「保護観察所から連絡があった。引受人になってほしいと言われたけれど、どうすればいいのか」
「また一緒に暮らすのは正直不安。でも、断ったら見捨てるようで心苦しい」
「借家に住んでいる。勝手に同居させていいのか分からない」
「部屋を借りるなら、家族が保証人にならないといけないの?」
家族が刑務所から出てくるとき、心配なのは本人だけではありません。迎える側の家族も、これからの暮らし、近所や職場のこと、自分の生活を守れるかどうか、たくさんの不安を抱えています。誰にも相談できず、一人で悩んでいるご家族は少なくありません。
まずお伝えしたいのは、家族が全部を背負わなくていいということです。
出所後の住まいには、「同居する」「近くに別の部屋を借りる」「更生保護施設などを経由する」「支援機関に任せて距離を置く」といった選択肢があります。どれを選んでも、それぞれに意味があります。大切なのは、家族としてできること・できないことを先に整理し、保護観察所などの支援と役割を分けることです。家族が連帯保証人や同居を必ず引き受けなければならないわけではありません。
この記事では、ご家族に向けて、引受人の役割、同居・別居それぞれの選択肢と注意点、名義や保証のこと、岡山で相談できる窓口を、岡山市の不動産会社の立場から整理します。
※ご本人向けの住まい探しの流れは出所後の住まいはどう探す?、前科がある方の部屋探し全体は岡山市で前科があっても部屋は借りられる?でまとめています。
結論|ご家族に押さえてほしい5つのこと
- 引受人になるかどうかは、家族が考えて決めてよい:引き受けられない場合は、保護観察所が施設など別の帰住先を調整することがあります
- 「引受人」「緊急連絡先」「連帯保証人」は別のもの:責任の重さがまったく違います
- 同居するなら、期間とルールを最初に決める:賃貸や公営住宅に住んでいる場合は、同居の手続きも確認します
- 別居なら、契約の名義は原則として本人:家族名義で借りて本人を住ませる「名義貸し」は避けます
- 家族自身も相談してよい:保護観察所、保護司、支援機関、不動産会社に、家族の立場から相談できます
そんな段階からでも大丈夫です。
まず知っておきたい「引受人」のこと
受刑中の家族が仮釈放などを目指すとき、保護観察所の保護観察官や保護司が、出所後に帰る予定の家を訪ね、住まいの状況や家族の考えを聞き取ることがあります。これを「生活環境の調整」といいます。釈放後の住まいや仕事、家族や関係者からの協力の見込みを確認し、出所後の生活を整えるためのものです。
引受人・緊急連絡先・連帯保証人の違い
| 立場 | 主な役割 | お金の責任 | 頼まれる場面 |
|---|---|---|---|
| 引受人(帰住先の家族など) | 出所後の生活を見守り、保護観察所や保護司と連絡をとる | 連帯保証人とは別のもの(詳しくは保護観察所に確認) | 受刑中の生活環境の調整 |
| 緊急連絡先 | 本人と連絡がとれないとき、事故・入院などのときの連絡先 | 一般的にはない(書類に保証の文言がないか確認) | 賃貸の申込み |
| 連帯保証人 | 本人が家賃などを払わないとき、契約の範囲で代わりに払う | ある(上限となる極度額の範囲で) | 賃貸の契約 |
※一般的な整理です。引受人として求められる内容は、保護観察所にご確認ください。賃貸の書類に署名するときは、緊急連絡先の欄でも保証の文言が入っていないかを必ず確認しましょう。
引き受けられないときは
引受人になることは、家族の義務ではありません。同居が難しい、気持ちの整理がつかない、家族の生活を守りたい——どの理由も正当です。その場合は、保護観察官・保護司に正直に伝えてください。帰住先がないことは仮釈放の判断に影響することがありますが、更生保護施設や自立準備ホームなどを帰住先として調整する道もあります。「同居はできないが、手紙や面会は続けたい」「部屋探しの相談には乗れる」など、できる範囲を伝えることにも意味があります。
4つの選択肢を比べる
| 選択肢 | 向いている状況 | 家族の負担 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| ① 家族の家で同居 | 家族関係が比較的落ち着いていて、部屋や生活に余裕がある | 大きい(生活費・見守り・近所への気づかい) | 期間とルールを決める。賃貸・公営住宅なら同居の手続きを確認 |
| ② 近くに別の部屋を借りる(近居) | 見守りたいが、同じ家で暮らすのは負担が大きい | 中くらい(初期費用の援助や緊急連絡先など) | 名義は原則本人。保証人になるかは慎重に |
| ③ 更生保護施設などを経由する | 今すぐ受け入れるのは難しい。生活を整える時間がほしい | 小さめ(連絡や面会を続ける) | 施設を出たあとの住まいを、本人と施設で準備する |
| ④ 支援機関に任せ、距離を置く | 家族自身の安全や生活を守る必要がある | 小さい | 無理に関わらなくてよい。必要なら連絡の窓口だけ決める |
どれが正解ということはありません。途中で選び直すこともできます。たとえば「最初の3か月は施設、そのあと近くにアパート」「最初の半年は同居、そのあと一人暮らし」といった段階的な形もよくあります。
同居する場合に確認したいこと
住んでいる家が賃貸・公営住宅のとき
- 民間の賃貸:契約書に「同居人を追加するときは貸主の承諾が必要」などと書かれていることが多くあります。管理会社・大家さんに、同居人の追加の手続きを確認しましょう
- 市営・県営住宅:ほかの人を同居させるには、事前に承認の申請が必要なのが一般的です。お住まいの住宅の管理窓口に確認してください
- 生活保護を受けている世帯:同居すると世帯の扱いが変わり、保護費や住宅扶助の額に影響することがあります。同居を始める前に、必ずケースワーカーに相談してください
※無断で同居人を増やすと、契約違反として問題になることがあります。どこまで事情を伝えるかは、管理会社と相談しながら決めて大丈夫です。
家族で決めておきたい「同居のルール」
- 期間の目安:「半年をめどに一人暮らしを始める」など、ゴールを共有する
- 生活費の分担:働き始めたら毎月いくら入れるか
- お金の貸し借り:原則しない、するなら金額と返し方を決める
- 家の鍵・帰宅時間・お酒:家族が安心して暮らせるルール
- 困ったときの相談先:保護司・保護観察官の連絡先を家族も知っておく
保護観察中であれば、保護司に同席してもらって話し合うのも一つの方法です。家族だけで決めるより、お互いに冷静に話しやすくなります。
別居(近くに部屋を借りる)場合に確認したいこと
契約の名義は原則として本人
家族の名義で部屋を借り、そこに本人を住ませることを申込書に書かずに行う「名義貸し」は、契約違反やトラブルの原因になります。部屋は本人の名義で、保証会社を使って借りるのが基本です。物件によっては、家族が契約者、本人が入居者として申込書に正しく記載する形を認めている場合もありますが、その場合は家族が家賃の支払いの責任を負うことになるため、慎重に考えましょう。
連帯保証人になる前に
2020年4月以降、個人が賃貸の連帯保証人になる場合は、保証する金額の上限となる「極度額」を契約で定めることが必要になりました。極度額は、例えば家賃の24か月分などとされることがあります。
40,000円 × 24か月 = 960,000円までを、家族が保証する可能性がある、ということです。
※説明のための例です。極度額は契約ごとに異なります。
今は多くの物件で家賃保証会社を使えるため、家族が連帯保証人にならなくても申し込める場合があります。「保証人は難しいが、緊急連絡先なら引き受けられる」という形も、よくある選び方です。
家族ができる、無理のない支え方
- 初期費用の一部を援助する(金額を決めて一度きりにする、などのルールを)
- 緊急連絡先を引き受ける(保証人とは違い、家賃の支払いの責任は一般的にない)
- 内見や契約に付き添う
- 入居後、ときどき様子を見に行く・電話をする
お金で比べてみる|同居と近居
| パターン | 家族の追加負担の目安 |
|---|---|
| 半年同居(食費・光熱費などが月30,000円増える場合) | 30,000円 × 6か月 = 180,000円 |
| 近くの部屋(家賃40,000円)の初期費用を全額援助 | 約174,000円(敷金・前家賃・仲介手数料・保証料・火災保険・鍵交換) |
| 初期費用のうち100,000円だけ援助し、残りは本人が貯める | 100,000円(本人は約74,000円を準備) |
半年の同居で増える負担と、近くに部屋を借りる初期費用は、金額だけを見るとあまり変わらないこともあります。家族の気持ちや生活への影響も含めて、どちらが続けやすいかを考えてみてください。
※説明のための目安です。費用は物件や暮らし方によって大きく異なります。
近所や職場に知られたくないとき
- 不動産会社に相談した内容を、ご家族やご本人の同意なく大家さんや第三者に伝えることはありません(当社の場合)
- 本人の部屋を、家族の家から少し離れたエリアで探すこともできます
- 保護観察の遵守事項で、特定の場所や人への接近が制限されている場合があります。被害を受けた方の生活圏を避けるなど、エリアは保護観察所と相談して決めましょう
時期別|ご家族がやっておきたいこと
| 時期 | ご家族ができること |
|---|---|
| 出所の数か月前 | 保護観察所・保護司からの聞き取りに、できること・できないことを正直に伝える。本人と手紙や面会で住まいの希望を話し合う |
| 出所の1か月前ごろ | 同居なら、家の契約上の手続き(同居人の追加など)とルールを確認。別居なら、不動産会社に相談を始める |
| 出所の当日〜1週目 | 住民票・身分証・携帯電話の手続きに付き添う。生活に困る場合は福祉事務所の相談にも同行 |
| 出所後1か月〜 | 決めたルールや期間を一緒に見直す。困ったら保護司・支援機関に早めに相談 |
ご家族が相談できる窓口(岡山)
| 相談先 | 相談できること |
|---|---|
| 岡山保護観察所 086-224-5661 |
引受人のこと、出所後の帰住先、保護観察中の生活や転居 |
| 担当の保護司 | 家族での話し合い、出所後の生活の困りごと |
| 岡山県地域生活定着支援センター 086-226-2840 |
高齢や障害があり、福祉の支援が必要な家族のこと |
| お住まいの区の福祉事務所 | 生活保護(同居・別居の世帯の扱いを含む) |
| 岡山県精神保健福祉センター | 依存症(薬物・アルコール・ギャンブルなど)の家族相談 |
| 法テラス・弁護士 | 保証や借金、法律の判断が必要なこと |
| 不動産会社 | 同居人の追加の手続き、近くの部屋探し、名義や保証の整理 |
※電話番号は岡山県の資料(2024年1月時点)によるものです。変更されている場合がありますので、各機関のホームページでご確認ください。罪を犯した人の家族を支える民間の団体もあります。
保証人にならずに借りる方法など、ご相談ください。
ミニクルホームができること
- ご家族からの、同居・近居・施設経由などの住まいの選び方のご相談
- ご家族の家から通いやすい、または少し離れたエリアでの部屋探し
- 保証会社を使い、ご家族が連帯保証人にならずに借りられる物件のご提案
- 賃貸に住むご家族が同居人を追加するときの、管理会社への確認の進め方のご相談
- 保護観察所・更生保護施設・福祉事務所などの支援者の方との連絡の調整
すべてのご希望に沿えるとお約束はできませんが、ご家族ができることと、支援に任せることを分けて考えるお手伝いをします。
よくあるご質問
Q1. 保護観察所から引受人を頼まれました。断ってもいいですか?
引受人になることは、家族の義務ではありません。難しい場合は、保護観察官・保護司に正直に伝えてください。帰住先がないことは仮釈放の判断に影響することがありますが、更生保護施設や自立準備ホームなどを帰住先として調整する道もあります。
Q2. 引受人と連帯保証人は同じですか?
別のものです。引受人は出所後の生活を見守り、保護観察所と連絡をとる立場で、賃貸の連帯保証人のように家賃を代わりに払う契約とは異なります。求められる内容は保護観察所にご確認ください。
Q3. 賃貸に住んでいます。出所した家族を同居させてもいいですか?
契約書で、同居人を追加するときに貸主の承諾が必要とされていることが多くあります。管理会社・大家さんに手続きを確認しましょう。市営・県営住宅では事前の承認申請が必要なのが一般的です。生活保護を受けている世帯は、同居の前にケースワーカーに相談してください。
Q4. 家族の名義で部屋を借りて、本人を住ませてもいいですか?
申込書に書かずに行う名義貸しは、契約違反やトラブルの原因になるため避けてください。部屋は本人の名義で、保証会社を使って借りるのが基本です。家族が契約者、本人が入居者として正しく申し込む形を認める物件もありますが、その場合は家族が家賃の支払いの責任を負います。
Q5. 家族が連帯保証人にならないと、部屋は借りられませんか?
多くの物件で家賃保証会社を使えるため、家族が連帯保証人にならなくても申し込める場合があります。連帯保証人になる場合は、極度額(保証の上限額)と保証の範囲を必ず確認しましょう。
Q6. 生活保護を受けています。出所した家族と同居すると、どうなりますか?
同じ住まいで生計を共にすると、原則として同じ世帯として扱われ、保護費や住宅扶助の額が見直されることがあります。同居を始める前に、必ずケースワーカーに相談してください。
Q7. 近所や職場に知られずに、本人の部屋を探せますか?
不動産会社に相談した内容を、同意なく大家さんや第三者に伝えることはありません(当社の場合)。家族の家から少し離れたエリアで探すこともできます。保護観察中の場合は、エリアを保護観察所と相談して決めましょう。
まとめ
- 引受人になるかどうかは、家族が考えて決めてよい
- 引受人・緊急連絡先・連帯保証人は、責任の重さが違う
- 同居なら、期間とルールを決め、賃貸・公営住宅の手続きや生活保護の扱いを確認する
- 別居なら、名義は原則本人。保証会社を使えば家族が保証人にならずに済む場合もある
- 家族だけで抱え込まず、保護観察所・保護司・支援機関と役割を分ける
家族が罪を犯したとき、周りの家族もまた、言葉にできない思いを抱えて過ごしてきたはずです。迎え入れたい気持ちと、不安や怒りが入り混じるのは、決しておかしなことではありません。ご家族自身の生活と心を守ることも、とても大切です。つらいときは、一人で抱え込まずに、保護司や支援機関、身近な相談先に話してください。私たちも、住まいのことでできる限りお手伝いします。
保証人のいない方、生活保護を受ける方、審査に不安がある方の部屋探しをお手伝いしている地域の不動産会社です。
ご本人からも、ご家族・支援者の方からもご相談をお受けしています。
対応エリア:岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、玉野市・瀬戸内市・備前市・総社市など周辺エリアもご相談ください。
※記事内の内容は公表資料と一般的な賃貸実務をもとにした整理であり、物件の確保や審査の結果を保証するものではありません。
※当社は不動産業者であり、更生保護・生活保護・法律についての判断や、交渉の代理はできません。引受人のことは保護観察所に、生活保護の扱いは福祉事務所に、保証や法律の判断は弁護士にご確認ください。
※生活保護を受けて部屋を借りる場合、賃貸の契約はケースワーカーの確認を受けてから結ぶようにしてください。
所在地:〒700-0026 岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号(JR岡山駅西口 徒歩7分)
電話:086-239-3296/FAX:086-239-3323
メール:minikuru@bc.wakwak.com
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営業時間:10:00〜18:00/定休日:水曜日・不定休
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業務内容:売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理・空室対策コンサル・不動産投資コンサル・内外装リフォーム・古民家再生・空き家管理及び対策相談・保険代理店
参考にした公的情報
・法務省|生活環境の調整
・法務省|再犯防止推進白書(生活環境の調整・帰住先の確保)
・法務省|2020年4月1日から保証に関する民法のルールが変わりました
・岡山県|第2次岡山県再犯防止推進計画(関係団体の連絡先)
※2026年10月時点で確認できた情報をもとにしています。
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