岡山市の空家等適正管理支援事業とは?除却・リフォーム・診断を解説|ミニクルホーム
岡山市の空家等適正管理支援事業とは?除却・リフォーム・診断を解説
岡山市で空き家をお持ちの方から、「解体に補助金が出るらしい」というお話をうかがうことがあります。それ自体は正しいのですが、実は解体(除却)は、いくつもあるメニューのうちの1つにすぎません。
岡山市の「空家等適正管理支援事業」は、空き家の診断、リフォーム、解体、家財の処分、そして2026年度からは購入まで、7つのメニューが用意された制度群です。壊す人だけでなく、直して使う人にも、買う人にも支援があります。
この記事では、それぞれの制度の内容と、全メニューに共通する「これを守らないと使えない」というルールをまとめて整理します。ご自身の状況にどれが当てはまるか、見つけていただければと思います。
この記事の要点
空家等適正管理支援事業には①空き家診断 ②リフォーム ③リフォーム〔地域活性化〕 ④除却 ⑤除却〔地域活性化〕 ⑥家財等処分 ⑦購入の7メニューがあります。
補助額は多くが費用の3分の1・上限60万円(子育て世帯は70万円のものも)、空き家診断は定額です。
全メニュー共通のルールは5つ。事前相談が必要/交付決定前の契約はNG/市税の滞納がないこと/勧告を受けた特定空家等は対象外/予算に達し次第終了。令和8年度の申請受付は5月1日から12月18日までです。
問い合わせ先は都市整備局 住宅・建築部 建築指導課 空家対策推進室(電話 086-803-1410)です。
そもそも、なぜ岡山市はこの制度を用意しているのか
岡山市が公表している内容によると、平成30年の国の調査で市内の空き家数は約5万3千戸、住宅総数に占める割合は14.4%とされています。これは全国平均や他の政令指定都市と比べても高い水準です。
さらに深刻なのが中身です。空き家のうち管理・処分方針が未定のものが約4割を占め、その3分の1以上は老朽化や破損が進んでいると市は説明しています。
倒壊、放火、屋根材の飛散、不審者の侵入、ゴミの放置、雑草の繁茂による景観悪化。こうした問題を防ぎつつ、まだ使える建物は住宅ストックとして市場に戻す——この2つを同時に進めるための仕組みが、空家等適正管理支援事業です。
だからこそ、「壊す」だけでなく「診る」「直す」「片づける」「買う」まで支援メニューが揃っているのです。
7つのメニュー一覧
| メニュー | 補助額の目安 | こんな方に |
|---|---|---|
| ①空き家診断 | 定額(下記参照) | まだ使える建物か判断したい |
| ②リフォーム | 1/3・上限60万円 (子育て世帯70万円) | 直して住む・貸す |
| ③リフォーム〔地域活性化〕 | 別枠 | 地域の活動拠点などに活用する |
| ④除却 | 1/3・上限60万円 (応急措置10万円) | 老朽化した危険な空き家を解体する |
| ⑤除却〔地域活性化〕 | 別枠 | 跡地を地域の活性化に使う |
| ⑥家財等処分 | 下記参照 | 家財が大量に残っている |
| ⑦購入 | 1/3・上限60万円 (子育て世帯70万円) | 空き家を買って住む |
①空き家診断|まず「使えるかどうか」を知る
耐震性と劣化状況を、専門家に診てもらう費用の補助
意外と知られていないのがこの制度です。壊すか直すかを決める前に、建物の状態を客観的に把握するための補助があります。
| 診断の種類 | 補助額 |
|---|---|
| 耐震診断(一般診断・200㎡以下) | 8万円(定額) |
| 耐震診断(一般診断・200㎡超) | 8万8千円(定額) |
| 精密診断で行う場合 | 対象事業費×2/3(上限8万8千円) |
| 劣化診断 | 6万円(定額) |
対象:岡山市内の一戸建て木造住宅など。耐震診断等は昭和56年5月31日以前に着工され、地上階数2以下といった条件があります。昭和56年6月1日以降に着工したものは劣化診断のみが対象です。
劣化診断は、国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に則して行う既存住宅現況検査です。「この家、まだ売れるのか・貸せるのか」を判断する材料として非常に有効で、買主に対する説明材料にもなります。
②③リフォーム|直して使う
工事費の3分の1、上限60万円(子育て世帯は70万円)
空き家を再生して活用する場合の補助です。工事に要する金額(他の補助制度の対象となる工事を除く)の3分の1が補助され、上限は60万円、子育て世帯の場合は70万円とされています。
申請受付は令和8年5月1日から12月18日まで。ただし昭和56年5月31日以前に建築着工した建物の申請受付は令和8年11月30日までと、期限が早まっている点にご注意ください。
また〔地域活性化〕の枠では、地域の活性化に活用することを目的としたリフォームが対象になります。こちらは改修後、最低10年間は地域の活性化に活用することが条件で、用途の判断は事前相談の後に行われます。
④⑤除却|危険な空き家を解体する
工事費の3分の1、上限60万円
最もよく知られているメニューです。老朽化した危険な空き家の解体費用に対して、工事等に要する金額の3分の1・上限60万円(応急措置は上限10万円)が補助されます。
対象は、空家法の規定による特定空家等(同法第22条第2項に基づく勧告を受けたものは除く)。単に古いだけの空き家が自動的に対象になるわけではありません。
補助対象となる工事は、除却工事、除却工事および附帯工事(門扉・塀・立木等の撤去)、応急措置の3種類です。工事は市内施工業者が行うものに限られます。
〔地域活性化〕の枠は、跡地を地域の活性化に役立てる場合の制度で、跡地を最低10年間は地域の活性化に活用し、跡地の管理は町内会やNPO法人等の第三者が行うことが条件とされています。
⑥家財等処分|片づけの費用を支援
「まず片づけないと動けない」を解消する制度
空き家に家財道具が大量に残っていて手がつけられない——非常に多いご相談です。岡山市には、空き家の家財道具等の処分・搬出費用の一部を補助する制度があります。
空き家情報バンクへの登録など、一定の条件のもとで利用できるとされています。補助額や要件は年度により変わるため、事前相談で確認してください。
なお、解体する場合は家財を残したまま解体業者に処分してもらうほうが安く済むこともあります。どちらが有利かはケースバイケースです。
⑦購入|2026年度から始まった新しい支援
2026年度 新設
空き家を「買う人」への補助が加わりました
空き家の流通促進を目的として、中古住宅の購入費に対する補助が新設されました。これまで所有者向けが中心だった制度に、買主側の支援が加わったことになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 建物の購入費の3分の1(千円未満切捨て)/上限60万円、子育て世帯は上限70万円 |
| 対象者 | 空き家の中古住宅に居住する予定の個人。市税を滞納していないこと。子育て世帯は10年以上継続して居住すること |
| 対象物件 | 岡山市内の住宅または併用住宅(居室・台所・便所・浴室を有するもの)で、空家法第2条第1項の空家等、または空き家情報バンクに登録するもの。勧告を受けた特定空家等は除く |
| 条件 | ①交付決定前に売買契約を締結していないこと ②3親等以内の親族間の売買でないこと ③60万円(税別)以上で購入すること |
| 受付 | 令和8年5月1日から12月18日まで。予算に達し次第終了 |
ここも「契約前」が鉄則です。気に入った物件が見つかって売買契約を結んでしまうと、その時点で対象外になります。中古住宅の購入を検討している方は、物件探しの段階でこの制度の存在を知っておいてください。
全メニューに共通する5つのルール
制度ごとに金額や対象は違いますが、共通する落とし穴は同じです。この5つを外すと、どのメニューも使えません。
- 事前相談が必要(予約制)——補助要件の確認と添付資料の案内のため。相談には必ず事前予約を
- 交付決定前の契約・着工はNG——除却も、リフォームも、購入も。契約が先だと対象外になります
- 市税の滞納がないこと——申請時に証明書の提出を求められます
- 勧告を受けた特定空家等は対象外——放置しすぎると、制度から外れます
- 予算に達し次第、受付終了——締切日まで枠があるとは限りません
いちばん多い失敗は、②です。
「解体業者と契約してから補助金を知った」「気に入った中古住宅を契約してから補助制度を知った」——どちらも取り返しがつきません。
見積もりを取ることや、物件を探すこと自体は問題ありません。契約書に判を押す前に、市へ相談する。この順番だけは崩さないでください。
令和8年度のスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4月〜 | 事前相談の予約を取る。名義・市税の状況を確認しておく |
| 5月1日 | 申請受付開始 |
| 夏〜秋 | 交付決定後に契約・着工。工事を進める |
| 11月30日 | リフォーム補助のうち、昭和56年5月31日以前着工の建物の申請期限 |
| 12月18日 | 申請受付終了(予算に達した場合はそれより前に終了) |
| 令和9年2月12日 | 空き家診断の実績報告書提出の見込み期限 |
動くなら年度の前半です。「12月まで受付」と書かれていても、予算枠が埋まれば終わります。さらに事前相談は予約制で、そこから書類を揃える時間も必要です。5月の受付開始に合わせて春のうちに動くのが理想的なスケジュールです。
制度以外にも使える岡山市の支援
| 取り組み | 内容 |
|---|---|
| 空き家に関する相談窓口 | 建築指導課 空家対策推進室(電話 086-803-1410)。空き家全般の相談を受け付けています |
| 空き家管理サービス | (公社)岡山県宅地建物取引業協会と(一社)岡山県不動産協会が登録した業者が、換気・通水などを行うサービス。不動産情報サイト「住まいる岡山」で確認できます |
| 空家等管理活用支援法人 | 空き家の管理・活用を担う法人を市が指定する制度 |
| 空き家対策の出前講座 | 町内会などの単位で、空き家対策について学べる講座 |
| 3,000万円特別控除の確認書 | 相続した空き家の売却時に必要な「被相続人居住用家屋等確認書」を交付 |
どのメニューを使うべきか|3つの分岐
迷ったら、この順番で考えてください
- 建物の状態が分からない → まず空き家診断。壊すか直すかは、診てから決められます
- 使える/使いたい → リフォーム(+必要に応じて家財等処分)
- 危険な状態で、使う予定もない → 除却。ただし再建築できる土地かの確認を先に
1番を飛ばして「古いからとりあえず解体」と決めてしまう方が多いのですが、8万円の耐震診断や6万円の劣化診断がほぼ全額補助される制度があるのです。150万円の解体を決める前に、この診断を挟む価値は十分にあります。
なお、解体を選ぶ場合は、その土地が再建築できるかを必ず確認してください。接道条件を満たさない土地や市街化調整区域では、壊すと建てられなくなることがあります。補助金60万円のために土地の価値を数百万円下げてしまっては本末転倒です。
よくある質問
Q. 岡山市の空家等適正管理支援事業には、どんなメニューがありますか? A. 空き家診断、リフォーム、リフォーム〔地域活性化〕、除却、除却〔地域活性化〕、家財等処分、購入の7つです。多くは費用の3分の1・上限60万円(子育て世帯は70万円のものも)、空き家診断は定額での補助となっています。 Q. 契約した後でも申請できますか? A. できません。除却・リフォーム・購入のいずれも、交付決定を受けてから契約・着工することが前提です。契約済みのものは対象外になります。 Q. 空き家診断はいくら補助されますか? A. 耐震診断(一般診断)は200㎡以下で8万円、200㎡超で8万8千円の定額。精密診断で行う場合は対象事業費の3分の2(上限8万8千円)。劣化診断は6万円の定額です。 Q. 空き家を買う場合にも補助がありますか? A. 2026年度から購入補助が新設されました。建物の購入費の3分の1・上限60万円(子育て世帯は70万円)で、居住予定の個人が対象です。ただし交付決定前に売買契約を締結していないこと、3親等以内の親族間の売買でないこと、60万円(税別)以上で購入することが条件です。 Q. 申請はいつまでできますか? A. 令和8年度は5月1日から12月18日までです。ただし予算に達し次第終了します。リフォーム補助のうち昭和56年5月31日以前着工の建物は11月30日が期限です。 Q. 古い空き家なら、どのメニューでも使えますか? A. メニューごとに対象が異なります。除却は空家法の規定による特定空家等が対象で、勧告を受けたものは除かれます。診断やリフォームは空家法第2条第1項の空家等が対象です。該当するかは事前相談でご確認ください。 Q. 岡山市外(玉野市・瀬戸内市・倉敷市など)にも似た制度はありますか? A. 多くの市町村で除却や活用の補助が用意されていますが、メニュー構成や金額は異なります。所在地の市町村にご確認ください。
「うちはどのメニューが使えるのか」から一緒に整理しませんか
7つのメニューを前にして、自分の空き家がどれに当てはまるのか判断するのは簡単ではありません。しかも制度によって対象要件が違い、期限も違います。
私たちがお手伝いできるのは、その手前の整理です。建物は使える状態なのか、売れる立地なのか、貸せる可能性はあるのか、解体したら土地はどうなるのか。ここが見えると、どのメニューを目指すべきかが自然に決まります。補助金の申請自体は市の窓口で進めていただきますが、方向を決めるところまではご一緒できます。
ミニクルホームは、JR岡山駅西口から徒歩7分の奉還町にある不動産会社です。売買仲介・賃貸仲介から空き家の管理・活用まで対応しており、「何から手をつければいいか分からない」という段階からのご相談を数多くお受けしています。無理に売却や解体をおすすめすることはありません。
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※本記事は岡山市の公表情報と当社の実務経験にもとづき、一般的な考え方を整理したものです(2026年8月時点)。各制度の要件・補助額・受付期間・必要書類は年度ごとに変更され、予算の状況によっても受付が終了します。申請にあたっては必ず岡山市の公式ページを確認し、事前相談(予約制)で最新の内容をご確認ください。お問い合わせは都市整備局 住宅・建築部 建築指導課 空家対策推進室(電話 086-803-1410)へ。税額は土地・家屋が所在する区の市税事務所へ、譲渡所得の特例は税理士または税務署へ、相続登記は司法書士へ、建築の可否は建築士や岡山市の建築部局へご確認ください。
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