を1箱だけ詰める
  • 新居のコンセント位置を確認する
  • 家具配置図を作る
  • 当日持ち歩くバッグを準備する

一日にすべて進める必要はありません。

「今日は段ボールを一つ作る」など、終わりが分かる作業にすると取り組みやすくなります。

物件探しの段階で確認したいこと

引っ越し後の混乱を減らすには、契約前の確認が重要です。

家賃や間取りだけでなく、新生活を具体的に想像しながら確認しましょう。

室内の音

  • 道路や線路の音
  • 隣室や上階の生活音
  • 共用廊下や階段の足音
  • 換気扇やエアコンの音
  • 給湯器や水道管の音
  • 冷蔵庫を置く場所と寝室の距離

音に敏感な場合は、内見中に数分間説明を止めてもらい、室内の音を確認しましょう。

光と照明

  • 窓から入る日差しの強さ
  • 西日が強くないか
  • 照明の明るさやちらつき
  • 外灯や店舗の光が夜間に入らないか
  • 遮光カーテンを取り付けられるか

におい

  • 排水口や浴室のにおい
  • タバコやペットの残り香
  • 近隣の飲食店からのにおい
  • 共用廊下やゴミ置き場のにおい
  • 新しい壁紙や塗料のにおい

生活動線

  • 玄関から居室まで移動しやすいか
  • トイレや浴室の位置を覚えやすいか
  • 家具をいつもの配置に近づけられるか
  • 洗濯物を干す動線が複雑でないか
  • ゴミ置き場まで迷わず移動できるか

新居を写真や動画で記録する

内見時に物件を気に入っても、家に帰ると室内の様子を思い出せなくなることがあります。

不動産会社へ確認したうえで、写真や動画を撮っておくと安心です。

記録しておきたい場所

  • 玄関から室内までの移動経路
  • 各部屋の入口
  • コンセントの位置
  • 照明器具の位置
  • エアコンの位置
  • 収納内部
  • キッチン、浴室、トイレ
  • ベランダ
  • ゴミ置き場
  • 建物から道路やバス停までの道

動画で玄関から室内まで歩く様子を撮ると、新しい生活動線を事前に確認できます。

家具配置を引っ越し前に決める

新居へ荷物を運んでから家具の位置を考えると、当日の判断が増えて混乱しやすくなります。

できるだけ事前に家具配置を決めましょう。

配置を決める手順

  1. 間取り図を印刷する
  2. 窓、ドア、コンセントの位置を書く
  3. ベッド、机、棚などの大きさを測る
  4. 家具を置く位置を間取り図に書く
  5. 引っ越し業者や支援者に配置図を渡す

今の部屋で安心して使えている配置がある場合は、新居でもできるだけ似た状態を作る方法があります。

配置を似せる例

  • ベッドの右側に小さな棚を置く
  • 玄関付近に鍵を置く場所を作る
  • 机の左側にゴミ箱を置く
  • 薬や通院用品を同じ収納ケースへ入れる
  • 照明や時計を見慣れた位置に置く

荷造りは「場所別」と「使用頻度別」に分ける

段ボールに物を詰めるだけでは、引っ越し後に必要な物が見つからなくなることがあります。

箱には、中身だけでなく「どこで使うか」と「いつ開けるか」を書きましょう。

箱への記載例

  • 寝室・衣類・当日開封
  • キッチン・食器・2日目
  • 洗面所・タオル・当日開封
  • 本・すぐには開けない
  • 通院・薬・自分で持つ

文字だけでは分かりにくい場合は、部屋ごとに色や番号を決める方法もあります。

色分けの例

  • 寝室:青
  • キッチン:赤
  • 浴室・洗面所:緑
  • すぐに使う物:黄色

色分けする場合は、新居の各部屋にも同じ色の紙を貼ると、引っ越し業者や支援者が置き場所を判断しやすくなります。

絶対に段ボールへ入れない「安心バッグ」を作る

引っ越し当日に必要な物や、なくなると強い不安につながる物は、段ボールへ入れずに自分で持ち歩きましょう。

安心バッグに入れる物

  • 薬、お薬手帳、保険証
  • スマートフォンと充電器
  • 財布、鍵、本人確認書類
  • 飲み物と軽食
  • イヤーマフや耳栓
  • マスク、タオル、ティッシュ
  • 落ち着くために使う小物
  • 引っ越し予定表
  • 不動産会社や引っ越し業者の連絡先
  • 新居の住所と鍵
  • 当日着替える衣類

安心バッグは、引っ越し業者へ渡さず、自分や付き添いの方が管理しましょう。

引っ越し予定表を作る

「午前中に引っ越します」という大まかな予定だけでは、不安を感じる方もいます。

できる範囲で、当日の流れを細かく書き出しましょう。

引っ越し当日の予定例

  • 8時00分:起床、朝食、服薬
  • 9時00分:付き添いの方が到着
  • 9時30分:引っ越し業者が到着
  • 10時00分:荷物の搬出開始
  • 11時30分:旧居を出発
  • 12時00分:新居へ到着
  • 12時30分:休憩と昼食
  • 13時00分:荷物の搬入開始
  • 15時00分:ベッドと安心スペースを設置
  • 16時00分:引っ越し業者が終了
  • 17時00分:必要な箱だけ開封

実際には予定どおりに進まないこともあります。

そのため、時間を詰めすぎず、休憩時間や予備時間を入れておきましょう。

予定変更に備えて「予備案」を作る

引っ越しでは、交通渋滞、作業の遅れ、設備の不具合など、予定外の出来事が起きることがあります。

予定変更を完全になくすことはできませんが、事前に「変更した場合の行動」を決めておくと安心です。

予備案の例

  • 作業が遅れたら、夕食は買って済ませる
  • ガスが当日使えなければ、銭湯や家族宅を利用する
  • 荷ほどきが終わらなければ、寝室だけ整える
  • 疲れたら、付き添いの方へ作業を任せて休む
  • 騒音が強い場合は、イヤーマフを使用して別室へ移動する

「予定が変わったら失敗」ではなく、「予定が変わった場合の手順も準備済み」と考えられる状態を作りましょう。

引っ越し当日は役割を決めておく

複数の人から同時に質問されると、混乱しやすくなることがあります。

可能であれば、家族や支援者など一人を連絡担当に決めましょう。

役割分担の例

  • 本人:安心バッグの管理と必要な判断
  • 付き添い:業者との会話、予定確認、休憩の声かけ
  • 引っ越し業者:配置図に沿った荷物の搬入
  • 家族や支援者:電気、ガス、水道の確認

引っ越し業者から本人へ直接質問するのではなく、付き添いの方を通してもらうと、負担を減らせる場合があります。

業者への伝え方

「急な質問が続くと判断が難しくなるため、荷物の置き場所については、こちらの担当者へ確認してください」

新居に最初に作る「安心スペース」

すべての荷物を片付けてから休もうとすると、疲れが限界になることがあります。

新居では、最初に一部屋または部屋の一角だけを整えましょう。

安心スペースに置く物

  • ベッドや布団
  • いつも使う毛布やクッション
  • 普段使っている照明
  • スマートフォンの充電器
  • 飲み物と軽食
  • イヤーマフや耳栓
  • 落ち着く物
  • 時計やカレンダー

見慣れた物を最初に配置することで、新しい部屋の中に「いつもの場所」を作りやすくなります。

入居初日に全部片付けなくてもよい

段ボールが残っている状態が気になり、すべて開けようとしてしまう方もいます。

しかし、疲れている状態で作業を続けると、体調を崩す可能性があります。

最初に開ける箱を限定しましょう。

初日に開ける箱

  • 寝具
  • 薬と通院用品
  • 洗面用品
  • 最低限の食器
  • 翌日の衣類
  • スマートフォン関連

その他の箱は、「翌日」「3日以内」「1週間以内」に分けて開封しても大丈夫です。

入居後は生活リズムを優先する

引っ越し後は、荷ほどきよりも睡眠、食事、服薬、通院など、普段の生活リズムを戻すことが大切です。

優先したいこと

  • 普段と近い時間に起きる
  • 食事を抜かない
  • 服薬時間を守る
  • 通院予定を確認する
  • 入浴や睡眠の時間を大きく変えない
  • 一日に行う作業量を決める

新居に慣れるまで時間がかかることは珍しくありません。

早く慣れようと無理をせず、少しずつ生活の形を作りましょう。

新しい通院・買い物経路を事前に確認する

引っ越し後に初めて通院経路やスーパーを探すと、不安が強くなることがあります。

可能であれば、引っ越し前に実際の経路を確認しましょう。

事前に確認したい場所

  • 最寄りのバス停や駅
  • 通院先までの経路
  • スーパー、コンビニ、ドラッグストア
  • ゴミ置き場
  • 市役所や福祉事務所
  • 避難場所
  • 近隣の静かに休める場所

経路は写真や地図で残しておくと、外出時に確認できます。

一度にすべて覚える必要はありません。最初は通院と買い物など、必要性の高い場所だけ確認しましょう。

不動産会社へ事前に伝えておきたいこと

ASDの診断名や詳しい症状をすべて説明する必要はありません。

部屋探しや引っ越しに必要な対応を、具体的に伝えましょう。

不動産会社への相談例

環境変化や急な予定変更に強い不安があります。内見日時、契約時に必要な物、鍵の受け取り方法などを、できるだけ事前に文章で教えてください。

口頭説明だけでは整理が難しいため、初期費用や契約条件はLINEまたはメールでも送っていただけると助かります。

引っ越し当日に混乱しないよう、家具配置や新居の設備について事前に確認したいです。

診断名だけを伝えるよりも、何が苦手で、どのような対応なら進めやすいかを説明する方が、不動産会社も対応しやすくなります。

生活保護を受給している場合の確認事項

生活保護を受給している方が引っ越しをする場合は、物件の契約前にケースワーカーへの相談が必要です。

特に、次の内容を確認しましょう。

  • 転居が認められる理由
  • 住宅扶助の家賃上限
  • 共益費の扱い
  • 敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用
  • 保証会社の費用
  • 引っ越し業者の費用
  • 見積書を提出する時期
  • 契約前に必要な承認

現在の住まいの騒音や環境変化によって生活や体調に大きな影響がある場合は、その状況を具体的に整理して相談しましょう。

ただし、希望する転居費用が必ず認められるとは限りません。契約や引っ越し業者の手配をする前に、ケースワーカーへ確認することが大切です。

引っ越し準備チェックリスト

物件決定前

  • 音、光、においを確認した
  • 家具配置ができる間取りか確認した
  • 通院や買い物経路を確認した
  • ゴミ置き場の場所と曜日を確認した
  • 初期費用と毎月の費用を確認した

契約後

  • 引っ越し日をカレンダーへ書いた
  • 家具配置図を作った
  • 段ボールを部屋別に分けた
  • 安心バッグを準備した
  • 電気、ガス、水道の手続きを確認した
  • 付き添いや支援者の予定を確認した

引っ越し当日

  • 朝食と服薬を済ませた
  • 安心バッグを自分で持った
  • 業者との連絡担当を決めた
  • 休憩時間を確保した
  • 新居に安心スペースを作った

入居後

  • 寝具と薬を最初に出した
  • 生活リズムを優先した
  • 必要な箱から順番に開けた
  • 通院経路と買い物先を確認した
  • 困りごとを一人で抱え込まず相談した

よくある質問

Q.引っ越しが怖くて物件を決められません。どうすればよいですか?

引っ越し全体を一度に考えず、まずは物件の音や生活動線など、一つの確認項目に絞りましょう。写真、動画、間取り図を利用して、入居後の生活を事前に見える形にすると判断しやすくなる場合があります。

Q.ASDであることを引っ越し業者へ伝えた方がよいですか?

診断名を詳しく説明する必要はありません。急な質問が苦手、家具は配置図どおりに置いてほしい、連絡は付き添いの方を通してほしいなど、必要な対応を具体的に伝える方法があります。

Q.引っ越し当日にパニックになりそうな場合はどうすればよいですか?

一人で対応せず、家族や支援者に付き添ってもらいましょう。休む場所、安心バッグ、イヤーマフ、飲み物などを用意し、本人がすべての質問へ答えなくてもよい役割分担を事前に決めておくと安心です。

Q.荷ほどきが終わらないと落ち着きません。

すべてを初日に終わらせるのではなく、寝具、薬、洗面用品など生活に必要な物を先に出しましょう。開ける箱を「当日」「3日以内」「1週間以内」に分けると、作業の終わりが分かりやすくなります。

Q.生活保護でも引っ越し費用は出ますか?

転居理由や状況によって扱いが異なります。家賃、初期費用、引っ越し費用について、契約や業者手配の前にケースワーカーへ相談してください。自己判断で契約すると、費用が認められない場合があります。

まとめ|引っ越しを「予測できる予定」に変えよう

ASDの方にとって、引っ越しによる環境変化は大きな負担になることがあります。

不安を感じることは、準備不足や気持ちの弱さが原因ではありません。

音、光、におい、家具配置、生活経路など、普段の暮らしを支えているものが一度に変化するためです。

パニックや混乱を減らすには、次のような準備が大切です。

  • 引っ越し作業を小さく分ける
  • 新居を写真や動画で記録する
  • 家具配置を事前に決める
  • 荷物を場所別・使用時期別に分ける
  • 安心バッグを自分で管理する
  • 当日の予定表と予備案を作る
  • 最初に安心スペースを整える
  • 入居後は生活リズムを優先する

引っ越しを完全に予定どおり進めることは難しくても、分からないことを減らし、予定変更に備えることはできます。

一人ですべてを抱え込まず、不動産会社、家族、支援者、ケースワーカーなどへ、必要な対応を具体的に伝えながら進めましょう。

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