老後の生活に不安を感じている高齢者の方は少なくありません。
「年金だけでは足りない」
「家賃や医療費が重い」
「身寄りがなく、この先どう暮らせばいいかわからない」
こうした悩みを抱えたとき、最後の支えになる制度のひとつが生活保護です。
生活保護というと、「本当に何もない人しか受けられない」「高齢者は申請しにくい」「家族に迷惑がかかる」といったイメージを持たれがちです。ですが、厚生労働省は生活保護について、申請は国民の権利であり、必要な方はためらわず相談してほしいと案内しています。さらに、現在の被保護世帯のうち高齢者世帯は55.0%を占めており、高齢者にとって生活保護は現実に利用されている制度です。
この記事では、高齢者の老後が生活保護でどこまで救済されるのか、受けられる支援、申請の流れ、知っておきたい注意点までわかりやすく解説します。
目次
高齢者の老後は生活保護で救済されるのか
結論からいうと、老後の生活が立ち行かなくなった高齢者は、条件に当てはまれば生活保護で救済されます。生活保護は、最低限度の生活を保障し、自立を助けるための制度です。保護費は、国が定める最低生活費から年金や仕送りなどの収入を差し引いた不足分が支給される仕組みです。つまり、年金を受け取っていても、その額だけでは生活できない場合は、差額分を生活保護で補う考え方になります。
高齢になると、若い頃のように働いて収入を増やすことが難しくなります。加えて、病気や通院、介護、住まいの問題も重なりやすく、生活は一気に不安定になりがちです。そうした状況に対応するため、生活保護には生活費だけでなく、家賃、医療、介護などを支える仕組みが用意されています。
生活保護で受けられる支援とは
生活保護で受けられる支援は、単純に「お金がもらえる制度」ではありません。生活を維持するために必要な費用ごとに扶助が分かれています。厚生労働省は、主な扶助として生活扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、教育扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助を案内しています。
生活費の支援
食費、被服費、光熱水費など、日常生活に必要な費用は生活扶助として支給されます。基準額は年齢や世帯人数などを踏まえて計算されます。冬の寒さが厳しい地域では冬季加算が支給される仕組みもあります。
家賃の支援
アパートなどの家賃は住宅扶助として、定められた範囲内で実費支給されます。高齢者にとって住まいの確保は大きな問題なので、この住宅扶助は老後の生活再建にとても重要です。
医療費の支援
病院にかかる費用は医療扶助の対象で、厚生労働省は費用が直接医療機関へ支払われ、本人負担なしと案内しています。高齢者は通院や持病の治療が増えやすいため、この支援の意味はかなり大きいです。
介護サービスの支援
介護サービスの費用は介護扶助として支給され、費用は直接介護事業者へ支払われます。介護が必要になった高齢者にとって、生活を維持する大切な支えになります。
どんな高齢者が生活保護の対象になるのか
生活保護は、単に高齢だから受けられる制度ではありません。収入や資産、利用できる制度などを確認したうえで、それでも最低生活費に足りない場合に対象となります。厚生労働省は、申請後の調査として、生活状況の確認、預貯金や保険、不動産などの資産調査、年金などの収入調査、扶養の可否の調査、就労可能性の調査を行うと案内しています。
たとえば、次のようなケースでは生活保護の対象になる可能性があります。
-
年金だけでは家賃や生活費を払えない
-
貯金をほとんど使い果たしている
-
持病があり医療費の負担が重い
-
一人暮らしで家族の援助が受けられない
-
介護が必要で生活費が足りない
大事なのは、「高齢者だから無理」と決めつけないことです。実際に高齢者世帯は生活保護利用世帯の過半数を占めています。
よくある誤解|年金があると生活保護は受けられない?
これはよくある誤解です。
年金を受給していても、それだけで最低生活費を満たせなければ生活保護の対象になることがあります。生活保護は「無収入の人だけ」の制度ではなく、足りない分を補う制度だからです。厚生労働省も、保護費は最低生活費から年金や就労収入などを差し引いた額を支給すると示しています。
たとえば、年金が月に入っていても、家賃、食費、光熱費、通院費などをまかなえず赤字になる場合は、生活保護の相談対象になりえます。特に高齢の単身世帯では、家賃負担が重く、年金だけで暮らすのが難しいケースは珍しくありません。高齢者世帯のうち、単身世帯が大半を占めていることも厚生労働省の統計で示されています。
高齢者が生活保護を申請する流れ
生活保護の手続きは、大まかに「相談」「申請」「調査」「決定」「支給」という流れです。相談先は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。厚生労働省は、相談時に生活保護だけでなく、生活福祉資金や各種社会保障施策の活用も含めて検討するとしています。
1. 福祉事務所へ相談する
まずは役所の福祉事務所に相談します。生活の状況、年金額、家賃、通院状況などを整理して伝えると話が進みやすいです。
2. 申請する
申請書の提出が原則ですが、厚生労働省は、特別な事情があれば申請書がなくても申請できる場合があると案内しています。高齢で書類作成が難しい方でも、相談自体をあきらめる必要はありません。
3. 調査を受ける
申請後は、資産、収入、扶養、生活状況などの調査が行われます。必要に応じて通帳の写しや年金関係の資料などを求められることがあります。
4. 決定後に支給開始
支給が決まると、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。受給後も収入状況の申告や、世帯の実態に応じたケースワーカーの訪問があります。
家族に迷惑はかかるのか
高齢者が生活保護をためらう大きな理由のひとつが、「子どもや親族に迷惑がかかるのでは」という不安です。
たしかに、厚生労働省は申請後の調査の中に、扶養義務者による援助の可否の調査を挙げています。ですが、それだけで「家族が必ず生活費を負担しなければならない」という意味ではありません。実際には、援助が難しい事情があれば、その実態を踏まえて判断されます。
この点を気にして申請をあきらめてしまう方は多いですが、まずは現実の状況をそのまま相談することが大切です。
高齢者が生活保護を受ける前に知っておきたいこと
生活保護は生活を支える大切な制度ですが、申請すれば誰でも無条件で受けられるわけではありません。預貯金や保険、不動産など、活用できる資産があるかどうかは確認されます。また、年金や手当など他の制度が使える場合は、まずそちらの活用が検討されます。
ただし、ここで大事なのは「相談前に自分で勝手に無理だと判断しない」ことです。厚生労働省は、生活保護の利用を希望する方に対して、まず福祉事務所で説明と相談を受ける流れを示しています。
高齢者の老後に生活保護が必要になるのは恥ずかしいことではない
老後の困窮は、本人の努力不足だけで起きるものではありません。年金額、物価上昇、家賃負担、病気、介護、家族関係など、さまざまな事情が重なることで誰にでも起こりえます。厚生労働省も、生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるとして、相談を呼びかけています。
生活保護は、人生がうまくいかなかった人のためだけの制度ではありません。生活が立ち行かなくなったときに、命と暮らしを守るための公的な安全網です。
まとめ
高齢者の老後は、条件に当てはまれば生活保護で救済されます。
しかも、実際に生活保護を利用している世帯の中では高齢者世帯が大きな割合を占めています。
生活保護で支えられる主な内容は、次のとおりです。
-
日常生活費
-
家賃
-
医療費
-
介護費用
年金があっても足りなければ対象になる可能性がありますし、申請は国民の権利です。大切なのは、「もう無理かもしれない」と感じた段階で、一人で抱え込まずに福祉事務所へ相談することです。
老後の不安をゼロにするのは難しくても、使える制度を知るだけで、次の一歩はかなり変わります。
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