【岡山市】売れない空き家に共通する4つの理由|値下げより先に見直すこと
売りに出して半年。内見はほとんど入らず、たまに問い合わせがあっても契約には至らない。担当者から言われるのは「そろそろ価格を下げましょうか」ばかり。
そういうご相談を、岡山市内でよくいただきます。
値下げは、たしかに効く手段です。ただ、効かない物件に値下げを重ねても、下がるのは価格だけで反響は増えません。そして一度下げた価格は、簡単には戻せません。
この記事では、売れないまま止まっている空き家に共通して見つかる原因を4つに整理しました。いずれも、値下げより先に確認できることです。ご自身の物件と照らし合わせながら読んでみてください。
この記事でわかること
まず切り分けてください。「見られていない」のか「見られたが選ばれない」のか
原因を探る前に、この2つを分けておく必要があります。打つ手がまったく違うからです。
| 状態 | 見分け方 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 見られていない | ポータルサイトの閲覧数が少ない。問い合わせがほぼゼロ | 掲載の見え方(理由①) |
| 見られたが選ばれない | 閲覧数はあるのに問い合わせが来ない | 価格と条件のバランス、または理由② |
| 問い合わせは来るが決まらない | 内見や質問はあるのに契約に進まない | 理由②③(融資が通らない・情報が足りない) |
閲覧数は、担当の不動産会社に聞けば教えてもらえます。まずこの数字を確認してください。「見られていない」のに値下げをしても、そもそも誰の目にも触れていないので、何も変わりません。
ここで数字がすぐに出てこない、あるいは「調べておきます」のまま返答がない場合は、それ自体がひとつの判断材料になります。詳しくは後半の「3か月ごとに立ち止まる」でご説明します。
理由 1掲載の見え方で、比較の土俵に上がれていない
買主は、まずスマートフォンの一覧画面で物件を選びます。ここで指が止まらなければ、どれだけ良い土地でも検討されません。
売れていない空き家の掲載を見せていただくと、驚くほど高い確率で次のいずれかに当てはまります。
掲載でよくある取りこぼし
- 写真が5枚以下。外観と玄関だけで、水回りや各部屋が載っていない
- 写真が暗い。雨戸を閉めたまま、照明もつけずに撮っている
- 残置物が写り込んでいる。家具や段ボールが残ったままの部屋の写真
- 間取り図がない。買主は間取りが分からない物件を候補に残しません
- 庭や外構が伸びたまま。「管理されていない家」に見えてしまう
- 物件説明が2〜3行しかない。接道、上下水道、駐車場の台数など、買主が知りたいことが書かれていない
特に影響が大きいのが残置物です。家財が残った部屋の写真は、買主の目には「この片付けを自分がやるのか」という負担として映ります。実際には引き渡し前に処分するとしても、写真がそう伝えてくれるわけではありません。
残置物の処分費は、一般的な戸建てで数十万円かかることが多く、決して小さな出費ではありません。ただ、50万円の値下げと、片付けて撮り直すこと。反響が変わりやすいのは後者です。値下げは全員に対して効く手ですが、写真の改善は「一覧で止まる人を増やす」という、より上流の効き方をします。
先に確認したいこと
・ポータルサイトに何枚の写真が載っていますか
・室内の写真は明るく写っていますか
・間取り図は掲載されていますか
・掲載を最後に更新したのはいつですか
理由 2買主が住宅ローンを使えない物件になっている
これは、値下げでは絶対に解決しない種類の問題です。そして、売主ご自身が気づいていないことが最も多い原因でもあります。
買主の大多数は、住宅ローンを組んで購入します。金融機関の融資が使えない物件は、現金で買える人しか検討できません。買主の母数が一気に小さくなるため、価格を下げても反響はほとんど増えないという状態になります。
融資が使いにくくなる主な条件
- 再建築不可。幅4m以上の道路に2m以上接していないなど、建築基準法の接道義務を満たしていない
- 私道に接している。持分がない、通行・掘削の承諾書が取れていない
- 建物が未登記、または増築部分が未登記。登記簿と現況が一致していない
- 検査済証がない。特に増改築を重ねた古い建物
- 建ぺい率・容積率オーバー。建築当時は適法でも現行基準に合わない
- 市街化調整区域内にある。建て替えに制限がかかる場合がある
いずれも、昭和期に建てられた岡山市内の住宅では珍しくありません。特に旧市街地や、区画整理が入っていない住宅地では頻繁に出会います。
ただし、「融資が使えない=売れない」ではありません。打ち手は変わるだけです。
| 状況 | 取りうる対応 |
|---|---|
| 私道の承諾が未取得 | 隣地所有者と交渉し、通行・掘削承諾書を取得する。これだけで融資が通るようになる場合があります |
| 増築部分が未登記 | 土地家屋調査士に依頼して登記を整える |
| 再建築不可 | 隣地所有者への売却、隣地の一部買い取りによる接道確保、あるいは現金購入層・投資家層に向けた販売へ切り替える |
大切なのは、この状態を把握したうえで売っているかどうかです。把握していれば、最初から買える人に向けて売れます。把握しないまま一般の実需向けに出していると、問い合わせが来ても融資の段階で流れる、ということが繰り返されます。
理由 3境界や不具合が未確認で、買主が判断できない
買主が購入をためらう最大の理由は、価格の高さではなく「わからないこと」です。
人は、判断材料が足りない買い物からは静かに離れていきます。値引き交渉すらせずに、次の物件を見に行くだけです。だから売主側からは「なぜ売れないのか」が見えません。
買主が不安に感じる未確認事項
- 境界標がない、境界が確定していない。買った後に隣地ともめないかが分からない
- 越境がある。塀、庭木の枝、雨樋、隣地の物置などが境界をまたいでいる
- 雨漏り・シロアリの有無が不明。「わからない」と言われると最悪を想定します
- 設備が動くか分からない。給湯器、水道、電気の通電確認がされていない
- 相続登記が済んでいない。名義が亡くなった方のままでは、そもそも引き渡しができません
逆に言えば、ここを事前に調べて開示するだけで、同じ価格のままでも競争力が上がります。「境界確定済み」「屋根の状態を専門業者が確認済み」と書かれた物件と、何も書かれていない物件が並んでいれば、買主がどちらを選ぶかは明らかです。
調査には費用がかかります。測量なら数十万円単位になることもあります。ただ、これは値下げと違って、支払った分が物件の説得力として残ります。そして買主が後から見つけて減額交渉の材料にするより、こちらから先に開示するほうが、結果的に手取りは大きくなりやすいのが実務での感覚です。
相続登記が未了の場合は、これが最優先です。2024年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が必要とされています。2024年4月1日より前に発生した相続については、2027年3月31日までとされています。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になるとされています。名義が亡くなった方のままでは売買契約を結べませんので、まずここから着手してください。登記の手続きは司法書士の業務になります。
理由 4売り先の設定が、物件の実態と合っていない
4つのなかで、いちばん見落とされやすい原因です。
築40年、50年を超えた戸建てを「中古住宅」として売りに出していませんか。買主が「そのまま住める家」を探している層だとすると、その物件は最初から比較対象になっていない可能性があります。
築古の空き家で、実際に買い手になりやすいのは次のような方々です。
| 買い手 | 何を見て買うか | 刺さる打ち出し方 |
|---|---|---|
| 隣地の所有者 | 自宅の敷地を広げたい、駐車場を確保したい、日当たりや通路を改善したい | 個別に打診する(掲載だけでは届きません) |
| 土地として買う実需層 | 建物ではなく、立地・地型・接道・学区 | 「解体更地渡し可」「土地としてお探しの方へ」 |
| DIY・古民家志向の個人 | 自分で直す前提。むしろ手つかずのほうが良い | 「現況渡し」「DIY可」と明記する |
| 不動産業者・投資家 | 再販や賃貸活用の採算。現金決済が可能 | 業者間ネットワークへの流通 |
とりわけ隣地の所有者は、空き家において最も有力な買主です。その土地の価値を誰よりも具体的に理解しているうえに、「隣が空き家のままだと困る」という動機を持っている場合があるからです。にもかかわらず、掲載サイトに出すだけで、隣家に一声かけていない売り出しは本当に多くあります。
打診には配慮が必要ですし、こちらが売り急いでいると受け取られると足元を見られることもあります。だからこそ、不動産会社が間に入って進めるほうが安全です。
値下げが効くケースと、効かないケース
ここまで値下げ以外の話を続けてきましたが、値下げそのものを否定しているわけではありません。効く場面では、はっきり効きます。問題は、効かない状態のまま繰り返してしまうことです。
| 値下げが効きやすい | 値下げでは動きにくい |
|---|---|
| 閲覧数は多いが問い合わせが来ない | そもそも閲覧数が少ない(理由①) |
| 内見後に「価格が合わない」と言われている | 問い合わせは来るが融資で流れる(理由②) |
| 近隣の類似物件より明らかに割高 | 買主が判断材料を持てていない(理由③) |
| 売却期限が決まっていて時間で買う必要がある | そもそも買い手層が違う(理由④) |
もうひとつ。値下げには、小刻みに下げるほど効きにくくなるという性質があります。50万円ずつ何度も下げていると、買主側に「待てばもっと下がる」と伝わってしまい、かえって様子見が増えます。下げるなら、理由①〜④を潰したうえで、意味のある幅で一度に。これが実務での鉄則です。
3か月ごとに立ち止まる。媒介契約のしくみを知っておく
売却を不動産会社に依頼する契約を媒介契約といいます。宅地建物取引業法により、専任媒介契約および専属専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができないとされています。これより長い期間を定めても、期間は3か月とされます。
この3か月には意味があります。「同じやり方を続けるかどうかを、定期的に見直すための区切り」です。自動的に更新するものではなく、売主が判断してよいタイミングです。
あわせて、同法では業務の処理状況について報告義務が定められています。
| 契約の種類 | 売主への報告 | レインズへの登録 |
|---|---|---|
| 専属専任媒介 | 1週間に1回以上 | 契約日の翌日から5営業日以内 |
| 専任媒介 | 2週間に1回以上 | 契約日の翌日から7営業日以内 |
| 一般媒介 | 法律上の義務なし | 法律上の義務なし |
更新の前に確認したい5つのこと
- この3か月で、閲覧数と問い合わせ件数が何件だったかを数字で説明してもらえるか
- 写真の追加・差し替えなど、掲載内容に手が入れられたか
- レインズに登録され、登録証明書を受け取っているか
- 隣地所有者への打診など、掲載以外の動きがあったか
- 次の3か月で何を変えるのか、具体的な説明があるか
これらに明確な答えが返ってこないまま「もう少し様子を見ましょう」「価格を下げましょう」だけが繰り返されているなら、進め方を見直す段階に来ていると考えてよいと思います。
なお、今の担当会社を悪く言いたいわけではありません。会社によって得意な物件のタイプは本当に違います。新築や築浅のマンションに強い会社と、築古の空き家や土地に強い会社では、持っている買主のネットワークがまったく別物です。相性の問題であることのほうが多いというのが正直なところです。
まとめ
値下げの前に、この順番で確認する
- 閲覧数を聞く。「見られていない」のか「見られたが選ばれない」のかを切り分ける
- 掲載を見直す。写真の枚数と明るさ、残置物、間取り図、物件説明の情報量
- 融資が使える物件かを確認する。接道、私道、未登記、検査済証
- 境界と建物の状態を調べて開示する。わからないことを減らす
- 売り先を見直す。特に隣地所有者への打診がされているか
- 相続登記が未了なら、まずそこから。名義が変わらなければ引き渡せません
最後に、少しだけ別の話をさせてください。
空き家が売れない期間が長引くと、「この家には価値がないのかもしれない」と感じてしまう方がいらっしゃいます。ご実家であればなおさら、その気持ちは重くなります。
ですが、売れない理由の多くは建物そのものではなく、伝え方と売り先の設定にあります。写真を撮り直しただけで問い合わせが入るようになった、隣の方に声をかけたら話が進んだ。そういうことが実際に起こります。
急いで判断する必要はありません。ただ、値下げの前に確認できることは、まだ残っているかもしれません。
よくあるご質問
- Q. 半年間まったく反響がありません。もう売れないということでしょうか。
- A. 半年で反響がゼロという状態は、価格の問題というより掲載や売り先の設定に原因があることが多いです。まず閲覧数を確認してみてください。閲覧数自体が少なければ、値下げより先にできることがあります。
- Q. 売却前にリフォームしたほうがいいですか。
- A. 築古の戸建てでは、多くの場合おすすめしていません。リフォーム費用を売却価格に上乗せできないことが多いためです。ただし残置物の処分とクリーニングは別で、費用に対する効果が出やすい部分です。
- Q. 解体して更地にしたほうが売れますか。
- A. 更地のほうが買主が付きやすい地域もありますが、注意点が2つあります。解体費が先払いになること、そして建物がなくなると固定資産税の住宅用地特例が外れて翌年の税額が上がる可能性があることです。買主の見込みが立ってから進めるほうが安全です。
- Q. 相続した家です。売却で税金の特例は使えますか。
- A. 一定の要件を満たす場合、相続した空き家の売却に3,000万円の特別控除が使える可能性があります。期限のあるしくみですので、関連記事にまとめています。なお税額の判断は税理士または税務署にご確認ください。
- Q. 今の不動産会社との契約が残っています。相談だけしてもいいですか。
- A. もちろん構いません。現在の媒介契約中に他社と契約を結ぶことはできませんが、状況を見てもらって意見を聞くことは自由です。「なぜ売れないのか」の見立てだけお伝えして、今の会社で続けたほうが良いと判断すればそうお伝えします。
- Q. 再建築不可の土地でも売れますか。
- A. 買い手の層は限られますが、売却例はあります。隣地の所有者への打診、現金購入層や事業者への販売など、進め方を変える必要があります。まずは接道の状況を正確に確認するところからです。
「なぜ売れないのか」の見立てだけ、お伝えします
売却をお預かりするためのご相談ではありません。今の状態で何が起きているのかを整理してお返しします。
LINEで次の3点をお送りください。
- 現在の掲載ページのURL、または掲載中の写真
- 売り出しを始めた時期と、これまでの問い合わせ件数
- 建物の外観と室内のお写真(数枚で構いません)
- 現在ほかの不動産会社と媒介契約中でも、ご相談だけなら問題ありません。契約期間中に当社と媒介契約を結ぶことはできませんので、その旨も含めてご説明します
- 本記事の費用・期間はいずれも目安です。物件の状態により異なります
- 売却価格や成約時期をお約束するものではありません
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