親が認知症になると実家は売れない?岡山市で知る成年後見の話
「母が施設に入ったので、空いた実家を売って入居費用にあてたい」——岡山市でご相談を受けていて、よくうかがうお話です。
ところが、ここで思わぬ壁にぶつかることがあります。お母様の判断能力が低下している場合、お子さんであっても実家を売ることはできません。
「家族なのに?」と驚かれるかもしれません。でもこれは、ご本人の財産を守るための仕組みです。知らずに進めようとして、契約直前で止まってしまうケースが実際にあります。
この記事では、親御さんの判断能力が低下したときに実家がどうなるのか、そして2026年6月に成立した法改正で何が変わろうとしているのかを整理します。
不動産の売買には本人の意思能力が必要です。判断能力が十分でない状態で結んだ契約は、無効とされる可能性があります。子が親の代わりにサインすることもできません。
売却するには成年後見制度の利用が必要になります。しかも居住用不動産の処分には、家庭裁判所の許可が必要とされています。
申立てから選任までおおむね数か月。後見人には親族以外の専門職が選ばれることもあります。
2026年6月17日、成年後見制度を見直す民法等改正法が成立し、6月24日に公布されました。後見・保佐を廃止して補助に一元化し、必要がなくなれば終了できる仕組みになります。ただし施行は公布から2年6月を超えない範囲で政令で定める日とされており、2026年10月時点では施行されていません。
なぜ売れなくなるのか
不動産の売買契約は、法律行為です。契約の内容を理解し、結果を判断できる能力——意思能力——が、本人に求められます。
認知症などで判断能力が十分でない状態の方が結んだ契約は、無効とされる可能性があります。だからこそ、不動産会社も司法書士も、ご本人の意思確認を慎重に行います。
委任状があっても、その委任状を書いた時点で判断能力がなければ、委任自体が有効とは言えません。家族だから代理できる、という法律上の仕組みはないのです。
もし無理に進めれば、後から契約が無効と判断され、買主を巻き込む大きなトラブルになりかねません。
どの段階で問題になるか
| 場面 | 何が起きるか |
|---|---|
| 媒介契約 | 不動産会社との契約の段階で、本人の意思確認ができず進められない |
| 売買契約 | 本人が契約内容を理解できないと、契約を結べない |
| 決済・引渡し | 司法書士が本人確認と意思確認を行います。ここで止まるケースが最も多い |
実務では、決済直前で司法書士が「これは進められません」と判断することがあります。買主も段取りを組んでいますから、影響は小さくありません。早い段階での確認が大切です。
成年後見制度とは
判断能力が十分でない方を保護し、支援するための制度です。2026年10月時点では、次の3類型が運用されています。
| 類型 | 対象となる状態の目安 |
|---|---|
| 後見 | 判断能力が欠けているのが通常の状態 |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分 |
| 補助 | 判断能力が不十分 |
家庭裁判所に申立てを行い、医師の診断書などをもとに判断されます。選任された後見人等が、本人に代わって財産管理などを行います。
居住用不動産の売却には、家庭裁判所の許可が必要です
「居住用」には、現在住んでいる家だけでなく、過去に住んでいて将来戻る可能性がある家も含まれ得ると考えられています。施設に入所していても、実家が居住用不動産として扱われることがあるということです。
許可を得るには、売却が本人にとって必要であることを説明します。たとえば施設費用の捻出、医療費の確保といった事情です。「空き家で管理が大変だから」という家族側の事情だけでは、許可が得られるとは限りません。
手続きにかかる時間と費用
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 申立先 | 本人の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 申立てから選任まで | おおむね数か月(事案により変動) |
| 申立費用 | 収入印紙、郵便切手、登記手数料など。診断書・鑑定が必要な場合は別途 |
| 専門職が後見人になった場合の報酬 | 家庭裁判所が決定。本人が亡くなるまで毎年発生するのが一般的 |
| 居住用不動産の売却許可 | 選任後に別途申立て。さらに時間がかかります |
※費用や期間は事案により大きく異なります。具体的な見込みは家庭裁判所または弁護士・司法書士にご確認ください。
申立ての際に候補者を挙げることはできますが、決めるのは家庭裁判所です。財産が多い、親族間に意見の対立がある、不動産の処分が予定されているといった事情があると、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることがあります。
その場合、報酬が継続的に発生します。「実家を売るためだけに利用したい」と考えていても、現行制度では途中でやめることが原則としてできません。
2026年6月、制度が大きく見直されました
令和8年6月17日に「民法等の一部を改正する法律」(成年後見及び遺言の制度の見直し)が成立し、6月24日に公布されました。
成年後見制度については、次のような見直しが行われます。
- 後見・保佐を廃止し、補助に一元化——本人に必要な行為について代理権・取消権を付与する形に
- 必要な範囲での利用——代理権や同意権は、本人の同意と必要性を要件に、特定の行為ごとに審判で付与されます
- 終了できる仕組み——利用の必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば、申立てまたは職権で終了できます
- 本人の意思の尊重——補助人の選任時は本人の意見が冒頭の考慮要素とされます
- 死後事務——火葬・埋葬の契約などが可能になります
- 経過措置——現在利用中の後見・保佐は取消しの申立てができ、補助へ移行するか既存制度を継続するかを選べます
施行日は「公布から2年6月を超えない範囲内で政令で定める日」とされており、2026年10月時点ではまだ施行されていません。
現行制度で利用をためらわせていた大きな理由のひとつが、「一度始めると、本人が亡くなるまで続く」という点でした。改正後は、必要がなくなれば終了できる仕組みになります。
また「必要な範囲で」利用する形になるため、「実家の売却だけのために、財産全体の管理を委ねることになる」という負担感も、変わっていく可能性があります。
ただし施行はこれからです。具体的な運用は今後定まる部分も多く、現時点で確定的なことは言えません。実際に利用を検討する際は、必ず弁護士・司法書士にその時点の最新情報をご確認ください。
いちばん大事なこと|元気なうちにしか選べない選択肢があります
ここまで読んで、「大変そうだ」と感じられたと思います。ただ、この記事でいちばんお伝えしたいのはそこではありません。
| 方法 | 内容 | いつまでに |
|---|---|---|
| 任意後見契約 | 将来に備えて、支援してほしい人と支援内容を自分で決めておく。公正証書で作成 | 判断能力があるうち |
| 家族信託 | 財産の管理を信頼できる家族に託す契約。認知症になっても受託者が管理・処分できる | 判断能力があるうち |
| 元気なうちに売却 | 本人の意思で売る。いちばんシンプルで確実 | 判断能力があるうち |
| 成年後見 | 判断能力が低下してから利用する制度 | 低下後 |
上の3つは、すべて「元気なうち」でなければ選べません。そして、親御さんが元気なうちは「まだ早い」と感じるものです。この時間差が、空き家問題の根っこにあります。
親御さんが施設に入られた、長期入院されたというタイミングで、実家は空き家になります。この時点でご本人の意思がまだはっきりしているなら、選択肢は広く残っています。
逆に、そこから数年そのままにしているうちに判断能力が低下し、売れなくなる——これが、実務で最もよく見る流れです。
よくある質問
- Q. 親が認知症になると、実家は本当に売れなくなりますか?
- A. 判断能力が十分でない状態では、本人が有効に売買契約を結べません。子が代わりに契約することもできないため、売却するには成年後見制度の利用が必要になります。さらに居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要とされています。
- Q. 子が委任状をもらっておけば大丈夫ですか?
- A. 委任状を書いた時点で判断能力が十分でなければ、委任自体が有効とは言えません。判断能力があるうちに任意後見契約や家族信託といった備えをしておく方法はありますが、いずれも専門家への相談が必要です。
- Q. 成年後見人には家族がなれますか?
- A. 申立ての際に候補者を挙げることはできますが、選任するのは家庭裁判所です。不動産の処分が予定されている場合や親族間に意見の相違がある場合などは、弁護士・司法書士といった専門職が選ばれることがあります。
- Q. 実家を売るためだけに成年後見を使って、終わったらやめられますか?
- A. 現行制度では、原則として本人の判断能力が回復しない限り途中でやめることはできません。ただし2026年6月に成立・公布された改正法では、利用の必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば終了できる仕組みが設けられます。施行は公布から2年6月を超えない範囲内で政令で定める日とされ、2026年10月時点では未施行です。
- Q. 施設に入っているので「居住用」ではないのでは?
- A. 現在住んでいなくても、過去に住んでいて将来戻る可能性がある建物は居住用不動産として扱われ得ると考えられています。自己判断せず、弁護士・司法書士にご確認ください。
- Q. 岡山市外(倉敷市・玉野市・瀬戸内市など)でも同じですか?
- A. 成年後見制度は全国共通の仕組みです。申立先は本人の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
親御さんがお元気なうちに、一度だけ話しておきませんか
私たちは弁護士でも司法書士でもありませんので、成年後見や契約の法的な判断を行う立場にはありません。必要な場面では専門家をご紹介します。
ただ、その手前でお手伝いできることがあります。実家が今いくらで売れそうなのか。貸すとしたらいくらか。持ち続けると年間いくらかかるのか。この数字がないまま「どうしようか」と話しても、家族の話し合いは前に進みません。
ミニクルホームは、JR岡山駅西口から徒歩7分の奉還町にある不動産会社です。売買仲介・賃貸仲介から空き家の管理・活用まで対応しており、「親が施設に入って実家が空いた」「まだ売るとは決めていない」という段階からのご相談を数多くお受けしています。
急かすことはいたしませんし、無理に売却をおすすめすることもありません。ご家族で話す材料として、まず数字をお持ちください。
LINEで相談する(無料) 電話で相談する 086-239-3296
株式会社ミニクルホーム
岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号(JR岡山駅西口 徒歩7分)
TEL:086-239-3296
※本記事は民法および法務省の公表情報、当社の実務経験にもとづき、一般的な考え方を整理したものです(2026年10月時点)。当社は法律事務所ではなく、個別の法律判断を行う立場にはありません。2026年6月24日に公布された民法等改正法(令和8年法律第45号)の施行日は公布から2年6月を超えない範囲内で政令で定める日とされており、本記事の執筆時点では施行されていません。具体的な運用や経過措置の扱いは今後定まる部分があります。成年後見制度の利用、任意後見契約、家族信託については必ず弁護士・司法書士にご相談ください。手続きの詳細は本人の住所地を管轄する家庭裁判所へお問い合わせください。
CUSTOMER VOICE
お客様の声
Googleマップへ寄せられたミニクルホームのお客様の声を、 プライバシーに配慮して一部抜粋・匿名化してご紹介します。
※Googleマップに投稿された口コミの一部を、 意味を変えない範囲で抜粋・匿名化して掲載しています。 口コミは個人の感想です。
LINEで事前相談
電話で相談する
tel:0862393296
株式会社ミニクルホーム
住所:岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号
電話番号:
tel:0862393296
不動産探し・お部屋探しでのご相談はこちらからどうぞ
岡山県知事(3)第5473号
会社概要
株式会社ミニクルホーム
業務内容:
売買仲介・賃貸仲介・管理・賃貸空室対策コンサルタント・内装リフォーム保険代理店
住所:岡山県岡山市北区奉還町二丁目19番14号
JR岡山駅西口徒歩7分
FAX :086-239-3323
メールアドレス:minikuru@bc.wakwak.com
しかける賃貸満室マン 城井 仁 (しろい ひとし)
LINEで事前診断





