空き家の売却を「来年」に延ばすと起きること|岡山で解説
「今年は忙しいから、空き家の売却は来年考えよう」
「もう1年くらい持っていても、それほど変わらないだろう」
「岡山の土地価格が上がるかもしれないので、少し待ってみたい」
空き家の売却を考えていると、このように1年間だけ結論を延ばしたくなることがあります。
5年、10年先送りするつもりはなくても、「来年なら考えられる」と思えば、心理的にも楽になります。
もちろん、1年間待つこと自体が悪いわけではありません。
家族の事情、利用予定、相続手続きなどから、来年まで待つ合理的な理由があるケースもあります。
ただし、確認しておきたいのは、
ということです。
税金や管理費だけでなく、建物状態、査定条件、家族の状況、売却準備などにも変化が起こる可能性があります。
今回は岡山の空き家について、売却を今年から来年へ1年間延ばした場合に何が起こるのかを整理します。
結論|「1年待つ」なら、その1年で何が変わるのか決めてから待つ
空き家売却を1年間延期すること自体に問題があるわけではありません。
大切なのは、
なぜ1年間待つのか?
来年になれば何が解決するのか?
を具体的にすることです。
例えば、
- 相続手続きを今年中に整理する
- 来年まで家族が利用する可能性を確認する
- 親の施設生活が落ち着いてから判断する
- 1年間だけ適切に管理し、その後再査定する
のであれば、待つ理由があります。
一方、
「今年は何となく決めたくないから来年」
だけの場合、来年も同じ状態になる可能性があります。
1|まず、空き家を1年持つためのお金がもう一度発生する
1年間延期したとき:
保有するための費用を、もう1年分負担することになります。
空き家は売却しなければ、基本的に所有者が維持を続けます。
物件によって異なりますが、例えば、
- 固定資産税等
- 火災保険
- 水道・電気等
- 草刈り
- 庭木管理
- 定期的な現地確認
- 県外から岡山へ戻る交通費
などが発生する場合があります。
モデルケースで考えてみる
説明用として、年間の空き家保有・管理負担が20万円だったとします。
売却を1年間延期すると、
年間20万円 × 1年 = 20万円
です。
この場合、来年まで待つには少なくとも20万円分の負担を考える必要があります。
※20万円は説明用の仮定です。実際の費用は固定資産税、建物、土地、庭、管理方法等によって大きく異なります。
「1年待てば高く売れるかもしれない」
と考えるなら、
「少なくとも1年間の保有費以上に条件が良くなる可能性があるか」
まで確認することが重要です。
2|建物が1年分古くなる
土地は1年経ったから急に古くなるものではありません。
しかし建物は時間が経過します。
例えば今年、築39年の住宅なら、来年は築40年です。
築年数が1年増えただけで売れなくなるわけではありませんが、建物状態は同じとは限りません。
特に空き家では、居住者がいないため、
- 雨漏り
- 漏水
- 湿気
- カビ
- 害虫
- 雨どいの詰まり
- 窓の破損
などの異変に気付くのが遅れることがあります。
今年なら小修繕、来年なら大きな修繕になる可能性
例えば屋根から少量の雨水が入っていたとしても、誰も室内を確認しなければ発見できません。
今年修理すれば小さな範囲だったものが、時間が経過して天井や壁まで傷めば、対応範囲が広がることもあります。
したがって1年延期するなら、
- 室内を定期確認する
- 天井の雨染みを見る
- 床の状態を見る
- 水回りを確認する
- 庭・外壁・雨どいを見る
など、建物状態を確認する計画もセットで考えます。
3|今年の査定価格が来年も同じとは限らない
「今年1,000万円と言われたから、来年も1,000万円」
とは限りません。
空き家の査定は、土地だけではなく、
- 建物状態
- 近隣の成約状況
- 競合物件
- 買主需要
- 道路や土地条件
などを含めて判断されます。
例えば、今年の査定価格が1,000万円だったとしても、来年再査定すると、
| 再査定 | 考えられる状態 |
|---|---|
| 1,050万円 | 市場条件等が良くなった可能性 |
| 1,000万円 | 大きな変化がなかった可能性 |
| 950万円 | 市場・建物状態等の条件が変化した可能性 |
ということも考えられます。
将来価格を正確に予測することはできません。
だからこそ、「来年高くなるはず」という予想だけで延期しないことが大切です。
4|売却価格が少し上がっても「得」とは限らない
ここは数字で考えると分かりやすくなります。
今年売却:1,000万円
年間維持費:20万円
来年売却:1,020万円
一見すると、
「1年間待ったら20万円高く売れた」
ので成功に見えます。
しかし、その1年間に20万円の維持費を使っていれば、単純計算では値上がり分と相殺されます。
値上がり20万円 − 維持費20万円 = 0万円
さらに途中で修繕費10万円が発生したなら、
20万円 − 20万円 − 10万円 = -10万円
です。
来年の売却価格だけを見るのではなく、
「1年間待つために使ったお金」も一緒に比較する。
これが空き家売却を延期するときの基本です。
5|庭木・雑草は1年でもかなり状況が変わることがある
岡山の庭付き戸建てで意外と負担になりやすいのが、庭と外回りです。
春から夏にかけて雑草が伸び、庭木も成長します。
今年は問題がなくても、翌年には、
- 庭木が隣地へ伸びる
- 雑草が道路側へ出る
- 落ち葉が近隣へ飛ぶ
- 空き家らしい外観になる
ことがあります。
売却を来年へ延期するなら、少なくとも敷地外へ影響が出ないよう管理を続ける必要があります。
6|家財整理も「来年」に延びる
実家を売却できない理由の一つに、
「家の中に荷物が多すぎる」
という問題があります。
そこで、
「今年は忙しいので、来年みんなで片付けよう」
となることがあります。
しかし1年後に、家財が自然に減っているわけではありません。
むしろ、
- 兄弟姉妹の日程がさらに合わなくなる
- 管理している家族が高齢になる
- 家財が湿気やカビで傷む
- 何を残すか分からなくなる
可能性があります。
売却前に全部捨てる必要はない
ここで大切なのは、
「片付いていないから査定できない」
と思い込まないことです。
家財が残っている状態でも、まず売却相談や査定ができる場合があります。
そのうえで、
- どこまで片付ける必要があるか
- 売却前に処分するか
- 残置物がある状態での方法があるか
を確認してから動いたほうが、無駄な作業を減らせる可能性があります。
7|家族の状況は1年でも変わる
不動産の状態だけではなく、売る人・話し合う人の状況も変わります。
例えば今年は、
- 兄弟3人全員が売却に賛成
- 管理担当者も元気
- 親本人とも話ができる
状態だったとしても、来年、
- 家族が県外へ転居する
- 病気や介護が始まる
- 仕事の事情が変わる
- 考え方が変わる
- さらに相続が発生する
可能性があります。
特に共有名義や相続不動産では、関係者が同じ方向を向いている時期も大切な売却条件の一つです。
8|「来年」が再び「再来年」になることがある
実は、売却を1年間延ばすときに一番確認しておきたいのがここです。
今年、
「来年考えよう」
となった理由が、来年解消する予定になっているでしょうか。
例えば:
- 今年は仕事が忙しい → 来年は本当に落ち着く?
- 家族で話せていない → 来年はいつ集まる?
- 荷物が多い → 今年中に何を整理する?
- 売る決心がつかない → 来年ならなぜ決められる?
- 相場が気になる → 何円なら売る?
この質問に答えがない場合、来年も、
「もう1年待とう」
になる可能性があります。
1年の延期が問題なのではありません。
期限のない1年延期を毎年繰り返すことに注意が必要です。
反対に「1年待つ意味」があるケース
ここまで読むと、すぐ売却したほうがよい記事に見えるかもしれません。
しかし、1年間待つことが合理的な場合もあります。
- 1年以内に本人が実家へ戻る可能性が具体的にある
- 相続関係を整理している途中
- 家族の利用予定が1年以内に確定する
- 建物を適切に管理できる
- 年間維持費を把握し、負担できる
- 1年後に再査定することを決めている
このように、
「なぜ1年なのか」
が明確なら、計画的な延期です。
今年売るか来年売るか|比較表
| 確認項目 | 今年売る | 来年へ延期 |
|---|---|---|
| 維持費 | 売却後は原則終了 | もう1年分必要 |
| 建物状態 | 現在の状態で販売 | 1年間の管理が必要 |
| 査定価格 | 現在の市場で判断 | 上昇・横ばい・下落すべてあり得る |
| 家財 | 現在の状態で方法を検討 | 整理も1年先送りになる可能性 |
| 家族状況 | 現在の関係者で判断 | 生活環境等が変わる可能性 |
| メリット | 管理から離れやすい | 利用予定等を確認する時間を取れる |
1年待つなら「売却延期計画」を作る
今年は売らないと決めるなら、何となく来年へ持ち越すのではなく、簡単な計画を作ってみてください。
① 現在の査定価格
________万円
② 1年間の維持費
________万円
③ この1年間で確認すること
____________________________
④ 来年再査定する月
2027年 ______月
⑤ いくら以上なら売却を検討するか
________万円
⑥ 来年も売らない場合の理由
____________________________
ここまで決めれば、
「先送り」
ではなく、
「1年間の計画的保有」
に変わります。
特に「今年中に確認」しておきたい5項目
- 現在の査定価格
- 実際の年間維持費
- 建物状態
- 家族に本当に利用予定があるか
- 来年判断する具体的な日
この5つを確認してから1年待つのであれば、来年になったとき比較ができます。
例えば、
2026年9月
査定:1,000万円
年間維持費:20万円
2027年9月
再査定:980万円
実際の維持費:25万円
となれば、
「もう1年待つべきか」
を具体的に判断できます。
逆に現在の数字を残していなければ、来年になっても比較する基準がありません。
「売るつもりはある」なら、査定だけ今年しておく
今年は売却しないとしても、将来売る可能性が高いのであれば、現在査定を受けておく方法があります。
今年の査定があれば、来年の査定と比較できます。
- 市場が変わったのか
- 建物状態が変わったのか
- 周辺需要が変わったのか
- 待った結果がどうだったのか
を確認できます。
むしろ、来年判断するための基準を今年作っておくという使い方ができます。
こんな空き家は「来年まで待つ前」に一度相談を
- □ 誰も住む予定がない
- □ すでに数年以上空き家
- □ 雨漏りや建物劣化がある
- □ 庭木・雑草管理が負担
- □ 県外から岡山へ管理に通っている
- □ 今年の査定価格を知らない
- □ 家族全員は売却に賛成している
- □ 「来年考える」を以前にも言ったことがある
- □ 家財整理を何年も先延ばししている
- □ 管理している家族が高齢になっている
複数当てはまっても、必ず今年売却するべきという意味ではありません。
ただし、1年間待つメリットと負担を一度数字で比較する時期にはなっています。
よくある質問
Q.1年間くらいなら待っても問題ありませんか?
物件状態や管理方法によります。1年間適切に管理でき、待つ具体的な理由があるなら、計画的に保有する方法があります。ただし、年間維持費と建物状態は確認しておきましょう。
Q.来年のほうが高く売れる可能性はありますか?
可能性はありますが、反対に横ばいや下落になる可能性もあります。将来の価格を正確に予測することは難しいため、現在の査定額と1年間の維持費を確認したうえで判断することが重要です。
Q.今年1,000万円、来年1,050万円なら待ったほうが得ですよね?
必ずしもそうとは限りません。1年間に30万円の維持・修繕費が掛かったなら、単純な差額は20万円です。実際の売却諸費用や税金なども含めて最終的な手取りを比較する必要があります。
Q.荷物が残っているので今年は売れません。
家財が残っていても査定相談できる場合があります。全部処分してから相談するのではなく、現状で査定を受け、どこまで片付ける必要があるか確認する方法があります。
Q.来年売ると決めています。今しておくことは?
現在の査定、年間維持費、建物状態、名義・書類、家財を確認しておくと進めやすくなります。また、再査定する月を具体的に決めておくことをおすすめします。
Q.家族が「もう1年だけ残したい」と言っています。
なぜ1年間残したいのか、その期間中に誰が管理するのか、年間費用を誰が負担するのか、1年後に何を基準に再判断するのかまで話しておくと、単なる先送りになりにくくなります。
まとめ|「来年考える」なら、来年変わる理由を作っておく
岡山の空き家売却を1年間延期すること自体は、必ずしも悪い選択ではありません。
ただし、1年間待てば、
- もう1年分の維持費が発生する
- 建物も1年時間が経過する
- 査定条件が変わる可能性がある
- 庭・家財の管理も続く
- 家族の事情が変わる可能性がある
ということは理解しておく必要があります。
そして一番大切なのは、
「来年なら、なぜ判断できるのか」
を決めておくことです。
来年までに、
- 相続手続きを終わらせる
- 利用予定を確定する
- 家族で話し合う
- 家財を整理する
などの目的があれば、1年待つ意味があります。
反対に、特に理由がなく、
「今決めるのが嫌だから来年」
だけなら、来年も同じ状態になる可能性があります。
今すぐ売る必要はありません。
まず現在の査定価格と年間維持費を確認し、
「この家に1年間待つだけの理由があるか」
を一度考えてみてください。
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