「もし入居者が部屋で亡くなってしまったら、残された荷物はどうすればいいのだろう」
高齢の単身の方の受け入れを検討する岡山市のオーナーから、よく聞かれる不安のひとつです。「勝手に処分してもいいのか」「相続人が見つからなかったらどうなるのか」——考え始めると、次から次へと疑問が出てくるテーマだと思います。
この記事では、残置物の法律上の基本的な考え方と、国が示している「モデル契約条項」の仕組み、そして岡山の賃貸実務でどう運用されているかを整理します。
この記事は、個別の法的判断や交渉の代理を行うものではありません。 実際のトラブル対応や契約書の作成にあたっては、弁護士や司法書士など専門家への確認をおすすめします。
まず押さえておきたい、残置物の基本的な考え方
入居者が亡くなった場合、お部屋に残された家財道具(残置物)は、法律上、亡くなった方の相続財産にあたります。そのため、オーナーが独自の判断で勝手に処分してしまうと、あとから現れた相続人との間でトラブルになるおそれがあります。連帯保証人がいる場合でも、保証人に残置物を処分する権限が当然にあるわけではありません。
「早く原状回復して次の入居者を募集したい」というオーナーの気持ちは自然なものですが、残置物の扱いは、相続のルールに沿って進める必要がある、というのが基本の考え方です。
国が示す「残置物の処理等に関するモデル契約条項」とは
こうした不安に対応するため、国土交通省と法務省は、単身高齢者等の入居拒否を減らすことを目的として、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しています。
このモデル契約条項は、大きく2つの委任契約から成り立っています。
①賃貸借契約の解除に関する委任契約
入居者が亡くなった際に、あらかじめ定めた受任者が、賃貸借契約を解除できるようにしておく契約です。
②残置物の処理に関する委任契約
入居者が亡くなった際に、受任者が残置物を整理・処分できるようにしておく契約です。一定の保管期間を設けたうえで、換価(売却)や廃棄の手続きを進める仕組みが想定されています。
この2つは、同じ受任者にまとめて依頼することも、別々の受任者に分けて依頼することもできます。受任者には、推定相続人のほか、相続人の有無や所在が明らかでない場合には、居住支援法人が担うケースも想定されています。
重要なポイントとして、このモデル契約条項自体は、法令で義務づけられたものではありません。あくまで「活用が推奨されている」ひな形です。ただし、2025年10月に施行された改正住宅セーフティネット法により、居住支援法人が残置物処理の業務を行う場合には、このモデル契約条項の活用が基本とされるという位置づけになっています。
岡山の賃貸実務では、どう運用されているか
岡山市内の賃貸現場でも、高齢の単身の方を受け入れる際に、この委任契約をあらかじめ結んでおくケースが少しずつ増えてきています。特に、身寄りが少ない方や、推定相続人との関係が薄い方については、入居時点で「万が一のときの手続き」を明確にしておくことで、オーナー・入居者双方の安心材料になるという声を聞くことが増えました。
一方で、この契約はあくまで「入居者本人の意思にもとづいて」結ぶものであり、オーナー側が一方的に押しつけられるものではありません。契約の締結にあたっては、入居者本人の理解と同意が前提になります。実務では、居住支援法人やケースワーカーが間に入り、入居者にとって無理のない形で説明・締結が進められることが多いというのが実感です。
また、この契約を結んでいない状態で入居者が亡くなった場合は、相続人の調査・連絡から始める必要があり、相続人が見つからない、または相続放棄が行われた場合には、家庭裁判所への相続財産清算人の選任申立てなど、より時間と手間のかかる手続きが必要になることがあります。
こんなときはどうなる?よくあるケース
相続人が見つからない場合
モデル契約条項にもとづく委任契約があれば、受任者が手続きを進められます。契約がない場合は、家庭裁判所での手続きが必要になることがあり、時間がかかる傾向があります。
相続人はいるが、関わりたくないと言われた場合
相続放棄の手続きが取られることもあります。この場合も、オーナーの独自判断での処分は避け、専門家に相談しながら進めることが望ましいとされています。
孤独死保険に加入している場合
残置物の処分費用や原状回復費用の一部が保険でカバーされることがありますが、処分の手続きそのものを代行してくれるとは限らないため、契約内容の確認が必要です。
よくある質問
入居者が亡くなったら、荷物はすぐに処分してもいいですか?
すぐに処分することはおすすめできません。残置物は法律上、相続財産にあたるため、相続人の意向を確認せずに処分すると、あとからトラブルになるおそれがあります。モデル契約条項にもとづく委任契約があれば、受任者の判断で手続きを進めることができます。
モデル契約条項は、必ず結ばなければいけないものですか?
法令上の義務ではありません。ただし、単身高齢者の受け入れにあたっての不安を軽減する手段として、活用が推奨されています。改正住宅セーフティネット法により、居住支援法人が関わる場合は活用が基本とされています。
契約は誰が用意すればいいですか?
入居者本人と受任者となる方との間で結ぶ契約です。オーナーが直接の当事者になるものではありませんが、契約の存在や内容を把握しておくことは、いざというときの対応をスムーズにします。締結のサポートについては、居住支援法人やケースワーカー、専門家にご相談いただくのがよいでしょう。
家族と疎遠な入居者の場合、特に気をつけることはありますか?
推定相続人が明らかでない、または関係が薄い場合は、居住支援法人を受任者とする選択肢が想定されています。入居前の段階で、こうした体制が整えられるかどうかを確認しておくと、双方の安心材料になります。
まとめ
入居者が亡くなったあとの残置物の扱いについて、整理しました。
- 残置物は法律上、相続財産にあたり、オーナーの独自判断での処分は避ける
- 国は「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を示しており、解除委任・残置物処理委任の2つの契約から構成される
- 受任者には推定相続人のほか、居住支援法人が担うケースも想定されている
- 法令上の義務ではないが、改正住宅セーフティネット法により活用が基本とされる場面もある
- 契約がない場合は、相続人調査や家庭裁判所での手続きなど、時間のかかる対応が必要になることがある
あらかじめ備えておくことで、オーナーにとっても入居者にとっても、安心材料になります。
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【ご注意】 本記事は、残置物処理に関する制度の一般的な仕組みを整理したものであり、個別の法的判断や交渉の代理を行うものではありません。契約書の作成・締結や、実際のトラブル対応については、弁護士・司法書士等の専門家にご確認・ご依頼ください。当社は宅地建物取引業者であり、法的判断の主体とはなりません。
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| 業務内容 | 賃貸仲介/売買仲介/賃貸管理/空室対策のご相談/不動産投資のご相談/内外装リフォーム・リノベーション/古民家再生/空き家管理・空き家対策のご相談/保険代理店 |
| 対応エリア | 岡山市(北区・中区・南区・東区)、倉敷市、玉野市、瀬戸内市、備前市、総社市 ほか |
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