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「高齢になると賃貸は借りにくい」
そう感じる人は少なくありません。

実際、国土交通省は、高齢者などの住宅確保要配慮者について、民間賃貸住宅への入居が難しくなりやすい現実を前提に、住宅セーフティネット制度を整えています。制度見直しの資料でも、単身高齢者などに対する大家の拒否感は大きく、その背景には孤独死や死亡後の残置物処理など、入居後の課題への不安があると整理されています。さらに、2023年の住宅・土地統計調査の速報では、全国の空き家は約900万戸、そのうち賃貸用は約443万戸ある一方で、要配慮者の入居は進みにくい状況が示されています。

つまり、高齢者の部屋探しが難しくなる理由は、単純に「空き物件が少ないから」ではありません。
身体的な不安、収入の減少、孤独死リスクへの懸念が、貸主側の「貸した後の不安」につながり、そこで初めて見えない“年齢の壁”が生まれやすいのです。


目次

高齢者が賃貸で敬遠されやすい理由

国土交通省の資料では、高齢者の入居拒否の理由として、居室内での死亡事故等への不安が約9割にのぼると示されています。加えて、大家側は見守りや入居後のトラブル相談を求める傾向があるとされていて、問題は「高齢だから」そのものというより、一人で住み続ける中で何かあったときに対応できるかに集中しています。

この背景には、次のような不安があります。

身体的な衰えが進んだときに、日常生活を維持できるのか。
年金中心の生活で、家賃を長く払い続けられるのか。
一人暮らしで亡くなった場合、発見が遅れたり、部屋の原状回復や残置物処理が大きな負担になるのではないか。

こうした不安が積み重なって、貸主が「できれば別の入居者にしたい」と考えやすくなります。これは感情論だけではなく、国の制度見直しでも正面から課題として扱われています。


「年齢の壁」で特に見られやすいポイント

家賃を継続して払えるか

高齢者の審査でまず見られるのは、毎月の支払いが無理なく続くかどうかです。年金や仕送りなど安定収入があっても、家賃が高すぎると不安視されやすくなります。生活保護制度の概要資料でも、最低生活費から年金等の収入を差し引いて保護費を算定する仕組みが示されていて、住まいの維持には家賃負担の現実性が重要だと分かります。

緊急連絡先や支援者がいるか

高齢者の一人暮らしでは、緊急時に誰と連絡が取れるのかがかなり重視されます。大家の不安が「死亡事故等」や入居後のトラブル対応に向いている以上、連絡先や支援者の存在は大きな安心材料になります。居住支援法人は、物件紹介だけでなく、見守りや相談も担う存在として制度上位置づけられています。

見守りや生活支援につながれるか

国は、大家と要配慮者の双方が安心して利用できる市場環境の整備を打ち出しており、入居中のサポートが重要な柱になっています。全国で800を超える居住支援法人が指定され、物件紹介だけでなく、入居後の見守りや相談を行う体制が広がっています。


高齢者の部屋探しで困りやすい典型例

高齢者が部屋探しで苦戦しやすいのは、次のようなケースです。

年金収入に対して家賃が高い物件を希望している。
保証人や緊急連絡先を頼める人がいない。
体調面や通院状況を踏まえた支援体制がない。
一般的な賃貸サイトだけで探していて、制度住宅や支援制度を使っていない。

こうした条件が重なると、物件自体はあっても「審査で止まる」ことが増えます。高齢者本人からすると理不尽に感じやすいですが、貸主側は入居後リスクを総合的に見ているため、通常の若年層とは審査の見られ方が違うのが現実です。


それでも高齢者が賃貸を借りるためにできること

高齢だから借りられない、と決めつける必要はありません。
実際、国はその壁を下げるために複数の制度を用意しています。

住宅セーフティネット制度を使う

住宅セーフティネット制度は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度改修や入居者への経済的支援入居支援の3本柱で成り立っています。高齢者はまさにこの制度の対象で、一般物件だけでなく、こうした登録住宅を探す発想が大切です。

サービス付き高齢者向け住宅を検討する

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者単身・夫婦世帯が安心して住める賃貸等の住宅で、バリアフリーに加えて、状況把握サービス生活相談サービスが必須です。日中はケアの専門家が常駐する仕組みもあり、貸主側の不安が大きい「孤立」や「緊急時対応」を補いやすいのが強みです。2024年12月末時点で全国約28.9万戸が登録されています。

家賃設定を現実的にする

これは制度ではありませんが、かなり大事です。
設備や立地条件を優先しすぎると家賃が上がり、審査のハードルも上がります。高齢者の部屋探しでは、まず通りやすい家賃帯に寄せることが現実的です。これは、貸主が家賃継続性を重視している以上、とても効果の大きい考え方です。

支援者や見守り体制を整理しておく

親族、ケアマネジャー、福祉職、見守りサービス、居住支援法人など、入居後に支えとなる人や仕組みを事前に整理しておくと、審査上の安心材料になります。制度見直しの背景でも、見守りや相談対応を求める大家が多いことが明示されています。


生活保護も住まい維持の現実的な支えになる

高齢者の中には、年金だけでは生活費や家賃をまかなえない人もいます。厚生労働省の資料では、生活保護は最低生活費から収入を差し引いた差額を支給する制度で、収入には年金等も含まれます。つまり、年金があるだけで対象外になるわけではありません。さらに、生活保護には住宅扶助医療扶助介護扶助があり、家賃や医療・介護の負担が重い高齢者にとっては、住まいを維持するための重要な支えになりえます。


まとめ

高齢者が部屋探しで困る大きな理由は、
身体的な不安
収入の減少
孤独死リスクへの懸念
が、貸主側の敬遠につながりやすいからです。これは感覚ではなく、国の制度見直しでも、大家の拒否感や死亡事故等への不安が大きな課題として明示されています。

ただし、年齢の壁は絶対ではありません。
住宅セーフティネット制度、居住支援法人、サービス付き高齢者向け住宅、生活保護の住宅扶助など、使える仕組みを組み合わせることで、選択肢は確実に広がります。大切なのは、一般的な賃貸探しだけで終わらせず、「支援をつけて住める形」に切り替えることです。

高齢者の部屋探しで不安がある方は、一人で抱え込まず早めに相談することが大切です。
年齢だけで決まるわけではなく、家賃、支援体制、見守り、制度の使い方で結果は変わります。
今の状況を整理しながら、無理のない住まい探しの進め方を考えていきましょう。

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