はじめに
「退去時の請求について、入居者から『高すぎる』とクレームが来た」 「原状回復の特約を入れていたのに、無効だと言われてしまった」
賃貸経営において、原状回復をめぐるトラブルは、大家さんにとっても頭を悩ませるテーマです。しかし、多くのトラブルは、契約前の準備と、退去時の適切な対応によって防ぐことができます。
この記事では、岡山市で賃貸管理を行うミニクルホームが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をもとに、大家さんが取れる対策を解説します。
結論:トラブルを防ぐ4つの対策
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| ① 負担区分の基本ルールを理解する | 経年変化・通常損耗は貸主負担が原則というガイドラインの考え方を押さえる |
| ② 入居時の状態を記録する | 写真・動画で入居時の状態を残しておく |
| ③ 特約は「中身」と「合意」を重視して設計する | 特約が有効と認められるための3条件を満たす |
| ④ 退去時は入居者と一緒に立ち会って確認する | その場で内容を共有し、後からの認識の相違を防ぐ |
原状回復の基本ルール(国交省ガイドラインの考え方)
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復の負担について、次のように整理されています。
- 借主負担になるもの: 故意・過失、善管注意義務違反、通常の使用を超えるような使い方による損耗(タバコのヤニ汚れ、ペットによる傷、結露を放置したことによるカビなど)
- 貸主負担になるもの(経年変化・通常損耗): 日照による壁紙の変色、家具の設置による床のへこみ、画鋲程度の穴、設備の経年劣化による故障など
つまり、「入居者が住んでいて自然に生じる変化」は、原則として大家さんの負担という考え方が基本になります。この前提を理解しておくことが、トラブル予防の第一歩です。
対策①:入居時の状態を記録する
入居時点の部屋の状態を、写真や動画で記録しておくことは、退去時のトラブル防止に非常に有効です。「入居前からあった傷なのか、入居中についた傷なのか」を客観的に判断する材料になります。管理会社に依頼している場合は、入居時のチェックシート・写真記録が徹底されているかを確認しておきましょう。
対策②:特約は「中身」と「合意」を重視する
「原状回復は全額入居者負担」といった特約を設けても、内容によっては無効と判断されることがあります。国土交通省のガイドラインでは、借主に通常の原状回復義務を超える負担を求める特約が有効と認められるには、次の3条件を満たす必要があるとされています。
- 特約の必要性があり、かつ暴利的でないなど、客観的・合理的理由が存在すること
- 借主が特約によって通常の原状回复義務を超える負担を負うことを認識していること
- 借主が、その負担を負う旨の意思表示をしていること
つまり、特約は「入れておけば安心」というものではなく、内容が明確で、入居者にきちんと説明・合意されていることが重要です。金額の根拠が曖昧な特約や、負担範囲が過度に広い特約は、トラブルの火種になりやすいため注意しましょう。
対策③:退去時は入居者と一緒に立ち会って確認する
退去時の現状確認を、入居者の立ち会いのもとで行うことで、「言った・言わない」のトラブルを防ぎやすくなります。写真やメモで状態を記録しながら、その場で費用の見立てを共有することが望ましいとされています。国民生活センターも、退去時には貸主側と一緒に写真やメモで記録を残しながら現状確認することを勧めています。
対策④:請求内容の根拠を明確にする
「部屋全体を張り替えた」というような、必要以上に広い範囲の工事費用をそのまま請求すると、トラブルにつながりやすくなります。国土交通省のガイドラインでは、借主に原状回復義務がある場合でも、負担対象範囲は「補修工事が可能な最低限度の施工単位」とすることが基本とされています。請求書には、内訳と算出根拠を明確に示すことが、入居者の納得感につながります。
トラブルを防ぐ3ステップ
- 契約書・特約の内容を見直す 特約が「中身」と「合意」の条件を満たしているか、管理会社と一緒に確認しましょう。
- 入居時の記録を徹底する 写真・動画による記録を、入居のたびに残す仕組みを整えましょう。
- 退去時は立ち会い・根拠の明示を徹底する その場での確認と、明細の丁寧な説明を心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「ハウスクリーニング費用は入居者負担」という特約は有効ですか? A. 特約の内容が明確で、入居者が契約時にきちんと認識・合意していれば、有効と認められる可能性があります。曖昧な記載や説明不足は、トラブルの原因になりやすいため注意しましょう。
Q2. 入居者からクレームが来た場合、どう対応すればいいですか? A. 感情的な対応を避け、契約書の内容とガイドラインの考え方に沿って、根拠を示しながら説明することが大切です。管理会社に間に入ってもらうのも有効です。
Q3. 原状回復の負担割合について、経年劣化を考慮する必要がありますか? A. 国土交通省のガイドラインでは、建物や設備の経過年数を考慮した負担割合(減価償却の考え方に近い方法)が示されています。詳細は管理会社にご相談ください。
Q4. トラブルになった場合、どこに相談できますか? A. 消費生活センターや、法テラスなどの相談窓口があります。感情的に対立する前に、第三者機関への相談も選択肢として持っておくとよいでしょう。
まとめ・ご相談窓口
原状回復トラブルの多くは、契約前の準備と、退去時の丁寧な対応によって防ぐことができます。特約の設計、入居時の記録、退去時の立ち会いという基本を押さえることで、大家さんと入居者、双方にとって納得感のある賃貸経営につながります。
「特約の内容を見直したい」「トラブルを未然に防ぐ体制を整えたい」——そんな大家さん・オーナー様は、ぜひ一度ミニクルホームにご相談ください。契約書の確認から、入居・退去時の運用まで、実務的にサポートします。
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免責事項 本記事は、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」等の公的情報をもとにした一般的な解説であり、個別の契約における法的判断を保証するものではありません。具体的な内容については、管理会社または弁護士等の専門家にご相談ください。
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