「相部屋や共同生活が、正直しんどい」
「でも、一人暮らしなんて自分にできるのか不安」
無料低額宿泊所は、住む場所を失ったときに屋根のある場所を確保できる大切な場所です。一方で、生活が落ち着いてくると、「自分の部屋で、自分のペースで暮らしたい」と思うのは自然なことですよね。
この記事では、岡山市北区奉還町で生活保護の方のお部屋探しをお手伝いしている不動産会社の立場から、無料低額宿泊所からアパートへ移って一人暮らしを始めるための考え方と準備、部屋探しの手順を整理します。
この記事で分かること
- 無料低額宿泊所からアパートへ移れるのか、国の考え方
- 「一人暮らしができるか」の判断のポイントと、今からできる準備
- 初期費用・家具の考え方と、部屋探しから入居までの手順
結論
① 無料低額宿泊所からアパートへ移ることはできます。国も、アパートなどでの居宅生活への移行を進めるよう求めています
② 一人暮らしができるかは、お金の管理・健康管理・炊事や洗濯などで確認されますが、すべてをうまくこなせる必要はありません。居宅生活ができると認められれば、敷金などの初期費用の支給も可能とされています
③ まずはケースワーカーに「アパートへ移りたい」と伝えることから。家賃の上限(岡山市の単身はおおむね37,000円)内で部屋を探し、契約は必ずケースワーカーの了承を得てから進めましょう
無料低額宿泊所とは? ずっと住む場所なの?
無料低額宿泊所は、生活に困っている方が、無料または低い料金で泊まれる施設です(社会福祉法にもとづく施設)。2020年4月からは、居室は原則として個室にすることや、文書での契約、保証人を求めないことなどの最低基準が設けられました。
最低基準では、施設は入居者が独立して生活できるかに常に配慮し、できると認められる方には円滑な退居を手伝うよう努めることとされています。つまり、無料低額宿泊所は、ずっと住み続けることを前提にした場所ではなく、次の住まいへ移るまでの場所という性格があります。
「日常生活支援住居施設」とは
無料低額宿泊所のうち、生活支援員が配置され、一定の要件を満たす施設は「日常生活支援住居施設」として、福祉事務所から日常生活の支援を委託されることがあります(2020年10月から)。この場合も、少なくとも6か月に1回、支援の計画を見直し、居宅への移行の必要性などを確認することとされています。
アパートへ移れる? 国はどう考えている?
厚生労働省は、無料低額宿泊所などから居宅生活(アパートなどでの生活)への移行を進めるよう、自治体に求めています。また、無料低額宿泊所を出てアパートなどを借りる場合、居宅生活ができると認められれば、敷金などの支給が可能とされています。
大切なのは、国の資料で、判断の項目は「すべてを満たさないとならないものではない」とされ、要件を厳しくしすぎて、出たい人が住まいを確保できずに入居を続けざるを得なくなることがないよう、注意が促されている点です。
※ 厚生労働省の生活保護関係の資料(令和元年12月ごろ)にもとづく考え方です。具体的な判断は、担当の福祉事務所が行います。
「一人暮らしができるか」は、どう判断される?
国の資料では、次のような項目で、一人暮らしができるかを確認するとされています。
| 確認される項目の例 | 今からできる準備の例 |
|---|---|
| 生活歴・職歴 | これまでの暮らしや仕事、体調の経過をケースワーカーに整理して伝えておく |
| お金の管理 | 宿泊所に預けているなら、少しずつ自分で管理する。1か月の食費・日用品費を記録してみる |
| 健康管理 | 通院や服薬を自分で続けられるか確認する。通院先を決めておく |
| 炊事・洗濯・掃除 | 簡単な料理や、洗濯・掃除を自分でやってみる(完璧でなくてよい) |
| 困ったときに相談できるか | ケースワーカーや支援機関、病院など、困ったときの相談先を決めておく |
これらはすべてをうまくこなせる必要はありません。苦手なことがあっても、ヘルパーなどの福祉サービスや、見守りサービスを使えば一人暮らしができる場合は、居宅(アパートなど)での保護が優先されます。
見守りが必要なら「居住サポート住宅」も
2025年10月からは、見守りや福祉サービスへのつなぎがついた賃貸住宅「居住サポート住宅」の制度も始まっています。一人暮らしに不安がある方は、選択肢のひとつとしてケースワーカーに相談してみましょう(物件はまだ多くありません)。
アパートへ移るまでの手順は?
- ケースワーカーに「アパートへ移りたい」と伝える
理由(自分のペースで暮らしたい、通院や仕事に便利な場所に住みたい等)と、今の生活の様子を伝えます。宿泊所の職員にも相談しておくと、生活の様子を伝えてもらいやすくなります。 - 一人暮らしの準備を進める
お金の管理、通院、家事など、上の表を参考に少しずつ練習します。足りないと言われた点があれば、どうすれば準備できるかを一緒に考えてもらいましょう。 - 家賃の上限と初期費用の扱いを確認する
岡山市の家賃の上限の目安は、単身でおおむね37,000円です。敷金などの初期費用や家具什器費が認められるかも確認します。 - 不動産会社に事情を伝えて部屋を探す
「無料低額宿泊所からの転居」「生活保護を受けている」「緊急連絡先がいない」など、事情を最初に伝えると、使える保証会社がある物件にしぼって探せます。 - 見積書を出し、了承を得てから契約する
初期費用の見積書をケースワーカーに提出し、了承を得てから契約します。 - 宿泊所の退去手続きと引っ越し
宿泊所の契約書で退去の予告期間などを確認し、預けているお金や荷物を受け取ります。住所の手続きや、電気・ガス・水道の手続きも進めます。
大切なこと:契約は、必ずケースワーカーの了承を得てから。
先に契約してしまうと、家賃や初期費用が認められず、あとから困ることがあります。
※ 岡山市の家賃の上限は、2026年10月時点で確認できた公表情報にもとづく目安です。2人世帯はおおむね44,000円。共益費や駐車場代は含まれません。正確な金額は担当の福祉事務所・ケースワーカーに確認してください。
初期費用や家具は、どうなる?
- 敷金などの初期費用:無料低額宿泊所を出てアパートなどを借りる場合、居宅生活ができると認められれば、敷金などの支給が可能とされています
- 家具・家電・生活用品:宿泊所の備品を使っていて、自分の物がない場合、事情によっては家具什器費が認められる場合があります
- 引っ越しの費用:荷物が少ない場合でも、運ぶ方法や費用をケースワーカーに確認しておきましょう
※ いずれも、支給されるか・いくらまでかは状況によって異なります。購入や契約の前に、必ず担当のケースワーカーに確認してください。
具体例で考えると
- 50代・単身・宿泊所で1年、通院は自分で続けている場合:お金の管理や家事を少しずつ自分でできるようになっていれば、居宅生活への移行を相談しやすい状況です。単身の上限の目安(おおむね37,000円)内で、通院先に通いやすい1Kを探します
- 60代・単身・料理が苦手な場合:料理が苦手でも、配食サービスやヘルパーを使えば一人暮らしができる場合があります。苦手なことは隠さずに伝え、どんなサービスで補えるかをケースワーカーと考えましょう
- 40代・単身・宿泊所にお金を預けている場合:移る前から、1週間分の食費を自分で管理するなど、少しずつ練習しておくと、ケースワーカーにも準備ができていることを伝えやすくなります
※ 考え方を示すための例です。実際の判断は、福祉事務所が個別に行います。
部屋探しで困りやすい点は?
- 今の住所が宿泊所であること:申込書の住所は宿泊所で問題ないことがほとんどです。事情を不動産会社に伝えておけば、管理会社への説明もスムーズになります
- 緊急連絡先:家族に頼めない場合は、緊急連絡先の条件がやわらかい保証会社や、支援機関・代行サービスを使える場合があります
- 連絡手段:部屋の申し込みや審査のやりとりのため、連絡のつく電話番号があると進めやすくなります
- 内見の日程:宿泊所の決まりで外出の時間が限られる場合は、内見の日時を早めに調整しましょう
いずれも、審査の結果をお約束するものではありませんが、事情が分かれば、代理納付(家賃を福祉事務所から大家さんへ直接払うしくみ)を前提にした物件など、通りやすい組み合わせを一緒に考えられます。
実際のご相談で多いのは? 現場で感じること
実際のご相談では、「宿泊所を出たいけれど、言い出すと怒られそうで黙っていた」「一人暮らしは無理だと思い込んでいた」という声を伺うことがあります。でも、ケースワーカーに希望を伝えてみたら、「では準備を始めましょう」と話が進んだ、というケースも少なくありません。
アパートに移ったあとは、通院先やスーパーが近い、バス停が近いなど、無理なく暮らせる立地が、一人暮らしを続けるうえでとても大切だと感じています。物件のメリットだけでなくデメリットもお伝えしながら、長く暮らせるお部屋を一緒に探します。
ミニクルホームがお手伝いできること・できないこと
お手伝いできること
- 家賃の上限内で、通院先や生活の便利さも考えたお部屋探し
- 宿泊所からの転居・緊急連絡先などの事情をお聞きしたうえでの、使える保証会社を踏まえた物件のご提案(審査結果をお約束するものではありません)
- 物件のメリット・デメリットの両方のご説明と、申込前の管理会社・大家さんの傾向や注意点のお伝え
- 入居費用の計算(LINEや店頭でその場でお出しします)と、福祉事務所提出用の見積書の作成
- 相談〜契約〜入居中〜退去後までのLINEでの継続サポート(一人暮らしを始めてからの困りごとも)
当社ではできないこと
- 一人暮らしができるか、初期費用が認められるかなどの判断、福祉事務所との交渉の代理
- 宿泊所との契約や退去をめぐる交渉の代理、法律上の判断
よくある質問
Q. 無料低額宿泊所から、アパートへ移ることはできますか?
A. できます。無料低額宿泊所は、ずっと住み続けることを前提にした場所ではなく、国も、居宅生活(アパートなどでの一人暮らし)への移行を進めるよう求めています。一人暮らしができる状態かどうかをケースワーカーと確認しながら、転居の時期や部屋探しを進めましょう。
Q. アパートに移るとき、敷金などの初期費用は出ますか?
A. 無料低額宿泊所を出てアパートなどを借りる場合、居宅生活ができると認められれば、敷金などの支給が可能とされています。国は、判断の項目をすべて満たさなければならないわけではないとし、要件を厳しくしすぎないよう注意を促しています。具体的な扱いは担当のケースワーカーに確認してください。
Q. 「一人暮らしができるか」は、どうやって判断されますか?
A. 国の資料では、生活歴や職歴、お金の管理、健康管理、炊事・洗濯などの項目で確認するとされています。すべてをうまくこなせる必要はなく、ほかの福祉サービスや見守りを使えば一人暮らしができる場合は、居宅での保護が優先されます。
Q. 宿泊所の人に「まだ早い」と言われました。どうすればいいですか?
A. 転居の判断をするのは福祉事務所です。まずは担当のケースワーカーに、アパートへ移りたいという希望と理由を伝えてください。足りないと言われた点があれば、どうすれば準備できるかを一緒に考えてもらいましょう。
Q. 宿泊所にお金の管理を任せています。アパートに移ったらどうなりますか?
A. 無料低額宿泊所での金銭管理は、本人の希望がある場合に限られ、退居するときは預けているお金を速やかに返すことになっています。アパートに移ると、保護費の受け取りや家賃・光熱費の支払いを自分で管理することになるため、移る前から少しずつ練習しておくと安心です。
Q. 宿泊所の契約は、いつでも解約できますか?
A. 契約の期間や解約の方法は、宿泊所との契約書や運営規程に書かれています。入居者の権利を不当に狭める解除の条件を定めてはいけないとされていますが、退去の予告期間などは施設によって異なるため、契約書を確認し、分からない点はケースワーカーに相談してください。
Q. 家具も家電もありません。アパートで生活を始められますか?
A. 生活に必要な家具や器具を持っていない事情によっては、家具什器費が認められる場合があります。対象になるか、いくらまでかは状況によって異なるため、購入や契約の前に必ず担当のケースワーカーに確認してください。
まとめ:自分の部屋での暮らしは、準備をすれば始められる
- 無料低額宿泊所からアパートへ移ることはできます。国も居宅生活への移行を進めるよう求めています
- 一人暮らしができるかの判断項目は、すべてを満たす必要はありません。福祉サービスで補える場合は居宅での保護が優先されます
- 居宅生活ができると認められれば、敷金などの初期費用の支給も可能とされています
- お金の管理・通院・家事を少しずつ練習しておくと、移行の相談が進めやすくなります
- 岡山市の家賃上限の目安は単身おおむね37,000円。契約は必ずケースワーカーの了承を得てから進めましょう
「自分の部屋で暮らしたい」と思えることは、生活が少しずつ立て直されてきた証でもあります。不安なことがあっても、一人で抱え込まず、ケースワーカーさんや宿泊所の職員、身近な方を頼ってください。新しい暮らしのスタートに向けて、私たちも一緒にお部屋を探します。
※ 本記事は、2026年10月時点で確認できた厚生労働省・岡山市などの公表情報にもとづく一般的な解説です。制度の内容は変更される場合があります。居宅生活への移行や初期費用・家具什器費の支給は、担当の福祉事務所・ケースワーカーが判断します。審査の結果をお約束するものではありません。
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