実家は祖父の代からある家。調整区域でも売れると聞いたが、本当だろうか」
不動産会社に『線引き前かどうか』と聞かれたが、どうやって調べればいいのか分からない」
昔、親が『既存宅地の確認』というものを受けたと言っていた気がする」
岡山市の市街化調整区域の家を売るとき、よく出てくる言葉が「線引き前」です。線引き前からある家は、比較的売りやすいと言われます。ただし、それは線引き前であることを資料で示せることが前提で、建て替えや、更地で新しく建てる場合には条件もあります。
この記事では、線引き前からある家が売りやすいとされる理由と、岡山市の基準での条件、そして線引き前であることを確かめる方法を整理しました。
線引き前からある家は、特定の人への許可で建てた家ではないため、「許可を受けた本人しか住めない」という問題(属人性)がありません。そのため、買った人が住宅として使うことは一般に進めやすく、比較的売りやすいとされます。ただし岡山市の基準では、建て替えは「同じ敷地・同じ用途・規模が過大でない」こと、更地で新しく建てるには「自己専用住宅・50以上の建築物が連たんする区域」などの条件があります。線引き前であることは、建物や土地の登記、固定資産の課税状況、検査済証、既存宅地の確認通知書、公的機関の証明のいずれかで示します。資料をそろえ、開発指導課の窓口で確かめてから売り出すのが確実です。
線引きとは|岡山市は1971年9月7日
線引きとは、都市計画区域を市街化区域(市街化を進める区域)と市街化調整区域(市街化を抑える区域)に分けることです。岡山市で初めて線引きが行われたのは1971年(昭和46年)9月7日です。
「線引き前からある家」とは、この日より前から建っている家のことです。
- 線引きのあとに合併した地域や、線引きの見直しがあった場所では、基準になる日が異なることがあります。
- 御津・建部は都市計画区域外で、そもそも線引きがありません。
なぜ線引き前からの家は売りやすいとされるのか
| 家の種類 | 買った人が住めるか | 売りやすさ |
|---|---|---|
| 線引き前からある家 | 特定の人への許可で建てた家ではないため、属人性の問題がない。住宅として使うことは一般に進めやすい | 比較的売りやすい |
| 線引き後に、分家住宅・農家住宅などの許可で建てた家 | 許可を受けた人以外が住むには、原則として別の許可が必要 | 条件によっては難しい |
| 線引き後に、50戸連たんで建てた家 | 2026年4月から、許可を受けた人以外が所有しても別の許可は要しないとされた | 比較的売りやすくなった |
線引き前からの家は、「誰が住むか」の制限がない点が大きな強みです。買主や金融機関にとっても、説明しやすい家になります。
ただし、場面ごとに条件がある(岡山市の基準)
線引き前からの家でも、何をするかによって条件がちがいます。岡山市の「開発許可申請の手引き(令和8年4月)」や「開発審査会案件運用基準」では、次のように定められています。
| 場面 | 岡山市の基準の主な内容 |
|---|---|
| 今の建物にそのまま住む | 同じ用途(住宅)で使うなら、一般に大きな問題になりにくい |
| 建て替える(既存建築物の建替) | 従前の敷地の範囲内、同一の用途、規模・構造・設備などが従前と比べて過大でないこと。床面積の合計が従前の1.5倍以下なら、建築確認で対応できる場合がある(参考) |
| 更地(線引き前から宅地)に新しく建てる(既存の宅地の開発行為等) | 自己専用住宅であること、現に50以上の建築物が連たんしている区域であること、建物の高さ10m以下、市の土地利用計画や環境保全に支障がないことなど |
建て替えのときの注意
- 敷地を広げる:線引き前から住んでいる人の自己居住用で、敷地が500㎡未満なら、500㎡までの敷地の増加が認められる場合があります。ただし、これは線引き前から住んでいる人についての取扱いです。
- 用途を変える:住宅を店舗などに変える場合は、別の基準(相当期間利用された建築物の用途変更)になります。
更地の場合の注意
「線引き前から宅地だった更地なら、誰でも家を建てられる」わけではありません。 岡山市の基準では、自己専用住宅に限られ、50以上の建築物が連たんしている区域であることなどが求められます。更地を売るときは、買主が建てられるかどうかを、売り出す前に確かめることが大切です。
注意:この「50以上の建築物が連たん」は、開発審査会の基準の要件です。2026年4月に運用が終わった「50戸連たん制度(条例)」とは別のものです。
線引き前であることを確かめる方法
岡山市の基準では、線引き前から宅地であったことを、次のいずれかの資料で示すとされています。
| 資料 | 見るところ | どこで手に入るか |
|---|---|---|
| ① 建物の登記事項証明書 | 線引き前に建物が登記されているか(新築の日付など) | 法務局 |
| ② 土地の登記事項証明書 | 線引き前から地目が宅地として登記されているか | 法務局 |
| ③ 固定資産の課税の状況 | 線引き前から建物として課税されていたか | 岡山市(資産税の担当) |
| ④ 検査済証 | 建築基準法の検査済証が線引き前に交付されているか | 家に残っている書類 |
| ⑤ 既存宅地の確認通知書 | 昔の「既存宅地の確認」を受けているか | 家に残っている書類 |
| ⑥ 公的機関の証明 | 上のほかに、公的な機関が証明したもの | 開発指導課に相談 |
「既存宅地の確認」とは
以前は、調整区域でも、線引き前から宅地であった土地について「既存宅地の確認」を受けると、許可なく建築ができる制度がありました。この制度は2000年の都市計画法の改正で廃止され、今は新しく確認を受けることはできません。
ただし、昔の確認通知書が家に残っていれば、線引き前から宅地であったことを示す資料になります。古い書類でも捨てずに、まとめておきましょう。
登記を見るときのポイント
登記事項証明書は、法務局で誰でも取ることができます。
- 建物:「新築」の日付が1971年9月7日より前か
- 土地:地目が宅地になった日付が線引き前か
- 古い記録:コンピューター化される前の記録は、閉鎖登記簿で確かめられることがある
例で考える|登記の日付で見る
| 例 | 登記の内容 | 考えられること |
|---|---|---|
| A | 建物の新築が昭和40年(1965年)、土地の地目は宅地 | 線引き前からの家と考えられる。①②で示せる可能性が高い |
| B | 建物の新築が昭和55年(1980年)、土地は昭和30年代から宅地 | 今の建物は線引き後の建築。建て替えのときの許可や確認の書類があるかを確かめる。土地は②で線引き前から宅地と示せる可能性 |
| C | 建物は昭和40年代に建ったと聞いているが、未登記。土地は畑のまま | ①②が使えない。③の課税の状況や⑤の確認通知書、④の検査済証などを探す。農地の手続きも必要になることがある |
例Bのように、線引き前からの家を線引き後に建て替えている場合もよくあります。その場合は、建て替えのときにどんな手続きをしたかが大切です。
売る前にすること|4つのステップ
- 登記事項証明書(建物・土地)を取る(日付と地目を確かめる)
- 家に残っている書類を探す(既存宅地の確認通知書、検査済証、建築確認の書類、建て替えのときの許可の書類)
- 岡山市 開発指導課の窓口で確かめる(本庁舎6階。窓口でのみ受付。地図、公図、登記事項証明書などを持参)
- 確かめた結果をまとめて、不動産会社と売り方を決める(買主や金融機関に説明できる形にする)
線引き前であることを資料で示せると、「この家は買った人も住めるのか」という買主の一番の不安に答えられます。
当社にできること・できないこと
当社は、岡山市北区奉還町で売買仲介を行っている不動産会社です。
当社がお手伝いできるのは、登記事項証明書の取り寄せと日付の読み取り、家に残っている書類の整理、開発指導課での確認の段取り、確認の結果をふまえた査定、買主や金融機関への説明の資料づくり、そして売却です。
一方で、線引き前であるかどうか、建て替えや建築ができるかどうかの判断は岡山市が行います。 許可の申請書類の作成は行政書士などの専門家の業務です。法的な判断、税金の判断も、それぞれの専門家にご相談ください。
よくあるご質問
線引き前からある家は売りやすいですか。
比較的売りやすいとされます。特定の人への許可で建てた家ではないため、許可を受けた本人しか住めないという属人性の問題がなく、買った人が住宅として使うことは一般に進めやすいためです。ただし、建て替えや更地で新しく建てる場合には、岡山市の基準で条件があります。
岡山市の線引きはいつですか。
岡山市で初めて線引きが行われたのは、1971年(昭和46年)9月7日です。合併した地域や線引きの見直しがあった場所では基準の日が異なることがあるため、開発指導課でご確認ください。
線引き前からの家は、建て替えられますか。
岡山市の基準では、従前の敷地の範囲内で、同一の用途で、規模・構造・設備などが従前と比べて過大でない建て替えが対象になります。床面積の合計が従前の1.5倍以下なら、建築確認で対応できる場合があります。詳しくは開発指導課の窓口でご確認ください。
線引き前から宅地だった更地には、誰でも家を建てられますか。
誰でも建てられるわけではありません。岡山市の基準では、自己専用住宅であること、現に50以上の建築物が連たんしている区域であること、高さ10m以下であることなどが求められます。
線引き前であることは、どうやって証明しますか。
岡山市の基準では、建物の登記事項証明書で線引き前に登記されていること、土地の登記事項証明書で宅地として登記されていること、建物の固定資産の課税の状況、検査済証、既存宅地の確認通知書、公的機関の証明のいずれかで示すとされています。
既存宅地の確認は、今から受けられますか。
既存宅地の確認の制度は、2000年の都市計画法の改正で廃止され、今は新しく確認を受けることはできません。ただし、昔の確認通知書が残っていれば、線引き前から宅地であったことを示す資料になります。
建物が未登記で、土地が畑のままです。線引き前と示せますか。
登記では示せないため、固定資産の課税の状況や検査済証、既存宅地の確認通知書などを探します。土地が畑のままの場合は、農地の手続きも必要になることがあります。開発指導課と農業委員会にご相談ください。
「昔からある家」を、資料で確かめるところからお手伝いします
登記事項証明書の取り寄せと日付の読み取り、家に残っている書類の整理、開発指導課での確認の段取り、確認の結果をふまえた査定まで。
- 電話で相談する:086-239-3296(10:00〜18:00/水曜定休)
- LINEで相談する(登記事項証明書や古い通知書の写真をそのまま送れます)
- メールで相談する:minikuru@bc.wakwak.com
※線引き前かどうか、建て替えができるかどうかの判断は岡山市(開発指導課 086-803-1451)が行います。許可申請の代行、法的な判断は当社では行えません。
「昔からある家」を、資料で「線引き前の家」にしていきましょう。 親御さんや、その前の代から住んできた家には、書類の中にその歴史が残っています。登記や古い通知書を一つずつ確かめれば、買う人に安心してもらえる家になります。急がなくても大丈夫です。
最終更新日:2026年9月26日
確認先:岡山市(開発許可申請の手引き 第四編〈令和8年4月〉、開発審査会案件運用基準〈2026年4月〜の一覧、改定・制定分〉、区域区分〈線引き制度〉、開発指導課業務内容)。基準は変わることがあります。最新は岡山市開発指導課でご確認ください。
(この記事は一般的な情報の整理です。線引き前かどうか、建て替えや建築ができるかどうかの判断は岡山市が行います。当社は許可申請の代行、法的な判断、税金の判断は行えません。)
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