「夫が病気で倒れ、しばらく仕事に戻れないと言われた」
「家計を支えていた父が、介護が必要な状態になった」
「家族の看病をしながら、家賃や生活費をどうやりくりすればいいのか分からない」
一緒に暮らす家族、特に家計を支えていた人が働けなくなると、収入が減るだけでなく、看病や介護、手続きまで、家族みんなの暮らしが一度に揺らぎます。家族の体のことを心配しながら、お金と住まいのことまで考えるのは、本当に大変なことです。
先にお伝えします。大切なのは、「世帯全体」で収入と出費を見直し、家族の中で役割を分けて、順番に整えていくことです。働けなくなった家族が使える制度(傷病手当金など)、看病や介護をする家族が仕事を続けるための制度、医療費の負担を軽くする制度を組み合わせれば、今の住まいを守れる可能性は十分にあります。
この記事では、世帯の住まいを立て直す順番を6つのステップで整理します。
結論|「見通し」→「収入」→「出費」→「家賃」→「相談」→「住まい」の順に
ステップ1|働けない期間の見通しを確認する
ステップ2|世帯の収入を書き出し、使える制度を確認する
ステップ3|医療費などの出費を減らす制度を使う
ステップ4|今の家賃を払い続けられるか判断する
ステップ5|足りない分は、早めに相談窓口へ
ステップ6|必要なら、世帯に合った住まいへ住み替える
ステップ1|働けない期間の見通しを確認する
まず、主治医にどのくらいの期間、働けない見込みかを確認しましょう。数か月で職場に戻れそうなのか、長い期間になりそうなのか、仕事を辞めることになりそうなのかで、使える制度も、住まいの判断も変わります。
- 数か月で戻れそう:休職中の収入の支えを使いながら、今の住まいを守ることを優先する
- 長くかかりそう、または退職しそう:収入の見通しを立て直し、家賃の見直しも早めに考える
- 介護が必要になりそう:介護の体制と、介護する家族の働き方もあわせて考える
ステップ2|世帯の収入を書き出し、使える制度を確認する
家族それぞれの収入と、働けなくなった家族が受けられる制度を書き出しましょう。
| 制度 | 主な内容 | 相談先 |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 会社の健康保険に入っている人が、業務外の病気やけがで休んで給料が出ないとき。1日あたりおおむね給料の3分の2、通算で最長1年6か月 | 勤務先、加入している健康保険 |
| 労災保険 | 仕事中や通勤中の病気・けがの場合 | 勤務先、労働基準監督署 |
| 障害年金 | 病気やけがで生活や仕事に長く支障がある場合に、受けられる可能性がある | 年金事務所 |
| ほかの家族の収入 | パートの時間を増やせるか、ただし看病や介護との両立も考える | 家族で話し合う |
介護する家族が、仕事を辞めずに済むように
家族の介護が必要になったとき、介護する人まで仕事を辞めてしまうと、世帯の収入がさらに減ってしまいます。仕事を続けながら介護の体制を整えるために、介護休業(対象の家族1人につき通算93日まで)や、休業中の介護休業給付金などの制度があります。勤務先や、地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談して、辞める前に使える制度を確認しましょう。
ステップ3|医療費などの出費を減らす制度を使う
高額療養費制度
1か月の医療費の自己負担には上限があり、上限を超えた分は払い戻しを受けられます。入院などで医療費が高額になりそうなときは、加入している健康保険に確認しましょう。
介護保険・障害福祉のサービス
介護や障害の福祉サービスを使うことで、家族の負担を減らしながら、介護する家族が働き続けやすくなります。
保険料・年金の負担
退職して国民健康保険や国民年金に切り替わる場合は、保険料の軽減や免除を区役所で相談できる場合があります。
家族の状況が変わったときの住まい、ご相談ください
今の家賃で続けられるか、看病や介護のしやすい部屋に移るか。
世帯の状況をうかがいながら、一緒に考えます。
営業時間 10:00〜18:00/定休日 水曜日・不定休
ステップ4|今の家賃を払い続けられるか判断する
世帯の収入の見通しが立ったら、今の家賃が無理なく払えるかを確認しましょう。一般に、家賃は世帯の手取り収入の3分の1以内がひとつの目安とされます。
例1|夫が病気で休職。夫・妻・子の3人世帯、家賃65,000円(仮の例)
休職前:夫の手取り25万円+妻のパート8万円=33万円 → 家賃の割合はおよそ20%
休職中:夫の傷病手当金おおむね20万円+妻のパート8万円=28万円 → 家賃の割合はおよそ23%
→ 当面は今の住まいを守れる水準。ただし傷病手当金は通算最長1年6か月のため、その先の見通しも主治医と確認しておく
例2|家計を支えていた父が要介護に。父と娘の2人世帯、家賃58,000円(仮の例)
父の年金10万円+娘の手取り14万円=24万円 → 家賃の割合はおよそ24%
→ 娘が介護のために仕事を辞めると、収入は10万円になり、家賃の割合は58%に
→ 介護休業や介護サービスを使って、娘が仕事を続けられる体制を整えることを優先する
数字はあくまで考え方の例です
傷病手当金の額は加入している健康保険や給料によって、年金や手当の額は人によって異なります。社会保険料など差し引かれるものもあるため、実際の受取額で計算してください。
ステップ5|足りない分は、早めに相談窓口へ
岡山市寄り添いサポートセンター
お金、仕事、住まいの困りごとを、世帯の状況も含めてまとめて相談できます。離職などで収入が減った場合の家賃の支援(住居確保給付金)の相談窓口でもあります(無料相談電話 0800-200-8730、平日8時30分〜17時)。
地域包括支援センター・ケアマネジャー
高齢の家族の介護が必要になった場合の相談先です。介護保険の申請やサービスの利用について相談できます。
福祉事務所(生活保護)
世帯の収入を合わせても暮らしが成り立たない場合は、お住まいの区の福祉事務所で生活保護の相談・申請ができます。
生活保護は「世帯」で考える
生活保護は、同じ家で暮らし、生計を同じくしている家族をひとつの世帯として考えます。家族の中に働いている人がいても、世帯全体の収入が最低生活費を下回れば、その差額が支給される仕組みです。働いて得た収入は、勤労控除などが差し引かれたうえで計算されます。
住宅扶助の上限は、世帯の人数によって変わります。岡山市では、2人世帯で44,000円、3〜5人世帯で48,000円が目安です(実際の上限は世帯の状況によって変わることがあるため、ケースワーカーに確認してください)。今の家賃が上限を超える場合は、住み替えについてケースワーカーと相談することになります。ケースワーカーは、世帯の暮らしの立て直しを一緒に考えてくれる相手です。
ステップ6|必要なら、世帯に合った住まいへ住み替える
住み替えを考える場合は、家賃だけでなく、家族の体の状態や、看病・介護のしやすさも大切です。
- 1階かエレベーターのある建物:通院や車いすでの移動がしやすい
- 段差の少ない部屋:転倒の心配が少ない
- 通院先や介護サービスの事業所に近い:家族の送り迎えの負担が減る
- 子どもの学区:子どもがいる場合は、転校の負担も考える
- 市営住宅:収入に応じて家賃が決まり、募集によっては障害のある方や高齢の方がいる世帯の優遇などが設けられることもある
生活保護を受けて住み替える場合は、ケースワーカーの確認を受けてから賃貸の契約を結んでください。
よくあるご質問
Q1. 家計を支えていた家族が働けなくなりました。まず何をすればいいですか?
主治医に働けない期間の見通しを確認し、世帯の収入を書き出しましょう。会社の健康保険に入っている場合は傷病手当金、仕事中のけがなら労災保険、長く支障がある場合は障害年金など、使える制度を確認します。そのうえで、今の家賃を払い続けられるかを判断します。
Q2. 家族が病気で休職中の収入の支えはありますか?
会社の健康保険に入っている方が、業務外の病気やけがで休んで給料が出ない場合は、傷病手当金を受けられる場合があります。1日あたりおおむね給料の3分の2が、通算で最長1年6か月支給されます。手続きは勤務先や加入している健康保険に確認してください。
Q3. 家族の介護のために、仕事を辞めたほうがいいですか?
介護する人まで仕事を辞めると、世帯の収入がさらに減ってしまいます。介護休業(対象の家族1人につき通算93日まで)や介護休業給付金、介護保険のサービスなどを使って、仕事を続けながら介護の体制を整えられないか、辞める前に勤務先や地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談しましょう。
Q4. 家族の中に働いている人がいても、生活保護は受けられますか?
生活保護は世帯単位で考え、世帯全体の収入が最低生活費を下回れば、その差額が支給される仕組みです。家族の中に働いている人がいても、受けられる場合があります。働いて得た収入は、勤労控除などが差し引かれたうえで計算されます。お住まいの区の福祉事務所に相談してください。
Q5. 家賃が重くなったら、引っ越したほうがいいですか?
家賃が世帯の手取り収入の3分の1を大きく超えるようなら、住み替えを考える価値があります。その際は家賃だけでなく、1階や段差の少ない部屋、通院先や介護サービスの事業所への近さ、子どもの学区なども大切です。生活保護を受けて住み替える場合は、ケースワーカーの確認を受けてから契約を結んでください。
Q6. 世帯のお金や住まいのことを、まとめて相談できる窓口はありますか?
岡山市寄り添いサポートセンター(無料相談電話 0800-200-8730、平日8時30分〜17時)で、お金、仕事、住まいの困りごとを世帯の状況も含めてまとめて相談できます。高齢の家族の介護については地域包括支援センター、暮らしが成り立たない場合は福祉事務所が相談先です。
まとめ
- まず、働けない期間の見通しを主治医に確認する
- 世帯の収入を書き出し、傷病手当金・労災保険・障害年金などを確認する
- 介護する家族は、辞める前に介護休業などの制度を確認する
- 高額療養費や介護・福祉のサービスで、出費と負担を減らす
- 家賃は世帯の手取りの3分の1以内を目安に判断する
- 足りない分は、寄り添いサポートセンターや福祉事務所へ早めに相談
- 住み替えるなら、家賃だけでなく看病・介護のしやすさも考える
家族が働けなくなったときは、一人で家計も看病も背負わず、家族で役割を分け、制度と窓口を頼ることが大切です。順番に整えていけば、世帯の住まいは守れます。
大切な家族が働けなくなると、その人の体の心配と、これからの暮らしの不安が重なって、支える側の心も体も疲れ切ってしまいます。「自分がしっかりしなければ」と無理を重ねている方も多いと思います。でも、支える人が倒れてしまっては、家族みんなが困ってしまいます。眠れない、気持ちが沈むといったときは、支える側も遠慮なく相談してください。家族の暮らしは、家族だけで抱え込まず、地域の支えと一緒に守っていきましょう。
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※ 記事内の制度の内容・金額は一般的な整理であり、特定の結果を保証するものではありません。傷病手当金は加入している健康保険に、介護休業は勤務先に、住宅扶助の上限や生活保護の扱いはお住まいの区の福祉事務所にご確認ください。
※ 当社は不動産業者であり、制度の判断はできません。生活保護を受けて部屋を借りる場合、賃貸の契約はケースワーカーの確認を受けてから結ぶようにしてください。
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