地方都市の不動産投資は難しい?人口減少エリアで空室が埋まらない失敗例
「地方都市なら物件価格が安く、高利回りのアパートを購入できる」と考えて投資したものの、実際には空室が埋まらず、毎月の返済や修繕費だけが出ていくケースがあります。
特に人口減少が進むエリアでは、表面利回りの高さだけを見て購入すると、想定していた入居率を維持できないことがあります。
しかし、地方都市の不動産投資そのものが危険というわけではありません。重要なのは、人口の多さだけで判断せず、物件周辺の賃貸需要、駐車場、間取り、家賃、競合物件まで細かく確認することです。
この記事では、岡山市、倉敷市、玉野市などの地方都市で起こりやすい空室の失敗例と、購入前に確認したいポイント、すでに所有している物件を立て直す方法を解説します。
地方都市の不動産投資は本当に難しいのか
地方都市の不動産投資では、都市全体の人口だけでなく、物件から数キロ圏内の「小さな商圏」を見る必要があります。
同じ岡山市内でも、大学、病院、工業団地、官公庁、商業施設などが近い地域と、生活に車が欠かせず周辺施設も少ない地域では、賃貸需要が大きく異なります。
全国的にも住宅数が世帯数を上回り、空き家が増加しています。住宅が不足している時代とは違い、現在は入居者から選ばれる理由を作らなければ、築年数が経過した物件ほど空室が長期化しやすい状況です。[注1]
岡山市についても、将来的には生産年齢人口の減少と高齢者人口の増加が見込まれています。今後は単に戸数を増やす投資ではなく、誰に貸すのかを具体的に決めた運営が重要になります。[注2]
地方都市投資で大切なのは、人口が減るかどうかだけではありません。
物件周辺に「今後も住む理由がある人」がどのくらいいるかを確認することが重要です。
人口減少エリアで空室が埋まらない5つの失敗例
失敗例1.表面利回りの高さだけで購入してしまった
地方都市では、物件価格が安く、表面利回りが10%を超えるアパートが見つかることがあります。
表面利回りとは、満室時の年間家賃収入を物件価格で割った数字です。固定資産税、修繕費、管理費、空室損失、広告料などは含まれていません。
例えば、家賃5万円の部屋が8戸あるアパートでは、満室時の年間家賃収入は480万円です。しかし、2部屋が年間を通して空室になれば、家賃収入は120万円減少します。
- 満室想定だけで収支計算をしている
- 空室期間を1か月程度しか見込んでいない
- 退去後の修繕費を計算していない
- 入居募集時の広告料や仲介費用を見込んでいない
- 家賃下落を想定していない
高利回りに見える物件ほど、なぜその価格で売却されているのかを確認する必要があります。
失敗例2.地方都市なのに駐車場が足りない
岡山市周辺のように車で通勤や買い物をする世帯が多い地域では、駐車場の条件が入居判断に大きく影響します。
室内をきれいにリフォームしても、駐車場がない、区画が狭い、敷地への出入りが難しいといった問題があると、内見候補から外されることがあります。
特に次のような物件は注意が必要です。
- 2DK・2LDKなのに駐車場が1台分しかない
- 軽自動車しか駐車できない
- 縦列駐車で車の入れ替えが必要になる
- 前面道路が狭く、敷地に入りにくい
- 近隣に月極駐車場がない
- 来客用や一時駐車できる場所がない
地方都市では、駅からの距離だけでなく、駐車場の台数、区画の広さ、道路の入りやすさまで確認することが重要です。
失敗例3.間取りと地域の入居者層が合っていない
物件の間取りと、その地域で部屋を探している人の属性が合っていないと、家賃を下げても空室が埋まらないことがあります。
例えば、次のようなミスマッチです。
- 大学や専門学校から遠い地域の単身者向け1K
- 工業団地から離れた家具・家電なしの単身物件
- 駐車場1台しかない郊外のファミリー物件
- 階段のみの3階にある高齢者向けの広い部屋
- 買い物施設や病院から遠い高齢単身者向け物件
「この間取りなら誰かが借りるだろう」ではなく、どのような人が、どのような理由でこの地域に住むのかを具体的に考える必要があります。
失敗例4.需要を確認せず高額リフォームをしてしまった
空室が続くと、キッチンや浴室を新しくすれば入居が決まると考え、高額なリフォームを行ってしまうことがあります。
しかし、空室の原因が家賃、駐車場、立地、募集条件にある場合、室内設備だけを新しくしても十分な効果が出ない可能性があります。
リフォームを行う前には、次の順番で原因を確認しましょう。
- 物件情報が十分に公開されているか
- 家賃や初期費用が周辺相場と合っているか
- 問い合わせや内見が発生しているか
- 内見後に断られている理由は何か
- 設備や室内の古さが本当の原因なのか
問い合わせ自体が少ない場合は、設備よりも募集条件や広告の見直しを優先したほうがよいケースがあります。
失敗例5.管理会社に任せたまま募集状況を確認していない
管理会社へ募集を依頼しただけで、数か月間ほとんど状況を確認していないケースもあります。
空室が長期化している場合は、「募集しています」という報告だけでなく、具体的な反響を確認する必要があります。
- どの不動産ポータルサイトに掲載されているか
- 写真は明るく、枚数も十分にあるか
- 問い合わせは何件あったか
- 内見は何件あったか
- 入居希望者から何を指摘されたか
- 他社の仲介会社にも情報が共有されているか
- 初期費用や入居条件が競合より厳しくないか
3か月以上反響が少ない場合は、同じ募集方法を続けるのではなく、条件や広告を見直す時期です。
地方都市の物件を購入する前に確認したい4つのポイント
1.物件周辺の競合物件を調べる
購入予定物件と同じ地域、同程度の築年数、間取り、家賃帯の物件を調べます。
募集中の部屋が多い場合は、物件が多いだけなのか、需要に対して供給が過剰なのかを確認しましょう。
最低でも次の項目を比較します。
- 家賃と共益費の合計額
- 敷金・礼金・保証料などの初期費用
- 駐車場の台数と料金
- インターネット無料の有無
- エアコン、独立洗面台、室内洗濯機置場
- ペット、高齢者、外国籍、法人契約などの募集条件
- 写真の見せ方と物件紹介文
2.周辺に継続的な賃貸需要があるか確認する
一時的に人がいるだけでなく、今後も転勤、進学、就職、通院などで住む人が見込めるかを確認します。
- 大学・専門学校
- 病院・医療施設
- 工場・工業団地
- 官公庁・事業所
- 大型商業施設
- 公共交通機関
- 主要道路へのアクセス
勤務先や学校が閉鎖・移転した場合に需要が大きく減る地域では、特定の施設だけに依存し過ぎないことも重要です。
3.損益分岐となる入居率を計算する
損益分岐入居率とは、ローン返済や運営費を家賃収入で賄うために必要な最低限の入居率です。
損益分岐入居率=年間の返済額・運営費 ÷ 満室時の年間家賃収入
損益分岐入居率が90%を超える物件は、1~2室の空室や大きな修繕が発生しただけで資金繰りが苦しくなる可能性があります。
購入時には、満室、入居率90%、80%、70%の複数パターンで収支を確認しましょう。
4.売却や用途変更まで考えて購入する
賃貸経営が予定どおり進まなかった場合に、どのような出口があるかも確認します。
- 土地として売却できるか
- 実需向け住宅として売却できるか
- 戸建賃貸や事業用へ変更できるか
- 建物を解体した場合の費用はいくらか
- 接道や再建築に問題がないか
安く買えるという理由だけで、売却しにくい物件を購入すると、空室が増えても手放せない状態になることがあります。
すでに空室が続いている物件を立て直す方法
家賃を下げる前に募集条件全体を見直す
空室対策では、家賃だけを大幅に下げる必要はありません。
- 礼金をなくす
- 一定期間のフリーレントを付ける
- 保証会社の初回費用を調整する
- 駐車場を家賃に含める
- 照明やエアコンを設置する
- インターネット無料を導入する
- 短期解約違約金を設定したうえで初期費用を抑える
例えば、家賃5万円の部屋を月3,000円下げた場合、年間の減収は3万6,000円です。一方で、1か月空室になるだけで5万円の家賃収入を失います。
適正な条件変更によって早く入居が決まるのであれば、長期間家賃を維持して空室を抱えるより、収支が改善する場合があります。
物件に合う入居者層へ募集を広げる
一般的な会社員や学生だけでなく、物件の条件に応じて募集対象を広げる方法もあります。
- 高齢者世帯
- ひとり親世帯
- 生活保護を受給している方
- 法人契約・社宅利用
- 外国籍の方
- ペットと暮らしたい方
ただし、誰でも無条件で受け入れるという意味ではありません。保証会社、緊急連絡先、家賃の代理納付、見守りサービスなどを活用し、大家さんと入居者の双方が安心できる仕組みを整えることが大切です。
広告写真と物件情報を作り直す
室内がきれいでも、暗い写真や古い写真を掲載していると、物件の魅力が十分に伝わりません。
- 晴れた日に外観を撮影する
- 照明を点灯して室内を明るく撮る
- 駐車場や前面道路も掲載する
- 収納内部や水回りも掲載する
- スーパー、病院、バス停などの周辺情報を記載する
- どのような入居者に向いているかを説明する
地方都市では、駅徒歩だけでなく、勤務先への車での移動時間や生活施設へのアクセスを伝えることも重要です。
募集会社や管理方法の見直しを検討する
家賃や設備に大きな問題がないのに反響が少ない場合は、募集の露出や仲介会社への情報共有に問題がある可能性があります。
管理会社を変更する前に、現在の募集状況、反響数、掲載内容、改善提案を確認しましょう。そのうえで具体的な改善案が出ない場合は、入居者募集に強い不動産会社への相談も選択肢になります。
地方都市の不動産投資で失敗しないためのチェックリスト
- 満室想定ではなく、空室を含めて収支計算をしたか
- 家賃下落や修繕費を見込んでいるか
- 周辺の競合物件を確認したか
- 物件周辺に継続的な賃貸需要があるか
- 間取りと地域の入居者層が合っているか
- 必要な台数の駐車場が確保できるか
- 損益分岐入居率を計算したか
- 高額リフォームの前に空室原因を確認したか
- 売却や用途変更などの出口を考えているか
- 地元の賃貸市場に詳しい不動産会社へ相談したか
まとめ|地方都市投資は「安く買う」より「借りる理由」を確認する
地方都市の不動産投資が難しくなる最大の原因は、物件価格や表面利回りだけを見て、入居者がその地域に住む理由を確認していないことです。
空室を防ぐためには、次のポイントが重要です。
- 周辺の賃貸需要と競合物件を調査する
- 地方都市では駐車場条件を重視する
- 間取りと入居者層のミスマッチを防ぐ
- 高額リフォームの前に空室原因を分析する
- 反響数や募集状況を定期的に確認する
- 満室時だけでなく、入居率が低下した収支も計算する
人口が減少している地域でも、病院、大学、工業団地、生活施設などがあり、適正な家賃と条件で募集できれば、入居需要を確保できる物件はあります。
大切なのは、「地方都市だから借り手がいない」と決めつけるのではなく、物件ごとの空室原因を整理し、地域に合った募集方法へ修正することです。
地方都市の不動産投資に関するよくある質問
Q.人口が減っている地域の物件は購入しないほうがよいですか?
人口減少だけで一律に判断する必要はありません。ただし、物件周辺の就業先、学校、病院、交通、生活施設などを確認し、継続的な賃貸需要が見込めるかを慎重に判断する必要があります。
Q.価格が安く、利回りが高ければ空室があっても大丈夫ですか?
空室期間、修繕費、広告料、税金、管理費、家賃下落を含めて利益が残るかを確認する必要があります。表面利回りだけでは実際の収益性は判断できません。
Q.空室対策ではリフォームと家賃値下げのどちらが先ですか?
まず問い合わせ数と内見数を確認します。問い合わせが少ない場合は広告や募集条件、内見後に断られる場合は室内や設備を見直すなど、原因に合わせて対策することが重要です。
Q.管理会社を変更すれば空室は改善しますか?
必ず改善するとは限りませんが、広告掲載、写真、家賃設定、仲介会社への情報共有、反響報告などに問題がある場合は、募集方法や管理体制の変更によって改善できる可能性があります。
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※[注1]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」参照。
※[注2]岡山市「岡山市の人口の現状と将来の見通し」参照。
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