「最近、親の物忘れが増えてきた」 「認知症と診断されて、これからのことが不安」 「介護のことで頭がいっぱいで、実家のことまで考えられていない」
岡山市で不動産のご相談をお受けするなかでも、親御さんの認知症をきっかけに、ご実家の今後を心配される方が増えています。介護やお金のことだけでも大変ななか、「家のこと」まで考えるのは負担に感じられるかもしれません。
ただ、知っておいていただきたいことがあります。認知症が進むと、ご家族であっても、親名義の実家を売ったり貸したりできなくなることがあるのです。これは脅すためのお話ではありません。早めに知っておけば、落ち着いて備えられます。
この記事では、「成年後見制度」を中心に、実家が空き家になる前に知っておきたいことを、岡山市の相談窓口や2026年の制度改正も交えて、できるだけやさしくお伝えします。
⚠️ はじめに(大切なお願い) この記事は制度の全体像をわかりやすくお伝えするものです。成年後見の申立てや契約などの法的手続きは、司法書士・弁護士・公証役場・後述の成年後見センターなど専門の窓口でご相談ください。私たちミニクルホームは、ご実家(不動産)の活用・売却・管理のご相談と、適切な窓口へのご案内でお手伝いします。
なぜ、認知症が進むと「実家」が動かせなくなるのか
不動産の売買契約や賃貸借契約、預貯金の引き出しなどは、「ご本人にものごとを判断する力(判断能力)がある」ことが前提になっています。
認知症などで判断能力が十分でなくなると、ご本人名義の不動産の売却・賃貸や、預貯金の引き出しが原則としてできなくなります。これがよく「資産凍結」と呼ばれる状態です。
💡 「資産凍結」とは? 親が認知症になったあと、「施設の入居費用のために実家を売りたい」「空き家になるから貸したい」と思っても、ご家族が代わりに勝手に契約することはできません。たとえ実の子であっても、本人の代わりにサインをして家を売ることは認められないのが原則です。 こうした「動かせない」状態を解決するための仕組みが、次にご説明する成年後見制度です。
ここで知っておきたい「成年後見制度」
成年後見制度は、認知症・知的障害・精神障害などで判断能力が十分でない方の財産や権利を守るための制度です(2000年スタート)。家庭裁判所が関わるかたちで「後見人」などを選び、ご本人に代わって財産管理や契約のサポートを行います。
大きく分けて、法定後見と任意後見の2種類があります。
📊 法定後見と任意後見のちがい(早わかり)
法定後見 任意後見 使うタイミング 判断能力が低下したあと 判断能力がある元気なうち 誰が後見人になる 家庭裁判所が選任(家族または専門職) あらかじめ自分で選んで契約 自分の希望の反映 反映しにくい 反映しやすい 開始のしかた 家裁へ申立て 元気なうちに公正証書で契約しておく
① 法定後見(すでに判断能力が低下している場合)
すでに認知症が進んでいる場合に使うのが法定後見です。家庭裁判所に申立てを行い、後見人を選んでもらいます。判断能力の程度に応じて「後見・保佐・補助」の3つの段階があり、ご家族が後見人になることもあれば、司法書士や弁護士などの専門職が選ばれることもあります。
申立てから後見人が決まるまでには、一般的に数か月程度かかるとされています。「すぐに実家を売りたい」と思っても、その日のうちにどうにかなるものではない、という点は知っておきましょう。
⚠️ 後見人は「家族の都合」では動けません 後見人は、あくまでご本人の利益のために行動する立場です。「家族が現金を用意したいから」という理由だけで、自由に実家を売れるわけではありません。この点は誤解されやすいので注意が必要です。
② 任意後見(まだ元気なうちに備える場合)
親御さんがまだお元気で、判断能力があるうちに準備できるのが任意後見です。「将来、判断能力が低下したらこの人に任せたい」という方を自分で選び、公証役場で公正証書を作成して契約しておきます。実際に効力が生じるのは判断能力が低下したあと、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選んだ時点からです。
元気なうちにご本人の意思で備えられるため、「自分の希望を反映できる」のが大きな特徴です。
実家を売る・貸すときの大事な注意点(居住用不動産の許可)
ここは不動産に直接関わる、とても重要なポイントです。
後見人が選ばれても、ご本人の**居住用不動産(今住んでいる家のほか、過去に住んでいた家を含む)**を売却・賃貸したり、賃貸借契約を解除したり、抵当権を設定したりする場合には、家庭裁判所の許可が必要とされています(民法859条の3)。そして、この許可を得ずに行った処分は無効になります。
⚠️ なぜ居住用だと許可が必要なの? 住まいはご本人の生活の基盤であり、急に住環境が変わることは認知症の進行などにもつながりかねません。だからこそ、ご本人を守るために家庭裁判所のチェックが入る仕組みになっています。許可は「必ず下りる」ものではなく、ご本人の生活状況・将来の住環境・財産状況・売却金額の妥当性などを総合的に見て判断されるとされています。
居住用不動産を売る場合の流れは、おおまかに次のようになります。
- 不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を始める
- 買主が決まったら、家裁の許可が下りなかったときに無効となる「停止条件付き」で売買契約を結ぶ
- 家庭裁判所へ「居住用不動産の処分許可」を申立てる(許可まで一般的に3〜4週間程度)
- 許可が下りたら、決済・引き渡し
このように通常の売却より手順が増えるため、早めに段取りを知っておくことが、慌てないコツになります。
「空き家になる前」のもう一つの選択肢:家族信託
近年、認知症対策として注目されているのが「家族信託(民事信託)」です。これも判断能力があるうち(元気なうち)に契約しておく財産管理の方法です。
信頼できるご家族などを「受託者」とし、契約で決めた範囲で財産の管理や処分を任せられます。契約内容しだいでは、不動産の売却や賃貸にも柔軟に対応しやすいのが特徴です。一方で、介護や生活上の手続き(身上監護)は家族信託ではカバーされないため、成年後見と併用するケースもあります。
📊 3つの方法のまとめ
タイミング 主な特徴 法定後見 判断能力の低下後 「困ってから」の最終手段になりがち。財産管理+身上監護 任意後見 元気なうち 後見人を自分で選べる。家裁の監督あり 家族信託 元気なうち 財産管理・処分の自由度が高い。身上監護は対象外 ※どれが合うかはご家庭ごとに異なります。司法書士・弁護士など専門家へのご相談をおすすめします。
【2026年の最新動向】成年後見制度は大きく変わります
成年後見制度は、いままさに大きく見直されようとしています。
2026年4月3日、政府は成年後見制度を利用しやすくする民法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。2000年の制度開始以来、約25年ぶりの大きな改正です。
💡 改正の最大のポイント:「終われる後見」へ これまでの制度は、一度利用を始めると、本人の判断能力が回復しない限り、原則として亡くなるまでやめられない(終身制)という点が「使いにくい」と言われてきました。改正案では、必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば終了できる方向性が示されています。これにより、「実家の売却手続きの間だけ」「遺産分割が終わるまで」といった、期間や目的を限定した利用がしやすくなる見込みです。
ただし注意したいのは、この改正案の施行は2028年度中の見込みとされている点です。つまり、今この時点では従来のルールが適用されます。すでに親御さんの判断能力が心配な方は現行制度での対応を、まだ時間に余裕がある方は今後の改正も見据えて、早めに専門家へ相談しておくと安心です。
まず何から始めればいい?(行動のステップ)
✅ 今からできることチェックリスト
- [ ] 親が元気なうちに、家族で「実家をこの先どうするか」を話しておく
- [ ] 任意後見・家族信託などの「備え」の選択肢を、専門家に相談してみる
- [ ] すでに判断能力が心配なら、早めに成年後見の相談窓口に連絡する
- [ ] 実家の現状(築年数・名義・活用方法)を把握し、将来の選択肢を整理しておく
大切なのは、「まだ大丈夫」と先延ばしにしないことです。元気なうちにしか選べない方法(任意後見・家族信託)もあるため、早めの一歩が、将来の選択肢を広げます。
岡山市で相談できる窓口
岡山市には、成年後見制度について相談できる公的な窓口があります。
- 岡山市成年後見センター(運営:岡山市社会福祉協議会) 制度に関する一般相談のほか、弁護士・司法書士・社会福祉士による無料の専門相談を月2回実施しています(専門相談は要予約)。受付時間は平日(土日祝・年末年始を除く)の午前8時30分〜午後5時15分です。
- 成年後見センター・リーガルサポート 岡山県支部(岡山県司法書士会) 成年後見制度の相談や、後見人を依頼できる司法書士の紹介を受けられます。
- 公証役場(岡山公証センターなど) 任意後見契約などの公正証書を作成する窓口です。
制度の手続きや法的な判断については、こうした専門の窓口・家庭裁判所をご利用ください。最新の相談日時や助成制度の内容は変わることがあるため、各窓口で直接ご確認いただくことをおすすめします。
お問い合わせ|岡山市の「実家・空き家」のご相談はミニクルホームへ
法的な手続きは専門家へ。「実家(不動産)」のことは、私たちにご相談ください
「成年後見や家族信託はどこに相談すればいいの?」というご質問から、「いずれ空き家になる実家を、売る・貸す・管理する、どれがいいのか」といった不動産のご相談まで、まずは現状をお聞かせください。岡山市周辺で、ご実家の活用・売却・賃貸・空き家管理のご相談を承り、必要に応じて適切な専門窓口へのご案内もいたします。
「親の介護が始まったばかりで、まだ何も決まっていない」——そんな段階でのご相談も大歓迎です。
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