【岡山市】空き家の台風前点検10項目|遠方所有者向けチェックリスト
台風の接近が報じられるたび、空き家をお持ちの方は気がかりになると思います。とくに県外にお住まいで、すぐに現地へ行けない方は、天気予報を見ながら何もできないもどかしさを感じられるのではないでしょうか。
空き家の台風対策は、ふだん人が住んでいる家の対策とは少し違います。当日に雨戸を閉めることではなく、台風が来る前の「ふだんの状態」で勝負が決まるからです。
この記事では、台風前に確認したい10項目を整理しました。印刷して持っていける形にしてあります。
空き家の台風対策は、「飛ぶものをなくす」「水の通り道をつくる」「記録を残す」の3つに集約されます。
もっとも危険なのは飛散と倒壊で他人に損害を与えることです。民法717条では、工作物の設置・保存に瑕疵があって他人に損害を生じたとき、所有者が賠償責任を負う場合があると定められています。「遠方に住んでいた」では免れにくい構造です。
そして被害に遭う前に写真を撮っておいてください。岡山市も「片付けや修理の前に、家の被害状況を写真に撮って保存しておいてください」と案内しています。被害前の写真があれば、保険請求のときに「もとはこうだった」を示せます。
台風が近づいてからできることは、ほとんどありません。岡山県の台風シーズンは主に8月から9月。7月中に一度見ておくのが現実的なスケジュールです。
県外にお住まいで現地に行けない場合は、親族、地元の業者、不動産会社のいずれかに頼むことになります。台風が来てから探すのでは間に合いません。
なぜ空き家の台風対策が難しいのか
| 人が住んでいる家 | 空き家 | |
|---|---|---|
| 当日の対応 | 雨戸を閉める、物をしまう | 誰もいないのでできません |
| 異変への気づき | 音や雨漏りですぐ分かる | 次に行くまで分かりません |
| 被害の発見 | 当日 | 数週間後、近隣からの連絡で知ることも |
| 被害の拡大 | すぐ応急処置できる | 雨が入り続け、建物全体が傷みます |
| 公的な支援 | 被災者生活再建支援金などの対象 | 対象外(後述) |
被災者生活再建支援法にもとづく支援金の制度では、対象となる「住宅」は現実に居住のために使用している建物とされており、空き家、別荘、他人に貸している物件、建設中の住宅は含まれません。
つまり、台風で空き家が全壊しても、再建のための支援金は受け取れません。頼れるのは火災保険だけということになります。
だからこそ、壊れないように備えることと、保険の内容を確認しておくことの両方が必要になります。
台風前点検10項目
屋根|瓦のずれ、浮き、トタンの浮き上がり
台風被害のうち、もっとも多いのが屋根です。
- 瓦のずれ・ひび——1枚ずれているだけで、そこから風が入って一気にめくれます
- 棟瓦(屋根の頂上部分)——漆喰が剥がれていないか。古い家で崩れやすい箇所です
- トタン・波板の浮き——釘が浮いていたら必ず留め直してください。飛ぶと凶器になります
- 雪止めや役物の緩み
屋根に登らないでください。地上から、できれば双眼鏡やスマートフォンのズームで確認してください。空き家の屋根は想像以上に傷んでいることがあり、踏み抜く危険があります。
雨どい・排水|詰まっていないか
見落とされがちですが、被害の拡大に直結します。
雨どいが落ち葉や泥で詰まっていると、雨水があふれて外壁を伝います。これが長年続くと外壁の内側が腐り、やがて雨漏りになります。
- 雨どいに落ち葉・土が溜まっていないか
- 雨どいの金具が外れていないか
- 縦どいの出口(排水口)が塞がれていないか
- 敷地内の側溝・排水路に草や土が溜まっていないか
「水の通り道をつくる」——これが台風対策の基本です。
窓・雨戸・ガラス
- 割れているガラスはないか(割れていると風が吹き込んで内部から屋根を押し上げます)
- 雨戸・シャッターが閉まるか。レールが錆びて動かないことがあります
- 雨戸がない窓はどこか。飛来物に備えるなら養生が必要です
- サッシの鍵がかかるか
空き家では、雨戸を閉めたままにしておくのが基本です。防犯にもなります。ただし完全に閉め切ると湿気がこもるため、換気のバランスは別の問題として考えてください。
敷地内の飛びやすいもの
ここがいちばん「やればすぐ効く」項目です。
| 飛びやすいもの | 対処 |
|---|---|
| 物干し竿・物干し台 | 倒して固定、または屋内へ |
| プランター・植木鉢 | まとめて屋内か風の当たらない場所へ |
| 波板・トタンの切れ端 | 処分してください。残しておく理由がありません |
| 自転車・一輪車 | 倒して固定、または屋内へ |
| 簡易物置・ゴミ箱 | 中に重いものを入れる、固定する |
| すだれ・よしず・日よけ | 外して屋内へ |
| 看板・表札・郵便受け | 固定を確認 |
| 農具・資材 | 屋内か物置へ |
空き家の庭には、思っていたより物が残っているものです。「次に来たときに片付けよう」と置いてあるものが、台風では飛びます。
ブロック塀・門柱
次のような状態が見られたら、台風を待たずに専門業者に相談してください。
- ひび割れがある
- 傾いている
- 目地のモルタルが崩れている
- 鉄筋が見えている、錆が浮いている
- 控え壁(補強のための壁)がない、または間隔が広い
- 高さが基準を超えていそう(組積造は1.2m、補強コンクリートブロック造は2.2mが建築基準法上の上限)
庭木・枯れ枝
- 枯れ枝——折れて飛びます。台風前に落としておくのが確実です
- 隣地や道路への越境枝——折れた先が他人の物を傷つけます
- 幹が傾いている木・根が浮いている木——倒木のおそれ。専門業者へ
- 電線に触れそうな枝——電力会社へ相談を。自分で切らないでください
越境した枝については、民法233条により一定の条件下で自ら切り取れる場合がありますが、順序と要件があります。台風前に慌てて対応するのではなく、ふだんから手入れしておくことが最善です。
電気・ガス・水道の状態
| 確認すること | |
|---|---|
| 電気 | 使っていないなら、ブレーカーを落としておく。通電火災や漏電のリスクを下げられます |
| ガス | 閉栓済みか。開いているならメーターの元栓を閉めておく |
| 水道 | 使っていないなら元栓を閉める。詳しくは冬支度の記事で解説しています |
ただし、巡回のために通水や換気を続けている場合は、管理方針と合わせて判断してください。一律に止めればよいという話ではありません。
外壁・基礎・下屋
- 外壁材の浮き、剥がれ、めくれ(サイディングやモルタルが剥落すると飛散します)
- 下屋(玄関やベランダの小さな屋根)の傷み
- カーポート・テラスの屋根の固定とポリカーボネート板の浮き
- 基礎の大きなひび割れ
- 床下の通気口が塞がれていないか(浸水時の排水に関わります)
保険の内容を確認しておく
台風が来てから確認しても遅いので、先に済ませておいてください。
- 契約が今も有効か(保険料の引き落としが続いているか)
- 風災が補償範囲に入っているか
- 免責金額(自己負担額)はいくらか
- 他人に損害を与えたときの賠償責任の備えがあるか
- 空き家であることを保険会社に伝えているか
- 保険会社の事故受付の連絡先をスマートフォンに登録しておく
空き家は火災保険上「一般物件」として扱われるのが一般的で、地震保険をセットできません。そして前述のとおり、公的な再建支援金の対象にもなりません。保険の確認は、空き家所有者にとって最優先事項のひとつです。
「無事なときの写真」を撮っておく
これが、この記事でもっとも強くお伝えしたいことです。
岡山市も、り災証明書の案内の中で「片付けや修理の前に、家の被害状況を写真に撮って保存しておいてください」と呼びかけています。被害後の写真が必要なのは言うまでもありません。
ですが、被害に遭う前の写真も同じくらい大切です。
築古の空き家では、保険金の請求をしたときに「それは台風の被害ではなく、もとからの経年劣化ではないか」という論点になりがちです。
このとき、台風前の写真があれば「この時点では割れていなかった」と示せます。逆に写真がないと、説明が難しくなります。
撮り方は簡単です。スマートフォンで、建物の四面、屋根、塀、庭、気になる箇所を撮って日付が残る形で保存するだけ。10分で終わります。巡回のたびに撮っておけば、記録が積み上がります。
印刷用|台風前チェックリスト
| □ | 項目 |
|---|---|
| □ | 屋根の瓦のずれ・トタンの浮きを地上から確認した |
| □ | 雨どいと敷地の排水の詰まりを取り除いた |
| □ | 割れたガラスがないか確認した |
| □ | 雨戸・シャッターを閉めた |
| □ | 庭の飛びやすいものを屋内に入れた、または固定した |
| □ | 波板・トタンの切れ端などの不要物を処分した |
| □ | ブロック塀のひび・傾きを確認した |
| □ | 枯れ枝・越境枝を落とした |
| □ | ブレーカー・ガスの元栓の状態を確認した |
| □ | 火災保険の契約内容と事故受付の連絡先を確認した |
| □ | 建物の四面・屋根・塀・庭の写真を撮った |
| □ | 近隣の方に連絡先を伝えてある |
近隣の方に「何かあったらここに連絡をください」と携帯番号を伝えておく。これだけで、被害の発見が数週間早まることがあります。
逆に連絡先が分からないと、近隣の方は困ったときに市役所へ相談するしかありません。そこから行政の指導通知につながることもあります。
帰省のついでに一声かけておくだけで、関係性が変わります。
県外にお住まいで、現地に行けない場合
「大事だと分かっていても、岡山まで行けない」——これが多くの方の現実だと思います。選択肢は3つです。
| 方法 | 向いている場合 | 注意点 |
|---|---|---|
| 近くの親族に頼む | 兄弟や親戚が岡山市内にいる | 屋根や塀の作業は頼まないでください。けがの危険があります |
| 地元の業者に単発で頼む | 庭木の剪定、塀の補修など特定の作業 | 台風直前は予約が取れません。早めに |
| 不動産会社・管理会社に委託する | 継続的に見ておいてほしい | 月額の費用がかかります。写真報告の有無を確認 |
進路が発表されてから業者に連絡しても、すでに対応で手一杯になっています。台風シーズンに入る前、できれば梅雨明けまでに体制を決めておいてください。
岡山県の台風の接近・上陸は主に8月から9月に集中します。7月中に一度見ておくのが現実的なスケジュールです。
相続の手続き、家財の片付け、固定資産税、仕事と自分の生活。やることが多すぎて、空き家のことは後回しになるのが自然です。
ただ、台風対策については「庭の物を片付ける」「排水の詰まりを取る」「写真を撮る」——この3つだけでも、被害はかなり減ります。
全部やろうとしなくて大丈夫です。できることから、ひとつずつで構いません。
よくある質問
- Q. 空き家の台風対策で、まず何をすればいいですか?
- A. 「飛ぶものをなくす」「水の通り道をつくる」「記録を残す」の3つです。具体的には、庭の物干し竿やプランター、波板の切れ端などを片付け、雨どいと敷地の排水の詰まりを取り除き、建物の四面・屋根・塀・庭の写真を撮っておくことです。
- Q. 台風で空き家が壊れたら公的な支援は受けられますか?
- A. 被災者生活再建支援法にもとづく支援金の対象にはなりません。制度上の「住宅」は現実に居住のために使用している建物とされており、空き家、別荘、他人に貸している物件、建設中の住宅は含まれないためです。頼れるのは火災保険になります。
- Q. 台風前に写真を撮っておく意味はありますか?
- A. あります。築古の空き家では、保険金請求のときに「台風の被害ではなく経年劣化ではないか」という論点になりがちです。台風前の写真があれば、その時点の状態を示せます。岡山市も、片付けや修理の前に被害状況を写真に撮って保存するよう案内しています。
- Q. 空き家のブロック塀が崩れて人がけがをしたら誰の責任ですか?
- A. 民法717条では、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があって他人に損害を生じたとき、占有者が必要な注意をしたときは所有者が賠償責任を負うと定めています。遠方に住んでいたことを理由に免れにくい構造です。ひびや傾きがあれば台風を待たずに専門業者へご相談ください。
- Q. 空き家の屋根は自分で登って確認してもいいですか?
- A. 登らないでください。空き家の屋根は想像以上に傷んでいることがあり、踏み抜く危険があります。地上から双眼鏡やスマートフォンのズームで確認し、必要があれば専門業者に依頼してください。
- Q. 岡山県の台風シーズンはいつですか?
- A. 台風の接近・上陸は主に8月から9月に集中します。対策は7月中に一度済ませておくのが現実的です。台風の進路が発表されてから業者に連絡しても、対応で手一杯になっていることが多く間に合いません。
- Q. 県外に住んでいて現地に行けない場合はどうすればいいですか?
- A. 近くの親族に頼む、地元の業者に単発で依頼する、不動産会社や管理会社に継続的に委託する、の3つが選択肢です。いずれも台風が近づいてからでは手配が難しいため、台風シーズンに入る前に体制を決めておいてください。
- Q. 岡山市外(倉敷市・玉野市・瀬戸内市・備前市など)でも相談できますか?
- A. はい。ミニクルホームでは岡山市周辺エリアについてもご相談を承っています。補助制度や窓口は市町村ごとに異なるため、所在地に応じてご案内します。
台風シーズンの前に、一度見ておきませんか
「行けないけれど、せめて今の状態を知っておきたい」——そうお考えでしたら、現地を確認して写真でご報告します。
ミニクルホームは、JR岡山駅西口から徒歩7分の奉還町にある不動産会社です。空き家の定期巡回・管理を承っており、県外にお住まいの所有者さまからのご依頼も多くいただいています。
巡回では、屋根や外壁の状態、塀の傾き、庭木の越境、郵便物、敷地内の飛びやすいものなどを確認し、写真を添えてご報告します。危険な箇所が見つかれば、対応の選択肢もお伝えします。
「いまの状態を知りたいだけ」「毎月でなくてもいい」——そうしたご相談でも構いません。無理におすすめすることはありません。
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株式会社ミニクルホーム
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※本記事は民法、建築基準法、被災者生活再建支援法および岡山市・内閣府等の公表情報、当社の実務経験にもとづき、一般的な考え方を整理したものです(2026年10月時点)。ブロック塀の高さの基準や補助制度の有無・内容、支援制度の要件は、構造・条件・年度により異なります。当社は設計事務所・法律事務所・保険代理店ではなく、個別の建築判断・法律判断・保険契約の判断を行う立場にはありません。危険な箇所の判定や補修の必要性については建築士や施工業者へ、ブロック塀の補助制度については岡山市 建築指導課 建築安全推進係(086-803-1445)へ、保険の補償内容についてはご契約の保険会社または代理店へ、賠償責任については弁護士へ必ずご確認ください。制度は改正される場合があります。
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