「お金の管理が苦手で、家賃を払い忘れてしまわないか心配」
「最近、物忘れが増えて、通帳をどこに置いたか分からなくなることがある」
「親がお金の管理をしてくれていたけれど、これからはひとりでやらなければならない」
部屋を借りるとき、家賃を毎月きちんと払えるかどうかは、大家さんにとっても、借りる本人にとっても、いちばん大切なことです。でも、お金の管理に不安があると、「自分には一人暮らしは無理なのでは」と感じてしまうかもしれません。
そんなときに頼れるのが、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」です。家賃や公共料金の支払いの手続き、預貯金の出し入れ、通帳などの大切な書類の保管を手伝ってもらえる仕組みで、岡山市では岡山市社会福祉協議会が行っています。
この記事では、日常生活自立支援事業の内容と岡山市での利用料、家賃の支払いへの使い方、賃貸の審査や契約で知っておきたいこと、そして成年後見制度との違いを整理します。
結論|お金の管理を「仕組み」で支えれば、一人暮らしは続けられる
- どんな制度か:社会福祉協議会が本人との契約にもとづき、福祉サービスの利用、日常のお金の管理、大切な書類の保管を手伝う
- 家賃にも使える:家賃や公共料金の支払いの手続き、生活費の払い出しを手伝ってもらえる
- 岡山市の窓口:岡山市社会福祉協議会 権利擁護センター(電話 086-225-4051)
- 利用料:お金の管理などは1時間あたり1,100円(生活保護を受けている方は無料)、書類の預かりは年間5,000円
- 利用できる人:判断する力に不安がある方。障害者手帳や要介護認定の有無は問わない。契約の内容を理解できることが条件
- 生活保護の方:家賃は代理納付、共益費や生活費の管理は日常生活自立支援事業、と組み合わせると安心
- 注意点:保証人になる制度ではない。賃貸の契約は本人が結ぶ
日常生活自立支援事業とは
日常生活自立支援事業は、判断する力に不安がある方が、地域で自立した暮らしを続けられるように、社会福祉協議会が支援する事業です。社会福祉協議会と本人が契約を結んでから支援が始まります。岡山市では、パンフレット「あんしんおてつだい」で案内されています。
3つのサービス
① 福祉サービスの利用援助
福祉サービスの情報提供や相談、利用の手続き、郵便物の確認、行政の手続きなどを手伝います。住まいを借りることについての情報提供や相談も含まれます。
② 日常的な金銭管理
預貯金の出し入れ、家賃や公共料金、医療費、税金などの支払いの手続き、年金や手当の受け取りの手続きなどを手伝います。
③ 書類などの預かり
年金証書や預貯金の通帳など、大切な書類を安全な場所で預かります。
これらの支援は、生活支援員が自宅を訪問して行います。「代わりに全部やってもらう」というより、本人ができることは本人が行い、苦手なところを一緒に手伝ってもらう仕組みです。
岡山市で利用できる人
岡山市社会福祉協議会では、次のすべてに当てはまる方を対象としています。
- 判断する力が十分でない方:認知症の高齢の方、知的障害のある方、精神障害のある方など。要介護認定や障害者手帳の有無は問いません
- このサービスを使いたいという意思がある方
- 契約の内容を理解できる方
認知症や障害などにより、契約の内容を理解することが難しい場合は、この事業の契約は結べません。その場合は、成年後見制度などを利用することになります。
岡山市での利用料
| サービス | 利用料 |
|---|---|
| ① 福祉サービスの利用援助 ② 日常的な金銭管理 |
1時間あたり1,100円 (生活保護を受けている方は無料) |
| ③ 書類などの預かり | 年間5,000円 |
| 生活支援員の交通費 | 別途、実費 |
利用料は最新の情報をご確認ください
表は岡山市社会福祉協議会が公表している内容をもとにしています。利用料や対象は変わることがあるため、実際の利用料は、岡山市社会福祉協議会にご確認ください。契約を結ぶまでの相談は無料で行われるのが一般的です。
お金の管理に不安があっても、部屋探しはできます
家賃の払い方や支援の体制も含めて、
大家さんに安心してもらえる進め方を一緒に考えます。
営業時間 10:00〜18:00/定休日 水曜日・不定休
家賃の支払いに、どう使えるか
家賃の払い方は、収入の種類によって組み立て方が変わります。日常生活自立支援事業は、ほかの仕組みと組み合わせることで力を発揮します。
生活保護を受けている方|代理納付と組み合わせる
生活保護を受けている場合、家賃は福祉事務所から大家さんへ直接支払う代理納付を利用できることがあります。家賃はこれで確実に払えるので、日常生活自立支援事業は、共益費や光熱費の支払い、毎月の生活費の管理に使う、という役割分担がしやすくなります。生活保護を受けている方は、お金の管理などの利用料が無料です。
年金や工賃、給料で暮らしている方|口座振替と組み合わせる
代理納付は生活保護の仕組みなので、年金や給料などで暮らしている方は使えません。その場合は、家賃を口座振替(自動引き落とし)にして、日常生活自立支援事業で口座のお金の管理を手伝ってもらうのが基本の形です。たとえば、生活支援員と一緒に生活費の払い出しを計画的に行うことで、家賃の引き落とし日に残高が足りなくなるのを防ぎやすくなります。
振り込みが必要な場合
物件によっては、家賃を毎月振り込む必要があることもあります。家賃の支払いの手続きも、日常的な金銭管理の手伝いの対象です。ただ、払い忘れを防ぐ意味では、できるだけ口座振替や代理納付が使える物件を選ぶのが安心です。部屋探しの段階で、不動産会社に支払い方法を確認しておきましょう。
賃貸の審査・契約で知っておきたいこと
金銭管理の支援があることは、安心材料になる
大家さんがいちばん気にするのは、家賃を毎月きちんと払ってもらえるかどうかです。社会福祉協議会の金銭管理の支援を受けていることや、家賃の払い方が仕組みとして整っていることは、大家さんにとって大きな安心材料になります。障害や病気のことをどこまで伝えるかは、本人と支援者で相談して決めて大丈夫です。
保証人になる制度ではない
日常生活自立支援事業は、お金の管理などを手伝う仕組みで、連帯保証人になる制度ではありません。家賃保証会社の利用は、通常どおり必要になることがあります。緊急連絡先についても、誰にお願いするかは別に考える必要があります。支援者や不動産会社と相談しながら決めましょう。
賃貸の契約は、本人が結ぶ
賃貸の契約は、住む本人が結ぶのが基本です。内容を理解しにくいときは、家族や支援者に同席してもらう、分かりやすい言葉で説明してもらう、といった方法があります。生活保護を受けている方は、契約はケースワーカーの確認を受けてから結ぶのが原則です。ケースワーカーは、制度の中で使える道を一緒に探してくれる相手です。
利用を始めるまでの流れ
ステップ1|相談する
岡山市社会福祉協議会の権利擁護センターに相談します。本人だけでなく、家族やケースワーカー、相談支援専門員、ケアマネジャーなどの支援者から相談することもできます。
ステップ2|担当者が訪問して話を聞く
社会福祉協議会の担当者が自宅などを訪問し、暮らしの様子や困っていることを聞きます。
ステップ3|支援の内容を一緒に決める
どんな手伝いが必要か、どのくらいの頻度で訪問するかなどを、本人と一緒に決めていきます。
ステップ4|契約を結ぶ
内容に納得したら、社会福祉協議会と契約を結びます。
ステップ5|生活支援員による支援が始まる
生活支援員が定期的に訪問し、お金の管理や手続きを手伝います。
相談してから実際に支援が始まるまでには、時間がかかることがあります。引っ越しを考えているなら、部屋探しと同時に、あるいは少し早めに相談を始めておくと、入居のタイミングに合わせやすくなります。なお、岡山市の外へ引っ越す場合は、引っ越し先の市町村の社会福祉協議会が窓口になります。
成年後見制度との違い
お金の管理を支える制度には、成年後見制度もあります。どちらが合っているかは、判断する力の程度や、必要な支援の範囲によって変わります。
| 項目 | 日常生活自立支援事業 | 成年後見制度 |
|---|---|---|
| 始め方 | 社会福祉協議会と本人が契約 | 家庭裁判所に申し立て、後見人などが選ばれる |
| 対象 | 判断する力に不安があるが、契約の内容は理解できる方 | 判断する力が不十分で、その程度に応じて支援が必要な方 |
| 支援の範囲 | 日常のお金の管理、福祉サービスの利用手続き、書類の預かり | 財産の管理や契約など、より広い範囲 |
| 契約の取り消し | 取り消す権限はない | 類型に応じて、取り消せる場合がある |
日常生活自立支援事業を利用していても、判断する力が低下して契約の内容を理解することが難しくなった場合は、成年後見制度に移ることを検討します。どちらが合っているかは、社会福祉協議会や相談支援専門員、ケアマネジャーなどに相談してください。
具体例でイメージしてみます
例1|70代・年金で暮らす単身の方・物忘れが増えてきた
家賃:口座振替に設定
支援:生活支援員が月2回訪問し、生活費の払い出しと郵便物の確認を一緒に行う
利用料:1回1時間なら、1,100円 × 月2回 = 月2,200円ほど(交通費は別途実費)
→ 家賃の引き落とし日に残高が足りなくなる心配が小さくなる
例2|40代・知的障害のある方・生活保護を受けている
家賃:代理納付で、福祉事務所から大家さんへ直接支払い
共益費・光熱費:口座振替
支援:生活支援員が定期的に訪問し、生活費を計画的に受け取れるよう手伝う
利用料:お金の管理などは生活保護を受けているため無料
→ 家賃と生活費の両方が、仕組みで支えられる形になる
数字はあくまで考え方の例です
訪問の回数や時間、書類の預かりを利用するかどうかで、利用料は変わります。実際の支援内容と利用料は、岡山市社会福祉協議会にご確認ください。代理納付の利用は、担当のケースワーカーにご確認ください。
気をつけたいこと
相談してすぐに始まるとは限らない
引っ越しの予定があるなら、早めに相談を始めておきましょう。
支援の範囲を知っておく
日常のお金の管理が中心で、大きな財産の管理などは対象外です。
本人の意思が中心
お金の使い方は、本人の希望を大切にしながら決めていきます。家族や支援者が一方的に決めるものではありません。
家賃の払い方は、物件選びの段階で決める
口座振替や代理納付が使えるかどうかを、契約の前に不動産会社に確認しておきましょう。
よくあるご質問
Q1. 日常生活自立支援事業とは何ですか?
判断する力に不安がある方が地域で自立した暮らしを続けられるよう、社会福祉協議会が本人との契約にもとづいて、福祉サービスの利用援助、日常のお金の管理、大切な書類の預かりを手伝う事業です。岡山市では岡山市社会福祉協議会が行っています。
Q2. 日常生活自立支援事業で家賃の支払いを手伝ってもらえますか?
日常的な金銭管理のサービスには、家賃や公共料金などの支払いの手続きが含まれます。年金や給料で暮らしている方は家賃を口座振替にして口座の管理を手伝ってもらう、生活保護を受けている方は代理納付と組み合わせる、といった使い方が考えられます。
Q3. 岡山市での利用料はいくらですか?
岡山市社会福祉協議会の案内では、福祉サービスの利用援助と日常的な金銭管理は1時間あたり1,100円で、生活保護を受けている方は無料です。書類などの預かりは年間5,000円、生活支援員の交通費は別途実費とされています。最新の利用料は岡山市社会福祉協議会にご確認ください。
Q4. 障害者手帳がなくても利用できますか?
岡山市社会福祉協議会の案内では、要介護認定や障害者手帳の有無は問わないとされています。判断する力に不安があり、サービスを使いたいという意思があり、契約の内容を理解できる方が対象です。
Q5. 社会福祉協議会が保証人になってくれますか?
日常生活自立支援事業は、お金の管理などを手伝う仕組みで、連帯保証人になる制度ではありません。家賃保証会社の利用や緊急連絡先は、別に考える必要があります。ただ、金銭管理の支援を受けていることは、大家さんにとって安心材料になります。
Q6. 成年後見制度とはどう違いますか?
日常生活自立支援事業は社会福祉協議会との契約で始まり、契約の内容を理解できる方が対象で、日常のお金の管理が中心です。成年後見制度は家庭裁判所が後見人などを選び、判断する力の程度に応じて、財産の管理や契約など、より広い範囲を支えます。どちらが合うかは社会福祉協議会などに相談してください。
まとめ
- 日常生活自立支援事業は、社会福祉協議会が日常のお金の管理などを手伝う事業
- 家賃や公共料金の支払いの手続きも、手伝いの対象になる
- 岡山市では岡山市社会福祉協議会 権利擁護センター(086-225-4051)が窓口
- 利用料は1時間1,100円(生活保護の方は無料)、書類の預かりは年5,000円
- 障害者手帳や要介護認定の有無は問わない。契約の内容を理解できることが条件
- 生活保護の方は代理納付、年金などの方は口座振替と組み合わせると安心
- 保証人になる制度ではなく、賃貸の契約は本人が結ぶ
- 支援が始まるまで時間がかかることがあるので、引っ越し前に早めに相談を
お金の管理が苦手なことは、一人暮らしをあきらめる理由にはなりません。支払いの仕組みを整え、手伝ってくれる人とつながっておく。それだけで、住まいはずっと安定します。そしてその体制は、大家さんにとっても安心して部屋を貸せる理由になります。
お金のことで手伝ってもらうことに、恥ずかしさや抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。でも、得意なことと苦手なことは、誰にでもあります。苦手なことを手伝ってもらいながら、自分らしい暮らしを続けることは、立派な自立のかたちです。ご家族の方も、「自分が管理しなければ」と抱え込まず、こうした仕組みを頼ってください。助けを借りることは、自立をあきらめることではありません。
支払いの仕組みまで考えた部屋探し、ご相談ください
ミニクルホームは、岡山市北区・中区・南区・東区を中心に、高齢の方、障害のある方、生活保護を受給されている方のお部屋探しをお手伝いしている不動産会社です。
「お金の管理に不安があるけれど、一人暮らしをしたい」「口座振替や代理納付が使える物件を探したい」「社会福祉協議会の支援を受けていることを、大家さんにどう伝えればいいか知りたい」——どの段階でも大丈夫です。ご家族や支援者の方とご一緒のご相談も歓迎します。
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※ 日常生活自立支援事業の内容・利用料は、岡山市社会福祉協議会の公表内容をもとにした記事作成時点の整理です。実際の利用については岡山市社会福祉協議会(権利擁護センター 086-225-4051)にご確認ください。
※ 生活保護の扱いや代理納付は担当のケースワーカー・お住まいの区の福祉事務所に、成年後見制度は専門の相談窓口にご確認ください。入居の可否は、大家さん・家賃保証会社の審査によります。
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