「空室が続いているので、外国籍の方でもと思う。でも正直、少し不安がある」
「ごみ出しや騒音で近所から苦情が来たら、自分が対応することになるのだろうか」
「急に帰国されて、部屋がそのままになったらどうするのか」
岡山の大家さんとお話ししていると、こうした声をよくうかがいます。口に出しにくい話題なので、黙ったまま「外国籍の方は不可」にしている方も少なくありません。
この記事では、その不安を否定せずに扱います。ただし、「外国籍だから何かが起きる」という前提では書きません。実際に起きているのは、ほとんどの場合、ルールを知る機会がなかったこと、確認の段取りが決まっていなかったこと、この2つです。そして、この2つには対処の方法があります。
外国籍の方に貸すときの不安は、家賃・生活ルール・退去の3つに分けられます。家賃は外国籍の方の引き受けに対応した保証会社で、生活ルールは入居前に渡す多言語の資料で、退去は入居時の写真と確認リストで、それぞれ備えられます。国土交通省が14言語の資料を無料で公開しているので、大家さんの持ち出しはほとんどありません。
不安を持っているのは、あなただけではありません
令和3年度に国土交通省が行った調査(日本賃貸住宅管理協会の会員を対象としたもの)では、外国人の入居に対して拒否感があるという回答がおおむね6割でした。同じ調査で、高齢者と障害のある方に対しては約7割、子育て世帯に対しては約2割という結果が出ています。
つまり、不安を感じること自体は特別なことではありません。むしろ、高齢者に対する拒否感の方が高いという数字です。
ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。これは「貸す側がどう感じているか」の数字であって、入居者が実際にどう暮らしているかの数字ではありません。家賃を滞納するかどうかも、近所と揉めるかどうかも、国籍で決まることではありません。当社がこの仕事をしてきた実感としても、トラブルの有無を分けているのは属性ではなく、入居前にどれだけ丁寧に条件とルールをすり合わせたかです。
だからこの記事では、感情の話ではなく、段取りの話をします。
不安①家賃はきちんと入るのか
保証会社が間に入ります
いまの賃貸では、日本の方でも家賃債務保証会社を利用するのが一般的です。外国籍の方の場合も同じで、外国籍の方の引き受けに対応している保証会社を選べば、滞納が起きたときの立て替えと督促は保証会社が行います。大家さんが直接督促する場面は、基本的にありません。
ここで大家さんに確認していただきたいのは、次の3点です。
- その保証会社が外国籍の方の申し込みを受け付けているか
- 緊急連絡先について、日本国内の連絡先を求めるか、勤務先や学校で代替できるか
- 在留期間が契約期間より短い場合の扱い
いずれも当社が物件ごとに確認してご報告します。保証会社の選び方そのものについては、別の記事にまとめています。
勤務先が分かっていることが、いちばんの安心材料
技能実習や特定技能の方であれば受入れ企業が、留学生であれば学校が、就労ビザの方であれば勤務先が、それぞれ背景にあります。申し込みの段階で在留カード、雇用契約書や在学証明、勤務先の連絡先が確認できていれば、日本の方と同じ判断ができます。
なお、会社が契約者になる法人契約という形もあります。この場合は入居者ではなく企業が家賃を支払うので、安定性はさらに高くなります。法人寮として貸す場合の確認点は、別の記事で詳しく書く予定です。
万一滞納が起きたら
保証会社が立て替え、督促を行います。大家さんには保証会社から連絡が入ります。当社が管理している物件であれば、入居者本人への連絡と、必要に応じて勤務先への相談も当社が間に入ります。言葉の問題で連絡が取れない、ということが起きないように、入居時に連絡手段をLINEなどで確保しておくのが実務のこつです。
不安②生活ルールは守ってもらえるのか
原因は「知る機会がなかった」ことです
ごみの分別、ごみを出す曜日と時間、夜の生活音、共用部分の使い方、においの強い料理。実際に苦情になるのはこのあたりですが、多くは悪意ではなく、そもそも日本のやり方を知らないまま入居してしまったことが原因です。
母国では分別がない地域も、ごみを24時間いつでも出せる地域も、夜遅くに集まって食事をするのが普通の地域もあります。知っていれば守れることを、知らないまま入居させてしまっているのが実情です。
国が14言語の資料を無料で公開しています
ここで使えるのが公的な資料です。国土交通省と公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会は、外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居のための資料を、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、タイ語、インドネシア語、ミャンマー語、カンボジア語、タガログ語、モンゴル語の14言語で公開しています。
| 資料 | 内容 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン | 貸主・仲介・管理会社向けの実務マニュアル。入居申込書、重要事項説明書、賃貸住宅標準契約書などの見本をPDFとWordで提供 | 契約まわりの様式をそろえる |
| 大家さん、不動産事業者のための外国人の受入れガイド | 受け入れの要点をまとめたもの(日本語・英語) | 最初に読む |
| 部屋探しのガイドブック | 部屋の探し方、契約の流れ、入居後の注意点(入居者向け) | 申し込みのときに渡す |
| 外国人住まい方ガイド(動画) | 賃貸住宅のルールとマナーを説明する動画 | 入居前に一緒に見る |
| 原状回復のポイント/入退去時物件状況確認リスト | 退去時の考え方と、入居・退去時に状態を記録する様式 | 入居日と退去時に使う |
大家さんの持ち出しはありません。当社では、これらのうち入居者に渡すものを物件ごとにまとめ、ごみの収集日と分別ルールをやさしい日本語で1枚にしたものを添えてお渡ししています。
入居初日に、現地で一緒に確認する
紙を渡すだけでは足りません。入居の日に、ごみステーションの場所まで一緒に歩いて、どの曜日に何を出すかをその場で確認します。これだけで苦情はかなり減ります。ごみをめぐるトラブルへの対応そのものについては、別の記事にまとめています。
苦情の窓口を一本にしておく
近隣から苦情が来たとき、大家さんが直接入居者に伝えるのは、お互いに負担が大きいものです。不動産会社を窓口に決めておき、近隣の方にもその連絡先を伝えておくと、大家さんが矢面に立たずに済みます。当社が管理させていただく場合は、入居後の連絡はすべて当社で受けています。
不安③退去のときはどうなるのか
原状回復の考え方は、日本の方と同じです
国籍によって基準が変わることはありません。通常の使用による損耗は貸主の負担、故意や過失による損傷は借主の負担という考え方も同じです。
問題になりやすいのは、その考え方が入居者に伝わっていないことです。「掃除をしないまま出ても大丈夫だと思っていた」「壁の穴は自分で直さなくていいと思っていた」といった行き違いが、退去時の精算でもめる原因になります。
ここでも国土交通省の資料が使えます。「原状回復のポイント」と「入退去時物件状況確認リスト」が14言語で用意されているので、入居のときに渡して説明しておけば、退去時の話がはるかに楽になります。
入居時の写真が、いちばん強い材料になります
入居の日に、室内の各所を写真に撮っておきます。キッチン、浴室、壁、床、建具、網戸。この記録があれば、退去時に「入居前からあった傷かどうか」で議論になりません。当社では、入居時の写真を大家さんと共有しています。日本の方の場合も同じですが、言葉の説明が難しい分、外国籍の方の場合はより効きます。
急な帰国に備えておく
急に帰国されて連絡が取れなくなる、という心配については、次の3つで備えます。
1つめ、勤務先や学校を把握しておく本人と連絡が取れなくても、所属先を通じて状況を確認できます。
2つめ、緊急連絡先を確保しておく日本国内に頼れる人がいない場合でも、保証会社が緊急連絡先の役割を担う商品や、勤務先が連絡先になる形があります。
3つめ、残された荷物の扱いを契約時に決めておく残された私物の所有権は本人にあるため、勝手に処分することはできません。退去後一定期間を過ぎた私物の取り扱いについて、契約や覚書で先に取り決めておきます。この点は、入居者が入れ替わる寮の運用についてまとめた別の記事でも詳しく書いています。
契約書と重要事項説明をどうするか
契約書と重要事項説明書は日本語が正式なものですが、内容を理解しないまま署名してもらうのは、後のトラブルのもとです。前述の国土交通省のガイドラインには、入居申込書、重要事項説明書、賃貸住宅標準契約書、定期賃貸住宅標準契約書の見本がPDFとWordで収められています。これを補助資料として使い、「日本語が正となる」ことを明記したうえで説明すると、双方が安心できます。
当社では、重要な条項(禁止事項、更新、解約予告、原状回復、又貸しの禁止)を抜き出して、やさしい日本語で読み合わせる時間を別に取っています。
岡山の状況を数字で見る
岡山県の在留外国人は2025年12月末で41,840人となり、前年より2,954人増えて過去最多になりました。在留資格でみると技能実習が約1万人、特定技能が約6,200人で、この2つだけで県内の外国籍の方のおおむね4割を占めます。市町村別では岡山市が18,049人、倉敷市が9,274人、総社市が2,266人です(いずれも岡山県の公表値)。
一方で、受け入れる物件はまだ足りていません。空室が続いている物件をお持ちの大家さんにとって、ここは現実的な選択肢です。高齢の方や生活保護を受けている方の受け入れとあわせて考えると、空室期間を短くできる余地はさらに広がります。2025年10月に施行された改正住宅セーフティネット法によって、大家さんが貸しやすくするための仕組みも整ってきました。こちらは別の記事で詳しく書いています。
募集条件は「属性」ではなく「条件」で書く
最後に、募集のときの書き方について一つ提案です。
「外国人可」「外国人不可」という書き方は、大家さんにとっても入居者にとっても、実はあまり役に立ちません。本当に確認したいのは国籍ではなく、家賃が確実に入るか、連絡が取れるか、ルールを理解してもらえるか、だからです。
そこで、次のように条件で書くことをおすすめしています。
- 保証会社の審査を通ること
- 日本語または指定の言語で緊急時の連絡が取れること
- 勤務先または学校が確認できること
- 入居前に生活ルールの説明を受けること
こう書けば、大家さんが本当に知りたいことが伝わり、入居希望者も何を用意すればいいかが分かります。当社はこの形でご提案しています。
まず1室から試してみる
すべての部屋を一度に切り替える必要はありません。空室が長い1室だけ、条件を整えて募集してみる。それで1年間問題がなければ、次の部屋も検討する。この進め方でご相談いただくことが多く、実際に無理がありません。
当社にできること・できないこと
当社ができるのは、外国籍の方の引き受けに対応した保証会社の確認、入居前の書類と多言語資料の準備、入居初日の生活ルールの説明、入居時の写真記録、入居後の苦情窓口の一本化、そして退去時の立会いと精算のお手伝いです。一方、在留資格の手続き、残置物の処分の可否に関する法的判断、入居者の行動についての保証は当社では行えません。必要に応じて行政書士や弁護士をご紹介します。
不安は、なくそうとすると難しいものですが、小さくすることはできます。段取りを一つずつ決めていけば、外国籍の方への賃貸は、特別なことではなくなります。まずは1室、ご相談ください。
よくある質問
外国籍の方は家賃を滞納しやすいのでしょうか?
国籍によって決まることではありません。大切なのは、保証会社を利用すること、勤務先や学校が確認できていること、連絡手段が確保されていることの3つです。これらが整っていれば、日本の方と同じ判断ができます。滞納が起きた場合は保証会社が立て替えと督促を行います。
ごみ出しや騒音で近所から苦情が来たら、私が対応するのですか?
不動産会社を窓口に決めておけば、大家さんが直接対応する必要はありません。近隣の方にも連絡先を伝えておくと、苦情が大家さんに直接届くことも減ります。当社が管理させていただく場合は、入居後の連絡はすべて当社でお受けしています。
入居者に渡す多言語の資料は、自分で用意しないといけませんか?
国土交通省と日本賃貸住宅管理協会が、部屋探しのガイドブック、住まい方ガイドの動画、原状回復のポイントなどを14言語で無料公開しています。当社では、これらに物件ごとのごみの収集日と分別ルールをやさしい日本語でまとめたものを添えてお渡ししています。
退去時の原状回復の基準は変わりますか?
変わりません。通常の使用による損耗は貸主の負担、故意や過失による損傷は借主の負担という考え方は同じです。行き違いを防ぐために、入居時に14言語の「原状回復のポイント」を渡し、室内の写真を撮っておくことをおすすめしています。
急に帰国されて、荷物が残ったらどうなりますか?
残された私物の所有権は本人にあるため、勝手に処分することはできません。契約や覚書で、退去後一定期間を過ぎた私物の取り扱いについて先に取り決めておくのが現実的な備えです。あわせて、勤務先や学校を把握しておくと、連絡が取れなくなった場合でも状況を確認できます。
まずは1室だけ試すことはできますか?
できます。空室が長い1室だけ条件を整えて募集し、1年様子を見てから次を検討する、という進め方でご相談いただくことが多いです。無理のない始め方だと思います。
空室が長い1室から、条件を整えて募集してみませんか
保証会社の確認、多言語資料の準備、入居初日の説明、入居時の写真記録、入居後の苦情窓口まで当社がお引き受けします。いまの募集条件を見直すところからで構いません。
電話で相談する 086-239-329610:00〜18:00・水曜定休
メールで相談するminikuru@bc.wakwak.com
※在留資格の手続き、残置物の処分の可否に関する法的判断、入居者の行動についての保証は当社では行えません。必要に応じて行政書士・弁護士をご紹介します。
確認先:国土交通省(外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居に関する各種資料)、公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会(外国人入居円滑化支援)、岡山県国際課(在留外国人の統計)。制度・数値・資料の提供状況は変わることがあります。最新はそれぞれの公式ページでご確認ください。
この記事は大家さん・賃貸オーナーの方向けの一般的な実務の整理です。個別の契約の解釈や残置物の処分の可否は個別の判断になります。当社は法的判断や交渉の代理は行えません。
株式会社ミニクルホーム
- 所在地
- 〒700-0026 岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号(JR岡山駅西口 徒歩7分)
- 電話/FAX
- 086-239-3296/086-239-3323
- メール
- minikuru@bc.wakwak.com
- LINE
- 友だち追加はこちら
- 営業時間
- 10:00〜18:00(定休日:水曜日・不定休・GW・年末年始)
- 免許
- 宅地建物取引業免許 岡山県知事(3)第5473号
- 業務内容
- 賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理・空室対策相談・空き家管理および対策相談・内外装リフォーム・保険代理店
- 対応エリア
- 岡山市北区・中区・南区・東区、玉野市、瀬戸内市、備前市、総社市(倉敷市は法人・売買のご相談を中心に個別対応)
- 代表
- 城井 仁(宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士、不動産実務経験25年以上)
CUSTOMER VOICE
お客様の声
Googleマップへ寄せられたミニクルホームのお客様の声を、 プライバシーに配慮して一部抜粋・匿名化してご紹介します。
※Googleマップに投稿された口コミの一部を、 意味を変えない範囲で抜粋・匿名化して掲載しています。 口コミは個人の感想です。
LINEで事前相談
電話で相談する
tel:0862393296
株式会社ミニクルホーム
住所:岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号
電話番号:
tel:0862393296
不動産探し・お部屋探しでのご相談はこちらからどうぞ
岡山県知事(3)第5473号
会社概要
株式会社ミニクルホーム
業務内容:
売買仲介・賃貸仲介・管理・賃貸空室対策コンサルタント・内装リフォーム保険代理店
住所:岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号
JR岡山駅西口徒歩7分
FAX :086-239-3323
メールアドレス:minikuru@bc.wakwak.com
しかける賃貸満室マン 城井 仁 (しろい ひとし)
LINEで事前診断







