「アルコール依存症の入院治療が終わる。退院後に住む部屋を探さなければならない」
「回復施設での生活を終えて、地域で一人暮らしを始めたい」
「依存症のことを、不動産会社や大家さんに話さないといけないのだろうか」
依存症の治療を続けながらの住まい探しには、ほかの部屋探しとは少し違う不安があると思います。病気のことをどう伝えるか、審査に通るか、そして新しい場所で回復を続けていけるか。どれも、ひとりで考えるには重いテーマです。
先にお伝えします。依存症の治療中であっても、部屋を借りることはできます。そして、住まいを選ぶときにいちばん大切にしたいのは、通院や自助グループ、支援者とのつながりを、引っ越したあとも続けられるかどうかです。
この記事では、岡山で依存症の治療や相談ができる窓口、回復を続けやすい住まいの選び方、不動産会社への伝え方、お金の管理と家賃の支払いの工夫を整理します。ご本人だけでなく、ご家族や支援者の方にも読んでいただけるようにまとめました。
結論|住まい選びの軸は「回復を続けやすいこと」
- 部屋は借りられる:依存症の治療中であることだけで、部屋を借りられないわけではない
- 選び方の軸:通院先、自助グループや回復プログラム、支援者に通い続けられる場所を選ぶ
- 伝える義務はない:病名を不動産会社や大家さんに伝える決まりはない。何をどう伝えるかは支援者と相談する
- 大家さんの関心:病名よりも、家賃の支払いと、近隣とのトラブルがないかを気にすることが多い
- 家賃は確実に払える仕組みに:口座振替、代理納付、金銭管理の支援などを組み合わせる
- ひとりで抱えない:退院・退所の前から、医療機関の相談員や支援者と一緒に進める
岡山で依存症の治療・相談ができる窓口
住まいを考える前に、治療と相談の窓口を確認しておきましょう。住む場所を決めるうえでも、通い続ける先がどこかは大切な条件になります。
医療機関
岡山県精神科医療センター
岡山県が選定している依存症の治療拠点機関です。アルコール、ギャンブル、薬物、ゲームの依存について治療を行っています。依存症外来は予約制です。
所在地:岡山市北区鹿田本町3-16/電話:086-225-3821
岡山市が選定する依存症専門医療機関
岡山市では、アルコール健康障害、薬物依存症、ギャンブル等依存症の治療を行う医療機関を、依存症専門医療機関として選定しています。たとえば、慈圭病院(岡山市南区浦安本町100-2/電話:086-262-1191)が選定されています。受診を希望する場合は、各医療機関に問い合わせてください。
公的な相談窓口
岡山市こころの健康センター
岡山市にお住まいの方の、依存症に関する相談窓口です。ご本人だけでなく、ご家族や関係者からの相談にも応じています。
相談窓口の電話:086-803-1274
岡山県精神保健福祉センター
岡山市以外の岡山県にお住まいの方が対象です。電話や来所(予約制)での相談のほか、回復支援のプログラムも行っています。
自助グループ・回復の場
同じ悩みを持つ人どうしが集まる自助グループ(AA、断酒会、GA、NAなど)や、回復支援施設は、治療とならんで回復を支える大切な場です。どのグループに参加しているか、どこで開かれているかは、住まいを選ぶときの条件にもなります。
※ 連絡先は記事作成時点の公表情報です。受診や相談の前に、各機関へ最新の情報をご確認ください。
回復を続けやすい住まいの選び方|6つの考え方
依存症からの回復は、通院や自助グループへの参加、支援者との関わりを、日々続けていくことで支えられます。住まいは、その「続ける」を助けることも、難しくすることもあるのです。
① 通院先に、無理なく通い続けられる距離
通院の頻度に合わせて、通いやすさを考えます。週に何度も通う時期なら、徒歩や自転車、バス1本で行ける場所が理想です。体調がすぐれない日や、気持ちが不安定な日でも行ける道のりかどうかを想像してみてください。
② 自助グループや回復プログラムへの行きやすさ
自助グループの集まりは、夜に開かれることも多くあります。夜でも帰りやすい場所か、デイケアや回復プログラムに通いやすいかも確認しましょう。今通っているグループに引っ越し後も参加できるかどうかは、とても大切なポイントです。
③ 支援者が訪問しやすい場所
訪問看護や相談支援の担当者など、訪問してくれる支援者がいる場合は、その事業所から訪問しやすい場所かどうかも考えておくと安心です。
④ 生活のリズムを整えやすい環境
決まった時間に寝て起きる、食事をとる。規則正しい生活は回復の土台になります。夜に静かに眠れるか、日当たりがよく朝起きやすいかといった点も、部屋選びで見ておきたいところです。
⑤ きっかけになりやすい環境との距離
人によって、飲酒や使用、ギャンブルのきっかけになりやすい場所や状況は違います。たとえば、毎日通る道のすぐそばにあると気持ちが揺れやすい、という場所があるかもしれません。避けたい環境があれば、それも住まいの条件のひとつとして、遠慮なく伝えてください。どんな環境に気をつけるとよいかは、主治医や支援者と相談しておくと安心です。
⑥ 無理のない家賃
家賃が生活を圧迫すると、お金の心配がストレスになり、回復の妨げになることがあります。収入に対して無理のない家賃を選ぶことが、暮らしを安定させる第一歩です。生活保護を受けている場合は、住宅扶助の範囲内で探すことになります。
通院先や通っている場所から、住まいを一緒に探します
病気のことを詳しくお話しいただく必要はありません。
通い続けたい場所と、暮らしの条件を教えてください。
営業時間 10:00〜18:00/定休日 水曜日・不定休
退院・退所から一人暮らしへ移るとき
退院の前から、住まいの相談を始める
入院中の方は、退院が決まってから慌てて探すのではなく、早めに主治医や病院の相談員(精神保健福祉士など)に住まいの相談をしてください。退院後の通院の計画や、利用できる支援を一緒に考えてもらえます。回復支援施設で暮らしている方も、施設の職員と相談しながら進めましょう。
地域での暮らしを支える仕組み
病院や施設から地域での暮らしに移るときには、障害福祉サービスとして、住まい探しの支援や、一人暮らしを始めた後の定期的な訪問、緊急時の連絡体制の確保といった支援が用意されています。利用できるかどうかは、状態や地域によって異なるため、病院の相談員や相談支援専門員、お住まいの区の福祉事務所に確認してください。
いきなり一人暮らしをするのではなく、グループホームなどで生活に慣れてから一人暮らしに移るという道もあります。どの順番が合っているかは、支援者と一緒に考えるのが安心です。
生活保護を受けている、受ける予定の場合
転居や初期費用については、担当のケースワーカーに事前に相談します。賃貸の契約は、ケースワーカーの確認を受けてから結ぶのが原則です。通院のしやすさを理由にした転居も、主治医の意見などをもとに相談できる場合があります。ケースワーカーは、制度の中で使える道を一緒に探してくれる相手です。
不動産会社や大家さんに、どう伝えるか
病名を伝える義務はない
賃貸を借りるときに、依存症であることを不動産会社や大家さんに伝えなければならない決まりはありません。どこまで話すかは、本人と支援者で相談して決めて大丈夫です。
伝えるなら、病名より「暮らしの安定」を
大家さんが心配するのは、多くの場合、病名そのものではなく、家賃をきちんと払ってもらえるか、近隣とトラブルにならないかという点です。伝える場合は、病気の詳しい内容よりも、暮らしが安定していることが伝わる言葉を選ぶとよいでしょう。
伝え方の例
「現在、定期的に通院して治療を続けています。病院の相談員さんや支援者にも関わってもらっています。家賃は〇〇から支払う予定で、口座振替を希望しています。静かな環境で落ち着いて暮らしたいと考えています。」
病気のことを話さないことで不利になるわけではありません。ただし、収入や過去の契約状況など、審査に必要な事項について事実と違うことを書くのは避けてください。後でトラブルになる原因になります。
審査で見られやすいことと、備え方
家賃を払い続けられるか
障害年金、仕事の収入、生活保護など、毎月の家賃の支払いの元になる収入を確認されます。
過去の家賃の支払い状況
以前に家賃の滞納があると、保証会社によっては審査が通りにくくなることがあります。保証会社にはいくつかの種類があり、確認する内容も会社によって違います。過去の事情は、最初に不動産会社へ伝えておくと、通りやすい物件を絞り込めます。
緊急連絡先
家族に頼みにくい場合でも、保証会社の仕組みや支援者との相談で対応できることがあります。誰にお願いするかは、本人の同意のもとで支援者と相談して決めましょう。
お金の管理と、家賃の支払いの工夫
住まいを守るうえでいちばん大切なのは、家賃を毎月確実に払うことです。特にギャンブルや買い物などの依存がある方は、気持ちの揺れとお金の管理が結びつきやすいため、仕組みで支えることが回復の助けになります。
口座振替で、先に家賃を払う
収入が入ったら自動的に家賃が引き落とされる形にしておくと、払い忘れや使い込みを防ぎやすくなります。
生活保護の場合は代理納付
住宅扶助を福祉事務所から大家さんへ直接支払う代理納付を利用できる場合があります。本人にとっても大家さんにとっても安心な方法です。
金銭管理の支援を使う
社会福祉協議会の日常生活自立支援事業では、日常のお金の管理を手伝ってもらえます。利用を考える場合は、支援者や社会福祉協議会に相談してください。
具体例でイメージ|退院後の住まい探し
アルコール依存症の入院治療を終え、退院後に一人暮らしを始める50代の方を想定した、住まい探しの一例です。
通い続けたい場所:退院した病院の外来(月2回)、断酒会の例会(週2回・夜)、訪問看護(週1回)
住まいの条件:病院までバス1本、例会の会場から夜でも歩いて帰れる距離、静かな環境、住宅扶助の範囲内
避けたい環境:主治医と相談のうえ、毎日通る道沿いに気持ちが揺れやすい場所がないこと
不動産会社への伝え方:「通院を続けていて、支援者が関わっている。静かに暮らしたい」
家賃の支払い:代理納付
→ 回復を支える場所を先に決め、そこから住まいを逆算する考え方です。
→ 病院の相談員と不動産会社が連絡を取り合いながら進めると、退院日と入居日を合わせやすくなります。
これはあくまで一例です
必要な治療や支援、住まいの条件は、一人ひとり違います。治療については主治医に、支援については病院の相談員や支援者に相談しながら進めてください。
入居したあとに大切にしたいこと
つまずいたら、すぐに誰かに話す
回復の道のりは、まっすぐとは限りません。再び飲んでしまう、使ってしまう、ということが起きることもあります。それで全部が終わりになるわけではありません。大切なのは、ひとりで隠したり抱え込んだりせず、できるだけ早く主治医や支援者、自助グループの仲間に話すことです。
家賃が払えそうにないときは、早めに相談
支払いが難しくなりそうなときは、滞納する前に管理会社や、生活保護を受けている場合はケースワーカーに相談してください。早めに相談すれば、選べる方法が多く残ります。
近所の方との関係
引っ越しのあいさつや、夜間の生活音への気配りなど、ふだんの心がけが、安心して暮らし続けることにつながります。
よくあるご質問
Q1. 依存症の治療中でも、賃貸の部屋は借りられますか?
借りることはできます。治療中であることだけで部屋を借りられないわけではありません。家賃を払い続けられる収入があること、支援者がいることなど、暮らしの安定が伝わると、大家さんも安心して入居を検討しやすくなります。
Q2. 依存症であることを、不動産会社に伝えなければいけませんか?
伝えなければならない決まりはありません。どこまで話すかは、本人と支援者で相談して決めて大丈夫です。伝える場合は、病名よりも、通院を続けていること、支援者がいること、家賃の支払い方法など、暮らしの安定が伝わる内容を話すとよいでしょう。
Q3. 岡山で依存症の治療を受けられる病院はどこですか?
岡山県精神科医療センター(岡山市北区)が、岡山県の依存症治療拠点機関として、アルコール、ギャンブル、薬物、ゲームの依存の治療を行っています。依存症外来は予約制です。また、岡山市が選定する依存症専門医療機関もあります。受診の前に各医療機関へ問い合わせてください。
Q4. 岡山市で依存症の相談ができる窓口はありますか?
岡山市にお住まいの方は、岡山市こころの健康センターに相談できます。ご本人だけでなく、ご家族や関係者からの相談にも応じています。岡山市以外の岡山県にお住まいの方は、岡山県精神保健福祉センターが窓口です。
Q5. 部屋を選ぶとき、何を優先すればいいですか?
通院先、自助グループや回復プログラム、支援者に、引っ越した後も通い続けられるかどうかを優先するのがおすすめです。あわせて、生活リズムを整えやすい静かな環境か、無理のない家賃かも確認しましょう。避けたい環境があれば、それも条件として伝えてください。
Q6. 家賃の支払いが心配です。どうすればいいですか?
収入が入ったら自動的に引き落とされる口座振替にする、生活保護の場合は代理納付を利用する、社会福祉協議会の金銭管理の支援を使うなど、仕組みで支える方法があります。支払いが難しくなりそうなときは、滞納する前に管理会社やケースワーカーに相談してください。
まとめ
- 依存症の治療中でも、部屋を借りることはできる
- 住まいは「回復を続けやすいこと」を軸に選ぶ
- 通院先、自助グループ、支援者に通い続けられる場所を優先する
- 岡山県精神科医療センターが県の依存症治療拠点機関。岡山市民の相談は岡山市こころの健康センターへ
- 退院・退所の前から、病院の相談員や支援者と住まいの相談を始める
- 病名を伝える義務はない。伝えるなら暮らしの安定が伝わる言葉で
- 家賃は口座振替、代理納付、金銭管理の支援で確実に払える仕組みに
- つまずいたら、ひとりで抱えず、すぐに誰かに話す
新しい住まいは、回復の道のりを支える大切な場所です。通い続けたい場所を先に決め、そこから住まいを考える。その順番を意識するだけで、引っ越した後も、今つながっている支えを手放さずにすみます。
依存症は、意志の弱さではなく、治療と支えが必要な病気です。回復を目指して治療を続けていること自体が、とても大きな一歩です。うまくいかない日があっても、自分を責めすぎないでください。助けを求めることは、回復のいちばん大切な力のひとつです。ご家族の方も、ひとりで抱え込まず、相談窓口や家族向けのグループを頼ってください。回復は、つながりの中で続いていきます。
治療を続けながらの住まい探し、ご相談ください
ミニクルホームは、岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、通院を続けている方や、生活保護を受給されている方のお部屋探しをお手伝いしている不動産会社です。
「退院後に住む部屋を探したい」「通っている病院や自助グループの近くで暮らしたい」「大家さんにどう伝えればいいか相談したい」——どの段階でも大丈夫です。病気のことを詳しくお話しいただく必要はありません。病院の相談員さんや支援者の方からのご相談も承ります。
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※ 医療機関・相談窓口の情報は記事作成時点のものです。入居の可否は、大家さん・家賃保証会社の審査によります。
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