「相続した実家、売った方がいいのか、貸した方がいいのか……」——相続をきっかけに空き家を持つことになった方から、こうしたご相談をよくいただきます。
売却と賃貸、それぞれにメリットがありますが、相続した不動産ならではの確認事項があることは、意外と知られていません。特に「税制上の優遇が使えるかどうか」は、売るか貸すかで結果が大きく変わる可能性がある重要なポイントです。
この記事では、一般的な判断材料に軽く触れたうえで、相続した家だからこそ確認しておきたい「売却vs賃貸」特有のチェックポイントを中心に、岡山市の不動産会社が整理してご紹介します。
「管理を続ける」という選択肢も含めて検討したい方は、岡山市の空き家は「貸す・売る・管理する」どれが良い?判断の順番もあわせてご覧ください。また、相続文脈での「管理か売却か」という判断基準は、相続した岡山市の家、空き家管理と売却どっちがいい?プロが教える判断基準で詳しく解説しています。この記事では、それらとは別の軸として「売却か賃貸か」に絞り、相続特有の確認項目を中心にまとめます。
まず押さえておきたい、一般的な確認項目
売却・賃貸のどちらが向いているかは、次のような一般的な条件によっても左右されます。詳しくはこちらで解説していますが、簡単に振り返っておきましょう。
- 建物の状態(築年数、旧耐震基準か新耐震基準か、修繕の必要性)
- 立地条件(賃貸需要が見込めるエリアかどうか)
- 将来、自分や家族がその家に住む可能性があるか
- リフォーム費用をかけられるか、家賃で回収できる見込みがあるか
- 遠方在住などで、賃貸の管理に手間をかけられるか
相続した家だからこそ確認したいポイント
ここからが、相続した不動産ならではの重要な確認事項です。売却と賃貸のどちらを選ぶかによって、使える制度や今後の手続きの流れが変わってくる可能性があります。
①相続空き家の3,000万円特別控除は「売却」のみが対象
相続した家を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」が使える可能性があります。主な要件は次の通りです。
| 要件 | 内容の目安 |
|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物登記のないもの) |
| 居住状況 | 相続開始の直前まで、被相続人以外に住んでいた人がいないこと |
| 譲渡期限 | 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 耐震・取り壊し | 譲渡時に耐震基準を満たすようにするか、家屋を取り壊して土地のみ譲渡すること |
| 譲渡対価 | 売却代金が1億円以下であること |
| 控除額 | 相続人が1〜2人の場合は最大3,000万円、2024年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は最大2,000万円 |
この特例は、あくまで「売却」した場合の制度です。賃貸に出す場合は、原則としてこの特別控除の対象にはなりません。「まず貸してみて、後で売ればいい」と考えている場合、賃貸に出している間に譲渡期限(相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日)を過ぎてしまうと、この特例が使えなくなる可能性がある点には注意が必要です。適用期限は2027年12月31日までの譲渡とされていますが、要件の詳細は税制改正により変わることがあるため、実際に売却を検討する際は税理士や国税庁の案内で最新の要件をご確認ください。
②相続人が複数いる場合の合意形成のしやすさ
相続人が複数いる場合、売却であれば現金化して分割しやすいというメリットがあります。一方、賃貸を選んで共有名義のまま貸し出す場合、家賃収入の分配方法、管理の窓口を誰にするか、将来売却したいときに全員の合意が必要になる点など、継続的な調整が必要になります。共有者の一部が売却を希望し、別の共有者が反対すると、いわゆる「塩漬け」状態になってしまうケースもあるとされています。相続人間で将来的な方針の違いが予想される場合は、早い段階で話し合っておくことをおすすめします。
③賃貸を選ぶ場合の相続税評価額への影響
相続税の申告がまだ済んでいない、または申告後まもない場合、賃貸に出すことで「貸家建付地」としての評価となり、更地や自用の家屋とは異なる評価額になる場合があります。相続税申告のタイミングと、売却・賃貸の判断のタイミングが近い場合は、税理士に相談しながら進めることをおすすめします。
④賃貸を選ぶ場合の税務上の基本
賃貸に出した場合、家賃収入は「不動産所得」として、原則毎年の確定申告が必要になります。管理費・修繕費・固定資産税・減価償却費などを経費として差し引いて所得を計算しますが、相続した物件の減価償却は、亡くなった方の取得価額・取得時期を引き継いで計算するなど、独自の考え方がある点にも注意が必要です。青色申告を選択すれば、一定の要件のもとで青色申告特別控除が使える可能性もあります。詳細は税理士にご確認ください。
確認項目チェックリスト
- 3,000万円特別控除の要件(建築時期・譲渡期限・耐震等)を満たせそうか
- 譲渡期限(相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日)まで、まだ余裕があるか
- 相続人が複数いる場合、将来の方針について意見が一致しているか
- 賃貸に出した場合の確定申告・経費計算について、対応できる見込みがあるか
- 相続税の申告・納税の状況(申告済みか、これから行うか)
- 建物の状態・立地から見て、そもそも賃貸需要が見込めそうか
ワンポイント:「とりあえず貸してみて、様子を見てから売却する」という進め方は一見柔軟に思えますが、相続空き家の特例には譲渡期限があるため、結果として税制優遇を受けられなくなる可能性があります。売却の可能性が少しでもある場合は、早めに税理士や不動産会社に相談し、期限を意識しながら進めることをおすすめします。
よくあるご質問
賃貸に出したあとに、やっぱり売却することはできますか?
相続人が3人以上いる場合、控除額はどうなりますか?
共有名義のまま賃貸に出しても大丈夫ですか?
賃貸に出す場合、確定申告は自分でできますか?
売却と賃貸、どちらにするか迷っています。相談だけでもできますか?
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※本記事の内容は、複数の公開情報をもとにした一般的な目安であり、実際に適用できる制度・控除額は個々の状況によって異なります。税制・法令に関する内容は記事作成時点の情報であり、将来変更される可能性があります。正確な内容は税理士・国税庁・法務局など専門家・関係機関へ直接ご確認ください。本記事は法的・税務的な助言を目的としたものではありません。
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